第10話 新たな証拠
麗華たちが鈴木陽一の邸宅に到着したのは午後4時45分だった。邸宅の前にはパトカーが停まり、警察の捜査員たちが忙しく動いている。麗華は夏川警部、加藤健、村上志穂と共に書斎へと向かった。
書斎のドアは既に開かれており、中には複数の警察官が新たに見つかった証拠品を調べていた。麗華たちが入ると、現場の捜査員が説明を始めた。
「こちらが新たに見つかった証拠品です。書斎の本棚の奥に隠されていた金庫の中から出てきました。」
麗華は証拠品に目を向けた。そこには、古びた手帳と数枚の書類が含まれていた。麗華は手帳を手に取り、ページをめくりながら内容を確認した。
「この手帳には、鈴木陽一が高橋英二に関する詳細なメモを残しています。彼の過去の犯罪行為や不正取引についての記述が多数あります。」麗華は手帳の内容を読み上げながら、証拠の重要性を説明した。
夏川警部が書類を調べ、「これらの書類は、高橋英二が関与した不正取引の証拠です。具体的な金額や取引の詳細が書かれています。これが動機の一部でしょう。」
加藤健は手帳を読み進める中で、重要な一節に気づいた。「ここに、鈴木陽一が高橋英二に対して何かを企てていたことが書かれています。『高橋は私を裏切った。彼の計画を阻止するために、全てを明らかにする』と。」
麗華はその一節を見つめながら、「これで鈴木陽一が高橋英二を追い詰めようとしていたことが分かります。高橋はそれを知り、彼を殺害する動機があった。」と述べた。
村上志穂がさらに手帳を調べ、「ここに書かれている日付が一致します。鈴木陽一が殺害された日の前日、彼はこの手帳に『全てを終わらせる』と書いています。高橋がその計画を知り、行動に移ったのかもしれません。」
麗華は手帳と書類を手に取り、ホワイトボードの前に立った。「これで、高橋英二の動機と犯行の計画が明らかになりました。彼は鈴木陽一の計画を阻止するために、彼を殺害した。そして、その証拠を隠すために手帳を金庫に隠したのです。」
その瞬間、高橋英二が再び姿を現し、声を荒げた。「待て、まだ終わっていない!お前たちは何も分かっていない!」
麗華は冷静に高橋に向き直った。「高橋さん、全ての証拠が揃っています。あなたの過去の犯罪行為、不正取引、そして鈴木陽一さんを殺害した動機。もう逃げられません。」
高橋は焦りの表情を浮かべ、周囲を見回した。その時、彼の視線が一つの写真に留まった。「そうか…まだ彼の計画の全貌は明らかになっていない。お前たちに本当の真実を教えてやる。」
麗華たちは驚きの表情で高橋を見つめた。事件の背後にある真実とは一体何なのか。午後5時が近づく中、麗華たちは次の展開を見守りながら、事件の最終章に向けて準備を進めていた。
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