6話 和解
ただいまpm6時。冬なので外は結構暗い。
だが僕の家の中は明るいように見える。気のせいだろうか。気のせいであってくれ。
「なぁ、あれ...」
紫陽花に聞こうとした。
「...逃げて。お義兄ちゃんっ」
判断が早い。
いや...
「一回行ってみて殺されそうだったら逃げるね」
「ダメ!殺されちゃう!」
「大丈夫だって」
「お父さん達この世界でも相当強い方だよ!」
「どのぐらい?」
「偏差値75くらい」
「なんでそんな分かりにくい表現するの?」
「この世界の上位0.62%!」
「この世界に人が20億いるとしよう。そしたら1240万人もいることになる。大丈夫。
というか紫陽花ちゃんはその相当強い両親たち二人気絶させてるんだよ」
「私は能力が暗殺向きだから」
「こわ...」
「とにかく逃げた方が...あっ」
僕は颯爽と家の中に入った。
これは親とちゃんと話し合うチャンスだ。逃すわけにはいかない。
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家に入ると親が待ち構えていた。
「ただいま」
「なんであなたが外に出てるの?」
母親が聞いてきた。
「いや~何故か鍵が開いてまして...」
適当にごまかしてみる。
「嘘をつかないで。私が鍵を閉め忘れるわけがないでしょう?」
「...じゃあどうやって僕は外に出たんですか」
僕が自分で鍵穴すらないドアを開けれるとでもおもってるのだろうか。
「それはあなたが天使だから不思議な力を使ってあけたんでしょう?」
「...は?」
頭大丈夫だろうか。
「僕天使じゃないけど...」
「嘘...知らないの?この国には言い伝えがあるの。『羽が生えた子供が生まれたならばそれは天使、神からの贈り物。不思議な力がある。それは世の穢れを知らぬ純粋な者。無知なまま殺すこともなく生かすこともなく』と。だから何か特別な力を使ってあけたんでしょう?」
監禁されてる理由、喋ったとかじゃなくて羽が生えてるからだったんだ。
あと頭おかしいのは国だった。
なんなら転生の事話した方が早い気がする。面倒だし話しておこう。
「信じてもらえるか分からないけど僕は生まれる前の記憶がある」
「まあ天使だしね」
違うって。
「それで前世で死んでこの世界に生まれ変わる時に特別な力と羽がもらえたの」
「誰に?」
「女神様」
「天使じゃない」
違うって。厳しいって。
「...だから別に女神様は贈り物ともなんとも思ってないの。ただおまけとしてあげてるだけ。というか僕前世の記憶あるから無知じゃないし」
「あー、そうなの?うーんでももう5年も監禁しちゃってるし...」
惰性で監禁しようとすな。
「もうグランフォート家にも挨拶に行って...監禁の事は適当に誤魔化したよ?そしてパール様に支えることになった。なのでこれから僕を監禁する事は実質できないはず。諦めて普通に育てて...」
「そこまでするのね...まあ分かったわ。ごめんなさいね5年も監禁して。...天使なんてただの人だったのね」
「分かってくれたなら良いんです分かってくれたなら...」
想像の何倍も簡単に終わった。なんかありそうで怖い
「ちなみに前世は何歳だったの?」
「15」
「実質20歳...まあ良いでしょう。改めてディストラ家へようこそ、オト」
「はーい」
こうして僕は母と和解した。
「あれ?そういえばグラちゃんは?」
紫陽花のことだろう。
「さっき外にいたけど」
どうしたのだろうか。まさか誘拐...
「いるよー!」
出てきたわキッショ。
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部屋の中にいた父親も「母さんが言うなら」とすぐ説得できた。2人とも監禁してるのに罪悪感があったのかもしれない。
とにかくこれで僕は図書室暮らしから卒業。
晴れて自由の身だ。
そして図書室から出たことにより自分の部屋ができ、ベッドで寝れるようになった。
図書室には小さな布団しかなかったので、ふっかふかのベッドを使えて僕は幸せである。
もう夜だし早めにこのふかふかベッドで寝よう。
ん〜ふっかふか〜
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