配信#19-3 出張みたま家事サービスだよっ!《御月美うさぎ編》:3

「よいしょっ、よいしょっ……!」


 お掃除を始めた僕が最初にしたこと。

 とりあえず、目に見える衣類を全部引っ張り出して、一度廊下に出すことです。

 こういうのは頭の中で優先順位を先に決めてからじゃないと上手くできないからね。

 何事も、順序良く、です!


【ぽんぽんと衣類が廊下に出て来るww】

【つーかどんだけ服があるんだよ!】

【狼神いくま:そう言えば、うさぎっちってやたら着替えが多かった気がするよーな?】

【春風たつな:うさぎ君、ちょっと白状】

【白状は草】


「……せ、洗濯が、その、め、面倒だなぁ~、って思っちゃって……それで、あ、新しい服を……」

「……うさぎおねぇたま、出来ればお洗濯もしてね?」

「はいぃっ……!」


【草】

【メッチャビビってて草】

【16歳にビビる24歳の図】

【↑そう聞くと、すっげえ情けねぇ……】

【猫夜はつき:こんな社会人にはなりたくないぞ……】

【魔乃闇リリス:じゃ、じゃなぁ……】

【デレーナ・ツァンストラ:うさぎ、あなた悪い大人の見本みたいになってるわよ?】


「……む、むしろ、わ、わたしはお手本、に、な、ならない、ですよっ……? し、仕事は一度もし、したことがない、ですし……」


【そう言えば、働くのが嫌でトレーダーになったんだっけ?w】

【マジかよww】


「お、大勢、の、人と、か、関わるのがい、嫌だった、のでっ……!」


【なのにらいばーほーむにいる、と】

【おかしいなぁ……】

【天空ひかり:まーほら、うさぎちゃんってコミュ障がすごいからね。仕方ない仕方ない】

【コミュ障に社会は辛いよな……わかる……】

【ってか、らいばーほーむに入った理由って確か、株以外にも収入源が欲しかったから、じゃなかったっけ?】


「そ、そう、ですねっ……も、もしも、の時のために……」


【もしもで入るのがVTuber界ってやばくない? むしろ、逆じゃね?】

【そこはほら、うさぎちゃんだし】

【常識がずれまくってるしなぁ……】

【大勢の人と関わりたくないっ! じゃあ株だ! 株以外の収入が欲しい! じゃあVTuberだ! とはならんやろ、普通】


 後ろで雑談をするうさぎおねぇたまの声をBGM代わりに、僕はせっせと衣類の回収をして行きます。


「えーっとこれとこれも衣類…………あの、うさぎおねぇたま?」

「は、はいぃっ?」

「その、こういうところで言うのはちょっと憚られる、んだけど……せ、せめて、その、下着だけは洗面所とかに置いてほしかったかなぁっ……!」


 色々と衣類を探していると、うさぎおねぇたまの下着が出て来て、僕はなるべく見ないようにしつつ、うさぎおねぇたまにそう言っていました。


【www】

【おいwww】

【年下になんてもん見せてんだ!】

【ってか、チラッと映ってるけど、うさぎちゃんのブラでかっ!?】

【え、待って、あんなサイズを使ってる人がリアルにいたと言うの!? な、なんて羨ましいっ……!】

【ぐぬぬっ、うさぎちゃんというコミュ障は、なぜこうも立派な物をお持ちなのかッ……! 一割でもいいからわけてほしいっ……!】

【有識者! あれサイズ的にはどれくらいなん!?】

【狼神いくま:んー、大体Jくらいっしょ】

【バカでけぇ!?】

【なんじゃそりゃぁ!?】


「い、いいいっ、い、いくまさんっ!? な、ななっ、なんでい、言っちゃうん、ですかぁっ!?」

「J……? って、なぁに?」


 ちらっと見えたコメント欄で、いくまおねぇたまが『J』と言っていたので、それが気になって質問してみることに。


【し、しまったっ! これは罠だッ!】

【ってか、みたまちゃん知らなかったの!?】

【天空ひかり:そう言えば、みたまちゃんって初めて買った下着は店員さんに選んでもらったものだから知らないよねぇ。まあ、これを機に覚えておこうね! いい? みたまちゃん。Jっていうのは、胸の大きさのことだよ!】


「ふぇ!? そ、そうなのっ!?」

「し、知らなかった、ん、ですね……」

「し、知りませんでした……」


【二ヶ月以上もその姿でいるのに知らなかったって……みたまちゃん、どんだけ無縁な生活してるのww】

【まあ、純粋すぎてみんな気が引けたんやろうなって】

【それはそう】

【ってか、まさかシスコンからその辺のことを言うとは思わなかったわー】

【春風たつな:たしかにね。むしろ、止めに行きそうなものだが】

【天空ひかり:いやほら、この辺はどうあがいても関わって来るし……というか、自分の胸のサイズをちゃんと把握しておかないと、それに合った下着、買えないじゃん? そういうことおだあああああああああああああ】

【またァ!?】

【おいどうした!? しっかりしろ!?】

【デレーナ・ツァンストラ:本当に今日はどうしたんですか!? 突然壊れるとか!?】

【雪ふゆり:トワッターの方も何もないようですしぃ~……一体何がぁ~……?】


 お姉ちゃん、またおかしなことに……本当に向こうで何が起こってるの?


