4話 元幼馴染との再会

くらりに会いに行くために僕らは早速家を出た。


僕が家から出るのは初めてだが、外の世界はというとなんか西洋っぽくてかっこいい。


文明は結構発達してるようだった。

僕は異世界に対して超田舎という偏見を持っていたが案外そんなことはないらしい。

道に電灯っぽい物もあるし結構僕がいた現代に近しい時代なのではないだろうか。


適当言ってるだけだからあまり信じないでね。


言い訳をすると僕の学力は死んだピカピカの高校一年生で止まったままなのだ。


お前スマホ持ってるんだから(1話参照)そんぐらい調べろよ、と思われるかもしれないが調べない。

僕がスマホを使うのは◯(旧◯witter)をする時だけと決めているのだ。

...本当のことを言うと意気揚々と語った事が間違っていたら普通に恥ずかしいからってだけ。




「ほら、あれだよ!」


「おぉっ、家でっか」

目線の先にはとてつもなくでかい豪邸があった。しかも土地がでかいから門から家が遠い。こんな家初めて見た。


そういえばうちが仕えている家って多分ここだろう。紫陽花もかなり馴染んでいるしおそらく間違いない。

くらりに仕える仕事とか最高だろ。




警備もしっかりしているらしく門番もいるようだ。


「こんにちは!」


「あら〜こんにちは。今日も遊びに来てくれたの〜?あれっ、お友達も一緒なのかな?」


僕を見て門番のお姉さんが言った。茶髪でロング、齢はまあ20歳くらいだろう。典型的なお姉さんだ。


「うんっ、今日はお義兄ちゃんもいるよっ」

「え?」

「初めましてオトと申します。いつも義妹がお世話になられているようで...。」

僕がそう言うと門番のお姉さんの顔が凍りついた。

あれ、僕また何かやっちゃいました?


「...息子さんは5年ほど前にバカンス先で行方不明になられたと聞いていたのですが」

...


まずい、何も考えてなかった。

そうだ。僕は監禁されていたのだから適当な理由をつけて存在が消されているのは当たり前のことなのだ。くらりの事に夢中で全然気付かなかった..。


「ま...まさかっ」

ハッとした顔でお姉さんが言う。


非常にまずい。

僕が監禁されていたのがバレたら、親が色々問い詰められて面倒な事になるだろう。監禁されていたのは僕にも悪いところがあるのでそれは避けたい...。


何でも良いから釈明しなければ...


「僕は...」

「あなたはお化けなのですか...!?」

...

えぇ...?





___________________________



「ほぅ。なるほど、あなたは行方不明になりはしたが気合いで生き延びて最近家に戻ってきたばかり、と」

「「はい。そうです!」」

義妹との全力のごまかし(ガバガバ)をしたがまあこの人なら大丈夫だろう。


「良かったです、あの人達相当ショックを受けていたもので」

それは自分の赤ちゃんがいきなり喋り出した事へのショックではなかろうか。


「しかし、そんな重大なことなんで私に言ってくださらなかったのでしょう...。私もグランフォート家に使える仲間であるというのに...。」

「あ、あはは...」

苦笑いをするしかなかった。


___________________________


なんだかんだ簡単に入れて貰えた。


紫陽花がいるとはいえ、僕みたいなよく分からんやつを疑いもせずに入れるとかこの家不安である。


だが問題はここからだ。グランフォート家の人間にどう説得しようか。


流石にさっきのお姉さんみたいな人はいないだろう。いてくれたら楽なんだけど...。


「ねえ」

「なに、お義兄ちゃん」

「グランフォート家の人達ってどんな人たちなの?」

「うーん」

頰に人差し指をあてて考えている。ぶりっ子かな?


「簡潔に言うなら全員あのお姉さんみたいな感じじゃないかな〜」

「まじ?」

「まじだよ、というか私が今までに会ったこの世界の人、大体あんな感じだよ」


言い訳の心配は消えたが、

この世界の住人の事が心配になってきた。


いつか地球とかからやってきた悪い人に騙されたりしないだろうか...。

まあ悪人は地獄に落とされるから一応は大丈夫だろうけど。


「よし。じゃあグランフォート家に突入だ!」

「おー...」




___________________________



「「すみませーん!」」

「はーい、ちょっと待ってねぇ」

すぐに扉が開いた。出てきたのは煌びやかなドレスを纏った人銀髪ロングの30歳くらいの人だ。おそらくこの家の奥様であり今世のくらりの母様でもあるのだろう。敬いmaxだ。


「あら、グラファニーちゃんいらっしゃ〜い。

あれ、そちらの方は?」

「初めまして、兄のオトです。かくかくしかじかいろいろありまして〜」

「えっ本当!?良かったわね〜。帰って来れて。

さあ座って座って。記念に美味しいお菓子でも食べましょう!」

「わぁ、ありがとうございます〜」

話が早い。


「でもその前に一つよろしいですか?」

「なぁに?オトちゃん」

オトちゃん?


「...奥様の娘に僕と同い年の子がおられると思うのですが一緒に食べては駄目でしょうか」

「あ〜...。パールのことね。私としては寧ろ嬉しいのだけど、あの子引きこもりの面倒くさがり屋でね〜。全然起きてこないの」

「大丈夫です。奥様。僕が起こしに行ってきます。必ず無理のないようにしますので、僕に任せてください。なんなら、これから彼女のお世話も僕がしたいです」

「そう?じゃあ折角だし、あの子のこと全部任せちゃいましょうかね!」

ノリが軽い。


まあ親もこの家に仕えているし信頼があるのだろう。僕の家の名を汚さぬよう頑張らねば。


「部屋は2階の右手の1番奥ね。よろしく頼んだわよ」

「はい!勿論!」


僕は目がヤバいことになっている義妹を前に颯爽と部屋へと向かった。





______________________


部屋の前に着いた。なんだか緊張する。

「失礼します」

ドアノックし部屋へ入った。


「う〜ん」

部屋の中にはベッドから落ちたのか床で寝ている銀髪ロングの少女がいた。


「パール様、起きてください」

「あとごふんねる〜」

絶対にくらりだ。くらりは起こそうとすると毎回こう言う癖があるのだ。


「はいはい。起きてね」


僕は彼女を持ち上げてベッドの上に座らせた。

ここでようやく彼女の目がすこし開いた。


「せっかく気持ちよく寝てたのに」

不貞腐れている。可愛い。

「そうだね、でも起きる時間だ。くらり」

「う〜ん、わかっ...」


「いま...なんて...?」


彼女の綺麗な目がパッと開いた。


「起きる時間だよ。くらり」


「っ!...もしかして...オト...なの?」


「うん、久しぶり。くらり」


「オトっ...!」


彼女が勢いよく抱きついてきた。


僕は、優しく彼女を抱きしめ返した。

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