第2話、どん底から抜け出す。

朝起きて社会人をしていた時と同様に、


朝ご飯を軽く食べた。


毎朝のように食べていたスクランブルエッグにベーコン、


そこにケチャップをかけてさらに食パンを用意し、バターを塗って食べた。


その際に昨日の配信の反省をしていた。


「もっと面白く配信出来ていたらな。


せっかく来てくれた視聴者に申し訳ないな」


と後悔していた。




そして、歯を磨き、服を着替えた。




ずっと後悔に駆られながら


マグカップにコーヒーを淹れ、


パソコンのある部屋へと行き、恐る恐るパソコンを起動した。


恐る恐る自分のフォロワーを確認した。




するとTwitterは564人で、


ユーチューブのチャンネル登録者はなんと300人もいた。




自分でもかなり驚いたが、Twitterで最初に投稿したのがかなりバズっており、


そこからユーチューブの配信に来てくれた人が多かったのだと考えた。




Twitterのリプを見ると


(こいつおもれ~)


(借金返済頑張れ)


(借金多すぎっ!)


(20代でどうやったら借金20億もできるんだよwww)


(なんか応援したくなるこのやばさ計り知れない)


などと言った応援をしてくれるコメントであふれていた。




自分でも不思議に思った。


人間はすぐ裏切る愚かで情けない生き物だと思っていたのだが、


しかもあんな配信の終わり方をしたのに


温かいコメントで溢れかえったコメントを見るとすごく泣けてきた。




自分にはまだ生きる価値があるんだと改めて感じた。




そして、俺は、次の目標に向かうために計画を考え始めた。




「まず始めに、YouTubeのフォロワーを増やし収益化をする。


登録者が、10万人行って、Twitterが5万人いったくらいで他のSNSにも手を出してみる。


例えばTikTokやTwitchなどの配信サービス。


それと今流行りのショート動画を投稿するのもありだな。


そして、50万人以上のフォロワーになったら小さめのVtuber事務所を作って、


徐々に大きく成長させる。


最終目標の自分の大好きなVtuberの天香ちゃんと結婚することを忘れずに頑張ろう!」




と誓い、一つ一つ書き出していつでも見返せるようにスマホにメモしてみた。






そして、今日のやることを決めた。


「よし!今日はまず昨日の配信の切り抜きを作って


その後にちょっとしたショート動画を投稿して、再び配信を始めよう!」


と考え昨日1時間ちょっと配信をしたやつを10分から20分程度のおもしろいところを切り抜き


をしようと考え、親からもらったお金の一部を編集ソフトを買うために使った。




まず大前提として、自己紹介は入れようと思ったので、最初の部分はカットしなかった。


そして、ゲームをやっている部分は、戦っている部分と、雑談をしている部分だけ切り抜き、


最後の質問コーナーは面白い部分だけカットした。




次にテロップ(文字)を入れようと考えたのだが、


「何色の文字を使えばいいのか、そもそも自分のイメージカラーってなんだ?」


と疑問が生じたので、Twitterで募集しようと考えた。


なので、「自分のイメージカラーってなんだろう!」


とツイートしたところ、




昨日見てくれた視聴者やたまたまおすすめに流れてきた人まで


多種多様な人たちが考えてくれた。




その中で自分が一番しっくりきた色は、象牙色ぞうげいろだった。


この色の持つ意味は、




「信頼・誠実・保守的」




だったので自分に一番似合っていると思った。


なので、この色は自分のイメージカラーにした。




テロップの色や背景や服の色をできるだけこの色を使おうと決めた。




そして、いざテロップを入れようとしたとき、


なんのテロップを入れようか迷ったのだが、見やすさとバランスの良さを考えながら作った。


このテロップを入れる編集が一番手こずり中々大変だった。




「これを毎日やっているYouTuberのみんなはすごいなぁ


俺も見習わないとな。」


と感じた。




結局、編集が慣れていないため20分くらいの


動画のテロップを入れるのに4時間くらいかかってしまった。




そして、次にショート動画の作成に移った。


ショート動画は何を投稿しようか迷ったのだが、


「まぁ無難に質問コーナーでもやってみるか」と思ったので、




Twitterで質問を募集してみた。




すると思いのほか質問が集まり始め、


最終的に200件以上の質問が集まった。




自分の想像していたよりはるかに多くの質問が集まり、


とても嬉しかった。みんなの温かいコメントが多くて、また泣いてしまった。




しばらく経ち、質問コーナーに向けておもしろそうな質問を探していると、


視聴者が気になっている質問で一番多かったのが、


(あなたの今までの経歴を教えてください)


(過去に何してたの?)


(今まで何していたのか気になるぅ!)


(過去に働いていた職業は?)


