第5話 友人キャラ、ロリっ娘に壁ドンされる
結論から言おう。
たった一晩でマリエッタを無事に堕とすことができた。
俺はエッチの才能があるのかもしれない。
まあ、分身したクロエやクローディアたちと濃密な時間を過ごしたから、経験値は高いのだろうと思うことにする。
あと問題が一つ生じた。
「ルカンきゅん、お姉ちゃんのおっぱい柔らかいでちゅか?」
「……あ、ああ、うん……」
堕ちたマリエッタが俺をきゅん呼びしてくる。
ブラコンのマリエッタにアレンと同等の扱いをしてくるレベルには堕ちたのだろうが、優越感と同時に恥ずかしさがある。
普段からきゅん呼びされているアレンはどういうメンタルをしているのだろうか。
「はあはあ、マリエッタ姉さん!!」
俺とマリエッタが行為を済ませたタイミングを見計らって部屋に入ってきたアレン。
アレンはベッドの上でイチャイチャしている俺とマリエッタに血涙を流しながら、床で蹲ってナニしていた。
「な、なんだ、この感覚は!! あんなに僕にベタベタだったマリエッタ姉さんが、ルカンのことを甘やかして僕を無視している!! はあはあ!!」
「……あら、アレン君。いたのね、ルカンきゅんに夢中で気付かなかったわ」
「うああああ!! 姉さん、姉さんを取られて悔しいのに!! 手が止まらない!! でもいつまで経っても至れない!!」
クローディアの祝福効果で、アレンが頂きに至るためには俺かクローディアの許可が必要だ。
だから必死にナニしても出ないものは出ない。
一応、俺の裁量でマリエッタのような第三者にも許可を与える権利を与えることはできる。
というか俺はその許可を与える権利をマリエッタに与えた。
でも……。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
「ふふ、アレン君ったら必死ね」
こ、怖い!!
マリエッタを寝取られて雄叫びを上げるアレンも、堕ちる前と後でアレンに対する態度が違いすぎるマリエッタも怖い!!
必死にナニするアレンと全く許可を出そうとしないマリエッタが怖い!!
いや、マリエッタを堕としたのは俺だが!!
何よりも一番怖いのは、この状況に興奮している俺自身である。
マリエッタが俺に夢中になり、そのマリエッタが蹲ってナニしているアレンに毛ほどの興味も無い視線を向けている。
その光景に優越感と興奮を覚える自分がめちゃくちゃ怖い。
「マ、マリエッタ、約束通りアレンに報告してやったらどうだ?」
「……ルカンきゅんがそう言うなら、そうしようかしら。ほら、アレン君。早くこっちに来なさい。私がどうやってルカンきゅんにメロメロにされたか教えて、あ・げ・る♪」
俺は二人を部屋に残し、ポーション屋さんを後にするのであった。
めちゃくちゃ疲れた気がする。
こうなったらしばらくはクロエやクローディアに甘やかしてもらおうそうしよう。
そして、更なるトラブルがその一週間後にやってきた。
俺はロリっ娘に壁ドンされていた。
「お前、兄さんに何をしたです?」
「い、一旦落ち着こう、ティファナちゃん」
「あ゛あ゛?」
「ひえっ、す、すみません!?」
ギロリと人を殺しそうな目で俺を睨みつけてくる九歳児。
アレンやマリエッタと同じ銀髪のショートカットだが、顔立ちが非常に整っており、クールな印象を受ける少女だった。
さすがに身体の凹凸はないが、数年後には程よい成長を遂げることを俺は知っている。
彼女の名前はティファナ。
アレンの義理の妹で、今は読書が好きな普通の女の子だが、数年後には魔法使いとしての才能を遺憾なく発揮する。
序盤で攻略できるヒロインの中では終盤まで活躍するキャラクターだ。
アレンのことが大好きで、アレンを傷付ける輩は絶対に許さない『お兄ちゃん至上主義』を掲げてもいる。
俺は今、そのティファナに絡まれていた。
「もう一度訊くです。お前はアレン兄さんに何をしたです?」
「な、何をと言われても……」
心当たりが多すぎる!!
