第41話 梅雨のひととき ④
ほんとにめんどくさい愚妹だ。
「さっきも言っただろ。そんなんじゃねぇよ、それにまともに話したのだって今年からなんだ。なって数ヶ月でそんなに発展するかよ」
俺は呆れるように興味津々に待つ柚子に言った。
「ふーん……そっかー…そうなんだぁ…すごーく怪しいけどーー…ま、いっか!いずれはわかることだもんねぇ…」
…なんだこいつ…
何か意味深にニヤニヤしながら言ってくる柚子が気になった。
「何が言いたい?柚子…」
「え、何って…そりゃあ、あたしがいつ『おばさん』になるのかに決まってるじゃないか兄君よ!なぁ、兄君…恋愛なんて人それぞれ。お互いが認め合えさえすれば、すぐにでも付き合きあえちまう世の中なんだぜ!………なぁ…言っちゃいなよ…いずれこの金髪スーパー美女があたしたちの家族になるんだろ?もう上から下まで、穴という穴はすでに確認済なんだろ〜?もう時間の問題じゃないか〜」
…こいつ!!…
俺の肩に手をかけ隣に寄り添ってくる柚子にさすがの俺も腹がたってきた。
「このっ!!」
ヒョイ。
「甘い、甘い!兄ちゃんよ…そんなぬるいスピードじゃあたしのことは絶対に捕まえられんよ」
隣にいた柚子の手を取ろうとするも、それはそれは見事に俺の手を柚子はかいくぐった。
「このっ!、、こいつっ!!」
「おやおや、怒っちゃったかなぁ?これは図星かなにかかにゃあ?」
煽る柚子を再度捕まえようとするも、残像のごとくスピードで俺の手からスルスルと回避していく。一度…一度だけでいい…このアホな妹に鉄槌を。
それにこのままだと、兄としての威厳も。
そんなこんな小さな部屋の中で追っかけ回しを続けていると。
「お〜…あたしももう学校へ行く時間だー…それじゃあな、兄ちゃんよ…くれぐれも体には…気をつけるんだ•ぜ」
「おい、待てっ、柚子!」
俺の呼ぶ声に聞く耳など持たず、キリッとかっこよく…柚子は俺の部屋から走り去ろうとした。
その時…
「へぶっ!!」
…………。
母さんとの戦いの産物か…俺の部屋は都合良く鍵がかかっていて、柚子は思いっきり自身の頭を強打した。
「いっつぅぅぅ…どうして鍵なんか…」
頭を抑え、うずくまる柚子。
そこへ…
「おい…妹よ…さっきはよくも、好き勝手俺のことをガンガンに煽ってくれたな」
そんなうずくまる柚子の前に仁王立ちのように立ち尽くす俺。もう逃がさない。
「あ、あー…やだなーちょっとした兄妹同士の戯れじゃないかー…ごめんて〜。それに〜そんなに近づいてきちゃって〜兄ちゃんは兄妹プレイがお好きなのかな?やだぁ〜朝からお兄ちゃんに脱がされちゃーう、誰かー……………てへペロ!」
最後までふざけ通す柚子に俺は。
「いへへへへへ!!にぃはん、はんにん!!はんにんしてぇ!!」
(いててててて!!兄ちゃん、かんにん!!かんにんしてぇ!!)
思いっきり柚子の頬を餅のように引っ張りつくした。
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