と自分の過去を教えてくださいといった質問が圧倒的に多く質問の全体の7割から8割弱あった。




なので、俺はその期待に応えてそれについてのショート動画を撮影した。




どんな感じで撮ろうか迷ったのだが、


自分のオリジナルを考えるのは大変だったので、有名な人の真似をして撮ろうと考え


ショート動画で有名な人の動画を色々見てみた。




その中で自分が良さそうだと思ったのが、


某弁護士系YouTuberの「ア〇ム法律事務所の岡野タ〇シ弁護士」


を真似て撮ろうと考えた。




「質問来てた!前の職業は何ですか?


回答!前の職業は社長でした。


年商もそこそこあり、何不自由のない生活をしていました。


ただ、そこで、裏切りに合い、私は、20億の借金ができて人間不信になっていましたが、


ここである人と出会い私は、この人に振り向いてもらえるようなBIGな人になるために


この業界で頑張ろうと思い、今に至ります!


Twitterのリプでも、この動画のコメント欄でもいいので質問お待ちしてます!」






と締めくくりショート動画の撮影を終えた。




なんか最初から重たい内容の動画になってしまったが、


視聴者の期待に応えるために動画を撮影したので後悔はない。


そして編集を始めると、


ショート動画も動画が短い割には割と大変だと気づき必死に編集を頑張った。




そして、編集が終わり切り抜きの動画とショート動画を投稿するために




(今日の夕方18時にショート動画、19時に昨日の配信の切り抜きを投稿するので見てねー!)


とTwitterで告知をした。




そして18時になり、ショート動画を投稿しようとしたのだが、


ハッシュタグやタイトルをどうしようと事前に考えるのを忘れていたため、


慌てて考えた。




「まぁ無難に、#新人配信者 #元社長 #借金20億とハッシュタグはこれでいいか」


と思い


「次にタイトルを考えないとな」


と独り言をつぶやいた。


2~3分くらい悩みタイトルは


(前職は○○でした。)にした。




この方がみんな前職が気になると思いこれにした。


そして5分遅れで投稿した。




YouTubeに投稿した後Twitterで


(遅れてしまい申し訳ありません。ぜひ見てみてください!)


とつぶやいた。




その投稿に対して視聴者は


(まぁ、まだ始めたてだし仕方ない頑張れ!)


(遅刻は良くないけど頑張れ!)


(今から見ます!)


などと応援してくれるコメントで溢れていた。




そして、動画を見終わった視聴者たちが


ショート動画のコメント欄でコメントや感想をたくさん書いてくれた。


(豪さんにそんな過去があったとはこれは応援したくなりますね!)


(過去のことは忘れられないかもしれませんが、これからも頑張ってください!)


(これはだいぶやばい過去だな)


(過去を知れてなんか親近感が沸いた気がする!)


などといった応援してくれるコメントばかりで俺はとても嬉しかった。




さらに、YouTubeのチャンネル登録をしてない、たまたまおすすめに流れてきたユーザーからも


温かいコメントをしてくれた。そうやって視聴者が増えてくれて余計に自分の中で歓喜に満ちていた。




みんなの温かいコメントを見ていたら気づいたら19時の切り抜きを投稿する時間になっており、


急いで投稿した。




そこでは、


(つまんな。)


(見る価値無い。)


といったアンチが少し沸いていた。しかし、温かいコメントの方が多かったのでとても嬉しかった。


最終的に切り抜きはショート動画ほど伸びなかったが、


それでも、応援してくれるコメントが多いので自分の中では良かったと思っている。




そして、20時になり今日は慣れない撮影や編集をして疲れていたが、


暇つぶしに配信を付けてみた。




YouTubeで配信を何にも告知をせずにつけてみたのだが、


告知を何もしていないので同接が20人しかいなかった。


それでも来てくれる視聴者のために雑談配信をした。




雑談配信中のコメント欄で


(質問コーナーをやってほしい)


とコメントが流れたので、Twitterで


(今YouTubeで配信中だけど質問ある?)


とツイートしたところ




150件の質問が寄せられしかも、そのツイートを見たユーザーが


YouTubeライブに来てくれて同接が300人になった。




一番最初に配信した時よりは少ないが、


地道に地道に同接やフォロワーを増やしていけばいいかなと思いい始めたので、


今いる視聴者のために頑張ろうと思った。


むしろ一番最初に配信した時に同接が1000人も行ったのが奇跡だと感じた。




質問コーナーをしているとみんなチャット越しに


(そうだね)


(頑張れ)


などといった優しくチャットで俺の質問の回答を聞いてくれるので、


始めて配信上で声を出して泣いてしまった。


それくらい自分の中ではとても嬉しかった。




コメント欄では


(大丈夫大丈夫)


(これからだよ頑張れ)


(これからも応援するよー)


とコメントがあふれ


「これからも応援よろしくお願いします。」


と深く頭を下げて配信を終えた。






配信が終わりTwitterを見ていると、なんと泣いているシーンを切り抜いてくれる人が現れ、


自分の中では恥ずかしかったが、ある意味優しい視聴者だと思った。




そうして、今日もお風呂に入り、


少しツイッターを見て一日が終わった。

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