第11話 すべてが解決した瞬間
午後5時を少し過ぎた頃、麗華たちは書斎で集めた証拠を再確認し、高橋英二の犯行が確定的であることを確認していた。麗華は冷静に高橋に向かって話し始めた。
「高橋さん、すべての証拠が揃いました。あなたが鈴木陽一さんを殺害したことは明らかです。彼の計画を阻止するために、彼を手にかけたのですね。」
高橋は一瞬の沈黙の後、重い口を開いた。「…そうだ。鈴木が私の過去を暴露しようとしていたことを知り、止めるしかなかった。」
麗華は静かに頷き、「すべてが明らかになりました。これで事件は解決です。」と言った。
その瞬間、高橋の顔に微かな笑みが浮かんだ。「そうか…でも、お前たちはまだ何かを見落としている。」
麗華と夏川警部、加藤健、村上志穂は警戒の表情を浮かべた。「何を言っている?」夏川警部が尋ねた。
高橋はゆっくりと時計を見ながら言った。「私は全てを失うわけにはいかない。お前たちがここに来ることは計算済みだ。」
突然、麗華の視線が壁際に置かれた時計に向けられた。時計の裏には小さな電子装置が取り付けられていた。「これは…」
加藤健が駆け寄り、装置を確認した。「時限爆弾だ!残り時間は…3分しかない!」
夏川警部が叫んだ。「全員、今すぐ避難しろ!早く!」
全員が急いで書斎を飛び出し、邸宅の外へと駆け出した。外に出た瞬間、麗華は高橋の行動の意味を理解した。「高橋は全てを隠蔽するために、ここを爆破しようとしていたのね。」
高橋は冷笑を浮かべながら言った。「そうだ。全てを失うぐらいなら、証拠ごと全てを消し去ってやる。」
避難した場所から邸宅を見つめていた麗華たちの耳に、耳をつんざくような爆発音が響いた。巨大な火柱が邸宅から立ち上り、煙が空を覆った。
夏川警部は無線で応援を呼び、「周囲の安全を確保しろ!消火活動を開始せよ!」と指示を出した。
麗華は高橋に向かって静かに言った。「あなたの計画は失敗しました。私たちは証拠を持ってここを出ました。あなたは罪から逃れることはできません。」
高橋は静かにうなだれ、つぶやいた。「もう全てが終わったのか…」
警察官たちが高橋を取り押さえ、手錠をかけた。麗華は煙が立ち上る邸宅を見つめながら、静かに息をついた。「これで事件は本当に終わりです。」
村上志穂が麗華に近づき、「麗華さん、本当にすごかったです。あなたの推理力のおかげで真実が明らかになりました。」と感謝の意を述べた。
麗華は微笑みながら、「皆さんの協力があったからこそ解決できたのです。次の事件に備えて、しっかりと休息を取りましょう。」と言った。
午後6時、太陽が西の空に沈み始める中、麗華たちは邸宅の前で立ち尽くし、事件の解決を実感しながら、次なる挑戦に向けて心の準備を整えていた。
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