☆2000の以下略! みたまちゃんとファンタジーな世界:2
ギルドを出た僕は、真っ直ぐに湖を目指しました。
多分、さっき僕がいた所からなら入れるはず!
そう思って、目が覚めた砂浜へ。
歩いてすぐの位置にあって、僕は湖の前に立つと大きく深呼吸。
「ふぅー……大丈夫、能力があるって言ってたもん。大丈夫……!」
自分にそう言い聞かせながら、僕は湖に入って行き、足が付かなくなった段階でざぶんっ、と水に潜った。
すると、ゴーグルをしていないはずなのに、視界がぼやけることはなく、とても鮮明に見えた。
息も苦しくなくて、むしろすごく快適なくらい。
服も着ているはずなのに全く重さを感じなくて、なんというか……そこにいるはずなのに、いない、そんな感じ、かなぁ。
重さも無くて、ただそこに浮かぶ、そんな感覚がすごく不思議。
呼吸の必要がないと確認できると、これ幸いとばかりに先へ泳いでいくと、水底には色とりどりの石? 宝石? のようなものがいっぱいあって、それらは一つ一つが淡く輝いていました。
陽の光が差し込む水中は、蒼く澄んでいて、水底には色とりどりに光る石がたくさん……そんな幻想的な光景に、思わず見惚れてしまいました。
水中に差し込む陽の光もまるでカーテンのように揺らめいていて、なんだか眩しい。
すごい場所だなぁ……そう思いながら、僕はさらに奥へ奥へと進んで行く。
途中、いろんなお魚さんや見たことがない生き物も見かけて、なんだか泳ぐだけで楽しい。
そうして、水中を楽しんでいると、一つの神殿が見えてきました。
大きすぎないけど、かといって小さくもない、程よいサイズ感の神殿は、水底のはずなのにぽわぁ、と淡い光を放っていました。
海底……じゃなくて、湖底神殿、かな? ……すごくいいなぁ。
これ、雑談のタネになるかな?
なんてことを考えながら、神殿の中へと入って行く。
中は青白い光を放つ松明? みたいなものが壁にいっぱい設置されていて、かなり明るいし、かなり綺麗。
罅があるわけでも、どこかが崩れてるわけでもなくて、かなり管理がされてるみたい。
そうして奥へ奥へと神秘的な神殿の中を進んで行くと、大きな扉に行き当たりました。
きっとここに神様が……と、僕は緊張しながら扉を開けて中へ入りました。
扉の先は水が無くて、普通に歩くことが出来ました。
水が壁のようにあるのは、すっごく不思議な光景だけど……さすが異世界。
内装としては、ドーム状になっていて、中心には祭壇のようなものがあって、周囲はクリスタルがいっぱい……うぅ、語彙力がないから、形容しにくいよぉ……。
なんて、語彙力の無さを恨めしく思っていると……
「ん? だーれー? 私の寝床に入って来るのは……」
どこからともなく、女の人の声が聞こえてきました。
その直後、祭壇が突然光だして……光が収まると、そこにはワンピースのような服を着た、蒼い髪の女の人がいました。
どこか神々しさすら感じるお姉さんは、どこか不機嫌そうな顔でしたが……
「ん? んん? んんん~~~~~~? おやおやおやおや!」
と、僕を見た瞬間、みるみるうちに表情が変わって行き、興味深そうな顔から楽しそうな顔になって……うんうん、と頷くと、
「ごうかーーーく!」
と言って来ました。
なんだろう、らいばーほーむの選考の時を思い出すんだけど……。
「あ、あの、合格って……」
突然合格と言われたことがよくわからず、僕はその意図を恐る恐る尋ねることに。
「おーっと、ごめんごめん。いやね、最近私好みの可愛い女の子がいないなぁ! って思っててさー、それでなんかこう、むしゃくしゃしたからこの街滅ぼすかー? なんて考えてたんだよね」
「ふぁ!? それはダメですよぉ!?」
出会い頭にすごいことを言ってきたよ!?
絶対にこのタイミングで言う事じゃないと思いますっ!
