第4話 質問コーナー

みはり:「それにしてもこのラジオ番組長いねー。あと何分よ」


メテオ:「ちょうど折り返しですね」


みはり:「あと何があるの?」


 みはりが辟易気味に言う。


メテオ:「次は質問コーナーです」


 スタッフが穴の開いた白箱を机に置く。


メテオ:「こちらの箱から紙を取り、書かれた質問にお答えします」


みはり:「あれ? 緊急特別なんでしょ? お便りとかハガキはないはず」


メテオ:「そのために今回は急遽ネットで質問を集め、その中でスタッフが厳選したものを使います」


みはり:「スタッフの性癖が露見されちゃう?」


メテオ:「なんで質問をチョイスしただけで性癖が露見されるんですか? ラジオなんですから変な質問はありませんよ」


みはり:「だといいんだけどね」


メテオ:「さて最初の質問は……」


 メテオが箱の穴に手を入れて、紙を一枚取り出して、書かれている内容を読む。


メテオ:「VTuberになろうとしたきっかけは?」


みはり:「アーカイブを見てください」


メテオ:「いやいや、答えてよ。アーカイブって、多いじゃない。探すの大変だから、ここですぱっと答えて」


みはり:「仕方ないなー。それじゃあ、話すけど。私はプロデューサーからオファーを受けてVTuberになりました。メテオは?」


メテオ:「私はVTuberが好きでこの道を選びました」


みはり:「初めは個人勢だったんだよね?」


メテオ:「はい。のちに今の事務所に売り込んで企業勢になりました」


みはり:「個人勢と企業勢どっちが良い?」


メテオ:「そりゃあ企業勢ですよ。仕事がいっぱいで助かります」


みはり:「それじゃあ、次の質問いってみよう」


 次はみはりが白い箱に手を突っ込んで紙を引き抜く。


みはり:「VTuberって、どれくらい儲かる?」


メテオ:「現金な質問ですね」


みはり:「まあ、最初は雀の涙だったけど、今は儲かってるよ」


メテオ:「そうですね。私も同じで今は儲かってますよ。始めた当初はきつかったですよね。特に個人のときは貯金が無くなる一方。企業勢になって、仕事やチャンネル登録も増えて、赤スパも動画収入も入って、生活が出来てます。ファンの皆様、ありがとうございます」


 メテオはしみじみと答える。


みはり:「下積み時代がすごかったメテオが言うと貫禄があるわ。私は実家暮らしの学生だったからさ。始めた当初は金とかそんなのは考えてなかった」


メテオ:「さて、気を取り直して次の質問にいきましょう」


 メテオが白箱から紙を抜き取る。


メテオ:「つらかった、大変だった配信は何?」


みはり:「大変だった配信は……これかな?」


メテオ:「え? 私との仕事は嫌ってことですか?」


みはり:「そうじゃなくて、突発的なコラボとか仕事は嫌かなって」


メテオ:「確かにね。こっちも予定とかありますから。急に有無を言わさずにぶっ込まれたら大変ですからね」


みはり:「そうなのよ」


 みはりはうんうんと強く頷く。


メテオ:「私はこの前のリリィ生誕お祝いオフコラボ。私がリリィのために料理を振る舞ったんだけど、一悶着ありまして」


みはり:「見てたよ。広島焼きね。リリィ、めっちゃ怒ってたね。さすがにオムそばを出したらキレるわー」


メテオ:「広島焼きと言ったら怒るし、広島風でも怒るし、生地が薄いと言うと怒るし、大変でした」


みはり:「あいつ広島県民だもんね」


メテオ:「……それに配信後にもまだ怒っててさ。もう大変」


 メテオは大きく溜め息をつく。


みはり:「次のお題は……内職もしくは他に仕事をしているVTuberはいるんですか?」


メテオ:「私はしてません」


みはり:「普段は学生でーす」


メテオ:「というか内職してる人っているんですかね?」


みはり:「私の周りにはいないなー」


メテオ:「そもそもVTuberって、深夜に配信している人ですよ。別の仕事をしつつ、ゲーム実況は難しいと思うな」


みはり:「だよねー」


メテオ:「次のお題にいきまーす。VTuberは出前アプリを多用しているというのは本当ですな?」


みはり:「私、実家暮らしなんで」


メテオ:「私は一人暮らしだけど、自炊派。出前アプリは使わない」


みはり:「前に使ってる子は結構いたけど問題になってからはパタリと誰も使わなくなったよね」


メテオ:「ありましたねー。住所を調べる特定厨でしたっけ」


みはり:「怖かったねー」


メテオ:「うちのVTuberではありませんけど、あれで引越したVTuberの方いましたからね」


みはり:「さて次のお題は……おや? カンペで次が最後らしいね。何が出るかなー?」


 みはりは手で箱の中をかき回して、紙を一枚取る。


みはり:「じゃじゃーん。最後は……好きなV、嫌いなVは?」


メテオ:「なんで最後にそれを選んじゃうのかな?」


みはり:「私は嫌いなVなんていないよー」


 みはりがぶりっ子っぽく言う。


メテオ:「嘘くせー」


みはり:「嘘じゃないよ。メテオは嫌いVいるの?」


メテオ:「いないけど」


みはり:「……」


メテオ:「……」


みはり:「ええと好きなVはメテオだよぉ」


 これまたぶりっ子の仕草でみはりは答える。


メテオ:「嘘くせー」


みはり:「メテオは誰が好きなの?」


メテオ:「みーんな大好き」


みはり:「あやしーい」


メテオ:「あやしくありませーん」


みはり:「1人くらい殺したい子とかいるでしょ?」


メテオ:「こ、殺したい子!? いませんよ!」


みはり:「それじょあ気兼ねなくコラボできるVTuberは誰よ?」


メテオ:「気兼ねなくなら、同じ0期生かな。みはり先輩は?」


みはり:「私も同期だね。同期って絆があるよねー。皆、仲良し」


メテオ:「……デスネ」


みはり:「んん? 何か文句あるのかな?」

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