#38 ビンゴ大会、二日目も無事終了
ちょっとしたお知らせあり。
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お昼ご飯を食べ終えた僕たちは、再び学園祭を歩いて回る。
「んー、次はどこに行こっかー」
「そうだな……椎菜は行きたいところはあるか?」
「うーんと、体育館?」
柊君に行きたいところがあるかどうか訊かれて、少しだけ考えてから体育館と口にしました。
ちょっと気になる物があったので。
「なんかあったっけ?」
「ちょっと待ってくれ。あー……これか。なるほど、どうやらもうすぐ体育館でイベントがあるらしい。あと、フリマも」
「へぇ、イベントってなに?」
「なんでも、ビンゴ大会らしい。椎菜、お前これが気になるのか」
「うん。ちょっと気になる物があって! それに、ビンゴカードなら、もう貰ってるしね」
「え、いつの間に?」
このビンゴカード、昨日のミスコンテストで貰った優勝賞品に隠すように紛れていました。
せっかくだしと調べてみたら、個人的に気になる物があったので参加したいなぁって。
「昨日のミスコンテストの賞品に紛れてたの。あ、二人も参加する? 五枚くらいあったから」
「多くね?」
「そんなにいる?」
「それはわからないけど……多分、お友達と参加してね! って言う意味じゃないかなぁ」
「いやそれ、数打ちゃ当たる理論だろ」
「うん、間違いない」
「あ、そうかもね~」
枚数があればあるほど、当たりそうだもんね。
「とりあえず、行ってみるか」
「「おー」」
折角だし、ということで一度校舎内に入ってから体育館へ。
体育館の一角ではフリーマーケットが開かれていた、かなりの賑わいを見せていました。
たしか、PTA主催だったかな。
見た感じ色々売られてるなぁ。
あとでちょっとだけ見ようかな?
「うへぇ~、体育館は蒸すねぇ……」
「そうだな。一応、大型扇風機がついてはいるが」
「うー、メイド服が結構暑い……」
「……椎菜。俺はお前たちと違って長袖なんだ。もっと辛い」
「あ、ごめんね」
「いや、いい。暑さに弱いわけじゃないしな。椎菜は小さい、前の方に行くか」
「うん、そうしないと見えないし……」
前の体もそこまで背が高くなかったけど、今の方がもっと小さいし……うぅ、なんでこんなにちっちゃくなっちゃったんだろう……胸の方は大きくなっちゃったのに……。
できれば身長に回ってほしかったです……。
ほろり、と涙がほんのちょっぴりだけ出てきつつも、前の方へ移動。
「この辺でいっかな?」
「うん。多分見えると思うよ」
「んじゃ、もう少し待つか」
ビンゴ大会が始まるまでの間、三人で仲良く談笑。
そうすると、少しずつ人が集まって来て、体育館の三分の二くらいが埋まったところでビンゴ大会が始まりました。
「はいどうもー! 今日も今日とて引っ張りだこの放送部部長、環です! 今日はビンゴ大会! 大人から子供まで、幅広い景品をご用意しておりますので、是非是非、楽しんでいってくださいね! あ、仮に何も当たらなかったとしても、参加賞がありますのでご安心を! ではでは、皆様も気になる事でしょうし……ビンゴ大会の景品、カモーン!」
環先輩がテンション高くそう言うと、ステージ袖からガラガラというキャスターを転がす音と共に台車に乗せられた景品が出てきました。
すると、会場内はその景品の内容にざわつきだす。
景品の内容と言えば、無駄に豪華と言いますか、高校生ならかなり欲しがるような景品がたくさんでした。
一例を挙げると、ノートパソコンやゲーム機、もしくはソフトとかですね。
他にもいろんな物があるけど……僕は一つだけ欲しい物がありまして、是非ともそれが欲しい所……!
というか、どこからこんなに景品を持って来たんだろう……?
