番外編#1-1 来訪者二人、TSっ娘三人

 正直見なくてもいい回です! というか、半分自己満足!

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 ある日のこと。


「「「……えぇぇ?」」」


 そこに集まった、黒髪ロングの可愛い系幼女(巨乳)、桜髪のどこか眠たげな幼女(外見年齢よりはちょっと大きい胸)、銀髪の思わず振り向いてしまうほどに可愛いロリ(三人の中で一番背丈が高く、胸もでかい)の三名の少女は、お互いの顔を見合わせるなり、困惑した声を漏らしていた。


 場所は、美月市の例の神社だ。

 一体何が起こったのか、どうして二人の少女と会っただけで、この三人は困惑しているのか、それを語るために時間を少しだけ巻き戻す。



 その日の椎菜は、配信も学園もなく、ただの休日だった。


 時間があるし、何しようかなぁと思っていると、ふと、そう言えばあの神社に行ってない、ということを思い返し、早速とばかりに家を出た。


 ちなみに、怪異『シスコン帝王』は本日半日出勤である。

 その仕事が終わった後は、ゲームに関する打ち合わせなので、家に帰って来るのは夜遅くになる予定だ。


 一人で家にいるのも嫌いではないが、小さい頃のことを思い出してちょっとだけ寂しい気持ちになる椎菜は、一人になる休日は割と外を出歩く。

 散歩をすれば、見知らぬ人たちとは言え、誰かしらがいるからだ。


 だが、今日は掃除をしに行くと決めたので、椎菜は早速とばかりに掃除をしに行く。

 あらかじめ置いてある箒や塵取りを使って、境内にあるゴミなどをせっせせっせと集めては、持って来たゴミ袋に入れていく。


 少し掃除しないだけですぐに汚れてしまうために、それをしている人たちを思っては、心の中で憤りを見せる。

 自分の好きな場所が汚されているし、何よりその辺にゴミを捨てたり、ましてや神社に捨てるなんて……と。


「……うん! これで綺麗になったね! はふぅ、それじゃああとはお参りでもして行こっかな」


 持参してきたお財布から五円玉を取り出して、賽銭箱に投げ入れ、がらがら、と鈴緒を持って鈴を鳴らす。

 そして、パンパン、と手を打ち鳴らしてから手を合わせて頭を下げる。


 本来なら、お参りにもちゃんとした作法があるわけだが……そもそも、現代人のほとんどはそれをあまり気にしていないと思うし、何よりこの神社の神は椎菜のことが大好きなので関係ない。


 そんな風に、お参りをしている最中、ふと、椎菜は頭の中でこんなことを考えた。


(僕と同じような悩みの人とお話してみたいなぁ……と)


 TS病を発症させたのは身近には椎菜だけであり、さらに言えば数が圧倒的に少ない。

 当然、先達たちと話してみたいとは思ったし、TS病発症者特有の悩みだってあるので、相談したいと何度も思った。

 一応、愛菜という女性としての大先輩がいるにはいるが、それでも100%悩みを解決できる物でもない。


 だから、無理だとはわかってても、なんとなく、神頼みとして願った。願ってしまったのだ。

 礼をやめて、顔を上げる椎菜。


 買い物をしてから帰ろう、なんて思った直後のことだ。

 不思議な現象が、突如として椎菜を襲った。


 なんと、不意に目の前の空間が歪んだのである。


「ふぇ!? な、ななな、なになになに!? 何が起こってるの!?」


 突然空間が歪み、かと思えば大きな発光現象も発生。

 椎菜はあたふた!

 あまりにも超常的な現象に、椎菜はちょっと涙目だ!