「いや、私からすれば何事もなく住まわせてあげてる感じなんだけど? 元々、ここは私が守護する湖で、良質で豊富な資源がたくさんのそれはもうすごい湖なんだけどさ?」
「な、なる、ほど?」
「それで、昔この湖を見つけて、その価値に気付いた人間たちがここに住まわせて欲しいと言って来て、それで許可したのが始まり」
「は、はぁ……」
「で、最終的に色々と契約を結んで、たまに現れる魔物を狩ってもらって、私はこの街の守護と資源を渡し、そして可愛い女の子をたまにこの街に常駐させてたんだけどね」
「……な、なる……ほど、です?」
「わかってないね?」
「……すみませぇん」
だって、よくわからないもんっ!
いきなり昔話をされて、どう反応すればいいのかわからないよぉっ!
VTuberとして活動して、ある程度の話題は返せる! と思えてくるようになったのに、ファンタジー世界のことを言われても困るよぉ!
「まあ、それもそっか。君、異世界人だろ?」
「わ、わかるんですか……?」
「あぁ、わかるよー。けどまぁ、そこは気にしなくてOK!」
「そう、なんですね」
色々と気にはなるけど……神様がそう言うのならいい、のかなぁ……。
「ところで、あの、湖の問題を解決するためにこっちの世界に喚ばれたみたいなんですけど……僕、何をすればいいんですか……?」
「え? 何もしなくていいよ?」
「え?」
「え?」
喚ばれたからには、何かをすべきと思った僕は、神様に何をすればいいのか尋ねたら、何もしなくてもいいと言われました。
まさかの回答が返って来て、お互いにこてんと首を傾げる。
え……?
「いやだって、可愛い女の子がいないから、こう、喚んでくれ! って感じで応募しただけだし……」
「応募!? 応募って何ですか!?」
なんだか、変な言葉が聞こえて来たんだけど!?
「いや、この世界って大小関わらず、何らかの問題が起こるもんだから、創造神が抽選でどの頼みを解決するか決めてるんだよねー」
「それでいいんですか……?」
「まあ、よっぽどの大問題だと、さすがに真面目に仕事するけど、喫緊じゃない問題は抽選式なんだよねぇ。実際、異世界人を喚ばなくても問題ない程度の問題もあるし」
「えぇぇぇぇ……」
なんというか、解決するためのあれこれが結構酷い……。
もうちょっと前向きになった方がいいんじゃ……?
「というわけで、問題は解決! いやぁ、君のように可愛い女の子を見れて私は満足! これであと1000年くらいは頑張れる!」
あっはっは! と大きく笑う神様。
「そ、そですか……えっと、あの、とりあえず……解決、でいいんでしょうか?」
「そだねー」
「それじゃあ、僕は帰れるん、ですよね!?」
「うん、帰れるね、しばらくしたら」
「やった――って、え? しばらく、したら……?」
やったぁ! と喜ぼうとした僕だったけど、しばらくしたら、という言葉に反応して、喜びが萎んでいきました。
ど、どういうこと……?
「うん。元々、勝手に喚び出すという性質上、一定期間で帰れるようなシステムになってるんだけど……それって、裏を返せば期間内はこっちにいなくちゃいけない、ってことになってるんだよね」
「えっ……ち、ちなみに、その期間の長さは……?」
「んー……大体七度日が昇るくらい?」
「い、一週間っ……!」
がくり、と僕はその場に崩れ落ちました。
じゃ、じゃあ、僕は一週間、元の世界に帰れなくて、こっちの世界にいないといけない、ってこと……?
そ、そんなっ! それじゃあ、学校は!? 配信は!?
「あ、あのっ! こ、こっちでの一週間が、向こうでは一日! なんですよね!?」
「え? そんなわけないじゃん?」
「ふえ……?」
「こっちと向こうは時間がずれないようになってるの。そういう仕組みにしないと、色々と不都合が出ちゃうからね」
「ふ、不都合、ですか……?」
「うん。具体的に言えば……まあ、世界が滅んじゃうよね! あっはっは!」
「ふえぇぇ……」
そんなお話、聞きたくなかったよぉっ……!
うぅ、やっぱり神様だから軽いのかなぁ……。
「いやもう、勝手に喚んでおいてなんですが、めんごめんご!」
「う、うぅ~~~~っ!」
一週間もこっちにいないといけないなんて……別に皆勤賞って言うわけじゃないけど、一週間は大事だよぉ……!
