#21 突然の電話と、やらかしに気付いたTSっ娘
すみません、またしても訊きたいことがありますので、あとがきを見ていただければなぁと思います。
======================================
「はふぅ~~~……疲れたぁ……」
お部屋に戻るなり、僕は椅子に深く座り込んでだらーんとした。
「コラボ楽しかったなぁ~~~」
なんて、一人で呟く。
最初はほとんど初対面の人と上手くできるのか不安だったけど、三人ともいい人で、そんな心配はいらなかった。
肝心の配信も楽しかったし、その後の親睦会? もとっても楽しかったしね。
お料理も美味しかったし……今後も何とかなりそう。
そう考えながら、ちょこちょこ予習と復習をする。
いくら疲れているとはいえ、これは日課だからね。
普段からちゃんとやっていれば、テスト前に困ることもないのです。
……そう言えば、三人は大丈夫かなぁ。
知らないお家だし……あとで様子を見に行った方がいいかな?
なんて思っていると、不意に、スマホが鳴る。
この時間に誰だろうと思ってディスプレイを見ると、そこには柊君の文字が。
どうしたんだろ? って思いながら、僕は電話に出る。
「もしもし?」
『もしもし、椎菜か? 今大丈夫か?』
「あ、うん、大丈夫だよ~」
『よかった。あー、突然かもしれんが、落ち着いて聞いてくれ』
「あ、う、うん」
『まずは、そうだな……ドストレートに行くぞ? 神薙みたまの正体が椎菜なんじゃないか、とクラスメートの間で噂になってる』
「…………ふえ!?」
柊君からもたらされたお話の意味が、一瞬理解できなかったけど、すぐにそれがどういう意味なのかを悟り、僕は驚きの声を上げる。
「な、なんで!? どうして!?」
『どうしてって……いやお前、昨日の天空ひかりとのコラボ配信で、自分がTS病になった男の子だって言っちまったろ? しかも、愛菜さんも可愛い男の娘だったって言ってたし』
「……ああぁぁーーーーーっっ!」
そ、そうだよっ! 考えてみれば、TS病ってかなり身近じゃない病気だし、何より発症率が限りなく低い珍しい病気で、知っている人は少ないわけで……しかも、極めつけはお姉ちゃんの男の娘発言。
男の時の僕を知っている人だったら当然そういう可能性に行きつくよ……!
『やっと理解したか。どうせ椎菜のことだから、その辺を考えずに言っちまっただろうから、こうして電話してるんだよ』
ちょっとだけ呆れた様な口調でそう話す柊君。
「あぅぅ~~~、ど、どうしよう!? どうしよ~~~~~!?」
クラスメートのみんなに僕の恥ずかしいあれこれを見られちゃってる可能性があるってことだよね!? あぅぅ~~~、や、やっちゃったぁ~~~~~っ!
『それにお前、昨日は愛菜さんと帰宅したろ』
「う、うん」
『あの人美人だからな。当然人が集まるわけで、そんな中にお前が現れて仲睦まじい姿を見せてもいたし、お前は『お姉ちゃん』と呼んだわけだ。で、神薙みたまも天空ひかりのことをお姉ちゃんと呼ぶ。しかも、両方とも声が似てると来たもんだ。おかげで、大騒ぎだ』
「ふえぇぇぇ……」
『だが、だがな? まだ噂の範疇でとどまっている』
「そ、そうなの……?」
『あぁ。そもそも、椎菜はあまりそういうことをするようなタイプじゃないし、俺みたいに付き合いが長いわけじゃない奴の方が多い。だから、まだ誤魔化しが効く可能性はある』
「ほ、ほんと!?」
『正直、成功するかはわからんし、一度限りではあるが……』
「お、教えてっ! どうすればいいの!?」
バレたくない、そんな一心で何か考えがある柊君に方法を尋ねる。
『結構……というか、万に一つくらいの苦しい言い訳ではあるんだが……幸いにも、お前は発症した時期を話してはいない。そこを使うんだ』
「ど、どうやって?」
『TS病は確かに少ない人数の奴が多いが……決して0じゃないし、何より公表はされないだろう? 発症した日とか』
「う、うん。そうだね」
『だが、別にTS病発症者には教えていない、とも限らないわけだ。傍から見るとな』
「な、なるほど、たしかにそうかも……そう言えば、チラッといつぶりとは言われたけど……」
『よし、それを使おう。椎菜は神薙みたまかと訊かれた時『僕じゃないよ~。多分、僕よりも少し早くTS病になった人だと思うよ?』って言えば何とかなる可能性があるにはある』
「な、なるほど……! それならいけるかもっ!」
柊君の考えた言葉は、たしかになんとかなるかもしれない物でした。
『さっきも言ったが、結構言い訳としては苦しいからな? この辺りはまぁ……椎菜の演技と、普段の印象とか次第だな』
「う、うん。わかってる」
柊君の言う通り、確かに言い訳としては苦しいのかもしれないけど、そこは力押しするしかない、よね。
僕の羞恥心的な意味で、頑張らないと……!
『いやなんかもう、俺の方が先に知っててよかったわ、ほんと……お前は天然だから心配だしさ……』
「ご、ごめんね……」
『いやいいよ。俺は慣れてるしなー。ってか、椎菜の天然は今に始まったことじゃないし、大丈夫だって』
謝る僕に、柊君は明るい声でそう言ってくれた。
本当いいお友達を持ったよ……柊君がいなかったら、もうちょっと今の生活が大変だったかも……。
まあ、昔からこうして助けられてきたけど。
「ありがとう、柊君」
『おう。まあそれはそれとして……昨日と今日の配信、どっちも面白かったぞ!』
「あ、ほ、ほんと? というか、見てくれてたの?」
『まあな。あと、愛菜さん暴走しすぎだろ。しかもあれ、溺愛っぷりがパワーアップしてなかったか?』
「あ、あ~~……たしかに、女の子になってから結構すごくなった、かも……?」
特に反応とか。
あそこまで過剰じゃなかったような気はするんだけど……。
『やっぱりか。あの人はある意味すごいよ。あの溺愛っぷりを堂々と見せられるんだからなぁ』
「あ、あはは……」
『そうそう。俺もお前にスパチャ送っといたぞ』
「え、そうなの!?」
『おう。つっても、三千円程度だけどな』
「十分だよ!? むしろ、送らなくていいのに……」
『親友が頑張ってるからついな。あと俺、割とスパチャは送る方だし。軽い額だけど』
「そ、そうなんだ。んと、えと……あ、ありがとう、ね?」
『おう。あ、それとさ、これから学園祭の準備が入るだろ? お前、配信とかどうするんだ? やってけるのか?』
「うーん、最後の一週間は無理かもしれないけど、それ以外はやるつもり。やる日は決めてないし、まだ言えないけどね」
『そっか。ま、頑張れよー。応援してるからさ』
「うん、ありがとう!」
やっぱり、一番仲のいいお友達から応援されるのはすごく嬉しいね。
引かないでくれるだけでも十分なのに、こうして応援してくれるって、普通に考えたらかなり貴重だよね。
『あぁ、そうだ。そういやお前今日、買い物行ったんだってな?』
「ふえ!? な、何で知ってるの!?」
『え? いや、猫夜はつきのトワッターにそういう呟きがあったぞ。『三期生で買い物中だぞ!』ってあった』
「え、そうなの!? き、気付かなかった……」
『あぁ、別に写真はないから大丈夫だぞ』
「普通は写さないんじゃないかなぁ……」
『ま、身バレの危険性があるしな』
「うん。でも、そっか、そういうのを呟くのもありなんだ……」
そういう考えには至らなかったなぁ。
そうだよね、SNSアカウントがあるんだもんね。当然、配信の告知をするだけじゃないよね。
『まあそうだな。そこら辺はライバーの自由だと思うぞ? 例えば、こんなものを食べた、とかもあるしなー』
「あ、それいいね! 僕もやってみようかな?」
それはちょっと面白そう。
こう、自分で作った夜ご飯を上げるとか。
『お、いいんじゃないか? 椎菜は食べることが好きだし、それに神薙みたまは食いしん坊、みたいに思われてる節があるし』
「そうなの!? 初耳なんだけど!?」
自分の知らない評価があったことに驚く。
食いしん坊だと思われてるの……?
『椎菜の話題、普通に食べ物系多いしなー』
「そ、そういえばそう、かも?」
『だろ? だから案外ありだと思うぞ。……それで、話は変わるけど、お前買い物じゃ何買ったんだ?』
「あ、え、えーっと……し、下着とお洋服……」
『へぇ、やっと買ったのか。だが買わなさそうだったが、どういう風の吹き回しだ?』
「んっと、今日の服装を見て、三人にこの後買いに行こう! って言われまして、それで、あの、購入を……」
『なるほどなぁ……だから買い物か。けどまぁ、遅かれ早かれ必要だったんだ。よかったんじゃないか?』
「そ、そうだね……」
そこは柊君の言う通り。
間違いなく必要だとは思ってたし……それに、今回は三人がいてくれたおかげで、恥ずかしさも軽減されていたからね。
そこは良かったのかも……。
……ちなみに、お姉ちゃんに言わなかったのにはちゃんと理由があって……そもそもお姉ちゃんにそう言う事をお願いしたら、多分とんでもないことになるだろうなぁ、って思っちゃったからで……。
そう言う意味では、三人で良かった、のかも?