 尚、本人も超常的なことが出来ることを忘れている辺り、よっぽど困惑しているらしい。

 そうして、謎の現象に動けないでいると、ふと二人の人影が現れて……。


「――きゃぁ!?」

「――ぬぉっ!?」


 ばたばたっ! と音を立てて二人の少女が現れるなり、悲鳴を上げて地面に落下してきた。


「いたた……あ、あれ? ここはどこ? ボク、さっきまでお買い物に行く途中だった気が……?」


 お尻をさすりながらそう呟くのは、銀髪碧眼のロリ巨乳美少女とも言うべきなんとも可愛らしい少女であった。

 尚、椎菜と割と同系統に見えるが、こちらは椎菜よりは背が高く、150センチほどはある。

 銀髪の少女はきょろきょろと周囲を見回して、こてんと首を傾げながらぽつりと呟く。


「む、むぅ? ここは神社……かのぅ? ほほぅ、なかなかに良い神社じゃな! うむ、気に入ったのじゃ!」


 もう一人は、桜色の髪をした、どこか眠たげな顔の小さな少女(幼女とも言う)だが、小学三年生ほどの背丈なのに、なぜか口調は年寄りくさい。

 そして、最初は困惑していた物の、自分のいる場所がなかなかに自分好みの神社であるわかると、途端に笑顔を浮かべて嬉しそうに言葉を零す。


「って……む?」

「あれ?」

「ふぇ?」

「「「…………えぇぇ?」」」


 初対面である三人は、突然現れた自分以外の二人の少女に、顔を見合わせて困惑した声を漏らすのであった。



 お互いに困惑した声を出した後、とりあえず落ち着いて話をしようとなった三人は、椎菜が持っていた小さめのレジャーシートを敷いて、そこになぜか三人揃って正座で座る。


「え、えーっと、あの……あ、あなたたちは一体……? あ、僕は桜木椎菜って言います」

「ボクは男女依桜です」

「桜花まひろじゃ」


 ・   ・   ・。


 自己紹介したが、会話がそこでストップ。


 とりあえずわかったことは、銀髪の少女が男女依桜おとこめいおと言う名前で、桜髪の少女が桜花まひろという名前であることくらいだ。


 気まずい……三人はどうすればいいのかわからず、困惑状態だ。

 さすがにこの状態はまずいと思ったのか、椎菜が口を開く。


「あ、あの、質問なんですけど……お二人はいきなり僕の目の前に現れまして……その、なんでそんなことになったのか、わかります、か?」


 現状確認をするための質問に、依桜とまひろの両名は揃って顔を見合わせて口を開いた。


「ボクは……えーっと……学校がお休みで、久しぶりに何もない日だったから、手の込んだものを作ろうかなぁって思って、商店街に行く途中だったんだけど……その途中で目の前が歪んで、気が付いたらここに」

「儂も似たような感じじゃのう。友人共と遊びに行くべく、駅前へ向かう途中にある商店街を通り抜けた直後に、視界が歪んで、気が付いたらここにおった。しかし、桜木殿は違うのかの?」

