#43 総合部門の発表と、コラボ配信前

「それでは最後に、大目玉! 総合部門の発表でーす!」

「今年こそ! 今年こそは一位を取るぞーーー!」

「頼むっ、一位ッ……!」

「三位でもいいから入賞したい!」

「呼ばれてくれぇ!」


 と、総合部門の発表を前に、周りはかなりざわざわと騒がしくなりました。

 各部門の一位を取るのも大変だけど、やっぱり総合部門が一番難しいもんね。


「えー、こちらの総合部門はですね、全ての出し物が対象となっております。基準としましては、売り上げ+アンケートですね。まあ、屋台部門と同じ基準ですね。とはいえ、屋台とクラスでは明らかに規模感が違いますので、ハンデとしまして、売り上げを1.25倍したものが売り上げ数値として反映されますので、ご了承ください。……さぁ! 早速発表していきますからね! 野郎共、準備はいいかーーー!」


『『『Yeahhhhhhhhhhhhh!!』』』

「クオカードが欲しいかーー!」

『『『Yeahhhhhhhhhhhhh!!』』』

「タダ飯が食いたいかーー!」

『『『Yeahhhhhhhhhhhhh!!!』』』

「よーし、じゃあ早速発表と行きますよーー! じゃあ、まずは第三位!」


 昔のクイズ番組みたいなノリと共に、発表が始まりました。

 すごい熱気だなぁ。


「あたし、うちのクラスが一位なんじゃないかなぁって思ってる」

「奇遇だな、俺もだ」

「あ、あはは、さすがにないんじゃないかなぁ……」


 かなり売り上げは出ていたけど、それでもまだわからないし……。


「では、まず第三位!」


 ドラムロールが流れ出すと、さっきの二つの部門以上に周囲が緊張しだした気がしました。


「疑似居酒屋、渓流です! ダブル受賞おめでとうございまーーーす!」

「屋台で三位とか取れるのかよ!?」

「うっそだろ!?」

「え、これ夢じゃねえよなぁ!?」

「えー、こちらはですね、かなりの売り上げが出てましたねぇ。そもそも、屋台部門でぶっちぎりの一位でしたね! いやぁ、屋台系が総合部門で入賞するのって滅多にないですからね! 誇ってくださいね! ではでは、第二位です! 第二位は!」


 あのお店、三位取れたんだ!

 すごいなぁ。

 けど、味も良かったし、すっごく納得です!

 あのお店をしていた人たちが三年生だから、来年は無いのが残念だけど……。


「三年二組、三年三組合同のお化け屋敷、呪館でーす! おっと! こちらもダブル受賞ですね! おめでとうございまーーーす!」

「あーー! 総合は無理だったかーーーー!」

「くっそー、絶対いけると思ったんだけどなぁ」

「悔しい!」

「まあでも、二位でも十分すぎるくらいに嬉しいよね!」

「だな!」


 わぁ、あのお化け屋敷もダブルで受賞してる!

 うんうん、あのお化け屋敷すっごく怖かったからね……思い出すだけでも、ちょっと泣きそうだし……。


「こちらもすごい売り上げでしたねぇ! いやはや、二クラスで頑張るとこうなるんですね! 今の二年生一年生は、来年これが手かもしれません! さて! それでは皆様お待ちかねぇ! 第一位の発表だーーーー!」

『『『Yeahhhhhhhhhhhhh!』』』

「はいはい! いい歓声です! では、第十四回、姫月学園学園祭、総合部門の栄えある第一位は!」


 と、今まで同じようにドラムロールが流れ出したけど、それがいつもよりも長くて、その分緊張の時間が長引く。

 そして、一位が発表されました。


「二年一組、執事・メイド喫茶、憩です! おめでとうございまーーーーーーーーす!」

「ふええぇぇぇぇぇ!?」

「「フラグ回収!」」

「やったぜ!」

「よーし一位!」

「これ絶対桜木のおかげだよな!」

「やったぁぁぁぁぁ!」


 と、比較的近くにいたらしいクラスの人の喜びの声が聞こえてきました。

 う、嬉しいのはわかるけど、い、一位って……!