【天空ひかり:11123199711115181519891491192051821。2011921205115】

【????】

【突然暗号を出すのやめてくんね!?】

【ってか、マジでシスコンの身に何が起こってんだよ!?】


「な、なにが、あった、んですかっ……!?」

「お姉ちゃん、本当に大丈夫……?」


【天空ひかり:……――☆】

【とうとう文字すら打たなくなったww】

【つまりこれは、流れ星になった……死んだ、というシスコンからの遺言か……】

【遺言は草】

【死因はなんだよww】

【春風たつな:あ、LINNが来た。……あー、どうやら本気でヤバくなったらしいので、ドロンする、とのことらしい】

【wwww】

【あのシスコンがみたまちゃん以外でそうなるとか、よっぽどなんやろなぁ……】

【まあ、案外大丈夫そうだし、ええやろ!】

【暗号が流せるくらいだもんな! 仕方ない仕方ない!】


「あ、あははは……」


 本当にお姉ちゃんに慣れてるんだね、みなさん……。

 けど、本当に何があったのかなぁ。


「っと、お掃除の途中でした。えーっと、うさぎおねぇたま、衣類はちゃんとお洗濯すること! いい?」

「は、ひゃいっ!」

「じゃあ、僕は続きに戻るね!」


 うさぎおねぇたまにそう言ってから、僕は衣類の回収に戻りました。



 それから三十分ほどで、汚部屋の中にあった衣類の回収が終わりました。

 少なくとも、見える範囲、もしくは手に取れる範囲の物は回収したはずです。

 というわけで、ここからは本格的なお掃除のターンです!

 まずすること!


「まずは燃えるごみと燃えないゴミにわけないとっ……!」


 ゴミの分別です!

 最後にやってもいいけど、慣れていればやりながらでもできるので、僕はそうしています。

 というか、ゴミが多すぎですっ!


【お~、すごい速さでゴミが分別されつつ、捨てられていくっ!】

【すげぇ! プロみたいじゃん!】

【春風たつな:あの時は本気じゃなかったと言う事か……】

【猫夜はつき:みたまちゃんすごいぞ!】

【掃除ができる女の子ってよくない?】

【わかる】


「これとこれは……捨てちゃって、これは……うさぎおねぇたま、これは捨てていいの?」

「は、はいぃっ! と、とりあえず、ゲームに関係ありそう、な、物以外はす、捨てちゃっていい、ですぅっ!」

「はーい! じゃあ、遠慮なく捨てちゃうね! あとで、捨ててほしくなかった! って言われてもわたし、困っちゃうからね?」

「だ、大丈夫っ、ですっ! そ、そこはっ!」


【みたまちゃん前半の言うことが、子供の部屋を勝手に掃除したお母さんみたいな言い分で草】

【お母さん属性とかみたまちゃんありそうだよね】

【いや、人の家に来て家事してる時点でゴリゴリにあるやろw】

【母性が強くて、お母さん属性持ち……いやそれ、ただのいいお嫁さんでは?】

【たしかにwww】

【そうか、みたまちゃんはやはり最高のお嫁さん属性を持っているのか……】


 うさぎおねぇたまから許可を貰えたので、ゲーム関係じゃなさそうな物とちょっと怪しい物以外はバンバン捨てていきます。

 というより、そうしないと終わらない気がするので……。


 まあでも、見た感じ汚部屋の内の二割は衣類で、四割くらいはゴミです。

 割合にしちゃうと、そんなに多くないように見えるけど、うさぎおねぇたまの寝室はかなり広いです。

 具体的には、大きなベッドが中央にあって、枕元の辺りに大きなモニターが。

 他にもクローゼットとか、ゲームを入れる棚があるのに、人が一人か二人は立っても余裕があるくらい。

 正直、大きさとか僕はよくわからないからあれだけど……うーん、普通のリビングよりちょっとだけ狭い程度かもしれません。

 だからこそ、すごいことになっちゃってるわけで……。

 実際、ベッドが孤島みたいだもん。


 まずは、ベッドまでの道を作らなきゃ……!

 というわけで、せっせせっせと道を作っていきます。

 いらない物は捨てて行って、必要そうなものは別の袋に。もちろん、壊れたりしないように、丁寧に入れていきます。


【うわー、みるみるうちに道が出来てくww】

【まって? みたまちゃんの掃除スキル高くない? だって、ほら、必要そうな物を別の袋に丁寧に入れてるのに、すっごい速いよ?】

【ってか、床が見えてるんですがww】

【すげぇ】


「ひ、久しぶり、に、ゆ、床をみ、見ましたぁっ……! こ、こんな感じ、だった、んですねっ!」


【いやそこあんたが覚えてなきゃダメだろwww】

【マジでちゃんと掃除しとき!】

【……さっきのみたまちゃんの説教、正直自分に刺さりました】

【私も】

【俺も】

【一人暮らしだとどうしても、ね……】

【実家暮らしワイ、自分の部屋が汚部屋ですが】

【それは掃除しろ】


「んっしょ、んっしょ……とりあえず、お昼ご飯までに、三割は終わらせないとっ……!」

「さ、三割っ!?」


【あ、あの惨状の部屋を、たったの二時間程度で三割、だとっ……!?】

【バケモン過ぎん?】

【どう見てももっと時間がかかりそうなんですがそれは】

【魔乃闇リリス:さ、さすがみたまじゃっ……!】

【深海いるか:ん、すごい……到底真似できない】


「ふぇ? もっとやった方がいいかな?」

「い、いいぇっ! む、むしろっ、そ、そんなに早く……?」

「うん。よく見ると、燃えるゴミに分類できる物が多いからね。それに、よくよく見ると食べ物系のゴミがほとんどだし、そうでもないよ? ゴミを集めてゴミ袋に入れて行って……それを繰り返すだけだから!」


【だけてww】

【どう考えても、それが重労働だと思うんだよなァッww】

【さすがみたまちゃんだ】

【まあでも、掃除が上手い人って、マジで終わらせるのが早いからな】


「あ、そうだ。うさぎおねぇたま、こう、細い棒数本と、布は無いかな?」

「はぇ? ど、どうして、ですかっ……?」

「んっと、簡単な収納箱でも作ろうかなって。ゲームソフトを入れる箱があったら便利そうだし、その方がまとめられるからね!」

「はぇぇ!? つ、つつ、作ってくれる、んですかぁ!?」

「うん!」


【まさかのDIYww】

【DIYもするのかよ、みたまちゃんww】

【デレーナ・ツァンストラ:さすがね、みたまママッ……! 最早何でもありね】

【春風たつな:手作り箱を作りに行くが辺りがすごいと言うかなんというか……】


「あ、あの、ど、どうやって……?」

「お裁縫道具は持ってるので、簡単に作っちゃおっかなって。本当はミシンで作った方がいいのかもしれないけど、ないからね。手縫いでも上手くやればできるから!」


【えぇ……】

【ミシンでやるつもりだったのか……!】

【家事スキルが高すぎて、一周回って恐怖だわ】

【みたまちゃんのらいばーほーむ適正って、やっぱ家事方面じゃね……?】

【違いない】

【普通、人の家に家事をしに来るわけないよね。しかも、DIYもしだすとか……完璧すぎん?】


「も、持ち歩いてる、んです、かっ?」

「うん。というより、お裁縫道具と救急セットは持ち歩いてるよ! いつ怪我をしてもいいように備えてて、あとはお洋服の修繕とかもね!」


【待って? 普段から裁縫道具と救急セットを持ち歩いてるってヤバくね?】

【女子力の塊かよ】

【もともとみたまちゃんは女子力の塊やろwww】

【狼神いくま:わー、ウチ、ここまでの女子力の塊な女の子、二次元以外で見たことないんよ。というか、みたまっちレベルの女子力を持ったヒロインすら、なかなかいなくない?】

【それはそう】

【春風たつな:レア中のレアだね】


「というわけだから、布と数本の棒を持って来ていただければ! いいかな?」

「は、はひぃっ! す、すぐにぃっ!」


 お願いすると、うさぎおねぇたまは小走り頼んだものを取りに行きました。


「じゃあ、このままやっちゃおう!」


 改めて気合を入れつつ、僕は目の前の惨状を打ち倒すべく、ゴミ捨てを再開しました。


======================================

 女子力お化け、それがみたまです。

 いつもよりちょっと薄めですまん……。

 なんか、右目の瞼から頭にかけてがクッソ痛いんですよね……風邪って感じじゃないし、なんかこう、すんごい変な感じです。

 病院に行った方がいいのか? とも思ってますが、果たして眼科なのか、それとも脳外科になるのか、すっごい判断が難しい。というかカミングアウトとすると、私数年間隔で脳の検査してんですけどね! まあ、特に異常はないんですが、念のために来てね、ってお医者さんに言われてます。

 とはいえ、それとはまた別件な気もするし、そもそもそっちの方は別に頭が痛い、とかないんで、問題はないんですがねぇ!

 と、まあ、もしかすると明日は投稿できない可能性がありますが、まあ、許してね☆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る