第31話 激突 柊 奏VS冴島 唯 ②


 次の日…


「それじゃあ聞いていこうかな?最初はー、相坂君!どうかな?」


「え、俺ですか?」


 時は放課後。俺たち図書委員は各々に出されていた宿題『少ない人数でできる何か』を発表するため、ここ、図書室に集まっていた。


 結局、この話題を家に持ち帰っては見たものの、何も思いつくものがなかった。それこそ簡単なもの…『おすすめな本の紹介』ぐらいは思いついたが、こんなことを聞きたくて話してるわけじゃないだろう。


「すいません…俺は……ダメでした」


 申し訳ないがそう柿島先輩に伝えた。全然思いつくものがない。


「そっかぁ…ん〜、やっぱりそうだよねぇ…この人数でやれることなんてなかなかないよねぇ…みんなも…もしかして…」


「みんなもって…あなたもでしょ、優」


 水原先輩は釘を刺すように柿島先輩につっこんだ。それにしても、ほんとにこの先輩は冷静沈着というか、ただただ興味がないのか…いつも何を話していても、本を読んでいてなんとも掴みきれない先輩だ。


「あ、バレた」


「バレたじゃないわよ…このままだと、あれよ…また去年みたいに生徒会の手伝いで一日終わるわよ…」


「うん…まぁ、それは……うん…」


 水原先輩の話に沈黙の時間が流れる。俺も柊も去年の図書委員というのを知らない。何かあったんだろうか?


「あの、生徒会の手伝いって、何をしてたんですか?」


 沈黙の空間を柊が切り開いた。


「そのままの意味よ…祭りの当日に各イベントで使う機材、材料…それを一日中運び回るのよ」


「はぁ!一日中!?」

「はぁ!一日中!?」


 見事に柊とハモった。さすがにそれはやばくないか…文化的な委員会である俺たちが一日中、他のイベントの使いっぱしり。


「そうなんだよ〜、だから少ない人数でも何かやろうって意地でも考えてたんだけど」


「泣き言言ってる場合じゃないでしょ…優…ほら、そろそろ来るんじゃない?こわいこわい生徒会役員様が…」


 水原先輩がそう話した瞬間だった。


 コンコンコンコン!


 放課後の図書室に手で叩くノック音が鳴り響いた。


「きたーー!!来ちゃったよーー」


 ノックの音に青ざめる柿島先輩。


 そして…


「失礼します、生徒会の使いで来ました冴島です。委員長さんにお話がありましてここへ参りました」


「はぁ?」


「え?」


 ふと隣に座る柊からドス黒いようなオーラが見えたような気がした。


 




 

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