社畜のオッサンがモブ悪役(奴隷商人)に転生したら、ゲーム知識を利用して、ヒロインたちを最強に育成するわ、無自覚にヤンデレ化させるわで、いつのまにかストーリーをへし折りまくっていた件。
第37話 なぜかアリスが激怒しているのだが……
第37話 なぜかアリスが激怒しているのだが……
とりあえずこのまま連行されることだけは避けられたようだ。
俺は嫌な汗をかきながら、ナタリアたちと一緒に屋敷まで重い足取りで歩く。
後ろからは無数の鋭い視線がある。
ミレーヌたちが距離を取りながらも、ぞろぞろと俺らの後方からついてくる。
正直、今にも飛びかかってきそうなほどに殺気だっていて、生きた心地がしない。
もしかしたら、このドサクサにまぎれて、ナタリアもろとも俺を亡き者にしようと狙っているのかもしれない。
やがて、屋敷のあたりまでたどり着くと、なぜか突然ミレーヌたちの気配が消えた。
と、同時に俺らの目の前の道の真ん中に一人の女性が現れた。
メイド服を来た女性……アリスがいつの間にか立っていた。
あまりにも突然現れたものだから、俺は面食らっていた。
まるで瞬間移動でもしてきたようだ。
ルナティック戦記にはそんな魔法はない。
だから、きっと単にとんでもない速さで移動しただけなのだろうが……。
いやでも闇属性の敵側サイドのキャラは瞬時に消えたり、現れたりしてたような……。
あれは単なるゲーム上のよくある演出ということで気にもとめなかったが……。
もしかしたら闇魔法の中にはそういう効果がある魔法があるのかもしれない。
いずれにせよ、俺にはまったくアリスの気配を感じられなかった。
ナタリアも同じだったようで、
「な……いつのまに……」
と、目を点にして驚いている。
アリスは、ナタリアのことを一瞬だけチラリと見て、
「また別の女……ですか……しかもあの家紋……彼女は……」
と、小声で何か言った後で、ため息をつき、眉根を寄せる。
アリスは、ナタリアから俺の方へ視線を戻して、ゆっくりと俺の方に歩みよる。
そして、何かを確かめるように俺の目の前まできて、なぜかじっと俺の顔や体を見てくる。
「え……あ、アリス……な、何を……」
俺は戸惑いながらも、あまりの密着具合にドギマギしてしまった。
アリスの美しい金髪が風になびいて、なんとも言えない良い匂いがするし、吐息すら感じられる。
「……ご主人様。屋敷に戻られるのが遅いので気になっていたのですが……いったい何をなされていたのですか……女の……ミレーヌたちの匂いがしますが……」
アリスは無表情のままだったが、だいぶ怒っている感があった。
きっと、ルシウスのことを丸投げして、面倒をすべて押し付けた俺のことを怒っているのだろう。
「え……い、いや……俺は早く戻ろうとしたんだけど……ミレーヌたちが——」
俺が言い訳を並べていると、アリスが、俺の首元にいきなり顔を近づけてきて、
「ミレーヌたちの毛がだいぶ……ついています。それに……爪痕や口紅も……フフ……いったい何を……何を……何を……なされていたのでしょうか。ご主人様?」
と、俺の体についていたミレーヌたちの獣毛をその細い指先でつまむ。
そして、何故か微笑しながら、青い瞳で俺を見つめてくる。
表情こそ一応笑顔であるが、明らかにアリスの雰囲気が変わった。
俺はその異様な雰囲気に思わず後ずさりしてしまう。
アリスは下を向いて、うつむくと、
「ああ……落ち着くのです。アリス……悪いのは誘惑をしたあのはしたない女狐たち……それにご主人様は皇帝を排し、いずれ帝位につくお方……ですから、正妻であるわたしは寛容にならなければ……それが王族の女として正妻であるわたしの役目……ですがミレーヌたち……あの女狐たち。ご主人さまのお体に触れて、あまつさえその体に爪痕まで残して……」
と、ブツブツと何かを言っている。
と、アリスの地面を中心として、空気が淀んでいるというか……闇に呑まれて変色して——。
一瞬、地面の底が抜けたのかと思った。
あたりの地面は土色からいつの間にか真っ暗な闇に染まった。
そして、何か異様な外形をした忌まわしい生き物がその中には蠢いていて……。
うん……これって……確か闇の眷属か何かで、一体現れると街が崩壊するとかいうやつじゃなかったか。
中盤に出てきたボスの一人だったよな。
やっぱり実写だとだいぶエグいというか生々しいというか——。
「なんですの!? この禍々しい気配は……まさかあれは!? 屋敷の文献で見た100年前に我が王国を蹂躙した古の闇の眷属!? なぜこんなところに!? まずいですわ! このままではこの街が……いえ我が王国が——」
ナタリアたちが突如として出現した禍々しい化け物に悲鳴を上げる。
はっ……そうだ。現実逃避している場合ではない。
アリスを止めなければ!
しかし……なんと言って説得したらいいのだ。
アリスが怒っている原因もわからないのに……。
俺はとにもかくにも、アリスの元にあわてて駆け寄る。
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