☆2000記念の特別編! みたまちゃんとファンタジーな世界:1
このお話は、☆2000に到達した記念のお話です!
今までとは一風変わって、ゴリゴリのファンタジーなお話となっておりますが、本編には全く関係ないので、読まなくても大丈夫です!
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ある日、目が覚めると……
「ふえ……?」
そこは、水の都と言うべきくらいに綺麗な場所でした。
一体何が起こったのかわからず、頭の中が酷く混乱し、周囲を見回してみると、どうやら砂浜らしき場所に倒れていたみたいです。
もぞもぞ、と状況を把握するために起き上がると、ふと違和感がありました。
「あれ? 頭とお尻が変な気が……って、耳!? 尻尾!? な、なんで!? どうなってるのぉ~~~!?」
気が付くと、僕の頭には知らない耳が生え、お尻のちょっと上辺りからはふさふさの尻尾が生えていました。
それに、視界に入って来る髪の毛の色がどう見ても銀髪な気がするし、服装だって……これは、巫女服に、下駄?
耳に尻尾、銀髪で巫女服……これってもしかして……
「か、神薙みたまになってる……?」
い、いやいやいやいや!? なんで!? どうしたらこうなるの!?
お、思い出そう、僕……ここに来る前を……!
たしか僕は――
◇
「――それじゃあ、今日も見てくれてありがとうっ! また見てくれると嬉しいなっ! おつたま~~~!」
【おつたまぁ!】
【おつたま!】
【次も楽しみにしてるよー!】
【今日も可愛かったで!】
【あぁ、もう終わってしまったっ……!】
「はふぅ、今日の配信も終わりっ! うん、今日も楽しかったなぁ」
今日も今日とて神薙みたまとして配信をして、いろんな人に楽しんでもらって、僕も楽しみました。
配信が終わってからは、あらかじめ作っておいたお料理を温めて、お姉ちゃんと一緒にご飯を食べます。
「椎菜ちゃん、今日もよかったよー!」
「ありがとう、お姉ちゃん。あと……高額スパチャはしなくていいからね?」
「いやいや、お姉ちゃんとして! 先輩として! そしてお姉ちゃんとして! みたまちゃんにお金を貢ぐのは当然! それは譲れない!」
「そ、そですか……」
もうこのやり取りはお約束と言ってもいいくらいによくしていて、その度にお姉ちゃんはこう言って来ます。
とりあえず、お金を貢ぎたい! がお姉ちゃんの気持ちらしいです。
酷い……。
「そう言えばお姉ちゃん、今日の配信なんだけど……」
「うん、何を言いたいかはわかるよー。あのコメントだよね?」
「うん……あれって何かわかるかな?」
ふと、僕は今日の配信に付いた不可解なコメントのことを僕は切り出した。
ちなみに、そのコメント言うのが……
『逡ー荳也阜縺ク陦後¥謇狗エ吶〒縺吶?ゅ%繧後?縲√≠縺ェ縺溘?荳也阜縺ィ繧ゅ≧荳?縺、縺ョ荳也阜繧堤ケ九$縺溘a縺ョ迚ゥ縺ァ縺ゅj縲∽ス穂コ九b辟。縺?h縺?↓縺ェ縺」縺ヲ縺?∪縺吶′縲∝ョ牙ソ?r縲ら焚荳也阜縺ッ縺ィ縺ヲ繧らエ?譎エ繧峨@縺??エ謇?縺ァ縺吶@縲√≠縺ェ縺溘b菴輔°迚ケ谿翫↑蜉帙r謖√▲縺ヲ縺?∪縺吶?ゅ″縺」縺ィ縲∵・ス縺励¥驕弱#縺帙k縺ァ縺励g縺??』
これです。
かなり長文の文字化けしたコメントが流れて来て、かなり不思議だったし、コメント欄でもかなりざわざわとしていたし、ハテナでいっぱいでした。
復元するサイトで復元をかけてみたらしいけど、それでもなぜか直せなかった、って言っているほどのもの。
「んー、お姉ちゃんも調べてみたんだけどさー、なーんでか調べられなくてねぇ……まあでも、いたずらじゃないかな?」
「そうかなぁ」
「いやほら、椎菜ちゃんも大分人気になったからねぇ。もうすぐ25万人だし! 変な人も当然出て来るってもんです! まあ、変なことを言う奴らは、私や三期のみんなが権限で色々やってるけどね」
「そこは本当に助かってます」
お姉ちゃん……というか、らいばーほーむのみなさんには、スパナを付けていて、コメント欄で色々やってもらっています。
具体的にはマイナスな言葉を削除してもらってます。
もちろん、本当に酷い言葉だけです。
「でもねぇ……」
「どうしたの?」
「いやね? 一応ふざけたコメントだし、消しておこう! って思ったんだけど……なーんか消せてなくて……」
「え、そうだったの!?」
「うん。ちなみに、他のみんなも同様だったそうです」
「えぇぇ……じゃあ、本当に何かわからないよね……?」
「うん、わからないねぇ」
「……あ、危ないウイルスとか……」
「それもないよ。私の知り合いにそう言ったことに詳しい人がいて、ちょっと調べてもらったんだけど、ウイルス性はないみたい。だから、安心していいよー」
「そ、そっか、それならいいけど……」
でも、本当にあのコメントはなんだったんだろう……?