「はぇ~、すごい景品内容だねぇ」
「そうだな。去年は参加しなかったが、なるほど、これは人気だろうな」
「あー、去年とか参加者がすごかったらしいよね。しかも、先着順だったみたいだしねぇ」
「あぁ。で、椎菜は何か欲しい物があったのか?」
「あ、うん!」
「へぇ! 椎菜ちゃんが欲しがるものか~。何々? あそこにあるお菓子セットとか?」
麗奈ちゃんが指し示したのは、洋菓子や和菓子などたくさんの種類のお菓子が入った、お菓子の詰め合わせセット。
女の子が喜びそうだけど……。
「ううん。それじゃないよー」
「違うんだ。んー、なんだろう? ゲームやPCを欲しがるようには見えないし……」
「そうだな。椎菜が欲しがりそうな物って言うとなんだ……?」
「ふふふー。秘密です! とはいっても、当たるかどうかはわからないけどね」
「いや、案外椎菜なら当たりそうだがな……」
「そ、そうかな?」
「たしかに……こう、しれーっと当てちゃうタイプだよね、椎菜ちゃん」
「そういえば、商店街の福引で当てたことがあったな」
「あったね~。あの時は確か……海鮮セットだったかな? お魚を捌くのが大変だったけど」
「え、椎菜ちゃん魚捌けるの!?」
「簡単な物ならできるよー。本当に簡単だけど」
「できるだけですごいと思う、あたし」
「実際、椎菜の調理技術は地味に高いからな……だから、あのレシピができたってのもある」
「ほへぇ~、本当にこう、隠れた逸材だったんだねぇ」
「そ、そこまでじゃないよ~」
いくら捌けるとは言っても、初心者もいいところだしね。
けど、いつかはもっとできるようになりたいなぁ、っていうのはあるかも。
お料理の腕も上げたいよね。
個人的に、いつかフグを捌けるようになりたいです。
「さてさて! みなさん、ビンゴの準備はいいですか? いいですね?」
「おっと、そろそろ始まるみたいだな。ま、気楽にやるか」
「うん!」
「当たったらいいなぁ」
というわけで、ビンゴが始まりました。
「18番! 18番でーす!」
「あ、あった!」
「俺はないな」
「あたしはあった!」
早速カードにある番号が出て来て、ぷち、と穴を開ける。
最初から穴が開くと嬉しいよねぇ。
あ、他の三枚も18番がある。
ルールとしては、複数枚ビンゴになっても、景品は一人一つみたいだし、全部なっても困るけどね。
とりあえず、一番欲しい物が手に入ればいいなぁ。
なんてそう思いながらビンゴは進み……。
「次は75番! 75番でーす! さてさて! ビンゴになった人がそろそろ出て来てもおかしく無い頃ですねぇ。あ、ビンゴになった人はビンゴって言ってくださいね!」
75番を言われて、ビンゴカードを見ると……あ。
「ビンゴだ」
「マジか」
「マジで?」
「う、うん、ほら」
そう言って二人に、綺麗に斜め一列に穴が開いたカードを見せた。
「よかったじゃないか。ほら、ビンゴって言えよ?」
「う、うん。え、えと、びんごっ!」
「おっとーー! ビンゴが聴こえましたよー! ビンゴになった人は、壇上に上がってきてくださいね!」
「え、行かなきゃダメなの……?」
「まあ、当然だと思うよ?」
「だな。むしろ、行かなきゃ選べないだろう」
「そ、それもそうだね」
この姿、結構目立つから上に行きたくないけど……けど、あの景品のためっ……!
今感じている恥ずかしさを欲しい物のためだと押し込んで、壇上へ。
「え、超可愛い娘が出て来たんだけど」
「天使か……?」
「ってか、あの姿、なんかみたまちゃんに似てるなぁ」
「リアルみたまちゃんキタコレ!」
「すげぇ完成度だなぁ……」
「それにしても、メイド服に耳と尻尾とは……あれを考えた奴はわかってる」
うぅ、なんだか話し声が聞こえるような……。
き、気のせい? 気のせいだよね!?
