#26 夜ご飯とお風呂
色々と見て回って来てクラスに戻った後は、メニューの続き。
色々と改良を考えて、インターネットでいろんなレシピを見て、比較して、試しに作って……そんな風に調整を重ねていく。
当然、一度作った物は試食。
余った物は……内装担当のみんなに感想を聞くために食べさせて、反応を伺って、改善点があれば改善、それを繰り返すと、もうすぐ夜ご飯の時間帯に。
基本、調理メインの人がメニューを担当しているけど、基本的にレシピ作りはほとんど僕がやっています。好きなので!
あ、もちろんワンマンっていうわけじゃなくて、他の人たちにも色々と意見を聞いて、色々反映させてるので平気!
と、夜ご飯の時間帯になったので、僕はせっせとあることを始める。
「んー、簡単に鮭、エビマヨ、あとは梅かなぁ」
今いる人数が大体二十人ちょっとだから……一人二個と仮定して、数は五十個もあれば十分かな? あ、でも、男子はいっぱい食べるかもだし……もうちょっと作ろう。
ついでに、お味噌汁も作って……うん、決まり!
「じゃあ、ちゃちゃっとやっちゃお!」
僕は鼻歌交じりに、夜ご飯を作り始めました。
◇
それから一時間ほどでクラスのみんなの分のご飯が完成。
ワゴンに乗せて、クラスに運ぶ。
道中、すっごく見られたけど……あれかな、食べたかったとか?
でもこれはクラスのみんなのだからね! あげられませんっ!
なんてことを思いながらクラスに到着。
ガラッ! と扉を開けて、ワゴンを押して入る。
「みんなー、ご飯ですよー」
「「「どゆこと!?」」」
「「「あぁ、あれか!」」」
クラスのみんなの反応は二パターンでした。
片方は状況がわからなくて驚いている人たちと、もう片方は去年の僕の行動を知っている人たち。
「おー、待ってました! 椎菜ちゃん、今日は何々!?」
「うんっとね、おにぎりとお味噌汁! あ、欲しい人は並んでねー」
「なに!? ってことは、桜木の手作りか!?」
「椎菜ちゃんの手作りおにぎり!?」
「味噌汁付きだとぅ!? 絶対に食わねば!」
「今年もやってくれるとかマジ感謝しかない!」
などなど、好意的に受け止めてくれたみんなは、我先にとばかりに僕の前に並びました。
ちなみに、柊君と麗奈ちゃんはしれっと先頭にいます。
「ご注文をどうぞ!」
「ご注文て。椎菜お前、ノリノリだな?」
「えへへー、楽しいからね~」
苦笑い交じりに言う柊君に、にっこりと微笑みながら僕はそう返す。
僕はこういう時、ちょっと遊びを入れます。
だって、その方が面白いもん!
「そうか。……んで、何があるんだ?」
「鮭おにぎりと、エビマヨおにぎり、梅おにぎりに普通のお塩のおにぎりもあるよ~。あ、お味噌汁はわかめと油揚げだよ~」
「え、メッチャ家庭的……」
「ってか、普通に色々あんだけど」
「去年がよかったから、今年も期待できるわね!」
「数はいくつ頼めるんだ?」
「んっと、一応最初は一人二個! お味噌汁はいっぱいあるから、いくらでも! あっ、でも独り占めしようとする人はダメだからねっ! 喧嘩しないで、仲良く食べることっ!」
(((言い方可愛よ……!)))
「それで、柊君は何にするの?」
「あー、鮭と塩。味噌汁もくれ」
「は~いっ! おにぎり二つと、お味噌汁ですねっ! 合計三百円になります!」
「「「金取るの!?」」」
「なーんて! えへへー、無料だから安心してね~」
みんなからツッコミを受けて、僕はぺろっと舌を出していたずらっぽく笑う。
「「「ぐふぅっ!」」」
すると、クラスのみんなのほとんどが胸を押さえだしました。
何人かは鼻を押さえているような……?
どうしたんだろう。
「あ、はい、柊君!」
「おう、ありがとなー。んじゃ、食べさせてもらうよ」
「うん、いっぱい食べてねっ! 次の人~」
「あたし、エビマヨと梅! 味噌汁も!」
次に貰いに来たのは麗奈ちゃんでした。
すごくにこにこしながら注文してくれて、こっちも嬉しくなります。
「は~い! どうぞ!」
「わーい! あ、あとスマイル一つ!」
「ふえ!? す、スマイル!?」
麗奈ちゃんにスマイル一つと言われて、びっくりしてしまう。
は、初めて言われた……。
「うん、スマイル! ほらほら、本番当日に、もしかすると言われるかもしれないじゃん? だから練習を兼ねて! ね?」
な、なるほど、当日を想定して、ってことだね……!
麗奈ちゃん、よく考えてるんだなぁ。
それじゃあ……うん。
「わかりました! それじゃあ……えへっ☆」
「「「アッ―――」」」
バタバタバタ――――ッッ!
