#77 これからのこと、色々相談

 話がいつもより薄いけど許してね!

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 それから三十分ほどかけて三人を起こして事情説明。


「――というわけでして、その……えっと、信じられないかもしれないけど、神様、です」

「……かみ、です」

「「ま、マジかー……」」

「まあ、すぐには信じられないよね。っていうか、私もちょっとこれは予想外……まさか、神様な娘ちゃんを連れて来るとか……うん! 椎菜ちゃんグッジョブ!」

「あ、あははは……」


 案の定と言いますか、お姉ちゃんはみまちゃんを見て早速気に入ったようで、それはもういい笑顔でグッジョブと言って来ました。鼻血付きだけど。

 反対に、お父さんとお母さんの二人はすごく困惑していたけど……だ、だよね。


「俺としては、椎菜がまさか超絶可愛い姿に変身できるようになったいることが驚きだ。というか、本物、なんだよね? その耳と尻尾」

「う、うん。本物です。みまちゃんのも」


 お父さんとのやりとりからわかるように、今の僕は桜木椎菜じゃなくて、神薙みたまになっています。

 色々と信じてもらうにはこれが一番早いからね……。

 ちなみに、この姿を見せた時、お父さんとお母さんの二人は、またしても気絶してしまいました、その様子が……。


「え、えっと、こんな風になれまして……」

「ふあああああああああ!? し、椎菜がすごく可愛い狐耳尻尾のロリっ娘に~~~~!? か、可愛いわ! 可愛いわよ椎菜~~~~~! 娘ちゃんとセットでそれは反則級よ~~~~~~! んぶっふぅ!」

「あぁっ、お父さんっ、椎菜のお父さんになれてよかったッ……! というか、反則! 反則だ、椎菜! しかも、娘ちゃんまで同じとか! お父さんを殺す気かい!? ごぶはぁっ!」


 みたいな感じで……うん、はい。吐血して倒れてました。

 ちなみに、僕が変身できることを知っている上に、何度も見ているお姉ちゃんもすごくいい笑顔で吐血+鼻血を出しながら倒れました。


「それにしても、椎菜がVTuberだなんてねぇ~。お母さん、びっくりよ~」

「まあ、その、お姉ちゃんと色々あって……」


 みまちゃんのことをお話しする過程で、僕がVTuberをしていることはどうしても外せない話題なわけで、僕は恥ずかしいと思いつつも、VTuberをしていることをお話ししました。


「しかも、あの話題の神薙みたまちゃんだなんて。私もお父さんも驚いたわ~」

「でも、そんなに驚いた風じゃないよね……?」

「「久しぶりに会った子供が子供を連れ帰って来たらそれくらい薄くなる(わよ)」」

「あ、あはは、そうですよね……」


 逆の立場だったら僕もそう思うもん……。


「それで、みまちゃん、だったか。みまちゃんは、俺たちと一緒に暮らす、ということでいいのかい?」

「……うん、みま、おかーさんといっしょがいい、から。んと、だめ、かな、おじーちゃん、おばーちゃん」

「「ごふっ……!」」

「二人ともどうしたの!?」


 二人がみまちゃんにそれぞれ「おじーちゃん」「おばーちゃん」と呼ばれると、吐血しました。


「まさかっ、こんなに可愛い孫が出来るなんて思わず、感極まってっ……みまちゃん、可愛すぎぃ……」

「あぁっ、お父さん、孫は色々と諦めていたが、まさかこんなにも可愛い孫が出来るなんて思わなかったッ……」

「……みまはいていい、の?」

「「いつまでもいていいからね!」」

「わぁい! じゃあ、これからよろしく、おねがいします……おじーちゃん、おばーちゃん、おねーちゃん!」

「「「ごぶはぁっ……!」」」

「あぁっ! 今度はお姉ちゃんも!? さ、三人ともしっかりしてぇ!」


 また気絶しちゃったよぉ!



 今度は三分ほどで起きました。


「あー、ゴホンッ! というわけで、みまちゃんは我が家で暮らすことになるわけだが……椎菜、みまちゃんはいくつくらいなんだい?」


 お父さんが咳払いをしてからみまちゃんの年齢を尋ねてきました。

 お父さん、咳払いでちょっと血が出てたけど……大丈夫なの?


