第30話 激突 柊 奏VS冴島 唯 ①
2年になって、はや1カ月が経とうとしていた。世間では中間テストがだんだんと始まっていく季節…俺たちもそうだ…もう少しすればテスト期間に入っていく。
そんな中、テスト期間が始まるという大事な時期にも関わらず、とある一つのお祭りがこの学校で行われようとしていた。
その名も『新緑祭』
主な目的としては『新入生歓迎』だ。
秋にやる文化祭とやること自体はあまり変わらないが、明確な違いとしては秋は一般者もお客さんとして入場可能だが、新緑祭に関しては在校生プラス新入生がお客さんという形になるため、あくまで内部だけのお祭りという形になっている。
まぁ『入学おめでとう!』そんな祭りだと思ってくれればいいだろう。
そんな中、生徒会から『委員会』『部活動』『クラス』をメインに何かしら催し物を出して欲しいと掲示板を通して伝達があった。
これもいつもの流れらしく、もちろん全員参加…兼任することも可能なこのお祭りだが、いろいろめんどくさくなるのも嫌だったため、柿島先輩に誘われた図書委員での催し物に参加することにした。柊も最初こそクラスの催し物に呼ばれていたが「図書委員が少ないんで…」と頑なにクラスの催しを断り、図書委員としての参加してくれることになった。
※ ※ ※
そして今、放課後の図書室には、催し物を決めるため、1度集まろうということで1年である花梨以外のメンバーがここに集結した。
「それじゃあ、これから今年みんなでやる図書委員での催し物を考えていこうか!?」
柿島先輩は図書室にあるホワイトボードの前に立つと、意気揚々にこの場を仕切り出した。
…気合い入ってんなぁ…
率直な感想だった。いつも優しく冷静そうな柿島先輩だがいつになく力が入っているのが明らかにわかる。
「柿島先輩…どうかしたんですか?」
対面に座る水原先輩に小声で聞いてみると。
「あぁ…気にしないで……去年…ろくに活動ができなかったから…気合い入ってるだけ…」
水原先輩は本を読みながらボソボソと教えてくれた。
…へぇ……楽なのがいいな…
そんな軽い気持ちで始まりを迎えた新緑祭準備…そんなお祭りで2人の女がプライドをかけて戦うなんてこと…今の俺には全く知る由もなかった。
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