配信#21-2 はつきおねぇたまとコラボ配信だよっ!:下

 それからも、何度も何度も目の前の男の子と戦い続けました。

 だけど、相変わらずボールはランダムだし、打ててもヒットだし、ファールだし……本当に、こちらをバカにしているのでは? と、そう思えてしまうほどに、僕のストレス値はマックスでした。


 というか、殺意しか湧きません。

 なんですかこれ。

 人をバカにしているのでしょうか?

 製作者さんは一体何を考えてこんな難易度にしたんでしょうか?


 ただ、なんだろうね。

 こう言ってはなんだけど、今の僕が言いたいことはただ一つ。


「殺します☆」


 これだけです。


「みたまちゃんが壊れた!?」


【ド直球!?】

【すっごいにっこにこな感じで言ってそうなのに、絶対に目が笑ってねぇ奴だこれ!?】

【あ、トレンド入りしてるw】

【どれどれ……『ダークみたまちゃん』、『ロビカス』、『クソ猫』、『戦犯猫』、『みたまちゃん』、『みたまちゃんオルタ』……えぇ(困惑)】

【ダークみたまちゃんは草】

【みたまちゃんオルタも十分ひでぇ……w】


「僕、今まで生きて来て、人を嫌ったことはありませんし、殺意なんて一度も沸いたことがありませんけど……違いましたね。僕の心は弱かったようです。これしきのことで殺意が沸いたみたいで殺します☆」

「みたまちゃん!? 本当に大丈夫!? なんかこう、怖いよ!? あと、謎のオーラが出てるぞ!?」


【オーラ!?】

【どういう状況なのか気になり過ぎるww】

【深海いるか:ん、これは酷い……あのみたまがこうなるとは、絶対にプレイしたくない】


「ふ、ふふ、ふふふふふふふ……!」


 自然と笑いが零れました。

 あぁ、僕の心はまだまだだったんですね……これを乗り越えて初めて、慈愛の心を持てるのではないでしょうか。


【こわっ!?】

【みたまちゃんが怖いんだけど!? 絶対闇落ちしてるってこれ!?】

【天空ひかり:……く、黒いみたまちゃんっ……ありです! 正直ちょっと見たくなってきた!】

【雪ふゆり:わかりますぅ~! 絶対に可愛いですよねぇ~!?】

【変態共ww】

【わたもち:トレンドから見に来たけど、みたまちゃんオルタとか最高じゃねぇですか。うち、ちょっとみたまちゃんオルタのデザインしてくるぅ!】

【ちょっと待てや!?】

【何してんのあんたありがとうございます!】

【超見てぇ! 黒いみたまちゃんだろ!? めっさみたいんだけど!】

【さすがわたもちママ! 俺たちが望むことを平然とやってのける!】

【そこに痺れる憧れるゥゥゥ!】


「……このボールに、風を付与して超高速で打ち返せば、男の子の頭が道路に落ちたザクロみたいになるのでは……?」


 霊術でこう、ボールを風ですっごく加速させてそれを当てれば……。


【発想怖!?】

【それ大丈夫なの!? アウトじゃね?!】

【直接的な表現じゃない分、変な怖さが出てるんですが!】


「みたまちゃん!? なんか怖いこと言ってるぞ!? それ大丈夫なの!?」

「えぇぇ~? 大丈夫ですよぉ~……相手はゲームの中の人ですからねぇ~……ちょ~っと、頭がぱぁんってするだけですからぁ」


 現実じゃないから、セーフです……。

 ふふふ……。


「絶対大丈夫じゃないぞ!? え、みたまちゃん!? 本当にみたまちゃんなの!?」

「何を言ってるんですかぁ。僕ですよぉ~?」

「あっっ! これ完全に闇落ち! 闇落ちしちゃってる!?」


【マジもんの闇落ちじゃん】

【すげぇ、あのみたまちゃんがこんなにブラックになるなんて……!】

【マジで、みたまちゃんオルタじゃん】

【そうか、闇落ちすると、一人称が『僕』になるのか……え、最高じゃね?】

【最近は、僕ってポロって言うことも減ったし、いっそのことみたまちゃんオルタは僕っ娘でいいのでは?】

【草】

【なんかもう、色々酷いし面白いw】


「むぅあぁぁぁぁぁぁぁっっ! またっ、またですよ!? また、ジグザグボールっ! 僕のストレスがマッハ! マッハになっちゃってますよぉっ! んんんあぁぁぁぁぁっ!」


【草】

【草】

【草】

【これは酷いw】

【春風たつな:あ、あのみたまちゃんが、絶叫を!?】

【やべぇよ、ロ○カスやべぇよ……絶対にキレなさそうとか思われてたみたまちゃんをここまでキレさせるとかやべぇよ……】


「はぁっ、ふぅっ……こ、殺したくなりますぅ~……! 今この時ほど、僕はゲームの世界に入って、自分の持つ全ての力を使って殺したなったことはありませんよっ……!」


 殺意! そう、これは純粋な殺意なんですっ!

