☆2000以下省略ゥ! みたまちゃんとファンタジーな世界の後日談

 この回は、記念話の後日談的お話です。

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 お姉ちゃんが色々とやらかした後、アクアフィールでは僕は神様みたいな立ち位置になりました。

 会うたびにものを貰ったり、何か崇められたりするから、本当にこう……反応に困ると言いますか……ね。


 とは言っても、かなりその、気恥ずかしくはあっても楽しく過ごせはしたから、結果オーライと言えばそうなのかもしれないけど……けど、最終的に【みたま教】という自己顕示欲の塊みたいな宗教が出来てしまったのは酷いと言わざるを得ないです……。


 一応、元の世界に帰ったら何事もなくなるからいいとはいっても、僕の中では黒歴史に鳴るような事柄だよぉ……。


 ……結局のところ、この一週間はお姉ちゃんと一緒にアクアフィールの街を回ったり、美味しい物を食べたり、他にも簡単な冒険者ギルドの依頼を受けたりと言った、シンプルな異世界生活を楽しみました。


 ちなみに、受けた依頼は薬草採取がメインです。

 結構楽しかったです。

 そうして、一週間が経ち、帰る日となりました。


「ありがとうございました、アムリアお姉さん」

「いやいや、気にしないでいいよ。むしろ、うちの街の住民がとんだ迷惑と言うか……まあ、色々やらかしたみたいで、申し訳ない限りだ」

「あ、いえ、それはお姉ちゃんが悪いので、気にしないでください」

「みたまちゃん酷い!?」

「……でも、お姉ちゃんがあんなことをしたからだよね? 僕、まだちょっと怒ってるんだからね?」

「はぅあ! みたまちゃんのジト目! ありがとうございます!」

「……僕、お姉ちゃんには絶対に勝てない気がします……」


 ジト目を向けたら、なぜか喜ばれちゃったし……。

 なんというかもう、僕がお姉ちゃんに勝てる日は一生来ないと思います。

 勝ちたいと思ったことはないけど……。


「それで、アムリアお姉さん。帰るにはどうすればいいんでしょうか?」

「あぁ、それは問題解決後、任意で帰ることが出来るんだよ。みたまさんの場合は、既に条件を達成していたから、時間になったら帰りたいと願えば帰れる」

「そうなんですね、わかりました!」


 結構簡単に帰れるみたいで安心です。


「あぁ、お土産は何かあるかな?」

「お土産、ですか? あの、そもそも、何か持ち帰れるんですか?」

「できるよ? 少なくとも触れている分には何とか」

「そうなんですね! お姉ちゃん、何か持って帰る?」

「そうだねぇ……あぁ、そうだ。あの水果だっけ? あれ持って帰らない?」

「いいね! あのジュース美味しかったから!」

「了解。すぐに持ってこさせるよ。あぁ、それと。あれは日当たりがいい場所に植えて、綺麗な水を上げることで簡単に育つから、もし興味があるのなら育ててみるといいよ。難易度は低い」

「ほんとですか!? やってみます!」

「ふふ、よかったね、みたまちゃん」

「うん!」


 いっぱい作って、らいばーほーむのみなさんに上げよう!

 あれでケーキを作るのもいいかも!

 夢が広がるなぁ!


 と、そうしてすぐに水果の実がたくさん入った袋を渡されました。

 その大きさはちょっとしたポーチくらいなのに、中にはいっぱい。


 よくあるアイテムボックスという物です。

 正式名称は『マジックバッグ』らしいけど。

 この袋ごとくれるということで、すごく嬉しいです!


「あ、時間になりました。それじゃあ、僕たちは帰りますね」

「本当にありがとう。もう会うことはないと思うけど、お元気で」

「はい!」

「ありがとうございました、アムリアさん。あ、みたま教、ちゃんと広めておいてくださいね?」

「ふふ、ご安心を。水神様も全力で広めると仰っていたから」

「ちょっと待って!? お姉ちゃん何してるの!? え、というか、神様が宗教を広めるって何!?」


 聞き捨てならないセリフが聞こえて来たよ!?

 どうなってるの!?


