#19 親睦会、楽しい雰囲気

 それから四人でショッピングモールを見て回って、丁度いい時間になったと言うことでお店へ移動。


「いらっしゃいませ!」

「予約していた琴石です!」

「お待ちしておりました。それでは、こちらへどうぞ」


 あらかじめ寧々お姉ちゃんが予約をしてくれていたようで、寧々お姉ちゃんが予約していることを話すとすんなりと個室に案内されました。


 お店の中はかなり賑わっているみたいで、順番待ちの人たちも多くいたから、かなり人気みたい。

 個室に行ってみると、そこは掘りごたつになっていて、意外と広かった。


「ご注文等は、そちらのタッチパネルにてお願いいたします。それでは、ごゆっくりどうぞ」

「ふぃ~~~、じゃあ、早速頼もう頼もう! あ、椎菜ちゃんは言わずもがなだからいいけど、二人はお酒飲む?」

「ん、パインサワー一つ」

「私は焼酎のロックをお願いしますねぇ~」

「い、意外だぞ……。じゃあ、あたしは……ん、グレープサワーでいっかなー」

「あれ? 寧々お姉ちゃんは成人してるの?」


 流れで注文している寧々お姉ちゃんに、成人しているのか訊いてみる。

 たしか寧々お姉ちゃんは大学二年生だけど……もう誕生日を迎えてるのかな?


「もちのろん! 四月が誕生日だからねー。あんまり度数が強いのは飲めないけど、軽めの物だったら飲むよー。あ、椎菜ちゃんは何飲む?」

「んっと……カル○スで」


 乳酸菌飲料、好きなんです。


「おっけーだぞー。じゃあ、食べ物!」

「焼き鳥」

「イカの塩辛をお願いしますねぇ~」

「えんがわっ!」

「おっけーおっけー。んじゃ、あたしは……んー、まああさりの酒蒸しにしよっと!」


 ポチポチ、とタッチパネルで注文を済ませていく寧々お姉ちゃん。

 飲み物やお料理が届くまでの間、軽く談笑をしていると、ほどなくして注文した物が届きました。


「じゃあ、乾杯するぞー!」

「ん。でも、掛け声は?」

「そうですねぇ~……今後の活躍を願ってぇ~、とかでしょうかぁ~?」

「あ、すごくいいと思う!」

「じゃあ、それで行こう! それじゃあ……今後の四人の活躍を願って、かんぱーい!」

「「「かんぱーい!」」」


 カチンッ! とジョッキをぶつける音と共に、乾杯をしました。

 うぅん、なんだか不思議な感覚。


「んっんっんっ……ふはぁ~~! ふぃ~、暑い日に飲むお酒はいいですねぇ~」

「ん、最高」

「ですねぇ~。あぁ、塩辛でお酒が進みますよぉ~」

「うんうん! あ、椎菜ちゃんも遠慮なく食べてね!」

「うんっ! はむっ……んん~~~っ! 美味しいっ!」


 早速注文していたえんがわをわさび醤油につけて一切れぱくり。

 噛むと甘い脂がじわぁ、と出て来て口の中が幸せでいっぱいになって、思わず頬が緩む。


「うふふぅ~、本当に美味しそうに食べますねぇ~」

「そ、そうかな?」

「すごくいい食べっぷり。あ、こっちも美味しい、食べる?」

「うんっ! はむっ……んっ、美味しい!」


 藍華お姉ちゃんに差し出された焼き鳥を一口。

 鶏もも肉から脂がじゅわっと出て来て、こっちも美味しい。


「じゃあじゃあ、こっちも食べる?」

「食べる~っ!」

「じゃあ、はい!」

「あむっ、んん~っ、これも美味しいねっ!」


 あさりの酒蒸しもすっごく美味しい。


「あらあらぁ~、本当にかわいいですねぇ~。とても微笑ましいですよぉ~。あ、塩辛食べますかぁ~?」

「んっと、食べたことないけど……美味しいの?」

「人に寄りますかねぇ~。食べてみますぅ~?」

「折角だから食べてみるっ!」


 あんまりお母さんたちはお酒を飲まないし、お姉ちゃんも飲まないわけじゃないけど、飲むようになったのは一人暮らしをし始めてからみたい。

 お家では素面で僕と一緒にいたいから! って言う理由で飲まなかったみたいだけど。

 理由が僕基準……というより、お姉ちゃんは割と僕を基準にして動く面が強いので、いつものことと言えばそうなんだけど。


 なので、塩辛のようなおつまみ系はあまり縁がないので、実はちょっと気になっていたので、食べてみると言うと、千鶴お姉ちゃんがはい、と差し出して来たので、ぱくり、と一口。


「んむんむ……あ、意外と美味しい」


 独特な匂いはあるし、味も結構しょっぱいけど普通に美味しく感じた。


「そうですかぁ~。まあ、塩辛いので、ご飯とかお酒が進むんですよねぇ~」

「たしかにそんな感じがするねっ」


 うん、ちょっと気に入ったかも。

 今度スーパーで買ってみようかな?


