配信#19-2 出張みたま家事サービスだよっ!《御月美うさぎ編》:2

 前半と後半の落差。

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 お姉ちゃんのことが気にはなりつつも、いつも通りかな? と思うことにして、調理再開……なんだけど、実はもう終わっちゃってます。

 なので……。


「それじゃあ、これからうさぎおねぇたまのお家のお掃除を始めていくねっ!」


 汚部屋疑惑があるうさぎおねぇたまのお家のお掃除に入ります!


【よし来た!】

【さぁ、どんな汚部屋が広がっているのか!】

【やー、楽しみだなー、うさぎちゃんの汚部屋】

【さぁ早く! 早く見せてくれ!】


「あ、あのっ、そ、そそっ、そこまで汚部屋じゃない、ですよぉっ!?」


【春風たつな:じゃあ、以前そちらへ行った時に他の部屋に入れてくれなかった理由を三十文字以内で言ってみてくれ】


「…………お、お金が飛ぶ可能性、とか、あ、あった、から、です……」


【二十二文字ww】

【まあ、三十文字以内ではあるが……】

【らいばーほーむの方々判決は】

【魔乃闇リリス:ギルティじゃ】

【天空ひかり:罪】

【猫夜はつき:有罪だぞ!】

【デレーナ・ツァンストラ:犯罪よね】

【狼神いくま:アウトっしょ】

【雪ふゆり:償った方がよろしいかとぉ~】

【全員言い方違くて草】

【というか、ツンデレちゃんとロリコンだけなんか違くね?w】


「ひぃぃ!? わ、わわっ、わたしはい、生きてるだけで、つ、罪、なんですかぁっ!? んぇぇ……や、やっぱり、し、死んだ方が……」

「そ、そこまでじゃないと思うよ!? うさぎおねぇたま!?」

「で、でもぉ……」

「あ、え、えとっ! ほ、ほらっ! うさぎおねぇたまは面白いからっ! そ、それに、ゲーム配信も僕好きだよっ!」

「……ほ、ほんと、ですかぁ……?」

「うん! 嘘は言わないよ!」

「み、みたまさんっ……!」

「わぷっ!?」


 うさぎおねぇたまの瞳が潤んだかと思うと、いきなりぎゅぅっ! と抱きしめられました。

 は、はわわっ!?

 う、うさぎおねぇたまのお、おっきな胸が!?


 あっ、すごくいい匂いで温かい……。

 すごく、包容力があるっていう、のかなぁ……なんだろう、すごく安らぐと言いますか……うん、すごく気持ちいいです……。

 だからか、気が付くとぎゅっとうさぎおねぇたまを抱きしめ返していました。


【俺たちは一体何を見せられているんだ】

【何が起こってるのかはいまいちわかりにくいが……これ、うさぎちゃんが感極まってみたまちゃんを抱きしめた感じやな】

【狼神いくま:まー、うさぎっち、みたまっちのことちょー気に入ってたみたいだし? やっぱ面と面向かってああ言わたから、感極まったんだろーね。やー、尊いっしょ!】

【よく見ると、みたまちゃんも抱きしめ返してて鼻血出ますよ……】

【あ^~~~、ティッシュが足りんのじゃ^~~~~~】

【な、なぜだっ! なぜティッシュが弾切れになるんだッ……!】

【ってか、いつまで抱きしめ合ってんだろw】

【バカ野郎ッ! おねロリだぞ!? しかも! うさぎちゃんはらいばーほーむ一のボンキュッボンだぞ!? そんな人とロリの抱擁ぞ!? 邪魔するのは無粋だろッ!】

【あぁっ! 平日のこんな時間に、なんて素晴らしい光景をっ……!】

【月曜日にこれとか、今週一週間の活力にしかならんわ……最高過ぎぃ……】

【そういや今日月曜だったな】

【バリバリの平日やで】

【平日にアホみたいな人数が視聴してるんか……え、もしかしてニート……】

【に、にに、ニートちゃうわ!?】

【あ、あれだからっ! シフト制で休み名だけだから!】

【↑誤字ってるぞ】

【ってか、マジでどれくらい抱きしめ合ってるんだろww】


 んぅ……どうしよう、止め時が見つからない……。

 うさぎおねぇたまの包容力が高すぎて、離れがたいですっ……!

 で、でも、男としては、その、すごく恥ずかしいし、申し訳ない、んだけど……うぅっ、やっぱり離れがたいっ……!