文字化けは直せないし……だけど、なんだろう。
「けど……なんでだろう。何の意味もない言葉には思えなくて……」
「ふーん? まあでも、椎菜ちゃんのそういう直感はよく当たるからなぁ……ま、とりあえず、何もないでしょう! TS病なんて特殊すぎる病気にはなったとしても、それ以上のファンタジーなんてこの世界にはないって!」
「……うん、そうだよね。冷めないうちに食べちゃお!」
「おうともさ! あ、椎菜ちゃんおかわり!」
「うんっ、いっぱい食べてね!」
結局何もないと言う風に決着がついて、和気藹々と夜ご飯を食べて、お風呂に入って髪の毛を乾かしてから自室へ。
「んっ、ふわぁ~~~……んんぅ、なんだかすごく眠い……」
お部屋に戻って、大きなあくびをすると、急激な眠気が僕を襲いました。
そんなに疲れてないはずだけど……。
今日は普通に起きて、朝ご飯を作ってお姉ちゃんと食べて、それから学園に登校して、お家に帰って来て配信をして、夜ご飯を食べて、お風呂に入って……いつも通りの一日だったはずなのに、なんでこんなに眠いんだろう……?
「とりあえず、明日も早いし……うん、もう寝よう」
ごそごそ、もぞもぞ、と僕はお布団に入り込むとすぐに意識が落ちました。
ただ、その際にすごく変な浮遊感があって、それで、夢の中では体が何か別の物に作り変わっていくような、そんな不思議な感覚があって、それで目を覚ましたら今……。
◇
――だった気がする。
「え、本当にここはどこ……?」
きょろきょろ、と辺りを見回しても、広がっているのは白い石で造られた街と、蒼く澄んだ水面。
海なのか、湖なのかはわからないけど……なんなんだろう?
「とりあえず、移動してみよう……」
ずっとここにいるわけにはいかないと判断した僕は、砂浜から移動を始めました。
◇
いざ移動を開始すると、すごく不思議な光景が辺り一帯に広がっていました。
まず、白い石のように見えたものは、表面がとてもツルツルしていて、かなり肌触りが良くて、とても頑丈に感じました。
そして、街(?)を歩く人たちは、色白で耳が尖っている人がいたり、背が小さくてがっしりとした体格の人がいたり、赤や青、緑、紫にピンクと、色々な髪色をした人たちがいて、楽しそうに歩いていたり、かと思えばすごく真剣な表情で歩いていたりと、様子は様々。
それに……
(武器、持ってるよね……?)
道行く人たちを見ていると、ちらほらと武器を持っている人たちがいるのが見受けられた。
なんで武器……?
という疑問が出て来る。
なんなんだろう、ここ……。
なんて色々と考えていると、ふと、周囲からすごく見られているのに気が付きました。
しかも、ひそひそ、と何か言われているような……?
あれ、僕おかしい? おかしいですか!?
あ、で、でも、巫女服の人なんていないし、それに耳と尻尾が生えてる人もいないし……僕って結構珍しいの……?
ど、どうしよう、どこへ行けばいいんだろう……。
きょろきょろ、と不安になりながら辺りを見回していると、ふと人の出入りが激しい建物があることに気が付きました。
周囲にある民家らしき建物とは違って、入り口はオープン状態。
中からは大勢の人たちの声が聞こえてきていて、外からでも活気のある様子が伝わってきました。
あ、あそこに行けば何かわかるかもっ!
そう考えた僕は、一縷の望みをかけて、その建物へ。
中に入ると、外で感じた以上にすっごく活気がありました。
左には酒場らしき場所があって、いろんな人たちがお酒を飲んだりご飯を食べたりしていました。見れば、テーブルの上には何かの角や爪、翼? みたいなものもあって、それを顔を赤くしながら大きな声で騒ぐ人が多い気がします。
右には掲示板みたいなものがあって、そこには絵付きの紙がいっぱい張り出されていて、その前には人がいっぱいいるみたい。
けど、いまいちここがよくわかっていない僕は、目の前にあるカウンターへとてとてと歩く。
カウンターでは、制服のようなものを着た人たちがいて、いろんな人の相手をしているみたいでした。
聞けば何かわかるかもっ!
と思った僕は早速列に並ぶ。
列はみるみるうちに消化されていき、僕の番に。
「こんにちは! 冒険者ギルドアクアフィール支店にようこそ!」
僕の相手をしてくれるのは、耳が尖っていて色白な綺麗なお姉さん。
冒険者ギルド!?
え、じゃあ、ここってもしかして……う、ううん! まだ決まったわけじゃない、よね?
「あ、あの、すみません、ここってどこなんでしょうか?」
「冒険者ギルドですが……」
お姉さんはキョトンとした顔でそう返してくれるけど、あ、そうじゃなくて……。
「あ、いえ、そういうことじゃなくて、あの……この街? と言いますか、あの、えと……なんて言えばいいのか、んっと……」
聞き方が悪かったと思ったけど、考えてみればどう伝えればいいのかわからない……。
明らかに僕のお家の近辺にはこんな場所はないし、そもそも同じような場所があったかな? と思うくらいには不思議な場所。
そうすると、僕は当然よそ者ということになって……一体どう伝えれば、僕のことを伝えられるのかがわからない。
「ふぅむ……もしかして、あなたは旅をしていたのかな?」
「旅……というより、じ、実は、気が付いたらすぐそこの砂浜に倒れていて……それで、ここがどこかわからなくて、あの、えと……ぐすっ……」
自分の事情を断片的に伝えていく内に、気が付けば僕の頬を熱いものが流れていました。
「え!? ど、どうしたの!?」
「す、すみません……あの、し、知ってる人がいなくて、そ、それで、どうお話すればいいのかわからなくて……ううっ……」
自分でもわけがわからず涙が出て来る。
うぅ、高校二年生なのに、情けないよぉっ……。
「あぁ! ちょ、ちょっと待ってね!? ぎ、ギルド長を呼んでくるから! ギルド長――! ギルド長――――――――――!」
お姉さんは突然泣き出した僕に慌てたように、ギルド長を呼び始めました。
すると、奥から20代後半くらいのお姉さんが出てきました。
「あー、どうしたのー……って、え!? 何その娘!?」
「実は、何か事情があるようで……ギルド長、ちょっと対応してもらえませんか!?」
「あー……なるほど、訳ありって奴かー。ん、了解した。じゃあ、お嬢さん、ちょっとこっちに来てねー」
「あ、は、はい……」
来るように言われて、僕は袖でぐしぐしと涙を拭うと、ギルド長さんについて行く。
通されたのは、執務室という言葉ぴったりな場所でした。
奥には立派な机があって、手前にはテーブルとソファが置かれていました。
周囲には本棚があって、資料や本がいくつも仕舞われていました。
僕はソファーに座らされると、目の前にサファイアのように蒼い色の飲み物を置かれた。
「あの、これは……?」
「アクアフィールの特産品、
にこっと微笑みながらそう言われて、出されたジュースを一口。
すると、優しくて爽やかな甘酸っぱさが口の中に広がった。
あ、これ、美味しい……。
こく、こく、と両手でコップを持って一息に飲み干す。
「おかわりいるかな?」
「お、お願いします」
「了解だ」
おかわりをお願いすると、お姉さんは小さく笑って、新しく注いでくれる。
「さて、と。まずは事情を聞こっか。お嬢さんの名前は? それと出身に、どうしてここにいたのかとか、諸々。できれば、包み隠さず教えてくれると助かるかな」
ジュースのおかわりを受け取ると、少しだけ真剣な、けど僕のことを慮ってか、柔らかい表情で僕のことを尋ねてきました。
「わ、わかりました。あの、えっと、荒唐無稽なお話かもしれませんけど……」
「構わないとも。まずは事情把握が先だから」
優しく笑いかけながら言ってくれて、僕は安心して事情をお話した。
日本という国にいたこと。
いつも通りの日常を過ごして、眠って起きたらこの場所にいた……そんな感じのこと。
そして、名前については……外見の関係上、神薙みたまとして通しました。
「――なるほどなるほど……ふーむ、その姿に蒼い瞳、か……しかも、異世界から……」
僕のお話を聞き終えたお姉さんは、口元に指を当てて考え込みました。
「し、信じられません、よね……」
「いや、信じよう」
信じられないだろうなぁ、と思って訊いてみると、お姉さんは真っ直ぐに僕を見つめて信じると言ってくれました。
「……ふえ?」
「というか、異世界人はたまーに現れるから」
驚く僕に、お姉さんは更なる爆弾情報を落としました。
「そ、そうなんですか?」
「そうだよ。まあ、異世界人が呼び出される理由には、必ず何かしらの理由があるの。例えば魔王を倒してほしいとか、土地を助けてくれとか、まあ色々ね」
「じゃ、じゃあ、僕にも何かそう言う事をしてほしい、ということですか……?」
「呼ばれた以上は。……それに、それをしないと帰れない」
「え、帰れるんですか!?」
帰れる可能性が提示されて、僕は思わず声を上げた。
か、帰れる、本当に!?
「帰れるよ? そういう理由で呼び出されているんだから。多分、君のステータスに理由が書かれていると思うけど……」
「す、ステータス……?」
なんだろう、すっごくファンタジー作品でよく見かける単語が出てきた気がします。
もしかして、僕にも見えるのかな?
「というわけで、これを活用する」
そう言ってお姉さんが取り出したのは、一つの水晶玉。
「これに手を乗せると、君のステータスが色々と見られる、っていうわけ。さ、試してみて」
「は、はい」
言われた通り、僕は恐る恐る水晶に手を乗せる。
すると、
『神薙みたま 女 16歳
職業:神子
能力:魅了・無限活動・言語理解・身体強化
異世界人:湖の問題を解決するために喚ばれた』
という簡易的な物が出てきました。
「これは……なるほどー。戦闘向きではない方面で何とかしろ、ということだろうね、これは。身体強化が戦闘向きではあるけど、明らかメインはそれ以外だろうし……」
「あ、あの……?」
「あー、いいかな? みたまさん。あなたはおそらく、この街で起こっているちょっとした問題を解決するために喚ばれたんだろうね」
「問題、ですか?」
この街に何か問題があるのかな……?
「そう、問題。実はこの街がある湖の底には、水神様というお方がいてね。その方の機嫌が最近悪くて、ちょっと問題になっているの」
「えっと、理由は……?」
「可愛い娘が最近いない……なんかむしゃくしゃする、らしい」
理由を尋ねると、お姉さんはまるで苦虫を嚙み潰したような顔で、理由を言いました。
「えぇぇ……」
なんだろう、神様だからなのか、すっごくアレな理由……。
「それで、君が喚ばれてしまったんだろうね。見た所、かなり有力な能力を保持しているみたいだし、職業相性もいい。是非とも、これを解決してほしいんだけど……」
頼めないかな? と言われて、僕はちょっとだけ考え込んで……
「わかりましたっ! 帰るために頑張りますっ!」
僕はそのお話を受けることにしました。
「そうか! ありがとう!」
僕が受けると答えると、お姉さんはすごく安堵した表情を浮かべて嬉しそうに笑いました。
「でも、水の底なんですよね? んっと、どうやって行けば……?」
「あぁ、それについてはみたまさんの『無限行動』があれば大丈夫。それはどこでも問題なく活動ができるって言う物で、水の中でも呼吸ができる……というより、呼吸が必要なくなる能力だから」
「け、結構すごい能力ですね……」
まさか、僕にそんな能力があるなんて……。
かなりすごい能力が備わっているとわかって、嬉しいような、困惑するような……不思議な気持ちです。
「というわけだから、安心して行って来てほしい。あぁ、ちなみに湖の中はとても綺麗でね、ついでにそっちも楽しんでくるといい」
「わかりましたっ! じゃあ、今から行って来ます!」
そう言うと、僕はお部屋を出て、湖へ向かいました。
「今から!? って、行っちゃった……それにしても……何あの娘、可愛すぎぃぃ……」
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前書きの通り、記念話に入りますが、今週一週間はこのお話となります。
理由は……なんか、書いてくうちにクソ長くなってしまったからですね。本当なら、☆1000記念の時みたいに、配信のお話がいいんでしょうが、私がなんとなくみたまの姿で異世界に行くという話が見たかったのでこうなりました。
通常のお話を楽しみにしてくださっていた方たちには大変申し訳ありませんが、本編の方はお待ちくだせぇ……!
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