#20 新しい自分の発見と、なし崩し的お泊まり

 いつもより短めですみませんっ!

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 一時間後。


「うへへぇ~~~、やっぱり女子会はたのしいろ~」

「ん、お酒美味しい。料理美味。ついでに、椎菜は可愛い」

「うふふぅ~、気持ちがいいですねぇ~~」

「う、う~ん……」


 三人は酔っぱらっていました。

 寧々お姉ちゃんは顔を赤くして、若干呂律が回ってなくて、藍華お姉ちゃんはひたすらお酒とお料理を飲んでは食べて、食べては飲んでを繰り返して、ついでと言いながら僕のことを褒めてきて、千鶴お姉ちゃんはずっとお酒を飲み続けていました。


「んん~~……椎菜ちゃんの膝枕ら~~~」

「ふわ!? ね、寧々お姉ちゃん!?」


 突然、隣に座っていた寧々お姉ちゃんが僕のお膝に頭を乗せてきました。

 思わず膝枕状態になってしまい、びっくりしてしまう。


「うえへぇ~~~、すっごく寝心地がいいろ~~~……寝ちゃいそう……」

「寝ないでねっ!?」

「ん、ずるい、寧々。私も膝枕してもらいたい」

「それでしたらぁ~、是非私もぉ~」

「ふえ!? あ、あの、えと……じゅ、順番でお願いします……」

「「わーい!」」


 なんだろう、子供みたいに……。


「んふふ~」


 と、本当に気持ちよさそうに僕のお膝に頭を乗せる寧々お姉ちゃんを見ていると……なんだろう、すっごく、あ、頭を撫でてみたい……!

 なんて思っていたら、気付くと僕の右手が寧々お姉ちゃんの頭を撫でていました。


「ふあ……んん~~~、椎菜ちゃんのなでなでいいねぇ~~~……」

「そ、そう、かな?」

「さいこうらろ~」


 なんて、目を細めて気持ちよさそうにしている寧々お姉ちゃん。

 なんだろう、すっごく不思議な気分……。


「じゃあ、んと……お昼のお返し、です。よしよし……」

「あぁぁぁぁぁぁ~~~~~~」

「むぅ、ずるい、本当にずるい……!」

「本当ですねぇ~! 私もしてもらいたいですよぉ~~~」

「あ、う、うん。えと、じゃあ、あの、寧々お姉ちゃん、そろそろ交代で……」

「わかっらろ~~~」


 全然呂律の回らない言葉で了承してくれた寧々お姉ちゃんは立ち上がると、反対側の席に。

 すると、今度は藍華お姉ちゃんが寝転んできました。


「ん、確かに、これはいい……」


 と、藍華お姉ちゃんの方も気持ちよさそうな顔をする。


 うぅ、また撫でたい欲求が……!

 なんて思っている内に、やっぱり手が動いて頭を撫でていました。


「ん……撫でられるの、いいね……いつぶりだろう」

「大人だもんね」

「ん、褒められること自体も、少ないから……嬉しい」

「じゃあ……えへへ、もうちょっとだけ、なでなでするね」

「んん……」


 大人だって褒められたい時もあるよね、人だもん。

 お酒が入っていることによるのもあるんだろうけど、多分本音が出やすくなっているのかも。


「椎菜は、いい娘……将来は、絶対にブラック企業には入らないでね」

「あ、あはは、な、なるべくそうするつもりだよ」


 できればいいお仕事に就きたいなぁ、って思うからね。

 それに……今やっているVTuberだって、いつまでできるかわからないもんね。

 でも、今はそれを楽しまないと、だよね。

 ファンの人たちがいるんだもん。


「藍華ちゃんそろそろ交代してくださいよぉ~」

「……ん、仕方ない。代わる」


 渋々と言った様子で立ち上がった藍華お姉ちゃんは、反対側へ。

 藍華お姉ちゃんと入れ替わるように、千鶴お姉ちゃんが寝転んできました。


「うふふぅ~~、素晴らしい寝心地ですねぇ~~~……」

「ふふ、ありがとう。じゃあ、千鶴お姉ちゃんもなでなでしてあげよっか?」

「お願いしますぅ~……」

「うんっ! じゃあ、よし、よし……」

「ふわぁ~~~~~、気持ちいぃですねぇ~……」


 お膝に頭を乗せる千鶴お姉ちゃんの頭を撫でる。

 なんだろうね、この不思議ななんとも言えない気持ちは……。


 自分より大人で、背の高い人を撫でるこの不思議な状況で、妙な気持ちになっているみたい。

 すごくくすぐったくて、なんだかもっとなでなでしたい……というより、もっと撫でてあげたい、そんな気持ちが出て来る。


 なんでだろう……?