「……聞き方を変えるです。お前はアレン兄さんに何か酷いことをしたです?」
「い、いや、アレンに直接何かしたわけじゃないんだ!! あいつが、その、勝手に目覚めたというか」
「詳しく話せ、です」
俺は今日に至るまでの出来事を話した。
「……なるほどです。つまり、お前は何もしていない。アレン兄さんがお前とデカ乳シスターと乳繰り合ってる様を見られてしまっただけ、です?」
「う、うん」
デカ乳シスターってクロエのことか?
流石に彼女の正体を広めるのは良くないし、クロエが女神クローディアってことは敢えて言わなかったけど、不敬だなあ。
俺の言い分に対し、ティファナは納得したのかコクコクと頷いた。
「お前がデカ乳シスターと乳繰り合っていたことが原因……つまり、お前がアレン兄さんを変態にした元凶、です!!」
「ええ!? ちょ、ま、待って!!」
「待たぬです!! お前はここで死ぬです!! そもそも純潔であらねばなないシスターと乳繰り合うとは何事です!!」
「それはごもっとも!!」
あろうことかティファナは拳を握り、勢いよく振りかぶってきた。
どうにかして躱すことはできたが、壁にティファナの拳がめり込んでいる。
ちょ、ティファナは魔法使いじゃん!!
物理攻撃もできるのか!? いや、ギャグ描写としてゲーム内でも同じような場面あったけどさ!!
それにしてもアレンの奴、ティファナに何をしたら変態扱いされるんだ?
と思って首を傾げていると、ティファナの方から教えてくれた。
「あのアレン兄さんが、優しくてカッコ良かったアレン兄さんが真夜中に『寝取られ◯ナニー最高おおおおおっ!!!! でもイケないいいいいいいいいっ!!!!』なんて気持ち悪い声で自慰してるクソマゾになった原因は、お前です!!」
「あいつまじでただの変態じゃねぇか!!」
本気で俺をグーパンしようとしてくるティファナ。
たしかにアレンがああなってしまったのは俺が原因かもしれない。
いや、実際にそうなのだろう。
俺はただ推しのヒロインと付き合いたいだけだったのに!!
「覚悟するです!!」
「ひぃ!!」
鬼気迫る表情のティファナに気圧され、俺が情けない声を上げた瞬間。
村の広場の方に大人たちが集まり、何やら騒いでいるようだった。
「な、何事です?」
「わ、分からないけど、行ってみよう」
「あっ、待つのです!! まだ話は終わってないです!!」
よく分からないが、助かった。
俺はティファナから逃げるように村の広場に駆け足で向かった。
ティファナも追いかけてくるが、大人たちがいる前で堂々と暴力を振るってくるような真似はしないだろう。
一安心だ。
なんて考えながら広場の中央に目をやると、そこには一台の馬車が停まっていた。
そして、その馬車に刻まれた家紋に俺は見覚えがある。
「ま、まじですかい……。いや、もうそろそろかなとは思ってたけど」
「おい、何を見てやがるです?」
ティファナが俺に追いついてきて、俺と同じように馬車を見つめる。
すると、馬車の扉が開いて中から壮年の男性が出てきた。
その男性は村人を一瞥し、一言。
「儂はレイモンド・フォン・エーデル。エーデル伯爵家の当主であり、エーデル領の領主である。この度は国王陛下より命により、女神クローディア様の予言にある勇者を迎えに参った」
そう、彼は王都からのお迎え。
やった!! 彼が来たなら、アレンは一人で王都まで行き、そこで三年間みっちり訓練を受ける。
その後は魔王を倒すための旅に出るため、村には帰ってこない。
俺はクロエとイチャラブエッチするだけの日々を過ごすことができる!!
……マリエッタには手を出してしまったし、そこについても責任は取らないとな。
とか考えてたら。
「見て見て、ルカン!! 王都が見えてきたよ!!」
「どうして、どうしてこうなった!?」
俺は何故かアレンと共に王都へ向かっている真っ最中だった。
―――――――――――――――――――――
あとがき
ちょっとした小話
作者「寝取らせで本当に寝取られる即堕ち展開もいいけど、自分の全く知らないところでじっくり堕とされて寝取られる展開もいいよね」
ル「う、うん」
「ティファナちゃん正論で草」「アレンはもう駄目だ」「作者ももう駄目だ」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。
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