第11話 三浦 蒼太の陰謀

昼下がりの陽光が降り注ぐ中、テクノメディカ本社のビルは一際輝きを放っていた。高層ビルのガラス窓は空を映し、まるで未来都市の一部のように見える。ビルのエントランスには警備員が立ち並び、厳重なセキュリティが施されていた。


藤田 凛は、そのエントランスを通り抜け、エレベーターに乗り込んだ。彼女の心には緊張と期待が入り混じっていた。エレベーターの中は静かで、上昇するにつれて彼女の決意も高まっていった。


「三浦 蒼太と会うのは初めてだけど、きっと何か手がかりを掴めるはず。」藤田は自分にそう言い聞かせ、エレベーターの扉が開くのを待った。


22階の扉が開くと、豪華なオフィスフロアが広がっていた。受付デスクには美しい秘書が座っており、藤田を見ると微笑みを浮かべた。


「藤田様ですね。三浦はお待ちしております。こちらへどうぞ。」秘書は丁寧に案内し、藤田を三浦のオフィスへと導いた。


オフィスのドアが開かれると、広々とした部屋には高級感漂うインテリアが配置されていた。大きなデスクの後ろには、テクノメディカのCEO、三浦 蒼太が座っていた。彼の鋭い眼差しが藤田を捉え、冷静な笑みが浮かんだ。


「藤田さん、お待ちしておりました。」三浦は立ち上がり、藤田に手を差し出した。


「お招きいただき、ありがとうございます。」藤田はその手を握り返し、落ち着いた声で応えた。


「どうぞ、お掛けください。」三浦は藤田に席を勧め、自分も再びデスクの後ろに座った。「今日は何についてお話をお聞きしたいのでしょうか?」


藤田は鞄からノートを取り出し、真剣な表情で口を開いた。「メディカスのシステムに関する誤診事件について伺いたいのです。特に、システムのアルゴリズムに問題があると指摘されていますが、その点について詳しくお聞かせいただけますか?」


三浦は一瞬眉をひそめたが、すぐに冷静さを取り戻した。「確かに、一部でそのような指摘がされています。しかし、メディカスは厳格なテストを経て導入されたシステムです。アルゴリズムに関する問題は、データの偏りや操作ミスが原因であり、システム自体に欠陥はありません。」


藤田はその言葉を聞きながら、手元のノートにメモを取った。「ですが、具体的な証拠が揃っています。特定の時間に誰かがシステムを改ざんした可能性があると。」


三浦の顔に一瞬緊張が走ったが、すぐに冷たい微笑みに変わった。「藤田さん、私たちは常に最高の技術を提供するために努力しています。もし改ざんがあったとすれば、それは外部からの攻撃であり、私たちの責任ではありません。」


藤田はその言葉に疑念を抱きながらも、さらに質問を続けた。「外部からの攻撃というのは具体的にどういうことでしょうか?」


「例えば、ハッカーがシステムに不正アクセスを試みた可能性です。」三浦は慎重に言葉を選びながら答えた。「そのため、私たちは常にセキュリティを強化し、システムの安全性を確保する努力を続けています。」


藤田はその答えに満足せず、話題を変えることにした。「それでは、メディカスの今後の展望についてお聞かせいただけますか?特に、改良点や新しい機能について。」


三浦はその質問に少しほっとしたように見えた。「もちろんです。メディカスは常に進化しています。新しいデータセットを導入し、さらに高精度な診断を実現するために、最新の技術を取り入れています。」


藤田は微笑みながらメモを取り続けたが、心の中では疑念が渦巻いていた。「ありがとうございます、三浦さん。非常に興味深いお話でした。」


インタビューが終わり、藤田はオフィスを後にした。エレベーターに乗り込み、下の階に降りる途中、彼女はオフィスで見つけた謎のメモを思い出した。それはデスクの端に無造作に置かれていたもので、彼女はすばやくメモを撮影していた。


エレベーターを降りた後、藤田はカフェに向かい、そのメモを確認した。メモには「次のフェーズについて会議を行う。参加者:三浦、山本、謎のイニシャル。」と書かれていた。


「これは…何か大きな陰謀の一部かもしれない。」藤田は小声で呟き、メモを慎重にしまった。「これを基に、さらに調査を進めなければ。」


カフェの窓からは、都会の喧騒が見える。藤田は再び立ち上がり、次なる一歩を踏み出す決意を固めた。彼女の前には、新たな真実を追求するための道が広がっていた。

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