「んーと、神様曰く、七歳くらいだって」

「なるほど、つまり小学一年生相当か……となると、小学校に入れた方がいいか」

「そうね~。みまちゃんは学校については何か言ってた?」

「行きたいって」

「みま、がっこういきたい」

「こんな感じです」

「まあ、神様とはいえ、幼い子供のようだしね~。となると、必要になって来る物は衣類にランドセル、靴……ベッドは……」

「おかーさんといっしょ……」


 お母さんがベッドについて言おうとすると、みまちゃんは僕にぎゅぅっとくっついて僕と一緒がいいと言って来ました。


「うふふ、本当に椎菜が大好きなのね。そうなると、みまちゃんは椎菜の部屋でいいのかしら?」

「うん、そうだね」

「一応一部屋あるが、そこまで幼いとなると、母親と一緒の方がいいだろう。……うーむ、高校二年生の娘が既に子持ちとは……世の中わからないものだ」

「そうね~。まあ、男の子から女の子になる病気があるんだもの、こういうこともあるわよね」

「そうだな! とりあえず、椎菜とみまちゃんは可愛い! これがわかっていれば問題はないな!」

「その通りだよ、お父さん!」


 こういうノリを見ていると、お父さんとお姉ちゃんの血の繋がりを感じます。


「しかし、椎菜。戸籍はどうするんだい? さすがにみまちゃんの戸籍はないだろう?」

「あ、うん、それなんだけど……その、神様が戸籍は用意してくれてるとかで……みまちゃんの戸籍はあるみたいです」

「「「マジで!?」」」

「ま、マジです。なので、戸籍の心配はいらないみたい」

「な、なるほど……本当にファンタジーしているのか……まあ、そういうことならいいだろう。小学校の編入手続きも必要だな……よしわかった。お父さんたちしばらく休みだからな、椎菜が学園の間はやっておこう」

「いいの?」

「もちろんよ。それに、今日から家族なんだもの、それくらい当然ね」

「ありがとう! お父さん、お母さん!」


 二人に受け入れられてよかったぁ……。


「でも、こんなにあっさり受け入れちゃっていいの? その、お金だって……」


 とはいえ、すんなりと受け入れられたらられたで、色々と気になるわけで。

 だって、一人増えるとは言っても、色々と入用になっちゃうわけだし……。


「そこは大丈夫。私たちだけじゃなくて、愛菜も働いているしね。まあ、愛菜の収入が無くても、みまちゃんに必要なお金くらいは出せるわよ~」

「そうだぞ、椎菜。そもそも……こんっっっなに! 可愛い孫だぞ!? ここでお爺ちゃんたちが頑張らないでどうするって言うんだい!?」

「そうよ! みまちゃんはとっても可愛いもの! これでみまちゃんのためにお金を出せないとか、祖父母じゃないわ!」

「うわー、お父さんとお母さん、すでに孫バカになってるー」

「あ、あははは……」


 二人って、その、こんなに……孫大好きみたいな感じになるんだね……なんというか、意外……でもないか。

 僕のことも普通に溺愛してる方だと思うし……。


「ん、ふわぁ~~~……んゅぅ……おかーさん、ねむぃ……」


 お話をしている最中、みまちゃんが大きな、それでいて可愛らしい欠伸をすると、僕に眠いと訴えてきました。

 新幹線内でも寝てたとはいえ、起きてる間は結構はしゃいでいたし、疲れちゃったのかな。

 それに、お話自体もみまちゃんからすると難しいのかも。


「眠くなっちゃった? でもまだお話があるし……うん、みまちゃん、お膝で寝てる?」

「ん……ねる……」


 お膝で寝るかどうか尋ねると、みまちゃんはすぐに寝ると返してきて、そのままぽふっと頭を預けると、すやすやと寝息を立て始めました。

 ……本当によく寝るなぁ。


「「「……」」」

「あれ? どうしたの? 三人とも」

「あ、いや、なんというか、椎菜がやけに母親な感じがしてな……」

「昨日の今日なのに、随分とお母さんみたいなのね~。でも、いいことよ」

「ロリ母娘、最高です」

「お姉ちゃんは何を言ってるの……?」


 しかも、鼻血出てるよ?


