閑話#12 ある日のひかりの配信(シスコン呼びの原因)

 まだマシな姉の狂気です。

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 それは、界隈で伝説とまで呼ばれた神薙みたまと天空ひかりのコラボ配信から数日経過した日のこと。


【妹好き好き大好きコーナー。みたまちゃんは私のもんだ!】

 天空ひかり/Amasora Hikari

 チャンネル登録者82.9万人

 491,851人が視聴中

 #らいばーほーむ #ひかたみ


「はーい、スマホやPC、テレビで視聴中のみんな! こんひかーーー! みたまちゃんの永遠のお姉ちゃん、天空ひかりだぞ☆」


【草】

【草】

【草】

【こいつ姉妹バレしたのをいいことに、早速シスコンがフルスロットルになっとるやんけ!ww】

【今までの挨拶が微妙に変わってて草】

【変えるの早スギィ!】

【あと、配信のタイトルが頭悪くて草なんですが】


「は? 秀逸なタイトルに決まってるよね? 私の可愛い可愛いみたまちゃんのことを語るためのコーナーぞ? 頭悪いとか、貴様、アンチか?」


 視聴者たちのコメントを見て、ひかりは真顔で切れ気味に答える。

 さっきまでの天真爛漫な笑顔はいずこへ、とでも言わんばかりの表情である。


【www】

【おいやべぇぞこいつww】

【前々からやべぇ奴だなぁと思ったけど、とんでもねぇシスコン属性が眠っていた物だ……!】

【今の発言とかプチ炎上しそうなのに、炎上しないという確信があるのはなぜだろう】

【ひかりんだからだろ、どう考えても】


「はい! というわけで、早速今回のコーナーの説明をしよう!」


【情緒ォォ!】

【切り替えどうなってんだよww】


「えー、はい、今回はね、先日私とみたまちゃんがリアル姉妹であり、運命の相手であり、生涯を誓い合った仲だとわかったわけですが」


【盛るな盛るなwww】

【姉妹しか事実じゃねぇよww】

【春風たつな:はぁ、これだからバレない方がよかったと言うのに……】

【魔乃闇リリス:じゃなぁ……正直、ひかりがこうなることがわかっていて、バラさなかったのじゃがなぁ……】


 コメント欄に同期のたつなとリリスが現れ、


【同期が二人いる上に、暴露までしてきたんですがww】

【草】

【ってか、知ってたのか……】

【春風たつな:知ってたと言うか、ひかりの溺愛っぷりはらいばーほーむ内じゃ有名でね。実際、みたまちゃんを引き込んだのは彼女だし、そもそも……オーディション用の書類やら何やらを作ったのもひかりだ。元々、らいばーほーむに引き入れようと画策してたんだよ】

【草ァ!】

【ちょっと待てや!】

【何してんのアンタ!?】


「え? だってみたまちゃん可愛いし? 男の娘の時からそれはもう可愛くてねぇ……というか、三期生募集するから、みたまちゃんをオーディションに連れてこられない? とかマネージャーに言われたんだからね? 私。最初は断ったけど」


【は? 断ったの? なんで?】

【これまでの言動を見る限り、絶対に入れようとするはずじゃ……!】


「私を何だと思ってるのかなー? みたまちゃんのことだから『僕なんかじゃ無理だよぉ~~~っ!』って言って断るのが目に見えてたしね~。だから、最初は断ったのさ☆」


 と言ってはいるが、実際の所100%そういう反応をしただろうが、最終的にはどこかのタイミングで興味を持つ……というか、天空ひかりが自身の姉であることを知ることになるので、早いか遅いかの違いである。


【そこはちゃんと考えてるのか】

【その考えてる人は、前回のコラボ配信でかなりみたまちゃんの情報を出しまくってたけどな!】

【草】

【まあ、みたまちゃんも怒る素振りとかなかったしなぁ……というか、みたまちゃんって怒ったりするの? 少なくとも、配信を見る限り、全然怒るように見えないんだけど】

【わかる。ひかりん、その辺ってどうなん?】


 ふと、視聴者の誰かがみたまが怒る状況について尋ねる。


「あー、そうだねぇ……みたまちゃんって結構怒りの沸点は高いんだけど……んー、一部は低いかも?」


【ほほう、その一部とは?】

【気になる気になる!】

【おせーて!】


「そりゃもちろん! 今日はみたまちゃんについて語る配信だからね☆ いくらでも話しますとも! まあ、際どい話題はぶっ殺すけどね☆」


【こっわww】

【シスコン怖いわー】

【いやそれは当たり前では?】

【まあ、あんな可愛くて純粋な妹じゃなぁ……】


「んー、まあ、みたまちゃんの地雷は二つ。一つは食べ物を粗末にすること。もう一つは、親しい人……まあ、私や両親のような家族に、みたまちゃんお友達とか、そう言う人たちがバカにされるとそれはもう烈火のごとく怒るね」