 よく、難しいゲームをやってる実況者さんが、『あぁぁぁっ! 死ねぇッ!』みたいなことを言う光景を何度か見てたけど、ゲームでそうなるのかなぁ、なんて思ってたけど、僕の考えが浅はかでした。

 ゲームは人に殺意を抱かせるのです……。


【www】

【天空ひかり:イヤァァァ! みたまちゃんが! みたまちゃんが不良にィィィィィ!】

【雪ふゆり:闇落ちしたみたまちゃんも最高ですねぇ~!】

【変態が二分化されたww】

【まあ、シスコンは身内だし……妹だし……そりゃこんな姿見たくないだろw】


「お、おおぅ、正直、このゲームをプレイしたみたまちゃんがどんな反応を見せるのか、それが気になってやろうと思った企画だったけど……う、うぅん。これは酷い。これ、はつきはどうすればいいと思う? というかこれ、コラボになると思う?」


【おい元凶w】

【さすがクソ猫だぁ……】

【コラボって言うか、まあ……みたまちゃんオルタを見る場所、的な?】

【ある意味、クソ猫の功績はでかいと思う】

【まさか、俺たちの知らないみたまちゃんの姿を引き出してくれるとは……さすが、同期だ】

【そういや、ロリコンはロリコンで、みたまちゃんがASMR適正があることを発見してたし、はつきっちはみたまちゃんオルタを発見したのか……となると】

【深海いるか:ん、今度は私がみたまの新たな姿を発見してみせるっ……!】


「なんか、すごい方向になったけど……まあ、面白いからいっか! あ、みたまちゃん、どう? クリアできそう?」

「クリア……クリア…………このゲームのクリア条件って、あのロ○カスさんの頭を吹き飛ばすこと、ですよね?」

「そうだぞ! あ、じゃなかった。違うぞ!? 気持ちは100%わかるけど! それじゃあクリアはできないぞ! というか、精神統一! それが大事!」

「精神統一……つまり、いかに効率よく、そして苦しまずに葬れるか、ということですね……!」

「違うぞ!? あれ!? みたまちゃんってそんなことを言うキャラだったっけ!? それはどちらかと言えば、リリス先輩だと思うぞ!?」


【草】

【草】

【草】

【魔乃闇リリス:いや我もそこまでではないが!? それはロールプレイじゃが!?】

【あ、陛下】

【陛下も高頻度でみたまちゃんの配信にいるよね。まあ、ロリ組の相方だし、お互いかなり気が合うっぽいし?】

【しかし、マジもんの闇落ちで草なんですがw】

【天空ひかり:みたまちゃんが……みたまちゃんが変わってしまわれたっ……そ、そうだ……これは夢……夢だよね……ハハッ! ちょっと寝てくる】

【↑ガチでダメージ行ってる奴だこれ】

【うわぁ……】

【まあ、最愛の純粋な妹がこれはまぁ……うん……】

【というか、みたまちゃんはダークサイドに堕ちると敬語になるのか……】

【もう十分キャラが立ってるんだよなぁ……もうこれ、わたもちママが作った新作のガワ次第では神薙みたまオルタとかいう、とんでもキャラが生み出されそうw】

【見てぇw】

【雪ふゆり:むしろ見たいですねぇ~!】

【春風たつな:……頼むっ、みたまちゃんまでそっちに行かないでくれっ……! まあ、あと少しの辛抱ではあるがっ……!】

【あと少しって何?w】


「ふふ、ふふふ……このボール……とげとげボールにならないでしょうか……そうすれば、私の霊術で、頭にちくちくできるんですけどね……」

「みたまちゃん!?」


【みたまちゃん、それちくちく違う。ぐさぐさの間違いや】

【草】

【草】

【これは酷いw】


 それから、何度も何度もチャレンジして……。


「あは、あははは、アハハハハハハ!」


【壊れた!? 遂にみたまちゃんが壊れた!?】

【だ、だが落ち着け! 画面を見ろ! あと一球でクリアだ!】

【それ以前に、残り投球もこれ最後なんだが?】

【宮剣刀:みたまちゃん! 頑張るんだ! そこさへ乗り越えれば、クリアというゴールだぜ!】


 そう、遂に残り一球でクリアというところまで来ました。

 遂に、遂にクリアが目前に……!


「みたまちゃん! しっかり狙うんだぞ! 大丈夫! なんとかなる!」

「ふ、ふふ……あと一球……あと一球で土に還すことが出来る……」

「怖いぞみたまちゃん!? 目が据わってるぞ!?」


 そして、最後のボールが投げられ……それは、ジグザグボールでした。


「あぁっ! オ○ルボールぅぅぅぅ!? みたまちゃん! 勝つんだ! ここで!」

「……やぁっ!」


 集中して、僕は目の前からやって来る球に集中して、ジグザグと動くボールに緑色の部分を捉えて……左クリックを押した。

 その結果は……。


「……や…………やったっ……やったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「よく頑張ったぞ! みたまちゃんっ! これでクリアだぞーーーーーーーーーー!」


 あのボールを見事打ち返して、ホームラン!

