3話 名妹との再会

僕には、義妹がいた。


出会いは突然だった。


家の前に拾ってくださいと書かれたダンボールがあってその中に女の子が入っていたのだ。


意味がわからないと思うが実際僕も混乱した。


そしてなんやかんやあって僕は彼女と一緒に暮らすことになったのだ。







...これも今にして思えば、

間違いなく僕は馬鹿だった。

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「ひさしぶり!おにいちゃん!」


僕が書斎で本を読んでいる時、そいつは現れた。

僕の今世の妹グラファニーだ(多分)。見た目は金髪で顔はかなり整っている。


ちなみに顔を合わせたのは今が初めてだ。

なので久しぶりではない。頭大丈夫だろうか。兄として心配だ。


「違うよお義兄ちゃん。今「初めて会ったのになんでこいつひさしぶりとか言ってんの?頭おかしいんじゃないの?」って思ったよね?まず初めましてじゃないしなんで可愛い可愛い義妹にそんなこと思うの?ねえ」


どうやらこいつは頭がおかしい事に自覚があるらしい。


「思ってないよ。被害妄想やめてね」

「それなら良いんだよ?それなら、ね?」


いちいちウザいところに何か見覚えを感じる。が、そんな訳がないだろう。


「で、何か要件があるんじゃないの?早くしてよ」


僕は嫌な予感を全力で押し殺して聞いた


「もぉ〜。お義兄ちゃんは素直じゃないんだから〜前世と何も変わってないね!」


最悪だ、嫌な予感が当たってしまったかもしれない


「...もしかして紫陽花あじさい?」

「はい!名妹にして、お義兄ちゃんの将来のお嫁さん!紫陽花ちゃんですよ〜!」


うっわ。当たってしまった。もうこの家出て行こうかな。胃が痛い。


あと俺の将来の嫁は綾鳥くるりただ1人だ殺すぞ。


...。

紫陽花は僕の前世の妹だ。今世も妹だが。

こいつ、前世も捨てられていて当時まだ中学生だった僕はこれを拾ってきてしまった。

今でも後悔している。


別に警察に預けたままでもよかったのだ。

だが両親がいなくなったばかりで寂しかった僕は祖母に頼んで紫陽花をうちに迎え入れた。愚行である。


最初は多少独占欲があっただけで優しい普通の少女だったのだ。


だがいつのまにか女性と話すだけでヤンヤンしだすヤンデレモンスターになってしまった。


一体どこで育て方を間違えてしまったのだろう。


「な〜に考えてるの!久しぶりに会えたんだからハグでもしようよ!」

「嫌だね。俺がそういうことするのはくるりだけって決めてるの。分かったら諦めて母のお胸で寝てろ」

くるりはもういないんだけどね。


「むぅ...」

紫陽花が黙った。


「...じゃあさ」

紫陽花が喋りだした。


「くるりちゃんがいなくなったら、私を愛してくれる?」

紫陽花が変こと言い出した。怖いよ。


「何言ってんだお前。そんな訳ないしくるりはもういないんだぞ...」


「いや、向かいの家に住んでるけど...」


「え?」

「え?」


え?


「...おにいちゃんもしかして知らなかったの?」

「まじかよ知ってるわけないだろ生まれてこの方監禁されて外にすら出たことないんだぞ」

「あーどうりで...こんなことなら始末しておけばよかった」


そうと決まれば早速会いに行こう。何か怖いこと言ってる奴もいるが、夢にも見たくるりとの再会だ!


ん?


ここで違和感が生じた。いつもならいるあいつらがいない。


「そういえば親ってどこにいるの?」

そう。僕に冷たい両親がいないのだ。


僕を嫌ってる両親のことだ。(両親からして)可愛い妹と僕を絶対に接触しないように監視していたはずだ。


あまりにも自然に入ってきたせいで気づかなかったが妹と僕が会うことを両親が許す訳がないだろう。


これが意味することはつまり...


...殺ったのか。流石の紫陽花でも人は殺さないと思っていたが僕の間違いだったらしい。 こいつは最早人ではなかったのだ。


「そんなに心配しなくても大丈夫!クビをトンっで気絶させただけだから!」

「本当に?首をトンで首飛んでるとか無いよね」

「お義兄ちゃん私のことなんだと思ってるの?」

「ヤンデレモンスター略してヤンモン」

「ポ◯モンみたいな略し方しないでよ」

「まあ気絶してるだけだしいっか」

全然人だったわ。


気を取り直して行こう、元幼馴染、くらりの家へ!

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