「……ハッ!? さ、殺気っ!?」

「ふあぁ!?」


 突然うさぎおねぇたまがすごい速さで離れました。

 な、何事っ!?


【天空ひかり:殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺――(延々と殺の字が続いております)】

【こっわ! こっっっわ!?】

【今日のシスコンなんかヤバいぞ!? どうしたマジで!?】

【大丈夫かマジでぇ!?】

【春風たつな:ひかり、君、今日は本当にどうしたんだい? いつもより頭がおかしいが……】

【平時から頭おかしいって言ってるようなもんじゃね? それ】

【は? シスコンは常日頃から頭おかしいだろ? 何を今さら】

【草】


「ひぃっ!? こ、ここっ、ころしゃないでぇぇ~~~~!?」


【うーん、やっぱ命乞いするうさぎちゃんって可愛くない?】

【↑外道かな?】

【いや鬼畜だろ。わかるけど】

【というか、うさぎちゃんの表情差分って、やけに涙目な奴が多いけど、これってうさぎちゃんのママの趣味なんじゃ……】

【まあ、それは前から言われとる】


 うぅ……名残惜しいです……。


「み、みたま、さんっ、ど、どうしたん、ですか……?」

「あっ! え、えっと、ちょ、ちょっとだけ、その……名残惜しいなぁ……って、思っちゃいまして……はぅぅぅ~~~~!」


【可愛い】

【可愛い】

【やっぱ可愛い】

【名残惜しかったのかww】

【狼神いくま:あー、わかるぅ……うさぎっちってこう、包容力の塊みたいな存在だからねー】

【魔乃闇リリス:わかるぞ。我も抱擁を交わしたことがあるが、安心感が凄まじいのじゃ】

【マジかよww】

【そうか、うさぎちゃんは包容力お化けだったのか……】


「お、お化けっ!? わ、わわ、わたし、い、いつの間にし、死んじゃったんですかぁっ……!?」


【そう言う意味じゃねーよ!?】

【なんでそうなるww】

【やっぱおもしれーわ―】


「あ、あの、うさぎおねぇたま。その、と、とりあえず、このままだと進まないので、そろそろお掃除に行ってもいい、かな?」

「はぅぁ!? す、すすっ、す、すみませぇんっ! え、えーっとっ、と、とりあえず、も、物置は、だ、大丈夫なのでっ……え、えーっと、じゃ、じゃあ、し、寝室からお願いしても、い、いい、でしょうかぁっ……」

「はーい! じゃあ、寝室に行こっか!」

「は、はいぃ!」


 というわけで、早速最初のお掃除場所である寝室へ。


【寝室に行こっか、というワード、なぜかドキドキする】

【わかる。なんでだろうなー】

【ベッドに行こっか、の方がもっとドキドキしそう】

【天空ひかり:殺……?】

【雪ふゆり:殺しますよぉ~?】

【春風たつな:いや誰もそう言う意味では言ってないと思うんだが……】

【一番脳内がピンクだったのは規制する側だったか】

【まあほら、ポリなんとかとか、ツイなんとかさんとか、ああいうの規制する側の方が頭の中はドピンクだから】

【↑おいバカヤメロww】

【ってか、シスコンが『殺』の字でしか会話できなくなってるんですが】


「こ、ここがっ、し、寝室、ですぅっ……!」


 リビングを出て左へまっすぐ行ったところに一つの扉がありました。

 見た所、ごく普通の木製の扉だけど…………なんだろう、この、気を引き締めないといけない、そう思わせて来るような迫力ある扉は……!

 僕の家事の勘が告げています。

 本気を出さないとまずいと!