 遂に、最後のステージをクリアすることに成功しました!


【うおぉぉぉぉぉ!】

【倒した! あのロ○カスを倒したァァァァ!】

【すげぇ! クソ猫も数日跨いで勝ったというのに、一度の勝負で勝ったっ! さすが、みたまちゃんだーーー!】

【春風たつな:おめでとう! みたまちゃん! だから元の姿に戻ってくださいお願いしますっ!】

【宮剣刀:やったな! みたまちゃん!】

【雪ふゆり:すごいですよぉ~~~! 私、ちょっと涙が出ましたぁ~! この後、お酒で乾杯しますねぇ~!】

【深海いるか:ん、すごかった。私もロ○カスで惨敗してるから、尊敬する】

【魔乃闇リリス:おぉ、我は途中からじゃったが、あの最凶最悪のロ○カスを倒したとは……! すごいぞ! みたまよっ!】

【いやぁ、マジで感動したなぁ……】

【マジですげぇや……ってか、一日かからずにクリアしたのか……】

【まあ、かれこれ六時間くらいはやってましたが】

【もう20時なんだよなぁw】

【草】


 あぁっ! すごい解放感と達成感っ!

 これはもう、勉強を頑張ったとか、努力した結果が実ったとか、そういうもので得られる感覚じゃないですね……!

 あぁっ! 生きてるって素晴らしいっ!


【ってか……あれ? なぁ、そう言えばずっとみたまちゃんオルタで気付かなかったけどさ……みたまちゃん、プニキの強化、してなくね……?】

【……あ】

【あ、あー……】

【宮剣刀:なんっ、だとっ……?】

【え、え? どゆこと?】


「……そう言えば確かに……ねぇ、みたまちゃん」

「あ、うん、何?」


 僕が達成感に浸っていると、はつきおねぇたまがなぜか恐る恐る話しかけてきました。


「元に戻ってる……! って、そんなことはどうでもよくて。実はこのゲーム、操作キャラクターのプニキを強化できてね?」

「……きょう、か?」

「うん。強化。ステージ選択画面の右下にステータスってあると思うんだけど……あれ、もしかして気付かなかった……?」


 はつきおねぇたまに言われて、ちらりとそちらへ視線を向けると……あ、ほんとだ……。


「ち、ちなみに、何が強化できた……の?」

「えーっと、パワーとか、当たり判定の強化とか、移動速度とか……って、え、強化なしでクリアを……!?」


【草ァ!】

【バケモン過ぎるww】

【みたまちゃんの動体視力どうなってんのそれぇ!?】

【雪ふゆり:さ、さすがですぅ~! やはり、みたまちゃんは最強、ということですねぇ~!】

【宮剣刀:あのクソゲーを、強化なしで、だとっ……!? みたまちゃんは化物か!? あのロ○カス相手に、舐めプをして勝つとか……! す、すごすぎるぜ!!】

【ここにきて、みたまちゃんのバケモンスペックが露わに!?】


「…………んんあぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~っっっ!」


 強化をすればもっと簡単にクリアできた、という事実に、僕は心の底から叫び声を上げました。

 近所迷惑になっているかもしれないけど……許して! これくらいは許してぇぇぇぇぇぇ!


「み、みたまちゃーーーーーん!?」

「ふ、ふふ……全部、ロ○カスさんが悪いんですっ……このゲームがっ……このゲームがぁっ……! うにゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「猫!? みたまちゃんは狐だよね!?」


【そこじゃねぇww】

【やべぇ、このみたまちゃんクッソ可愛いww】

【なんと言うかこう、ドンマイ過ぎるww】


「え、えーっと! みたまちゃんがなんかこう、ぶっ壊れちゃったので! 今日の配信はここまでにするぞ! また見に来てくれると嬉しいぞ! じゃあ、おつつきぃ!」


【おつつきww】

【みたまちゃんが壊れる側なのは初めてすぎるww】

【これは酷い】

【おつつき!】

【春風たつな:おつつき。みたまちゃんはお大事に!】

【宮剣刀:とりあえず、ストレス発散だぜ!】

【深海いるか:ん、お疲れ】

【雪ふゆり:お疲れ様ですぅ~~~!】

【魔乃闇リリス:面白かったが、同情するぞ……】

【面白かった!】

【いやぁ、みたまちゃんオルタはよかったなぁ……w】

【みたまちゃんには申し訳ないけど、新たなみたまちゃんの可愛い一面が見れて幸せでした】

【これは酷いww】

【あ、メッチャトレンド入りしてる】

【草】

【まあ、しゃーないww】


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 わたもちママ「みたまちゃんオルタの絵を描くぞォォォォォォ!」

 尚、一日で書き上げた模様。

 みたまちゃんオルタって何……?

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