「小学校は近くの学校でいいよな?」

「あ、うん。そうだね。あそこなら通学路の途中にあるし、最初の内は僕と一緒に登校した方がいいと思うし」


 近くの小学校とは、僕が小学生の頃に通っていた、美月小学校です。

 姫月学園への通学路の途中にある学校で、生徒総数も少子高齢化社会であるにもかかわらず、結構います。

 それに、今僕が言ったように、最初の内は僕と一緒に行くのがいいと思うしね。

 お友達が出来て来たら、お友達と登校させるつもりだけど、最初だけは。


「うーん……」

「お母さん、何か心配事?」


 ふと、お母さんが口元に手を当てて何かを考えこんでいて、それを見たお姉ちゃんがお母さんにそう尋ねていました。


「いえね? みまちゃんって可愛いじゃない?」

「うん、可愛いね」

「可愛いな」

「最高にキュート」

「そういう娘って、いじめの対象にならないかしら……? ほら、みまちゃん、髪も真っ白で綺麗だし……事実、愛菜がそうだったから……お母さんちょっと心配」

「あー、なるほどねぇ……その心配はわからないでもないかも」

「た、たしかに……」


 みまちゃんはすごく可愛いです。

 それはもう、すごく可愛いです。


 だけど、同じくらいの年頃の子と比べると、みまちゃんは特異だよね……髪も真っ白だし、目の色だって蒼だし……それに、子供はやっちゃいけないことのラインがわかってないことも多いし、ブレーキもかかっていないことが多いわけで……。


「心配かも……」

「そうだねぇ。私は高校時代が酷かった感じだから参考にならないけど、小学校でもある時はあるよね。どの年代でも女って言うのは、嫉妬が酷いしね」

「そうだな、愛菜もそれで苦労していたみたいだが……できれば、みまちゃんはそうあってほしくないな」

「そうね……」


 うーん、と頭を悩ませる僕たち。

 一番いいのはやっぱり、仲のいいお友達を作ることと、何かあったら僕たちに言う事。

 お友達の方はわからないけど、後者に関しては約束すれば守ってくれそうだし……。


「まだ入ってみないとわからないし、まずは様子を見よ?」


 と、僕はそう言いました。

 みまちゃんのことは大事にしたいけど、それでもやる前から心配になってばかりだと、色々と過保護になり過ぎちゃいそうなので……。


「椎菜ちゃんの言う通りだね。問題が起こったら速攻で潰しに行けばいいよね! 財力はあるから!」

「そう言う意味じゃないよ!?」

「そうね。私も知り合いにいい弁護士がいるし、何かあれば身ぐるみを剥ぐつもりで叩きに行くわ」

「お母さん!?」

「……みまちゃんに害をなそうとする人がいれば、俺の持てる全てを使って障害を排除しようか」

「お父さんまで!? もうっ! そういうことはやりすぎちゃだめなんだからね!?」


 なんか怖いよ!?

 三人とも、みまちゃんに全力すぎないかな!?


「じゃあ、椎菜ちゃんは仮にみまちゃんがいじめられたらどうするの?」

「ふぇ? うーん」


 お姉ちゃんに言われて、ちょっと想像…………。


「……………………………………ちょっと何をするかわからない、かな……ふふ」


(((椎菜(ちゃん)が一番怖いのでは……?)))


 まあでも、仮にそう言う子が現れたら……お説教、かな。

 ……数時間くらい。

 それで済むかは……わからないけど。


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 実は椎菜が一番過保護になりそうと言う……。

 余談ですが、実は椎菜の両親はらいばーほーむの配信を見ています。椎菜がみたまだとは知らないはずの頃からみたまのファンです。つまり、みたまの民。なんでも、

「なぜか目が離せない」

 とかなんとか。

 無意識的に最愛の息子(娘)だと察したんですかね。

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