第3章 主人公:前野晴久の苦悩

〈倖智花〉

目を覚ますと腕の中で智花が寝息を立てていた。


休日の天気は予報通りの青天のようだ。

良く晴れた光の中で、智花の剥き出しの肩が白く輝いていた。


しっとりとした肩に触れると、少し冷たくなっている。


そっと肩を抱き寄せ、自身の体温で智花を温める。


「ん・・・」

と呟き、目を閉じたまま俺の胸に頬を摺り寄せた。

そして、右手だけ俺の背中に手を回し、さすさすと2回背中を撫で、少し力を入れられた気がした。

多分、ぎゅってしたつもりなのだろう。


まだ眠りから覚めていないその力の弱さと、それでも俺を抱きしめようとする仕草が可愛くて、愛おしくて、俺は我慢の限界を迎えつつあった。


ちょっとだけ。

と、智花の背中を撫でる。


額にキスをする。


ああ、もう無理だ。





ごめんよ、智花。

もう寝かせてなんかあげれないみたいだ・・・・。
















   




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