『あぁ、そうだ。学園祭の衣装なんだけどさ、デザインが届いたから、LINNに送っておくぞ』
「あ、ほんと? ありがと~。でも、もうできたんだ」
『あぁ、なんでも昨日デザイン班で集まって徹夜してまで考えたらしい。で、今朝方ベースとなるデザインが完成したから、俺経由で送っておいてくれだってさ』
「な、なるほど……そんなに頑張ったんだね」
『今の椎菜は可愛いからなー。だから、いかに椎菜を可愛く見せるか! って感じになったらしい。よかったな』
少しからかうように言って来る柊君に、僕はあはは、と苦笑いを零す。
『あぁ、それと――』
と、柊君が何かを言おうとした時でした。
「椎菜ちゃーん、お風呂あがったぞー」
「ん、お風呂ありがとう」
「最高でしたよぉ~」
三人が僕のお部屋にやってきました。
どうやらお風呂に入ったから交代するつもりのようだけど……。
『ん? 誰かいるのか?』
「あ、い、いや、あの、えと……ちょ、ちょっと、し、親戚の人がねっ!?」
『へぇ~、そうなのか。ってか、親戚が家に来るなんてあったか? しかも、こんな夜更けに』
「た、たまたまっ! たまたま近くに来ていてっ、それで、あのっ、えっと……お、お酒に酔っぱらっちゃって、それで、ぼ、僕のお家に……」
自分でもかなり無茶な誤魔化しだと思うけど……とりあえず、三人がいるのはあまり知られたくないので……!
『へぇ~、そんなことがあったのか』
「あれー? 椎菜ちゃん電話中だったか」
「ん、出直した方がいいかも」
「ですねぇ~。あ、椎菜ちゃ~ん~、お風呂空きましたのでぇ~、どうぞぉ~」
「千鶴さん、一応人様のお家だぞ?」
「うふふぅ~、なんとなくいいなぁ~、と思いましてぇ~」
「とりあえず、戻る。それじゃあ」
色々と後ろでお話していた三人は、そう言ってお部屋を出て行きました。
『……なぁ椎菜。俺の聞き間違いじゃ無けりゃ、今のってもしかして、さんき――』
「なにもっ、言わないでっ……!」
『……お、おう、そうか。まあ、なんだ……大変だな、椎菜も』
「…………うん」
色々と察してくれた柊君からの優しい言葉に、胸が痛みました……。
だってこれ、僕が誘った結果なんだもん……。
だ、だってしょうがないじゃんっ!
あのままお家に帰したら、それはそれで心配だもん!
でも、な、何もない、よね? そもそも、僕が何かをするはずがないし……さ、三人も大丈夫だよね?
『まあ、いいか。あ、そういや愛菜さん帰って来るんだろ?』
「あ、うん。お母さんたちがいいよって言ったからね。というか……僕が女の子になったことを知った二人が、お姉ちゃんに僕を守るように、って……」
『あー……なるほど、そう言う理由で解除が……。ってか、何気に椎菜の両親も過保護だよな』
「女の子になったら、そこが増したけど……」
『だろうなぁ……あれじゃあどこの親も過保護になるよ。今の椎菜、可愛すぎるしな』
「あ、あははは……」
そんなに僕って可愛いのかな……?
自分のことだからよくわからない……。
『っと、結構長く話しちまったか。じゃ、俺はそろそろ切るよ。あの言葉、ちゃんと覚えておけよ? 椎菜、微妙に嘘が苦手だし』
「う、うん、頑張る」
『よし。それじゃ、おやすみ』
「うん、おやすみなさい!」
そうして、柊君との電話は終わりました。
でも、そっかぁ……。
「う、噂になっちゃってるんだ……」
なんとしてでも回避しないと、だね。
======================================
補足として、みたまが姉とのコラボ時に暴露しまくった情報ですが、真偽を確かめられるのは本当にごくごく一部です。そもそも、義理の姉がいること自体、今のクラスで知っているのは柊くらいなので。理由としては、過去に何度か、姉を紹介してほしい、そんな風なことを言われたことがあるからです。
なので、本当にギリギリで、核心に至ってはいない状態です。クラスメート的に『これ桜木(椎菜ちゃん)っぽい? いやでも、性格面から考えて違う気も……』みたいな、半信半疑状態です。まあ、それでもかなりぎりっぎりだけど……。
それから、ここからが前書きにあった訊きたいこととなります。
実はというか……えー、ストックを確認していたところ、しばらく配信回が来ないことがわかりました。
具体的には、最低でも4話くらいはずっと配信外の話が続きます(閑話と掲示板は除いて)。なのでここは一つの考えとして、記念話のように、というわけではないですが、何かこう、本編とはリンクしてないけど、何か書こうかなって思ってます。んー、作中のキャラ(記念話で出て来たキャラでもOK)に対する一問一答でもいいし、逆に本作の設定に対する何かでもいいし。そんな感じの、箸休めが欲しいなぁって思ってます。ってか、なんだったら次の配信回が終わった後とか、普通に学園祭の話がメインになっちゃうから、その後も配信回が無いんで……その後でも使えたらなって。(現時点で学園祭準備期間の話書いてるし)
というわけなので! 話も四十話超えて長くなってきたし、一度キャラや設定について何か訊きたいことがあれば、それに対して答えるような、そんな感じの話しでも突っ込もうかなぁって思ってます。あと、+αでおまけの話しもちょこちょこ書くつもりです!
なので、何か訊きたいことがあれば書いていただけると私は非常に助かります! いやもう、マジで配信の話しとか結構反応がいいっぽいので、無いのが申し訳なくて……なので、せめてそれ以外で面白れぇ! と思っていただけるような話を追加したいと思ってますので、何卒宜しくお願い致します!
クソ長いあとがき、失礼いたしました!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます