黒騎士

 エマール王国の東の街の近くまで来るとルシアス達はバルアから降りた。


 「バルア近くに待機出来るか?」


 「ルシアスよ、言う通り近くで待機しよう、もし私の力が必要な時は私に心の中で念じるがいい、私とお前の心を繋げておいた。必要な時は直ぐに向かおう。」


 「バルア!またね!」


 「アルマも気をつけてな。」


 バルアと別れる街の入口近くまで来るとエマール王国の兵士達が立っていた。


 「魔法で眠って貰い姿を隠して中に入りましょう。」


 「分かった。」


 少し離れた場所からルヴェーラはスリープの魔法を唱えて兵士達を眠らせるとインビジブルの魔法をルシアス達と自身にかけて姿を隠して街の中へと入って行った。


 中に入り一目のつかない場所でインビジブルの魔法を解くと5人は情報を求めて酒場に向かった。

 

 酒場をみつけて中に入ると冒険者達が酒を飲んでいた。

 

 その酒場に小さな男の子がやって来る、

酒場の店主は男の子にどうしたのか聞く。


 男の子は魔物達に村人を拐われ、街の近くの村から来て兵士達に助けを求めたが聞いて貰えず冒険者達に頼みに来た事を伝えた。


 店主は困った顔をして男の子に言った。


 「坊主、すまねえがその依頼は難しいかもしれねえ。」


 「どうして?お金ならあるよ、、、。」


 「今、国の意向で冒険者達の街の行き来は難しいんだ。」


 「そんな?!」


 店主の話を聞いていたマナが何とか力になりたいと声をかけようとした時、先に酒場のカウンターにいた一人の女性が男の子に声をかけた、その女性は整った顔立ちに金色の髪と青い瞳をして黒いプレートメイルに身を包んでいた。


 「その村は何処に?」


 そう黒鎧の女性が聞くと冒険者の一人がいった。


 「やめときな、どうせ行くだけ無駄さ」


 黒鎧の女性は無視して少年の話を聞くと少年は自分の村の場所まで案内すると言った。

 

 その話を聞いていたマナが自身達も同行すると申し出ると酒場の冒険者達が言った。


 「お嬢さん方よ、あんたらが行ったってどうにもならねえよ」


 「この酒場の冒険者は臆病者が多いね」


 「何だって!?小娘が!」


 アルマの一言に怒った冒険者の一人は怒ってアルマに詰め寄りその腕を掴むと黒鎧の女性がその手を離すようにいった。


 無視してアルマの腕を乱暴に引っ張ろうとする冒険者の顔に黒鎧の女性は拳を見舞った。 


 「てめぇ!」


 殴られた冒険者の仲間の一人が剣を手にして黒鎧の女性に振り下ろそうとすると黒鎧の女性は目にも止まらぬ速さで剣を抜いて相手の首元へ剣を突きつけて言った。


 「これ以上やるなら本気でやるわよ?」

 

 「わ、わかった、悪かった。」


 そう言って拳を見舞われた冒険者達は酒場を出て行きアルマが黒鎧の女性に礼を言った。


 「ありがとうございます!」


 「気にしないで。それより貴方達、この男の子の為に協力してくれるの?」


 「はい、私も放ってはおけません。」


 マナがそう言うと黒鎧の女性は名を名乗った。

 

 「私はセシル、アルムガルド帝国の騎士よ。貴方達の名前は?」


 ルシアス達はアルムガルド帝国の騎士である事を聞いて驚いたがそれぞれ自分の名をセシルに伝えた。


 「この男の子の住む村人達を助ける間よろしくね。」


 アルムガルド帝国の騎士であるセシルと行動を共にする事に不安を抱いていたがルシアス達は男の子達の為に自分達の素性を隠して同行する事にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る