「じゃあ、帰ろうー! さあ、みたまちゃん帰りたいって願った願った!」

「あ、うん、じゃあ帰ります! って、そうじゃなくて! どうして【みたま教】を広め――」


 と、僕がツッコミを入れている途中で帰還が始まって、そこで意識がぷつり、と途絶えました。



「ん……んん……」


 意識が途絶えてからどれくらい経ったのかはわからないけど、徐々に意識がはっきりして来て、安心する匂いに、慣れ親しんだ背中に当たる柔らかくて、けどちょっとだけ硬い感触で完全に意識が戻り、目を覚ますと。


「……僕のお部屋……」


 そこは、見慣れた僕のお部屋の天井でした。


 むくり、と起き上がって周囲を見回すと、そこには事務所の人たちから貰ったパソコンに配信用機材に、本棚やゲーム機なんかがあって、ずっと見て来たお部屋がありました。


 帰って来た……みたい。


「よかったぁ……あ、ちゃんとアイテムボックスもある! 中身は……うん! 水果の実もあるし、よかった!」


 ぱさり。

 …………ふえ?


「あ、あれ? そう言えば何かおかしいような……」


 ふと、奇妙な所から何かを触った感触があったんだけど……あ、あれ? そう言えば、頭頂部も変だし、よくよく見れば、視界に映る銀色の髪も変な気が……ってぇ!


「あ、あれぇ!? なんで僕、神薙みたまのままなのぉ!?」


 どういうわけか僕の体は、桜木椎菜ではなく、神薙みたまのままになっていました……。



「( ゚д゚)」


 目を覚ましてまずしたことは、お姉ちゃんを起こすところからでした。

 お姉ちゃんも僕のお部屋の床に寝転んでいて、すやすやと寝息を立てていましたが、あまりの緊急事態に急いで起こして、起き抜けにいつものテンションで「おっはよーう! 椎菜ちゃ――」と言いかけて、さっきの表情になります。

 ぽかんとしてます……。


「え、は、え!? みたまちゃん!? なんで戻ってないの!?」

「いや、あの、なぜかこの姿のままに……椎菜に戻ってないんだけど……」

「はいぃぃぃぃ!? そ、それはまずくない!? いくらTS病があっても、その姿はさすがに色々問題だよね!?」

「う、うん……これじゃあ変なことに――」

「みたまちゃんの魅力で誘拐しようと考える輩が増える頻度が高くなっちゃうし、何より変態が湧き出ちゃう!? ハッ! 他にもモデルの話しやアイドルのスカウトなんてものも出るかも!?」

「そっちの心配なの!?」

「え? むしろそれ以外ある? まあ、研究機関に! って可能性もあるかもしれないけど、それ以上にみたまちゃんを狙った人が多く出て来ちゃうと思うなぁ! お姉ちゃんはぁ!」

「えぇぇぇ……」


 もっと別の方面で心配してほしいんだけど……。

 そこはもう、さすがとしか言いようがないと言いますか……うん……お姉ちゃんでした。


「けど、そのままじゃまずいし……って、あれ? みたまちゃん、その首からぶら下げてるのは何?」

「ふえ? ……あ、ほんとだ、なんだろう、これ」


 ふと、お姉ちゃんが僕の首からぶら下げられていた物に気が付いて、それを指摘。

 僕もそう言われて気が付いたけど、僕の首からはネックレスチェーンが通されたシルバーの指輪がありました。

 形状としては細くて、なんというか、すぐに折れちゃいそうな印象だけど……なんだろう、これ。


「ふむふむ……それを使ってみたまちゃんモードになると見たね!」

「そ、そうかなぁ?」


 というか【みたまちゃんモード】って……


「多分きっとそう! というわけで、元の姿に戻りたい! と念じてみよう! まあ、失敗してもそれはそれだし、試すだけ試してみない?」

「たしかに、それもそっか。じゃあ、うん……も、戻りたい!」


 お姉ちゃんの提案を受けて、僕は指輪を握りしめて、元の体に戻りたいと願うと、なんと体が光り出しました。

 あ、あれ!? まさか本当に!?

 心の中でちょっと慌てている内に光が収まって……そこには、元の体に戻った僕がいました。


「も、戻った……?」

「おお! まさか本当に戻るとは! 可変式なのかな? みたまちゃんって」

「ど、どうなんだろう? 一応確認ためにもう一回……」


 今度はみたまになりたい、そう願いながら指輪を握りしめると、また体が光り出して、今度は神薙みたまの姿になっていました。


「ふんふん、やっぱりそれが変身用のアイテムみたいだね?」

「だ、だね……」


 ということは、今後は神薙みたまになれるようになっちゃった、ってことかな……?

 そんなのあり……?


「あ、そう言えば魔法って使えるの? 椎菜ちゃん」

「魔法……さ、さすがに使えない……んじゃないかなぁ……」


 だって、魔力なんてなさそうだよ? こっちの世界。

 あったらかなり驚きと言うか……ね?