仮に元の世界に帰ったとして、なんて説明すれば……。
特に、お姉ちゃんや柊君、麗奈ちゃんに、マネージャーさんたち、それから視聴者さんたちになんて言えば……うぅっ……。
「いやぁ、久しぶりに可愛い女の子が――」
ピキッ――
「はぇ?」
ビキビキ――
「ふぇ……?」
どうしようどうしようと悩んでいると、ふと変な音が聞こえて、そっちの方を思わず見てしまう。
すると、空間の一部に謎の罅……というか、亀裂? が入っていました。
その亀裂は音を立てながら、少しずつ大きくなっていって……。
バキィィィィンッッッ!
と、凄まじい破砕音と共に、空間が砕けました。
すると……
「あんのクソ神がァ……!」
と、そこから姿を現したのは……。
「お、おぉ……お姉ちゃん!?」
般若のお面みたいに怖いお顔をしたお姉ちゃんでした。
「あっ! 椎菜ちゃん! って、え、みたまちゃん!? リアル?! ホワイ!?」
お姉ちゃんは僕を見るなり怒ったお顔から一転して、いつもの見慣れたにこやかな笑みを浮かべたけど、すぐに僕の姿が神薙みたまであることに気付いて、びっくりしていました。
だ、だよね……。
「え、し、椎菜ちゃん、だよね!? ど、どゆこと!? それとも、神薙みたまちゃんが別人としてリアルに!? ハッ! あのクソ神、私を騙したというのか!? そ、それとも、こ、ここは夢!? 椎菜ちゃんがいなくなってしまったという現実から逃避するために私の深層心理やら魂が神薙みたまちゃんとして、椎菜ちゃんをみたまちゃんさせてしまったというの!?」
何を言ってるんだろう、お姉ちゃん……なんてすぐに思ってしまった僕だけど、すぐに声をかける。
「あ、あの、お姉ちゃん、ちゃんと僕です……」
「はっ! その声は……間違いない! 姉弟になった日から24時間365日聞き続けて来た私ならわかるっ! 私の世界一愛してる妹! 椎菜ちゃーんだーーーー!」
いつかのやり取りに似たことをすると、お姉ちゃんは僕がちゃんと桜木椎菜だと理解してくれて、すぐに抱き着いて来ました。
あっ、すっごく安心する……。
うぅ、心細かったから、お姉ちゃんのハグが心に沁みます……。
「クンカクンカ! スーハースーハー! あぁっ! みたまちゃんになっても素晴らしいフレグランスぅぅぅ! みたまちゃんの香りのする香水とか出したら爆売れ間違いなーし! よしやろう! すぐやろう! 帰ったら運営に頼んでグッズ化してもらおひゃっほーーーい!」
「お、お姉ちゃん落ち着いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!」
暴走するお姉ちゃんを宥めるのが最初にすることになりました……。
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補足ゥ!
コメントにて、みたまの容姿についての言及が欲しい! とのご要望がありましたので、ここで軽く触れさせてください!
まず、みたまの容姿ですね。
銀髪蒼眼です。銀髪は、お尻辺りまで伸びています。
で、巫女服の形状ですね。
袖は巫女服とは分離しており、二の腕辺りから袖があります。ああいうの、いいよね! 脇とか!
巫女服の色合いとしましては、白と青をベースにしております。
上はノースリーブのワンピースみたいな形状をしており、その上から別の衣服を羽織っており、袴とは別でかなり長いです。別の物で例えると、白衣みたいなもんですかね。
袴自体の丈はそこまで長くなくて、実は膝丈よりもやや下だったりします。いやもうそれ袴じゃないだろ、というツッコミは無しで……。(私にセンスはねぇ!)
で、あとは下駄ですね。石畳のような硬い場所を歩く度に、カランコロンと鳴ります。
あと、折角の記念話なので、ちょろっと触れましょうか。
本編で語られてませんが、椎菜って実は……耳が弱点です。
なので、耳をふーってされたり、耳元で甘く囁かれたりすると、それはもう可愛らしい反応をするとか。尚、それを見た物は鼻血+血反吐で萌え死にします。
あとは、脇と背中も弱いですね。くすぐったいそうです。
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