【へぇ~~】

【なんつーか、らしいっちゃらしい】

【ちなみに、怖いの?】


「一度だけ見たことあるけど……いやぁ、あれは怖かったねぇ……怒られてるの私じゃないのに、思わず泣きそうになったしちょっと漏らしそうになったし」


【草】

【漏らしそうww】

【あんたそれ言っていいの? 仮にも女だよね?w】


「仮にもは余計じゃなーい? まあでも、ほんっとうに怖いんだよ……ただ、その分お友達関連は嬉しくなるかなー」


 そう語るひかりの声音には嬉しさが滲んでいた。

 というより、何かを想い馳せるような、そんな素振りを視聴者たちは感じ取っていた。


【昔何かあったん?】


「まあね。んー、ちょーっとアレな話題になるけど……なんて言えばいいのかなぁ。私って高校時代いじめられててさー」


【いきなり激重な話題をぶっこんでくるのはやめろや!】

【いじめがあってこのテンション出来るあんたはおかしくね……?】

【ま、まあ、お前ら、一旦は話を聞こうや】


「いやいや、いじめられてて―、的なことは前にも言ってたはずだけどー? まあそれはいいとして。高校三年生の時、精神面がねぇ……結構限界近かったのよ、私ってば。今でこそ頭のおかしいことばかりしてるけど」


【全然想像つかねぇww】

【だが、そう言うってことは相当ヤバかったんでしょ?】

【何があったらこうなるんだ……?】


「そりゃぁ、みたまちゃんという弟が出来たからだが?」


【あぁ、なるほど……】

【しかし、それがどう繋がるんで?】


「いやほら、限界すれすれで、自殺すら考えてた私の家は父子家庭でさ。前のお母さんは私がちっちゃい頃に亡くなってて、二人暮らしでねー。で、それをからかわれたりもしたよ。あいつ母親がいないんだってー、みたいな」


【うわ、マジのクソじゃんそれ】

【今時片親とかあまり珍しくないのにな……】

【わかる。結構いるんだよなぁ。それをバカにするとか、そいつ頭おかしいんじゃね?】

【私も片親だけど、学校でからかわれたことある。まあ、からかった奴は親に殴られてたし、学校でも叱られてたけど】

【うわー、今時珍しいくらいにまともな親と学校だぁ……】


「あー、そうだねぇ。それはまだいい方かな。私が通ってた小学校と中学校はまあ、可もなく不可もなくって感じでさ。まあそれはいいけど。問題なのは高校。いじめの主犯たち、ずるがしこくてねぇ。ぜーんぜんバレないの。だから収まる気配が無くて……」


【味方はおらんかったの……?】

【父親は?】


「私にも味方はいたよ。恩師でね。私をいつも気遣ってくれたいい先生でさー。ほんと尊敬してるよ、今でも。あ、お父さんもいい人だよ? 私がいじめられてることを隠してたけど、何かあることを察していつでも相談に乗るとか、何をするにもお父さんは味方だよ、とか、そんな感じ。まあ、だからこそ、心配をかけたくなくて言わなかったんだけど」


【あぁ、なんかあるある……】

【なんというか、いじめられる側って、周りに心配をかけたくないってなって、溜め込んじゃうんだよね……】

【だからこそ、周りが気付いて上げられればって思うんだけど、難しいんだよなぁ……】


「そうだねぇ。だって、人って辛い時ほど弱音を吐かないし、上手く隠しちゃうんだもん。私はそうだった。裏では泣いてたけど」


【お、おう……】

【なんか、配信タイトルからは想像できないくらい重いんですが……】

【すまみせん、いつになったら救いの話が?】


「おっと、たしかに重いとやだよね。じゃあ、話を進めて……。で、まあ、結構ギリギリな精神状態で過ごしていた三年生のある日、お父さんが再婚するって話を持ち掛けてね。その時はお父さんもようやく新しい幸せを見つけられたんだ、って安堵したし、私が邪魔にならないかって心配になったよ。しかも、向こうにも子供がいるーって言うんだから、猶更。しかも、当時小学六年生ぞ? 大分精神的にも大きく成長を始めるような、そんな時期の子が弟になる、って言われたら、ね?」


【まあ、いじめられてる状態じゃたしかにちょっとな……】

【通常なら、馴染めなかったんだろうなー、って思うんだろうが……】

【あの特大の呪言が飛び出すほどの愛を向ける相手と考えると、ギャグにしか思えねぇ……】


「で、私も早速会ったわけよ、そしたら、さ……そこには、天使がいた」


【草】

【草】

【草】

【流れが変わったww】


「いやもう、お姉ちゃん呼びでノックアウトだよね! だって、超可愛い男の娘が私をお姉ちゃんって呼ぶんだよ!? しかも笑顔が可愛すぎるし! その表情を見た瞬間、いじめとかどうでもよくなったよね!」


【あぁ、なるほどなぁ……】

【たしかに、どん底状態で可愛い弟が出来たらそうなるわ……】

【しかも、その相手がみたまちゃんレベルの純粋っ娘で、尚且つ性格も良すぎなわけで……】


「その後、前にも語ったように、とあるVTuberを見て、私は一念発起。いじめとか知らねぇ! 私は私の道を貫くぞオラァ! ってなって、先生と一緒に勉強を頑張り、趣味を頑張り、エロ同人を書いて、冬コミ用の同人誌(健全)を描き上げ、そして今の会社に入社ァ! それからしばらくしてかららいばーほーむ入りィ! そして今ここォ!」


【最後の勢いが強すぎるww】

【マジでみたまちゃんで人生変わってるんですがww】

【すげぇな、みたまちゃん。人間一人救った挙句、とんでもねぇバケモン生み出してるよ】

【春風たつな:いつ聞いても本当にこう、ギャップが凄まじいと言うか……】

【魔乃闇リリス:そうじゃなぁ……此度は配信故に、かなり濁しておるが……本来はもっと壮絶じゃからのう……】

【マジかよ、これで抑えてんの……?】

【聞きたいような、聞きたくないような……】

【ってか、この話題ってみたまちゃんが怒ると怖いぜー、的な話じゃなかった?】


「うんそうだねー。じゃあ話すけど……んー、たしか私がデザイナーとして、同人作家として、そしてライバーとして成功した後だったかな?」


【多い多いww】

【三つ成功は控えめに言っておかしいだろwww】

【魔乃闇リリス:まあ、ひかりは多才じゃからのう……】


 ひかりは昔から多才であり、所謂天才と言われるタイプだ。

 まあ、天才とは言っても、どのような分野でも平均以上の能力を発揮するだけで、一芸特化型の天才には届かないと本人は言っており、実際にそうなることもそれなりにある。


 だがしかし、ここで勘違いしてはいけないのは、愛菜が器用貧乏ではなく、器用万能、みたいなタイプだと言うことだ。


 なんと言うか、全てにおいて高水準な能力を持つひかりは、何をしても上手くやってしまう。

 勉強もそうだし、運動もそう、みたまを護るためにあらゆる武術を身に着けまくり、デザイナーとしての才もあり、同人作家としての才、そしてライバーとしての才があるわけだ。

 つまり、総合力の高い天才と言える。


 尚、現在はその才能をみたまのために使ってるようなものなのだが……。

 そして、本人は好きなことしかやらないタイプなので、結局中途半端止まりになることも多数。


「私が成人式の日に、そのいじめてた人たちと再会してねぇ。そこで復讐をしたわけよ。へっへーん! 君たちがいじめてた同級生は、大成功を収めたぞ☆ ってな感じで」


【うわぁ、すげぇ正道な復讐だなぁ】

【こういう復讐ってちょっと憧れるよね。下剋上感あって】

【わかる】

【カッケー】


「んで、その人ら全員勝手に転落しててね。一人は私の会社の取引先で、しかも私が担当してたんだけど、色々とねぇ、やらかしててねぇ。横領とか、虚偽報告とか、まあ、諸々」


【おいおい】

【まあ、いじめるような奴だし、納得っちゃ納得……?】


「で、私は大勝利してお家に帰宅。そしたら後日さー、そのバカたちが来て、私に罵詈雑言を浴びせるわけよ」


【おっと? 話が読めて来たぞー?】

【それまさか……】


「はい正解! ここで我が天使のみたまちゃんが登場! いつもほんわかとした柔和な笑みを浮かべてるんだけどね? その時のみたまちゃん、なんというか……すんごい怖かった。どういう表情だったかと言えば、いつもの笑顔のはずなのに、目が全く笑ってなくて、言葉がめちゃくちゃ冷たいの。底冷えするような声ってああいうのを言うだろうなって思ったものです」


【そ、想像できねぇ……】

【けど、みたまちゃんみたいなタイプがそれやって来たら普通に怖いわ……】

【で、なんて言ったの?】


「んーとね、『あなたたちが、僕のお姉ちゃんをいじめてた人たちですか? 僕はその時、お姉ちゃんと姉弟になったばかりなので、どれだけお姉ちゃんが苦しい思いをしてきたのか知りませんけど……よくもお姉ちゃんをいじめましたね? すごく優しくて、温かくて、自分よりも僕たちのことを優先してくれる大好きな僕のお姉ちゃんを。それで、今は何をしに? あ、大丈夫です。なんとなくわかります。きっと、仕返しというか、八つ当たり……じゃないですね、逆恨みをしに来たんですよね? それで、今お姉ちゃんに酷い言葉を言っていましたけど……自業自得の人が何を言っているんですか? あなたたちがするべきなのは、逆恨みで人を傷つけるような言葉を言う事じゃないです。ごめんなさいって謝る事です。それくらい、幼い子供でも出来ます。それが出来ないあなたたちは子供なんですか? お姉ちゃんの同級生なら、大人なんですよね? それなら謝ることが出来るはずです。それが出来ないのなら、あなたたちが幸せになることはあり得ません。自分のしたことを反省できない人に、人をバカにすることなんて許されませんし、そもそもバカにする時点で人として最低です! 二度とお姉ちゃんの前に現れないでください! 僕の大好きなお姉ちゃんをバカにする人は絶対に許しませんっ! 帰ってくださいっ!』ってな感じで」


【か、カッケェッ……!!】

【マジかよ、みたまちゃんカッコ良すぎるんだろ……】

【けど、普段怒らない人がそうやって理路整然と正論でぶん殴って来たら確かに怖い。しかも、聞いた感じ声を荒げてないっぽいし……】

【いや待て。お前らみたまちゃんカッケェ、で済んでるかもしれないが、まずおかしいことに気付け。ひかりん……みたまちゃんの長文の説教を全部言い切ったぞ?】

【!?】

【!?】

【た、たしかに!?】

【え、ちょい待ち? まさか覚えてると言うのか!?】


「え? 当然だよね? だって、私の大好きなみたまちゃんが、私のために怒ってくれた時のセリフだよ!? 一言一句間違えてないが? あと、普通に録音済みですが? ちなみに、たまにそれを聞いて色々してます」


【ちょっと待てェ! あんた何してたんだよ!?】


「そりゃぁ、人前では言えないことをだね。たまーに達してます」


【バカ野郎! とんでもねぇ話を暴露すんなよ!?】

【途中までのいい話はどこ行った!?】

【クソッ、真面目に聞いた俺がバカだったっ……!】

【春風たつな:まあ、そもそもひかりにシリアスは似合わないよね】

【魔乃闇リリス:じゃなぁ……】


「さぁ! ここからは私のみたまちゃんへの愛を語る時間! 暗い話なんてどうでもいいよねぇ!? まずはそうだね……あっ、何か訊きたいことある? みたまちゃんのことで。エロ系はぶっ飛ばすけど」


【仮にみたまちゃんと会ってなかったどうなってたの?】


「お、良い質問! 絶対自殺してました☆ ハイ以上☆」


【以上じゃないが!?】

【とんでもねぇことをさらっと言うなやww】

【それをこのテンションで言えるんだから、マジで吹っ切れたんだろうな……】

【みたまちゃんと付き合う人の条件!】


「は? みたまちゃんは私のものだが? 絶対結婚するが? 間違いないが?」


【草】

【狂気すぎる……!】

【けどまぁ、実際問題こうなるのも無理はないと言うか……納得だよね】

【わかる。そりゃぁ、自殺しかねない精神状態を救われたらこうなるわ……】

【いやまあ、とりあえずでいいから。こう、条件的な物を!】


「とりあえずで? んー、そうだねぇ……まず、女性であることが前提」


【まあ、みたまちゃんTSっ娘だし】

【みたまちゃんがTSっ娘って知らない人からしたら、頭に『?』が浮かぶよねこれ】


「で、そうだねぇ……正直、学は別に求めないよ。一般常識程度でOK。けど、やっぱり性格! 性格が一番大事! とにかく自分の人生を捧げてもいいと思えて、何よりみたまちゃんを自分以上に優先できるような、そんな人であればOK! あ、できれば戦闘力は欲しいかな。少なくとも、私に勝てるくらい」


【条件がおかしい……】

【性格はわかる。だがその後、クッソ重いやんけ】

【重い愛を持った奴が勝つのか……】

【ってか、戦闘力ってなんぞ!?】

【おのれは異世界の住人か】

【春風たつな:ちなみにだが……ひかりは本当に強いよ。仮に何らかの格闘技の試合に出ても圧勝するくらいには】

【こわ!?】

【どういうことをしたらそんなことになるの!?】

【え、じゃあひかりんって筋肉が……?】

【魔乃闇リリス:いや、普通に美人でスタイルのいい女性って感じじゃな。それに、別に腹筋だって割れるとるわけではない。ないのじゃが……なぜか強い。本人曰く、筋力ではなく技術があればどうとでもなる、とか言っておるな。まあ、肝心の腕力もあるんじゃが……】

【えぇ……】

【えぇぇぇ……】

【何それこわ……】


「いやいや、みたまちゃんを護るためにはまだまだ足りないって! やっぱりなるなら世界最強! 世界最強なら、絶対にみたまちゃんを護れるし?」


【実はひかりんってバトル漫画の世界の住人だったりしない?】

【背中に鬼の顔とかない?】

【こえぇなぁ】

【春風たつな:ちなみにだが、ひかりは地元の暴走族とか不良グループとか、あとは反社的なアレとか、一人で壊滅させたりもしてる】

【何してんの!?】

【おかしい! おかしいよこの人ぉ!?】


「いやだって、前にみたまちゃんをナンパしたんだよ? しかも、クソ気色悪い目をみたまちゃんに向けてたし。あと、直感的に『あ、こいつらヤバいな』ってわかってたから、潰しに行ったんだよね。やはり、危険にさらされかねない芽は早い段階で摘まないとね☆」


【バケモン過ぎる……】

【さすがらいばーほーむ一頭のおかしい女……頭だけじゃなくて、肉体もおかしかったわ……】

【つまり、らいばーほーむ内じゃ武力最強ということか……】

【というか、なんでそうなる】


「そりゃぁ、この身からあふれ出るみたまちゃんへの愛でだけど?」


【妹(弟)への愛だけで、こんな化け物が生み出されてしまったのか……】

【おかしい、絶対おかしいよぉ……】

【ふえぇ……】

【なんか、トレンド入りしとるし……】

【『見る狂気』『シスコン帝王』『ファンタジー世界の住人』『生まれてくる世界を間違えた女』とか、色々あるんですが……】

【草】

【草】

【草】


「んじゃ、どんどん行くよー☆ さぁ、みたまちゃんについて聞きたい情報があれば、どんどん話していくよ! あ、ちなみにみたまちゃんはホラーが苦手なので、ホラー番組を見た後は大抵、枕を持って私のお部屋に来ていました。『怖いから一緒に寝よ……?』ってねぇ!」


【可愛い】

【何その可愛いエピソード。もっとくれ】

【こう言うのでいいんだよ……】

【狂気は勘弁】

【うん、勘弁……】


 この後も、ひかりは視聴者に訊かれて様々なみたまの情報を話していった。

 まあ、情報というより、思い出だが……。


 尚、この時の配信を境に、ひかりの愛称が『ひかりん』から『シスコン』に変わったのは言うまでもない。


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 改めて書くと、結構こいつって過去がクソほど重いんだよなぁ……。

 椎菜の存在が愛菜にとっての光すぎて、結果的に狂気的なまでに椎菜を愛するようになってしまったわけですが。まあ、この辺りはね、椎菜がパーフェクトコミュニケーションしてたからね。仕方ないね。

 余談ですが、本作で一番怒らせたら怖いのは椎菜です。次点で……あー、誰だろ。同じベクトルで行けば、リリスとか暁辺り? 別ベクトルで怖いのは、シスコンとロリコンですかね。あと、たつなはキレるとヤンキーみたいになります。

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