「おやおや、桜木さんではないですか。昨日ぶりですねぇ」
「あ、は、はい、昨日ぶりです……」
「まさか、初手ビンゴとは、かなりの幸運! ささ、一番最初ということで、選り取り見取りですよ! 何を選びます? あ、やっぱりゲームとか? それとも、PC? あ、化粧道具って言うのもありますが」
「あ、いえ、実はもう決まってまして……」
「おや! お目当てが! ではそれを持ってってどうぞ!」
「は、はい。じゃあ、あの、これを貰っていきますね」
そう言って僕が指し示したのは、大きな箱でした。
もちろん、ただの箱じゃなくて、中には……
「え、まさかのそれ、ですか?」
「はい!」
「でもそれ、料理道具セットですよね? 女子高生が選ぶ物がそれ?」
「はい! 個人的に、欲しかった圧力鍋も入っていますし、何よりいい包丁も入ってますからね! ちょうど、刺身包丁が欲しかったですし、三徳包丁もそろそろ新しいのが欲しいなぁって思ってたので!」
うきうきとした気分で、環先輩の言葉にそう返す。
個人的に圧力鍋の存在も大きかったです。
というより、これがメインかな。
僕のお家に無くはないんだけど、最近圧力鍋の調子が悪くなっていて……それで、新しい物を買おうかなぁって考えている時に、ビンゴ大会で出品されるって知って、それで出ようと思ったわけで。
「な、なるほど、ちなみに、クラスの出し物的に料理をするんだろうなぁとは思いますが、なぜに、刺身包丁?」
「えっと、お魚を捌くのに使いたいなぁって」
「捌けるんですか!?」
「はい、簡単な物なら」
「えぇぇぇ……」
麗奈ちゃんにも驚かれたけど、そんなに驚くことかな……?
お料理が好きだから、色々やってみたくなる過程で、捌くこともあると思うんだけど……。
あれ? もしかして、僕が変?
「マジかよ、あんなに可愛くて料理もできる……?」
「しかも魚を捌けるのは普通にすげぇ」
「あれでJK? マジ?」
「どう見ても小学生ぐらいにしか見えないのにな」
「にしても……見た目もそうだけど、声もみたまちゃんに似てるよなぁ」
「わかる! リアルみたまちゃんって感じだよね! 可愛い!」
「ま、まあ、それでいいのならいいです! あ、持ち運べます? 無理そうなら、後日郵送という形も取れますが」
「あ、はい、えっとちょっと待ってもらえますか?」
「構いませんよ! 時間もありますし!」
どうやって持ち帰るか尋ねられて、一度そう言うと、スマホを取り出す。
さすがにお仕事中だけど……今日は在宅のお仕事だから多分大丈夫なはず……。
スマホでお姉ちゃんの番号に電話を掛けると、いつも通り最初のコールが鳴り切る前にお姉ちゃんが出ました。
『はいはーい! 絶賛、お仕事中の社畜お姉ちゃんでーす! 世の中のクソ会社は滅んでしまえー☆』
……お姉ちゃんっ……!
「あ、あの、お姉ちゃん? 実はちょっとお願いがあって……」
『ん? なになに? 何でも言って! 椎菜ちゃんのお願いならなんでもOK!』
「ありがとう。んっとね、ビンゴ大会でお料理道具セットを手に入れまして、それで、それが結構大きくてね? だから」
『あー、はいはい、なるほど! つまり、お姉ちゃんが車でそっちに行けばいいってことだね! りょーかい! お仕事ももうすぐ終わるし、すぐにそっちに行くよ!』
「ありがとうっ! 大好きっ!」
『おごふ――(ガタドタバッターンッッッ!)』
……お姉ちゃん、また転んじゃったんだろうなぁ……。
「と、とりあえず、あの、お願いしますっ!」
『りょ、りょーかーい……ふへ――』
通話終了。
「あ、えっと、お姉ちゃんが車で来てくれますので、その時にお持ち帰りします!」
「了解です! でしたら、一旦はこちらでお預かりしますので、お帰りの際に職員室に寄っていただければ!」
「わかりました! ありがとうございますっ!」
「はいはい! ではでは、お戻りください!」
「はい!」
足取り軽く、僕は二人の所へ戻る。
「ただいま!」
「椎菜お前、欲しい物って料理道具セットだったのか」
「うん! 全体的に買い替えようかなって思ってたから!」
「あたし、花の女子高生が圧力鍋と包丁を欲しがってる姿とか、初めて見た……」
「普通は見ないと思うぞ……」
「???」
なんで二人とも苦笑いしてるんだろう?
そんなにおかしいかな、僕が貰った物。
「見てよ、高宮君。椎菜ちゃん、どうして苦笑いされてるんだろう、って思ってるよね、あれ」
「そうだろうな。まあ、個性の話だし、別にいいとは思うがな。椎菜らしい」
「?????」
どういう意味なんだろう?
そう思いながらも、ビンゴ大会は進みました。
ビンゴ大会の結果として、柊君と麗奈ちゃんの二人もビンゴとなり、柊君はゲームソフトを。麗奈ちゃんはお化粧道具を貰っていました。
二人とも目当ての物だったようで、すごく嬉しそうでした。
参加してよかった!
◇
ビンゴ大会が終わった後は、再び三人で歩き回る。
麗奈ちゃんと準備期間中に歩いていた時に見つけた、コーヒーカップのクラスにも行ったし、ポップコーンを出すお店にも行きました。
その時、ものすごい勢いで回されましたが、楽しかったです。柊君はグロッキーになってたけど。
他にも図書委員の出し物の古本屋さんにも行って、欲しかったお料理の本を買ったり、押し花の栞を買ったり。
家庭科部ではレシピが配られていたので、全種類貰ったり。
その他にも目一杯回って、歩き回って、買って、貰って、そうして楽しい時間を過ごしました。
そんな楽しい時間はあっという間に終わってしまい……。
『ご来場の皆様、本日は姫月学園学園祭にお越しいただき、ありがとうございました! 只今の時刻を持ちまして、今年度の姫月学園学園祭は終了となります! 昨日今日とお越しいただき、ありがとうございました! お祭りは楽しんでいただけましたでしょうか! もしお楽しみいただけたようであれば何よりです! 学生のみなさんはこの後、体育館にて後夜祭が行われますので、是非是非ご参加を! あ、強制参加とかではないので、今すぐに帰りたい! という方々はそのまま帰宅しても大丈夫ですし、午後八時までは学内に残ってもOKです! 明日明後日の二日間はお休みとなりますので、しっかり休んでくださいね! それでは、学園祭は以上となります! 皆様、ありがとうございました! 来年もお越しいただければ幸いです! ではではー!』
そんな最後の放送が流れると、学園内は大きな歓声で揺れました。
僕も一緒に声を出していたり……。
ともあれ、学園祭、楽しかったです!
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はい、私です。
えー、前書きにあるお知らせなんですが、実は次の火曜日から私、新しいお仕事が始まりまして、その関係上、今まで同じように毎日投稿する! ということが少々難しくなってしまいます。
楽しみにしていた皆様にはマジで申し訳なく思ってます。
とはいえ、せっかくこの一ヶ月半でかなり読まれるようになりましたし、気が付けばフォロワーが4000超えてるしで、これは投げ出せんぞ……! と思ってるんで、土日には投稿をしたいなぁって思ってます。なので、今後は週1、もしくは週2程度の投稿になるかと思います。申し訳ねぇ……。その分文字数を増やすか迷ってるけど……。
現在はギリギリまでストックを溜めている途中なので、2、3日は投稿を継続できると思います。まあ、それが途切れる時はまたお知らせします!
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