第3話 フリートーク

メテオ:「ここからはフリートークとなっております」


みはり:「フリートーク……最近何かあった?」


メテオ:「正月に会う親戚のおじさんか!」


みはり:「髪切った?」


メテオ:「普通のフリートークしてよ」


みはり:「ん〜。それじゃあ、この前、ファミレス行ったら、完全機械化サービスだったの」


メテオ:「あー、最近、増えましたよね。座席から会計までのサービスが全部が機械任せのファミレス」


みはり:「どんどん人間の仕事が減っていくね。しまいにはAIのVTuberとか現れそう」


メテオ:「人間の仕事って何だろうね」


みはり:「カンペに『明るい話を』だって。明るい話かー。なんかある?」


メテオ:「この前、スーパーで牛肉を買ったんですよ」


みはり:「メテオの好きな牛タン?」


メテオ:「いえ、肩ロースです。で、この肩ロース、よく見たら小さい穴がたくさん開いていたんです」


みはり:「え? 何? 怖い?」


メテオ:「前にテレビで注射器を使って、水を牛肉の中に入れて重さをかさ増ししてる悪徳業者の話を聞いたんですよ」


みはり:「水!?」


メテオ:「はい。それで『いや、まさかなー』と思ってたんですけど、牛肉を焼く時、めちゃくちゃびちゃびちゃしてたんですよ」


みはり:「それってやはり!?」


メテオ:「あれは水でかさ増しですね」


みはり:「うわー。最悪だね。それよりスタッフがカンペを叩いているよ」


メテオ:「ごめんなさい。明るい話ではありませんね」


みはり:「でも、このご時世に明るい話なんてある?」


メテオ:「そんな身も蓋もないこと言わないでください。何か良いこととか嬉しかったことありません?」


みはり:「う〜ん? 赤スパとか新曲のPVが100万超えたとか」


メテオ:「私は……同じですね」


みはり:「でもメテオはオリ曲が1000万じゃん。しかも今も増えているんでしょ? このままのペースなら3000万PVいくんじゃない? いくら稼いだ?」


 みはりがメテオにいやらしい目を向ける。


メテオ:「3000万PVいけたらいいですね。えー、新曲をお聞きになられたリスナーの皆様方ありがとうございます」


みはり:「ひがみ通じねー」


メテオ:「別の話題にしましょう。最近ハマっているアニメや漫画はありますか?」


みはり:「アニメは今季の『カモシカしか勝たん』かな。意味不明だけど、あのノリがいいんだよね」


メテオ:「『カモシカしか勝たん』は私も見てますよ。面白いですよね。シュールギャグというんですかね。訳がわからないけど面白い」


みはり:「あと『モンド・トリガー』かな。モンドが世界という意味だけど、門扉と門徒にもかかっているんだよね。世界の扉が開いて、向こうの世界の敵が襲ってくるの。それを主人公が倒すってやつ」


メテオ:「そうそう。主人公は弱いんだけど、怖くても立ち向かう勇気だけは人一倍強くて、初めは防衛隊にも入れなかっけど、異世界人のユーノと知り合うんですよ。そして巨大な敵との戦闘により、主人公とユーノは融合するんですよ。融合した2人は……」


 メテオが早口でかつ熱く語る。


みはり:「めっちゃ語るね。さすがショタ神様だ。ショタ漫画については熱いね」


メテオ:「誰がショタ神様ですか!? それに『モントリ』はショタ漫画ではなく、少年漫画です!」


みはり:「『モントリ』? それは『モンド・トリガー』の略」


メテオ:「そうですよ。知らないんですか?」


みはり:「知らない。まだ2話しか見てないし」


メテオ:「2話!? もう6話までやってるんだよ!? 何してるの!?」


 メテオが信じられないという顔をする。


みはり:「忙しくてさ。この前、見始めてさ。なかなか面白いよね」


メテオ:「ぜひこのまま最新話まで見てください。特に5話は神回です。ちなみに漫画も17巻まで発売中ですので。もし面白ければ漫画で先読みを」


みはり:「熱いなー! 布教してきたよ。やっぱショタ神だ」


メテオ:「別に布教してません。ショタ神と言わないでください」


みはり:「ならメテオは他にどんなアニメや漫画を見てるの?」


メテオ:「『少年とレディース総長』、『後輩は男の』、『継母の連れ子が可愛いすぎて憤死』、『私がママになる!』、『男子寮の秘密』とかですかね」


みはり:「それ全部、ショタかBLだよね?」


メテオ:「…………」


 メテオは何も言わず、みはりから目を逸らす。

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