「すぅー……はぁー……よしっ!」


【みたまちゃんがメッチャ気合入れとるww】

【入る前から何かを察したと言うのか!】

【ってか、未だかつてないくらいにガチっぽい深呼吸だったんですが】

【深海いるか:気になる……うさぎの汚部屋……】

【汚部屋は確定なんか】


 僕は意を決して、ガチャッ! と扉を開けて…………。


「……(絶句)」


 その先に広がる惨状を凌ぐほどの惨状を見て、絶句していました。

 なんて言えばいいんでしょうか。


 目の前にあるハードルがそんなに低くなさそうだなぁって思っていたら、実はそのハードルのほとんどが地面に埋まっているだけでした、みたいな、そんな感じと言いますか……あ、あれです。これが本当の氷山の一角ってね☆ てへっ! ……って、僕は何を言っているんでしょうか。あ、いえ、それくらいの光景が目の前にあったと言いますか、あってしまったと言いますか……僕としても、未だかつてないほどの光景が目の前に広がっておりまして、家事が苦手なお姉ちゃんでもここまでは酷くなかったなぁなんて遠い目をしながら考えちゃうと言いますか、思わず『あ、夜ご飯を作る時にあれを足してみようかなぁ』とか現実逃避しちゃうといいますか、僕の頭が理解を拒んでると言いますか……その、えと……人って、自分の理解や想像を超えた物に遭遇すると、思考が止まるを通り越して、思考が速くなって、その間に現実逃避的思考をしてしまうんだなぁって……そう思いました。


【うわぁ……】

【うわぁぁ……】

【うわぁ……】

【天空ひかり:殺ぅぅ……】

【狼神いくま:うわぁ……】

【猫夜はつき:うわぁ……】

【デレーナ・ツァンストラ:うわぁぁぁぁ……】

【魔乃闇リリス:うわぁぁぁぁぁぁ……】

【雪ふゆり:うわぁ~……】

【深海いるか:……ん】

【うぼぁ……】

【うわぁ……】

【春風たつな:……なんと言うか……私はこれほどまでに『これは酷い』という言葉がぴったりな惨状を見たことがないよ……】


 ……はい、コメント欄を見ての通りと言いますか……その……えと……。


「……うさぎおねぇたま」


 僕は色々と叫びたくなったけど、それをぐっと堪えて、すぐ横にいたうさぎおねぇたまの方を向きました。


「はひっ!」

「ちょっと、正座してください」

「はぇ……?」

「正座です♪」

「あ、あのっ……?」

「正座、です♪」

「はひぃ!?」


 有無を言わさないまま、僕はにっこり笑顔で正座をするように言うと、うさぎおねぇたまはすぐにその場に正座しました。


「……うさぎおねぇたま? 僕がどうして、正座させたか、わかりますか?」

「あっ、え、えっと、き、汚い、からっ……?」

「はいそうです。そして僕が今から何を言おうとしているのか……おわかりですね?」

「……はぃぃ……」

「――なぁぁにをしているんですかぁぁぁぁっ!」

「す、すすっ、すみませぇぇぇん!?」


 僕が大きな声で言うと、うさぎおねぇたまは謝りながら深ぶかぁ~と頭を下げていました。


【み、みたまちゃんがキレたぁ!?】

【今までにないほどの声量がみたまちゃんの口から出とるぅ!?】

【ってか、さっきの正座しろ発言も結構迫力があったんだが!?】

【天空ひかり:あぁ、みたまちゃんの逆鱗に触れてしまわれたか……】

【シスコン! 生き返ったのか!?】

【どういうことだシスコン!】

【知ってるのか雷電シスコン!】

【天空ひかり:説明しよう! みたまちゃんは昔から家事をしていたためか、家事が好きな性格なのだ! それ故に、みたまちゃんは割と綺麗好きであるため、このような酷い光景を見ると、怒ってしまうのである! ちなみに、怒る理由はだらしないから! ではなく、それで体を壊してほしくないから、という、相手のことを想った怒りでございます】

【なるほどなぁ……】

【あれか、別にだらしなくてもいいけど、寝室とかそう言う場所はせめて綺麗に保とうよ、的な……?】

【天空ひかり:イグザクトリー】

【春風たつな:なるほど、うさぎ君は見事に地雷を踏み抜いた、というわけか……】

【天空ひかり:そだねー。これが知り合い程度の存在だったら、にっこり微笑みながら注意するだけで済んだんだけど、相手は知り合いどころか先輩後輩で、今後も大きくかかるであろううさぎちゃんだからねぇ……下手な友達より仲はいいよねってことで、ね……あと、みたまちゃん、らいばーほーむのみんなのこと好きだから余計に……】

【なるほどなぁ……】

【メッチャいい娘やん……】

【誰かのために怒るとか、いい娘すぎひん? 今時いないと思うよ? それくらいの高校生】

【天然記念物か……】


「いいですかっ! 寝室はすごく大事な場所なんですっ! 生活していく上で絶対に必要な場所なんですっ! 快適な睡眠は、その日の疲れを取り、病気を防ぐことが出来ますっ! 仮に病気になったとしても、清潔で快適な寝室であれば、治りも早くなるという物です。それなのにっ……これじゃあ体を壊しちゃいますっ!」


 びしぃっ! とお部屋の中を指さして、僕はそう言いました。


「はぃぃっ……!」


 どれくらい酷いかと言えば……その……まず、ゲームのパッケージが散乱しています。まあ、ここまではまだいいです。ゲーマーさんだから。

 だけど……だけどっ!


「衣類とかゴミはちゃんとしてくださいっ! 衣類はお洗濯っ! ゴミはちゃんとまとめて捨てて、ゴミ捨てっ! しかも、床が見えませんよ!? あとっ、あれってお菓子の食べかすですか!? ベッドの上でお菓子は食べちゃいけませんっ! いえ、そこはその人の自由なので100歩譲りますが……食べた場合は、ちゃんと捨てることっ! 汚いですっ! というより、どうやってベッドへ行ってるんですか!?」

「う、上を……」

「上ですか!? うさぎおねぇたま! それだと怪我しちゃいますっ! うさぎおねぇたまはすごく綺麗なんだよ!? 何か硬い物を踏んづけちゃったら怪我しちゃいます! 傷が残っちゃうかもしれないんですよっ! うさぎおねぇたまはすごく美人さんなんですっ! 傷が残っちゃったらもったいないよっ!」

「す、すみませぇん……」


【やべぇ、メッチャ正論過ぎる】

【というか、みたまちゃんってこんなに怒るんだなぁ……】

【しれっとうさぎちゃんのこと口説いてるように見えるんですがw】

【けどこれ、100%他意はないからなぁw】

【魔乃闇リリス:お、おおぅ、みたまはここまで怒れるのか……凄まじいのう……】


「まったくもぅっ! ……いい? うさぎおねぇたま」

「ひゃい……」

「うさぎおねぇたまは大事な先輩さんで、大事なお友達なの。僕、うさぎおねぇたまが体を壊しちゃったら、悲しんじゃうよ? もちろん、らいばーほーむのみんなに言えることだけど……でもね? 防げることで体を壊しちゃうのはすごくしょうもないことなの」

「……はいぃ」

「だから、ね? 今度からは毎日お掃除してとは言わないから、一ヶ月に一回でもいいから、お掃除はしよう? その、言ってくれればお手伝いするから」

「……い、いいんです、か……?」

「うん。さすがに、これを見ちゃうと、うさぎおねぇたま一人でお掃除できるとは思えないし……」

「うぐぅっ」


 少なくとも、こうしちゃうくらいだもんね……できたら苦労はしないと思います。


「だから、一ヶ月に一回はお掃除をすることっ! 僕も時間が合えばお手伝いするから!」


 にこっと笑ってそう言うと、うさぎおねぇたまは、


「……あ、ありがとう、ございますぅ……」


 なぜかちょっと泣いてました。


「あっ! ご、ごめんね!? その、つい強い口調で……あ、あの、怖かった……?」

「い、いえぇっ! む、むしろ、その、わ、わたしなんか、にここまで心配、してくれる、なんて思わなかった、ので……! う、嬉しい、くらいですぅっ……!」

「そ、そう……? それならよかったです……」


 よかったぁ……怖がらせちゃったかと思ったよぉ……。

 ともあれ……。


「これは強敵ですっ……!」


 僕は目の前の戦場を見て、そう呟きました。


【草】

【まあ、これは、なぁ……】

【これ一人で掃除はヤバくね……?】

【シスコン、みたまちゃんはこれ掃除できるの?】

【天空ひかり:できるよー。まあ、数時間はかかりそうだけど】

【できるのか……やっぱみたまちゃんの家事スキル高いんだなぁ……】

【猫夜はつき:す、すごいぞ……】


「さぁっ! お掃除を始めますっ!」


 僕はそう言ってから、お掃除道具を手に持ってお掃除を開始しました。


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 うさぎの部屋はヤバかった……以上。

 ちなみにですが、汚部屋に立ち向かおうとするみたまを見てる時のうさぎの表情は、かなり赤かったそうな……ガチ恋かなぁ?

 それから、前回のモールス信号なんですが、実は私の書き方が悪かったのか、微妙に間違った変換になっちゃったみたいんですよねー。なので、答えを記載しておきます。

「たすけて。可愛くて、可愛い存在が私を殺しに来てるんです。あ、でも、幸せだからいいかなぁ……へ、へへ……。」

 これが正解になります。

 酷いね!

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