 お洋服も買ったし、そろそろお買い物をしたいからね……ネット通販じゃ買えない物もどうしたってあるし、お気に入りの物なんて特に。


「はぁ~~、なんだか女子会みたいでいいねぇ~~」

「あ、あはは……僕、中身は男だけど……」

「ん、今は女の子だし、私たちは椎菜の男の時がどういう生活なのか知らないから、実質女の子。つまり、女子会」

「わからないでもないけど……う~ん……」

「うふふぅ~、まあいいじゃないですかぁ~。あ、すみません~、焼酎のロックお代わり入れてもらっていいですかぁ~」

「おっと、もう飲んじゃったか! じゃあ注文注文~。あ、椎菜ちゃん、他に食べたい物ってある?」

「あ、うんと……あ、お稲荷さんってあるのかな?」

「あるぞあるぞー。シンプルなのと黒い――」

「シンプルな方で」


 僕は寧々お姉ちゃんが言い切るよりも早くシンプルな方と言いました。

 黒は邪道です。絶対に。僕の中では。


「おっと、そう言えば黒い方は邪道って言ってたねぇ。りょうかーい。二人は他に食べる物はあるー?」


 あはは、と笑いながらお稲荷さんを注文カゴに入れつつ、二人にも尋ねる。


「ハムカツ」

「そうですねぇ~……あ、ドジョウの唐揚げがありますねぇ~。それでお願いしますぅ~」

「千鶴さん、結構おっさん?」

「酷いですねぇ~。普通ですよぉ~」

「その割にはなんかこう、好みが22歳とは思えないぞ……まあでも、好みはそれぞれだしね! じゃあ、注文っと。あ、サラダ食べる人―」

「「「はーい!」」」

「はい全員! じゃあ、シーザーサラダ注文しとくぞー」


 サラダは大好きだから食べたいところです。

 それに、僕はお酒は飲めないからね。

 いっぱい食べたい。


「いや~、半ば勢いでライバーになっちゃったけど、まさかこんなに楽しい人たちと知り合えるとは思わなかったぞー」

「寧々お姉ちゃん、勢いでなったの?」

「そうだぞ! 元々らいばーほーむが好きでねー。別にVTuberになりたい! っていうあれこれはなかったけど、ある日三期生募集の告知を見て、『よっしゃ! 面白そうだし、人笑わせたろー!』って思って応募して、今なんだよね、あたし」

「ん、結構強い……!」

「ちなみに、藍華はどんな経緯で?」

「似たような理由。元々会社は辞めようと思ってた。けど、その後何をするか決めあぐねている中、らいばーほーむの三期生募集を見て、応募した。それに、昔から声には自信があったから」

「あ、あはは、今日すごかったもんね……僕、あんなに笑ったの久しぶりだよ」

「どもどもー☆」

「「「んぐふっ!」」」


 突然きゃぴきゃぴ? した声を出してきて三人揃って吹き出しそうになってしまいました。

 やっぱり藍華お姉ちゃんのこれはずるいよぉ~~~~っ!

 しかも、いつもの薄い表情なのが余計にずるいっ!


「はぁ、ふぅ……藍華お姉ちゃん、ずるいよぉ~……」

「ん、昔からの特技。これで良く笑いを取っていた」

「ぐぬぬぅ~~~、私より腹筋破壊技を持っているとは……! 藍華、それ教えて!」

「いいけど、これは才能もあると思う」

「わかってるよ! だけど、私もやはりここは一つ、声で笑わせる技術が欲しい!」

「ん、わかった。何の真似をできるようにしたい?」

「そうだなぁ……あ、動物」

「なんで動物なの?」

「猿とか面白くない?」

「そ、そんな理由なんだね」


 そう言えば、コメント欄で『芸人目指せよw』みたいなものがあった気がするし……もしかして、ちょっと芸人気質なのかな?

 でも、寧々お姉ちゃんは面白いよね。


「ん、後日配信で教える。どうせなら、二人でコラボする?」

「お! いいねいいね! そうしよ!」

「あらぁ~、いいですねぇ~。じゃあ、椎菜ちゃんは私と二人でコラボしますかぁ~?」


 あっちがコラボするならこっちも! みたいなノリでコラボのお誘いをされました。


「ふえ!? あ、え、えっと……な、何するの……?」

「そうですねぇ~……何がいいんでしょうかぁ~?」


 うーん、と考える素振りを見せる千鶴お姉ちゃんに、寧々お姉ちゃんが名案! とばかりの笑みを浮かべると、一つの提案をして来た。


「あ、あたし二人のASMR配信とか見たい!」

「ふえ!? え、ASMR配信……!?」

「ん、確かに気になる」

「あらぁ~、いいですねぇ~。となるとオフコラボになるのでしょうかぁ~?」

「そうじゃない? まあ、椎菜ちゃん次第だけどね~」


 と言うと、じーっと藍華お姉ちゃんと千鶴お姉ちゃんの二人が期待したような笑みでこちらを見つめてきました。

 う、うぅ~~、


「そ、そう、だね……あの、い、色々やってみたい、から、ぜ、ぜひっ……!」

「わ~い~! 二人コラボですよぉ~!」

「じゃあ、その次はあたし!」

「ん、私もやりたい。歌配信とか」

「い、いいの?」

「もちもち! むしろ、こっちからお願いしたくらいだぞ!」

「同感」

「じゃ、じゃあ一緒にやろっ!」


 折角誘ってくれているし、今日だけでかなり距離感が縮まった気がした僕は、三人のコラボのお誘いを断ることなく、むしろ嬉々としてやろうと言いました。

 それに、先輩の人たちともいつかやろうって言ってたし、みんなで二人きりのコラボとかに慣れておかないと……!


