三歩目『つまらないベランダ』

楽しいを探そうと

家中を歩き回ってみたけれど

私が求めているものは

外にあるようだった


一番近い異空間は

耳のような鍵を開けて

網戸を引いた先にあった


雨の予報は

嘘つきだったんだね

曇りの空気は

肌に

いやらしくまとわりついて

まるで

好みではない異性に

舐めるようにシカンされているみたい


誰かが揃えなかった

スリッパが色褪せている


やっぱり玄関から

出かけよう

私はようやく身支度をはじめた。



     Fin.





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