「じゃあ、使ってみない? 折角だし、水魔法を使って水果の実、庭に埋めてさ」

「あ、なるほど、それはいいかも」


 折角だし、育ててみたいもんね。

 お姉ちゃんの提案を受けて、僕とお姉ちゃんは水果の実を一つずつ食べて、中に入っていた種を持ってお庭へ移動。

 そのまま日当たりのいい場所に種を植えて、早速水魔法を使ってみると……。


「わわっ!? ほ、本当に出た!?」


 なんと、水魔法が出ました。


「おお! リアル魔法少女! リアル魔法少女だーーー!」

「え、こ、こっちでも魔法って使えるの……?」


 う、嬉しいような怖いような……。

 とりあえず、一度発生させた水の球は種を植えた場所にかけることで消しました。


「いやぁ、びっくりだねぇ」

「そ、そう、だね」


 魔法を使用後、椎菜の姿に戻る。

 こっちの体の方がやっぱりしっくりくる……神薙みたまの姿も悪くはないと言えば悪くはないけど、さすがに目立つからね……。


「……あれ?」

「どしたの、椎菜ちゃん?」

「あ、うん。魔法が出ない」


 もう一度、そう思って魔法を出そうとしたんだけど、魔法は出ませんでした。


「え、なんで? 今出てたよね? なに、魔力が尽きちゃった感じ?」

「う、ううん? そんなことはないと思うけど……あ、もしかして……」

「何か気付いたの?」

「うん。ちょっと」


 もう一度神薙みたまの姿になって、魔法を使ってみると……。


「あ、出来た」

「あぁ、なるほど~! 魔法はみたまちゃんの姿じゃないと使えないってことかぁ」

「多分」


 あれかな、異世界で手に入れた物は、異世界にいた時の姿じゃないとダメ、みたいな感じなのかも……それか、別の理由があるのかもしれないけど……まあ、なんでもいいよね。


「なんというか、本当に魔法少女みたいだね?」

「あ、あははは……」


 変身すると魔法が使えるようになる、というのは、その……魔法少女みたいだけど、なんだか複雑。


「けど、いいものを貰ったね?」

「……うん、そうだね。異世界に行っただけじゃなくて、魔法が使えるようになったんだもん。ひけらかしたいわけじゃないけど、すごく嬉しい」


 人前で使うことはできないだろうけど……。


「いやぁ、TS病だけでも不思議なのに、異世界があるなんてねぇ……案外、TS病って異世界由来なのかもね?」

「あ、あはは、さすがにそれはどうだろう」


 そんな理由だったら、さすがに困っちゃいそうです……。

 この後、僕とお姉ちゃんはお庭を眺めながら、異世界の思い出話に花を咲かせました。



 意図せずして異世界に行っちゃった僕は、神薙みたまになる力(?)を手に入れて、魔法が使えるようになった僕は、色々なことに巻き込まれるようになっちゃったけど……それはまた別のお話、ということで、あの……いつか語れたらなぁ、って思います。


 ちなみに、魔法少女になったことを三期のみんなにお話したら、寧々お姉ちゃんは目を輝かせて、藍華お姉ちゃんはどこか興奮したように魔法を使ってほしいとお願いされて、千鶴お姉ちゃんは安らかな笑みで魂が抜けて本当に召されちゃいそうになっていました。


 あと、柊君は頭が痛そうに、麗奈ちゃんはすっごく興奮していました。

 それから、膝枕をしてほしい! ってお願いされたので、膝枕をしました。

 なぜか気絶しました。


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 はい、以上! 記念話でした!

 本当はもうちょっと書こうかなぁって思ったんですけどね、あまり長すぎてもそれはもう記念話というか、ただの長編になってしまうのでね、ここいらで切らせていただきます!

 この記念話の続きが見たい! などの要望が万が一あった場合は……まあ、その時は閑話と言う形で書いてもいいかなぁと。

 というか、本編に「みたまモード」を輸入するか迷ってます。ただ、あったらやれる幅広がるし、元々この作品、行き当たりばったりで書いてるから、結構ありかなぁ、なんて思います。実際、神様ちゃんとこの世界いるし。まあ、使うのは魔法じゃなくて、妖術とか霊術、みたいな感じにはなりそうですけどね、その場合。

 一応、どういう経緯で「みたまモード」を手に入れるかについては多少考えてありますが……まあ、この辺はちょい保留。ただ、このまま書いていくと、間違いなく、私は輸入すると思うけどねぇ! もし、それが嫌だ、というような方がいれば申し訳ねぇ……。

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