「いやぁ、あのクラスは大盛況でしたね! カッコイイ執事に、可愛いメイド! 接客も完璧で、料理の味も全て上質! 私もついつい何度も行っちゃいましたよねぇ! では、アンケートの内容を見てみましょう! えー『ロリっ娘メイドが可愛すぎた』『すまん、お兄様は死ねる』『お姉様呼びで無事ロリコンになりましたありがとうございました』『は? 私の妹しか勝たんが? 私の妹が一番だが!? 布教しないと消す!』『ロリ×メイドは最高ですよねぇ~~!』『ロリメイドは良き』『味も良かったけど、メイドさんが良かったぞ!』『か、可愛かったんじゃないかしら!?』『めっちゃカッコいい執事さんが実に目の保養でした!』『彼氏になってほしいくらいカッコよかったです!』『全体的にレベルが高かったです! 個人的にモデルみたいに綺麗なメイドさんが好みでした!』『ロリメイドさんの料理技術がぶっ飛んでて驚きました!』『二日目、銀髪、狐耳、尻尾、メイド、という萌えの大渋滞を起こしてて死にかけました!』とのことですね。他にもまだまだありますが……なんでしょうね、約一名、過激派がいません?」

「……」


 絶対、お姉ちゃん……!

 あと、間違いなく、寧々お姉ちゃんに藍華お姉ちゃん、千鶴お姉ちゃん、ミレーネお姉ちゃんがいたよね!? 嬉しいけど、わかりやすすぎだよぉっ!


「というか、ここに書かれてる内容、ほぼ同一人物ですね。まあ、どなたかはわかってますが。いやぁ、しかし……このクラスはすごかったですよね! ものすごい可愛いロリっ娘メイドがおりまして、運が良ければそのメイドさんの手料理が食べられるわけです。私は食べましたがね! いやぁ、美味しかったですよね! ともあれ! 二年一組のみなさん、おめでとうございまーーーす!」


 環先輩がそう言うと、体育館内は一気に拍手でいっぱいになりました。

 う、嬉しいけど……嬉しいけど! ほぼ僕を狙い撃ちしているような内容だから、恥ずかしくて素直に喜べないですっ!

 隣にいる柊君と麗奈ちゃんは生暖かい目で見て来るし!

 うぅ……。


「はい! というわけでですね、これから表彰を行いと思いますので、各部門の一位になったか方は壇上にお願いしまーす」

「じゃ、じゃあ、柊君おねが――」

「椎菜ちゃんGO!」

「なんで?!」

「俺も椎菜でいいと思うぞ」

「柊君まで!?」

「いやだって、椎菜ちゃんが一番頑張ったし」

「そうだな。レシピを考えて、練習に付き合い、一週間クラスメートの朝食と夕食を作った挙句、本番当日は調理と接客をこなし、一日目に至っては当番じゃないのにやってたしな」

「そう考えたら椎菜ちゃん、働きすぎじゃない?」

「え、そ、そう?」

「そうだな」

「うん」

「そ、そうなんだ……」


 そっか、僕って働き過ぎだったんだ……。


「えー、二年一組の代表者の方―、早く壇上に来てくださーい」

「と、いうわけだ。椎菜、行ってくれ」

「やっぱり僕なの!?」

「そりゃぁなぁ」

「はいはい、行きましょうねー」

「ふあぁぁ! 麗奈ちゃん押さないでぇぇ~~~~!」


 僕の抵抗も空しく、麗奈ちゃんに連行されるようにして、僕は壇上に連れていかれました……。


「お、来ましたね! 今日の主役!」

「主役はやめてください!?」

「それじゃあ、向こうに並んでくださいねー」

「あぅぅ……」


 なんだか視線がすごいよぉ……帰りたいよぉ……。

 い、一応、配信の時の人数に比べたら、全然少ないけど、それでも大人数だよぉ……。

 恥ずかしい、恥ずかしいとずっと思っている内に、前の二人が表彰されていき、遂に僕の番になってしまいました……。


「はい、では最後! 総合部門第一位! 二年一組殿! あなた方は第14回姫月学園学園祭において、優秀過ぎる結果を残し、尚且つ萌えキルスコアを大量に稼ぎました!」

『『『ぶふっ!』』』


 萌えキルスコアって何!? どういうこと!?

 あと、すっごい噴き出すような音が聞こえて来たよ!?