 ……個人的に、中身が男だから、男性ライバーのお二人ともやってみたいとは思ってます。

 あ、お姉ちゃんは別枠みたいなものです。


「あらあらぁ~、各々の得意分野でのコラボになりそうですねぇ~。いいですねぇ~。では、その順番で行きますかぁ~?」

「う、うんっ! 三人がよければそれがいいなっ!」

「おっけーだぞーじゃあ、そういうことで!」

「ん、楽しみにしてる」

「っと、そう言えば椎菜ちゃんってもうすぐ学園祭じゃなかったっけ?」


 ふと思い出したように、寧々お姉ちゃんが学園祭のことを訊いて来た。


「あ、うん。寧々お姉ちゃん、母校なんだっけ?」

「そうそう。いやー、懐かしいなー。姫月学園学園祭! 毎年毎年結構派手だもんね! 実は去年、遊びに行ってたんだよねー」

「あ、そうなの?」

「そうだぞ! たしか、一年生のお化け屋敷にすっごく可愛いナースのお化け役の娘がいてね、思わず撫でちゃったけど」


 一年生のお化け屋敷で……な、ナース服のお化け……。

 楽しかったなぁ、と思い出しながら呟く寧々お姉ちゃんとは対照的に、僕は少しだけ頬を引き攣らせていました。

 そう言えば去年、とある年上の人にすごく撫でられたような……。

 もしかしてあれ、寧々お姉ちゃん……?


 う、うわぁ、すごい偶然……しかも、去年は千鶴お姉ちゃんとも会ってるし、もしかすると、藍華お姉ちゃんともどこかで会ってる可能性が……って、ないよね。うん。

 あと、このことは心の内に仕舞っておこう。


「あらぁ~、寧々ちゃんは椎菜ちゃんと同じ学校出身なんですかぁ~?」

「そうだぞ。姫月学園って言って、イベントごとにやたら力を入れてる学校で、すっごい楽しいぞ! 時期的にも丁度今月だったはず」

「うんっ。あの、もしよかったら学園祭に来る?」


 折角だからと言う事で、三人を学園祭に誘ってみる。


「ん、面白そう。行きたい」

「ぜひぜひぃ~!」

「もちろんだぞ! ちょうど、今の三年生が後輩にあたるし、見たかったからね! ところで、椎菜ちゃんのクラスは何を?」

「あ、あー……あの、えと……お、お楽しみという、ことで……」


 さすがに、『メイドです!』とは言いにくいからね……。

 どのみち、当日にはバレちゃうと思うけど……。


「ふーん、そっかそっか! じゃあ、当日の楽しみに取っておくぞ!」

「うんっ! あ、それで、なんだけど、ね? あの、僕、準備もあるから忙しくなっちゃって……だから、コラボは来月からがいいかなぁって、思ってるんだけど、ど、どうかな……?」

「もっちろんだぞ!」

「無理強いをする気はない。むしろ、やってくれるだけ嬉しい」

「そうですよぉ~。気長に待ちますねぇ~」

「ん、とりあえず、週一でやることにすればいいと思う」

「うんっ!」


 楽しみだなぁ……。

 今までのコラボは三回で、最初と今日は三期生みんなでだったし、その内一回はお姉ちゃんとだったから、すっごく新鮮な感じ。

 どんなコラボになるのかなぁ……。


「あ、でも、コラボする時はどこでやるの?」

「ん、それも後日でいいと思う。今は食べて飲みたい」

「おっと、そうだったね! それに、個室とはいえあんまり話し過ぎるのもよくなかったね!」

「そうですねぇ~」

「あ、うんっ、そうだねっ!」


 考えてみればここってお外だし、今は僕以外はお酒も入っているし、気を付けないと!


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 えー、大分ストックが減ってきている今作です。

 それと、記念話の方、昨日の話にて言うのを忘れていたのですが、現在記念話を執筆中です。

 内容はまぁ、結構カオスと言うか……うん、すっごい頭使って書いてます。大変だぁよぉ。

 それともう一つ。

 なんと言うか、記念話の書くタイミングですかね。

 この作品で記念話を書くのは、☆が1000刻みで増えた時、要は、1000→2000→3000……って感じで書いて行こうかなぁって。

 フォロワー側は、5000に到達したら書こうと思ってます。

 あまりぽんぽんやりすぎても、こう、記念感が薄れそうだなぁって思ってしまって……とはいえ、そう言ってもらえることは、本当に嬉しいですし、それだけ気に入ってくれているんだなって思っております。

 なので、今後も読んでいただければと思います!

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