「ふぇ!? ど、殿? あ、あの、桜花さんってすっごくその、お爺さんみたいな喋り方、ですね?」

「はは、いやなに、儂は爺ちゃんが大好きだったからのう。口調がうつったのじゃ。……あと、儂のことはまひろで良いぞ。というか……おぬしらいくつなんじゃ?」


 現代じゃ滅多に訊かない敬称に、椎菜は驚いた後に口調のわけを尋ねると、まひろは笑いながらそう答え、最後に年齢を尋ねた。


「んっと、高校二年生の十六歳です」

「あ、ボクも二年生で十六歳だよ」

「ぬ、なんじゃ、おぬしら同い年か。儂も十六歳でな。うむうむ、ならば敬語も不要じゃろう。あと、敬称もいらぬな! まあ、儂は最初から敬語じゃないが」

「うん、そうだね。それじゃあ、ボクは普通に話させてもらうよ」

「あ、じゃあ、僕も……」


 お互いが同い年だとわかるなり、三人は緊張を解く。

 同い年とわかるだけで、気は楽になるのだ。


「あ、えと、とりあえず一度僕のお家に来ませんか? その、色々と事情を聞きたいので……」

「いいの? お父さんとかお母さんは……」

「うむ、さすがに家族がおるのであれば無理せんでも」

「ううん、大丈夫っ。お父さんとお母さんは海外に出張中で、お姉ちゃんはお仕事だから」

「そっか。それじゃあ、お言葉に甘えて」

「うむ! ならば問題はないのう! お邪魔させてもらうわい」


 外で長話もなんだということで、椎菜の提案で一度桜木家に行くことになった。



「「お邪魔します」」

「はい、どうぞ~」


 椎菜の家に二人を連れて帰宅。

 尚、その道中三人はものすごい見られた。

 何せ、椎菜が見たこともない可愛い少女二人を連れて歩いていたからだ。


 一応というか、軽い補足にはなるが、椎菜はこの辺りではかなり有名だ。いい意味で。

 元々男の娘で可愛らしく、商店街でも人気者だったのだが、今の姿に変わってからはそれはもう一気に有名人だ。


 何せ、とても可愛らしい少女が、にっこにこ顔で物を買いに来てくれるのだ。人気者にはなるし、もともと椎菜の天使のような性格は広く知られていた。

 街で人とすれ違うたびににっこり挨拶をするレベルだ。


 そんな椎菜が、桜髪の少女と銀髪の少女の二人を連れており、しかもどちらも可愛らしいとあって、それはもう見られた。


「んっと……麦茶でいいかな?」

「あ、大丈夫だよ」

「儂もじゃ」


 冷蔵庫の中から作り置きの麦茶を取り出して、コップに注ぐ。

 それをお盆に載せて二人が座っている前にコトリ、と置いて椎菜も座った。


「えーっとそれじゃあ改めましてお話を聞けたらなって思います。んーと、何かあるかな……?」

「そうだね……えと、椎菜ちゃんは元々さっきの神社にいたんだよね?」

「うん、お掃除をして、それを終えてお参りしてたよ」

「それで、まひろちゃんはお出かけの途中、だよね?」

「そうじゃな」

「となると……はぁ……また巻き込まれちゃったのかぁ……」

「ふぇ? 巻き込まれた……?」

「うむぅ……これはあれかのう」

「んと、まひろさんも何かわかるの?」

「うん……これ、多分異世界転移かなぁって」

「TSF症候群を発症させた誰かの仕業かもしれんのう」

「「……え?」」


 依桜とまひろの両名が、自分たちの頭の中に浮かんだ可能性を口にした直後、二人はお互いに顔を見合わせた。


「ふぇ……?」


 そして、椎菜は現実じゃ聞くことがないような単語と、聞いたことがない病気の名前を口にする二人に、呆けた声を零した。


「え、異世界転移、だよね?」

「いやいや、TSF症候群の発症者の能力で、どこかにテレポートされた感じじゃろ?」

「「??????」」


 お互いに考えを言い合うも、全然噛みあわずに、二人はこてんと首をかしげた。

 頭には疑問符が浮かびまくっていそうである。


「あ、あの~……」

「あ、そうじゃ。のう、椎菜よ。おぬしはTSF症候群を知っておるよな?」

「てぃ、TSF症候群……? え、えと、TS病じゃないの……?」

「なぬ? いや、この地域では略されてるのか……? いやしかし、あれはかなり有名じゃが……」

「あ、あの二人とも、TSF症候群とか、TS病って言ってるけど……それって何?」

「「え?」」

「「「…………え?」」」


 かなり話が噛みあっていない。

 というか、圧倒的なまでに何かがずれている気がする……そう思った三人は一度、自分たちの身の上話、というか、自分たちの知る限りの情報を話すべきではないかと思い、深く話すことを決めた。


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 はい、なんのこっちゃ! みたいな番外編です。

 えー、弁明をさせてください。まずこの番外編が書かれた理由なのですが……私の近況ノートを見た方はご存じかも知れないのですが、この作品を書く前に書いていたメイン二つ『異世界帰りの少年の大事件 ~TSした元男の娘の非日常』という作品と『爺口調な男子高校生が、のじゃろりになってTSライフを送るだけの日常』という作品の執筆を再開しようと思ったんですね。


 だが、だがしかし……正直ロリVにかかり切り&主人公たちのキャラ忘れた! という致命的な状況になっております。(尚、爺の方は一応一話昨日上げました)

 どうしたものかと考えていると、そういやコメントに『依桜をゲスト出演させたらいいんじゃないかなぁ』みたいなのがあったことを思い出し、『九十九に電流走るーー!』となりました。


 あと、私が単純に私のTSっ娘たちがどういう絡みを見せるのか見たかったっ……なのでこの番外編は、私のリハビリ兼自己満足です! 私はこれが原因で読者が減っても後悔しねぇ! だけど、本編を期待していた人たちは本当にすみませんっ! というか、なーんも思い浮かばなかったんですっ! なので、ちょっとの間だけ私の自己満足とリハビリにお付き合い頂ければ幸いです!

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