第35話 激突 柊 奏VS冴島 唯 ⑥
新緑祭当日…
ついにこの時が来た。図書室の机をどかしたり、配置を決めたりと…いろんなことの試行錯誤の上、ついに、図書室喫茶が完成した。
「レンレン先輩、材料、だいじょーぶー?」
「えぇ…大丈夫よ」
いつからそんなに仲を深めたのか…花梨も喫茶店の手伝いに来てくれた。
花梨には申し訳ないことをした。本当はお客さんとして迎えるはずだったのだが、人不足ということで手伝ってもらっている。
本人も「いいよー、楽しそうだしー」と一発OKを出してくれはしたものの、何かあとで好きなスイーツか何かを奢ることにしよう。
そして…
「待ってたわよ、冴島唯」
「こちらこそ…負けるのが怖くて逃げてしまうのかと思ったのですが、おめおめと出てきたようですね」
…あ〜…もう臨戦態勢ですか…
当の主役たちも到着。もう、始まる前からバチバチ状態。
なのだが。
…君たちはどこでその…メイド服を…
目の前でいがみ合う二人はガンガンなメイド服。柊はミニスカメイド服に半袖スタイル…モデルをやってるだけあって、長い足を全開に出し、しかも性癖をそそるであろう素足スタイル。きっと刺さる人にはドビンゴしてしまうであろう…ザ、陽キャのようなメイドスタイルが柊奏。
冴島さんはと言うと、柊とはうってかわって清楚な感じのメイドスタイル。印象的なのは、自慢かどうかはわからないその豊満な胸を空気に晒しているメイド服の上部分…胸のワレメが全開に見えるなんともエッチなメイド服をしているのが、冴島唯。
どこでそんなメイド服を調達したんだ。
「あら、何?そんな無駄な脂肪を見せて誘惑しようっていうの〜?あ〜、そっか〜…そうだよね〜、脂肪があるってことは他にも脂肪があるもんね〜。だからスカートも長めなんだぁ〜」
「勝手に言っててください。人よりないのですから、そういう意見にもなりますよね。想像するならご自由に…」
バチバチに言い合う二人なのだが、正直制服の時と違って説得力も威厳もない。
なんせ、メイド服ですから。
「じゃあ、相坂君。僕たちも準備しに行こうか?」
隣に柿島先輩が来た。
「はい、そうですね。やっぱり……すごいですか?」
「それは……もう…」
そのひきつった表情からやばいんだろうなというのを感じ取った。
これに関してはさすがは二人としか言いようがなかった。
図書室で喫茶店をやると言うことで、本を知ってもらおうとたくさんの人に訪れてもらうため、二人には申し訳ないが客寄せパンダとして、掲示板に『対決!柊奏VS冴島唯』と大大にA4用紙を貼らせてもらった。
もちろん、その噂は一気に学校中を駆け巡り、週末には、二人の対決を楽しみにしてるようなことを何度も言われた。なんなら知らない人にも「開いてくれてありがとう」と声もかけられた。
けっこう人が来るんだろうな。
そんな軽い気持ちで臨んだつもりだったのだが。
ズラーーーーーーっ
列が凄まじいことになっていた。
時刻は午後一時を指そうとしている。新緑祭開始の時間だ。
「行きましょう…柿島先輩。一緒に……列整理を」
「うん…」
こうして二人のプライドをかけた新緑祭の幕が上がる。
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