 でも、うん、すっごく気分が良くなってくる……。


「んえへへぇ~~……ロリっ娘の膝枕ぁ~~~、しかもなでなで付きぃ~~~……あぁ、ここが桃源郷なんですねぇ~……」


 ただ、千鶴お姉ちゃんはよくわからないことを言っているけど……。

 あと、すっごく表情が緩んでる。


「あ、そ、そう言えば、あの、僕の胸が乗っちゃってるけど、あの、だ、大丈夫……?」


 ふと、さっきから気になっていたこととして、膝枕をしている時、僕の胸が頭に乗っちゃってて、その重くないのかなって思って訊いてみたら、


「むしろ最高ですよぉ~……」


 って返ってきました。


「椎菜ちゃんのおっぱい、すっごく柔らかくてふかふからったろ~……」

「ん、一級品」

「ふえ!? そ、その、あの、えと……は、恥ずかしいですぅ~~~~……」


 酔っている勢いなんだろうけど、なんだか喜んでいいのかわからない言葉で褒められて、顔を熱くさせる。

 うぅ、お、女の人ってこうなのかな……?


「ふぅ~~~、堪能しましたぁ~~~」

「ん、自重した。いいの?」

「はいぃ~。膝枕は疲れますからねぇ~。さて、とぉ~……そろそろお会計しましょうかぁ~~~」

「おー、そうられ~~」

「ん、帰ろう」

「う、うん」


 なんだかんだ一時間以上いたから外は真っ暗だし、大分お腹いっぱいになったからね。

 そろそろ帰らないと。


「じゃあ、行きましょうかぁ~」



 お会計を済ませてお店を出ると、むわっとじめじめした温い空気がまとわりついた。

 お店のお会計については、僕も出そうとしたら、寧々お姉ちゃんたちが出してくれました。


 僕も出すって言ったんだけど、


「お昼のおれいらろ~」

「ん、お返しだから気にしないで」

「お気になさらずぅ~~」


 って返ってきたので、厚意を受け取ることにしました。


 それで、いざ帰ろうってなったんだけど……


「おっととと……うぅ~、足元が覚束ないろ~」

「ん、ちょっと、歩きにくい」

「ですねぇ~」


 三人とも酔っぱらっている影響で、足取りがあんまりよくない。


 一応寧々お姉ちゃんはこの町に住んでいるみたいだけど、藍華お姉ちゃんと千鶴お姉ちゃんはそれぞれ隣町で、これから電車。

 それに、夜も遅いし……これはちょっと、危ない気がする、よね……?


「あ、あの、今日は遅くて危ないから、えと、ぼ、僕のお家に、お泊まりする……?」


 そう提案した。


「んぇ~、れも、少し悪い気がするろ~?」

「さすがに、そこまでは……」

「はいぃ~、是非とも行きたいところですけどぉ~……少々気が引けますしぃ~……」

「い、いえ、みなさん、ちょっと心配だから……そ、それに、ここから僕のお家までそんなに遠くないし、僕しかいないから大丈夫だよっ!」


 遠慮がちになる三人に言葉を重ねる。

 みんな美人さんだから、襲われちゃうかも、って思うと心配だし……。


「じゃ、じゃあ、お邪魔しようからぁ~~」

「同じく。折角だから」

「そう言う事でしたらお邪魔させてもらいますねぇ~」

「うんっ! こっちだよっ!」


 よかったぁ、これなら安心………………あれ? よくよく考えてみたら、初めて女の人を家に呼ぶんじゃぁ……も、もしかして僕、かなりイケないことをしちゃってる……?


 あぅぅぅぅ~~~~~っ! ど、どうしようどうしよう!?

 で、でも、三人とも泊まる気満々みたいだし……だ、大丈夫、一泊させるだけ、だもんね……?


 自分で提案しておいて不安になりつつも、僕は三人を連れてお家に帰りました。



「「「お邪魔します」」」


 お家に着く頃には少しだけ酔いが抜けたみたいで、呂律の方も問題なくなっていました。

 まだまだ酔っているみたいではあるけど……。


「ちょっと待っててねっ! すぐに、お布団を敷いちゃうからっ!」


 僕は客間の方へ移動して、お布団を引っ張り出す。


「ん~~~っしょ! ん~~~っしょ! はふぅ……」


 必死にお布団を引っ張り出してきて、床に敷く。

 都合よく三つあってよかったよ~。


「今日はここで寝てね! 僕のお部屋は上だから」

「了解だぞー」

「ん、感謝」

「ありがとうございますぅ~」

「いえいえっ! あ、お風呂はどうするの? 一応入れるけど……」

「ん~、折角だから入ってもいいかな?」

「私も。汗を流したい」

「一日中外にいましたし、そんな状態で椎菜ちゃんのお家の布団に入るのは気が引けますからねぇ~」

「うんっ! じゃあ、お風呂はリビングを出てから少し進んで、左の扉だよっ! シャンプーやリンスは白い容器のを使ってね! あと、バスタオルは自由に使っていいからね!」

「了解だぞー」

「ん、助かる」

「じゃあ、入らせてもらいますねぇ~」

「うんっ! それじゃあ僕はお部屋にいるので、何かあったら言ってくださいねっ」

「「「はーい」」」


 三人にお風呂の説明をしたところで、僕は自分のお部屋に戻りました。

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