「よってここにそれを賞します! 改めて、おめでとうございまーーーす!」

「あ、あはは……」


 おかしな言葉が聞こえたけど、さすがに中身は……って、そのまま書いてあるぅ……。

 本当に萌えキルスコアって何……?


「それでは最後に、総合部門第一位を取った、桜木椎菜さんに、今のお気持ちを聴かせてもらいましょう! 第一位、どうですか?」

「ふえ!? あ、え、えと……す、すみません、萌えキルスコアのインパクトが強すぎて……それどころじゃないです……」

『『『ぶふっ―――!』』』

「あははは! ですよね! 私もこれを見た時笑いましたよ! ですが、あなたのクラス、特に椎菜さんが接客したお客さん、お店を出た後幸せそうな顔で死んでましたからね!」

「全然大丈夫じゃないお話ですよ!?」

「あっはっは!」

「笑い事じゃないですよぉ~~~っ!」


 本当におかしい状況です……。


「屋台部門、アトラクション部門には、クオカード3000円分が、総合部門では5000円分が配られますので、大事にお使いください! 尚、屋台部門、アトラクション部門の二位には2000円、三位には1000円が配られ、総合部門では二位が3000円、三位が2000配られる予定ですので、こちらも大事にお使いくださいねーー! 以上、表彰式でした!」


 そんなこんなで、色々とおかしなことはありつつも表彰式は終わり、学園長先生の閉会の言葉でもって、今年の学園祭は幕を閉じました。



 それからクラスに戻った僕たちは、そのまま帰宅に。


 今日は元々四時間で予定されていて、昼休み後は午前にお片付けが終わっていれば帰宅で、終わっていなければお片付け、という風に組まれているためです。

 僕たちのクラスは午前中には終わったので、そのまま帰宅、というわけです。

 個人的には、今日はコラボ配信があるから、すごく助かりました。


 そうして、お家に帰ると、お姉ちゃんがお出迎えをしてくれて、軽く家事を済ませて夜ご飯を食べました。

 先にお風呂にも入っちゃって、あとは配信開始を待つだけ、という状況に。


「ふぅ……どんな人が来るんだろうなぁ……」


 なんて、お部屋でぽつりと呟くと、事務所用のスマホに連絡が。


「あ、マネージャーさんかな? もしもし」

『もしもし、神薙さん、配信準備は出来ていますね?』

「はい、大丈夫です」

『よかったです。この後、コラボ配信を始めるかと思うのですが、その相手も同じくVの姿で参加するそうなので、表示方法を書いたメールを今送りましたので、ご確認ください』

「あ、はい。わかりました。それにしても、相手の人ってVTuberなんですか?」

『そこは内緒です。ともあれ、頑張ってくださいね。私も楽しみにしていますので!』

「はい、頑張ります!」

『いい返事です。それでは、失礼致します』

「はい、失礼致します!」


 通話終了。


 うーん、VTuberで参加するんだよね?

 やっぱりVTuberさんだと思うんだけどなぁ……。


 本当に誰なんだろう?

 腕を組んで、うーんうーんと悩んでいると、待機画面でたくさんの人たちが思い思いにコメントをして盛り上がっていました。


【いやぁ、マジで今回のコラボ誰なんだろうなー】

【まーじで情報ないんだけど。ここまで隠す相手ってよっぽどじゃね?】

【個人的に、一期生か二期生のまだコラボしてない相手だと思ってんすがね】

【いやいや、だったら隠す意味なくね?】

【じゃあ、他事務所とか?】

【うーん……それはどうだろうなぁ……】

【らいばーほーむって、頭おかしいからコラボしたがるかどうか……他の事務所が】

【倒置法やめいww】


 と、どんな人がコラボ相手なのか、気になっている様子。

 僕も気になってます……。


「あ、もうすぐ時間だ。……うん、どんな人が相手でも頑張ろう!」


 ふんすっ! と一人で意気込んだ僕は、今日の配信に臨みました。


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 はい、ストックが尽きました!

 いつもなら、この後掲示板回とかぶち込んでるんですが、生憎と、書く暇がねぇ! なので、今回は無しです! まあ、余裕が出来たら書いて行こうかなって思います。

 次の投稿は、明日か明後日を予定していますが、あんまり期待しないでいただければ幸いです!

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