「ふええぇぇぇぇ!? ど、どうしたのみんなぁ!? なんで倒れちゃうの~~~!?」
なぜか、クラスのみんな(柊君と麗奈ちゃんを除く)がすごくいい顔で倒れて、僕は不安になって大きな声を上げてしまう。
な、なにがあったの!?
「え、エプロン付きの、ロリ巨乳美少女の笑みは……死ねるッ……!」
「やっぱ桜木ずるいだろ……」
「椎菜ちゃん、無自覚に殺してくる……可愛すぎぃっ……!」
「これはもう、当日は勝ったね……」
「え、えっと……」
「椎菜、気にしなくていい。あいつらはちょっと、そう言う発作があるだけだ」
「どういう発作なの!? みんな倒れたけど!」
「椎菜ちゃん、あれはね、そう言う病気のように見えて、正常だから、大丈夫」
「そ、そうなの?」
「「そうなんです」」
「そ、そっか。じゃ、じゃあ、うん……気にしないでおくね」
二人が大丈夫って言うならそうなのかも。
それに、みんなもそんなに辛そうな顔じゃないし……。
じゃあ、大丈夫だね!
などなど、そんなことがありつつも、夜ご飯はかなり好評で、何一つ残ることはありませんでした。
やったねっ!
◇
夜ご飯を食べ終えたら、後片付けをして、お風呂に。
お風呂とは言っても、シャワーだけど。
シャワー室はプールと体育館近くの二ヵ所あって、今日はプール側の方を使用することに。
日替わりで男女が入れ替わるんです。
シャワー室へ麗奈ちゃんと一緒にやって来ると、そこにはいっぱい人がいました。
「んー、こりゃ待ちかなぁ」
「だね~」
「そういえば椎菜ちゃんって、去年も泊まってたよね? その時ってお風呂とかどうしてたの?」
「んっと、普通に柊君と一緒に行ってたよ?」
「へぇ~、そうなんだ。……何か男子にされなかった?」
不意に、麗奈ちゃんの雰囲気が変わった気がしました。
なんだろう、ちょっと怖い?
「ううん? じろじろ見られたような気はしたけど……柊君が一緒だったし、それに、柊君が何か話してたよ?」
「そっかそっか! ならいいよ! でも椎菜ちゃん、入れる? 大丈夫?」
「……正直、入りたくないです」
「だよね」
僕の記憶が正しければ、脱衣所があって、その先は個室のシャワーが並んでいてって感じだったよね? だからその先は当然なにも着ていないわけで……あ、で、でも、もしかしたらタオルを巻いてるかもしれないし……!
「あ、ちなみにだけど、誰もタオルとか巻いてないからね?」
「……戻っていい?」
「だーめ♥」
「あぅぅ……」
すごくいい笑顔でダメと言われてしまいました……。
僕としては、元男なので、すっごく申し訳ないと言うか……プールの時はなぜかみんなノリノリだったけど、さすがにお風呂はダメそうだと思うし……。
そ、それなら……。
「じゃ、じゃあ、目隠しで入るのは……?」
「え、目隠し?」
「う、うん。それなら、他の人の体を見なくて済む、し……こ、個室に入ればだ、大丈夫、だと思って……」
「あ、あー、なるほど……うーんでも、危ないし…………よしわかった!」
「ふえ?」
「じゃあ、私が洗ってあげようじゃないかー!」
「……ふえぇ!? どうして!?」
「え? だって、目隠しは危ないし、途中まで人手が必要だよね?」
「そ、それは、うん……」
「けど、椎菜ちゃんちっちゃいし、ふとしゃがんだ拍子に外が見えちゃうよ?」
「ふえ!?」
あっ、そ、そう言えば、個室って結構扉の位置が高めだった気が……あっ!
そ、そういえばそうだよっ! 今の僕ってかなりちっちゃいし……ちょ、ちょっと見えちゃうんじゃ……。
「というわけで、私が目隠しした椎菜ちゃんをシャワー室に連れて行って、洗ってあげようかなって」
「ふえっ!? で、でも、あの、麗奈ちゃんは、い、いいの……?」
「全然いいよー。というか、むしろ役得」
「役得……?」
「おっと、こっちの話。で、どうする? 嫌なら嫌で全然いいから!」
にこっ、と笑ってそう言って来る麗奈ちゃん。
うぅ~~、と唸り声を出しながら頭を悩ませる。
で、でも、麗奈ちゃんはお友達だし……だ、だけど、目隠しをしているとはいえ、は、裸の状態で一緒は…………で、でもでも~~~っ!
うぅぅ~~っ!
「……お、おねがい、します……」
結局、お願いすることにしました……。
「うん、まっかせてー!」
頼まれた麗奈ちゃんはすっごく楽しそうな表情でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます