#9 学園祭の出し物決め、可愛いは強い


 15時頃に三期生のキャラ紹介を投稿しますので、興味があれば見てみてください。

 まあ、見なくても全然問題ないので、興味ねぇぜ! という方は見なくとも大丈夫です!


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 少しの休憩時間(?)を挟み、全校集会。

 とはいっても、特筆すべき点はなかったです。


 集会を終えてクラスに戻り、十分間の休み時間を挟んでから、LHRに。


 この学園では、以前ちらっとお話したように、学園祭にはかなり力が入っているため、夏休みが終わると同時に出し物決めがあります。

 とはいっても、一部は仮決めみたいなものだけど。


 今日案を出して、この後行われる委員会に仮案を提出して、受理されれば晴れてその出し物をやるためにスタートラインに立てる、というわけです。

 それから、次の週に本格的な申請書を書いて提出する、という仕組み。


 ただ、お化け屋敷や喫茶店のような人気の出し物は、各年3つずつと決まっていて、それ以上の数が来れば抽選になります。

 もし抽選で外れてしまえば、また考え直しになっちゃうので、第一希望を喫茶店、お化け屋敷にする場合は、第二希望も考えて提出するように、となっています。


 そのため、さっき仮決めと言ったのは、喫茶店とお化け屋敷の両方が該当します。


「じゃあ、この時間でお待ちかね、学園祭でやる出し物を決めるぞー!」

『『『Yeahhhhhhhhhhhh!』』』

「じゃ、学園祭実行委員、頼んだぞー」


 ちなみに、このクラスの学園祭実行委員は……。


「え、えと、そ、それじゃあまずは案を出したいと思いますっ!」

「何か案がある奴、手を上げてくれ」


 僕と柊君だったりします……。

 そんな僕たちは前に出て来て、取り仕切る。


 基本的に僕が板書で、柊君が仕切る役目なんだけどね。


「はい!」

「よし佐々木」

「執事・メイド喫茶!」

「椎菜板書を……って思ったが……あー、書けるか?」

「んっ、んん~~~~~っ! はぁっ……うぅ、ごめんね……」


 背伸びをしてみるけど、全くもって上の方に手が届かず、しゅんとしながら柊君に謝る。


「い、いやっ、しょ、しょうがないよなっ! と、とりあえず……椅子でも使うか?」


 少しだけ顔を赤くする柊君が椅子を使うかどうか提案してきたので、使うことにする。


「あ、う、うん。そうするよ……」


 僕は自分の席に戻って、自分の椅子を持ってくる。


「んっしょ……んっしょ……はふぅ……」


 自分の椅子を持ってくるとは言っても、この体だと引きずるような形になっちゃったから、いつもより苦労しているけど……。


『『『ぐぅっ……!』』』

「……んぅ? みんな、どうしたの?」


 ふと周囲を見てみると、なぜかみんなが胸を抑えながら俯いたり、頭を机にぶつける人もいたりして、すっごく不思議な光景が広がっていました。

 何があったの……?


「い、いや、気にしなくていい、と思うぞっ……?」

「そ、そうかな?」

「あぁ」

「じゃ、じゃあ気にしないけど……んっ、しょっと……」


 机を踏み台代わりにして上って、先ほどの執事・メイドを黒板に書き込む。

 んー、結構大変かも……。


「き、気を取り直して次行くぞ。何かあるかー?」

「お化け屋敷!」

「おっけ。椎菜、お化け屋敷って書いてくれ」

「うんっ」


 執事・メイド喫茶の下に、お化け屋敷と書く。


「じゃ、どんどん行くぞ――」


 柊君がそう言うと、どんどんと案が出て来て、現在黒板には、『執事・メイド喫茶』『お化け屋敷』『演劇』『縁日』『ゲームセンター』と書かれています。

 他にも色々出たんだけど、大半はこのどれかに組み込めるということで書いていません。


 決め方は当然投票式。

 各自がやりたい出し物を紙に書いてそれを開票、一番多かった物になります。


 その結果は……


「んじゃ、俺たちのクラスは執事・メイド喫茶に決定!」

『『『Yeahhhhhhhhhhhh!』』』


 執事・メイド喫茶になりました。

 これに対して、クラスのみんなは大きく沸き立ち、かなり楽しみな顔をしていました。


「つってもまぁ、飲食店になっちまったんで、これはあくまで第一希望にして、第二希望だが……二番目に地味に多かった『演劇』にしておくぞ。まあ、この辺は運だがな。この後の委員会に俺と椎菜で出て、そこで決まる。だから、文句は言うなよー」


 柊君がそう言うと、クラスのみんなは楽しそうに返事した。

 僕としては……できれば、執事・メイド喫茶の方がいいかなぁ……その方が、料理側に行けそうだから。


 僕的には、あまり表に出たくないというか……演劇の場合、下手なことをすると、神薙みたまってバレそうというか……。

 だから僕は意地でも料理側に回るつもりです。


「じゃ、先生終わりましたんで」

「あぁ、ご苦労さん。なら、このまま適当にHRも済ませるか。連絡事項の話をしないとだからな」

「了解です。あ、椎菜、椅子持ってくぞ」

「あ、ありがとう、助かるよ」

「いいってことよ。親友だしな」

「そう言われると照れるね……えへへ」

「んぶっ……」

「柊君?」

「い、いやっ、なんでもない……やっぱ反則じゃね? これ……」


 今何か言ったような気がしたけど……気のせいかな。

 それにしても……クラスのみんなの、柊君に向ける視線が妙にとげとげしいような……?


「よし、じゃあ連絡事項な。お前たちも知っての通り、学園祭の準備は来週の水曜日から始まる。最初は五、六限目のみだが、最後の一週間になると、授業は無くなり、その週は全て学園祭の準備期間となる。そしてこの時から学園に泊まることも可能になるが、その場合はちゃんと申請書を出すようにな。あぁ、夜間の買い出しについても教員、もしくは一名の保護者の同行が必須なので、そこも覚えておくように。あとは……あぁ、そうだ。朝言いそびれたが、桜木な」

「え、ぼ、僕ですか?」


 いきなり名指しされて、少しびっくりする。

 一体何だろう?


「見ての通り、桜木は今後女子生徒として通うが、中身は全然男なので……女子生徒は、その辺配慮するように。ってか、お前らの場合、男の時から既に髪の毛を弄ったり時たまだきついたりと、普通にやばかったからな」

「先生! さすがにしませんよ!」

「そうです!」

「ふむ、じゃあ仮の話として、桜木がそこで居眠りしていたらどうする?」

「膝の上に乗せます」

「抱きしめます」

「抱きしめた上で頭をなでなでしたいです」

「ふえ!?」


 なんかすごいことを言い出したんだけど!?

 女の子、僕に対してそんなことを考えてたの!?

 さすがに心臓に悪いよ!?


「だろ? そういうことだ。あと……高橋と夏目」

「え、俺っすか?」

「オレも?」

「お前ら、桜木が椅子に立ってる時、スカートのなか覗こうとしたな?」

「「し、ししししてませんが!?」」

「えー、お前ら……」

「何やってるのよ……」

「サイテー」

「いやいやいや、してないが!?」

「言いがかりは止めてくれますぅ!?」


 田崎先生に指摘され、他のクラスのみんなに白い目で見られる高橋君と夏目君。

 え、えーっと……。


「え、えと、確かに少し恥ずかしいけど……二人はやってないって言ってるし……それに、僕自身のスカートの中を覗いても良いことなんてないから、大丈夫だよ?」

「「桜木は天使か……?」」

「ふぇ?」

「椎菜……お前、もう少し自分のことを理解した方がいいと思うぞ……」

「う、うんと……うん?」

「これはわかってなさげだなぁ……」


 僕自身、たしかに可愛い見た目をしているのかもしれないけど、それでも元男だよ? そんな人のスカートの中を覗いても……何がいいのかわからないよ。


 そもそも、スカートの中を覗くこと自体、何がいいのかわからないし……。

 首を傾げる僕に、クラスのみんなは困惑したような笑みを零していました。



 HRが終わると、僕と柊君は委員会に参加するために、小会議室へ移動。

 途中、可愛い、という言葉を女の子からすごくかけられて、僕は複雑な気持ちになったけど……あと、僕と柊君が兄妹みたいな見られ方もしました。

 でも僕、お姉ちゃんいるし……。


 まあ、それはいいとして……僕と柊君が小会議室に行くと、そこには先に来ていた生徒が何名かが座って待っていました。


 各クラスどこに座るか、というのはクラスが書かれた紙が置かれている場所に座るみたいなので、僕と柊君は二年一組の紙が置いてある場所に座る。

 ただ、僕が小さいからなんだろうね……椅子に座ると、机が僕の胸辺りの高さになっていて、机に僕の胸が乗るような状況に。


 あ、すっごく楽……だけど、これって、どうなんだろう……?

 ただ、妙に視線が来るような……。


 なんてことがありつつ、しばらくすると小会議室には各学年、クラスの実行委員が全員集まったようで、それを見計らって委員長さんが各クラスの出し物決めを開始しました。


「それでは、委員会を始めます。早速、喫茶店とお化け屋敷の抽選から始めたいが……まず喫茶店。喫茶店系の出し物を予定しているクラスは挙手をお願いします」


 委員長さんがそう言うと、周囲から6カ所ほど手が上がる。

 あ、僕も手上げないと!


「は、ひゃいっ」

『『『うぐふっ……』』』


 うぅ、また噛んじゃった……。

 なんだろう、この体になってから噛みやすくなったような気がするよ……。


「いや椎菜、声は出さなくてもいいんだぞ……?」

「で、でも、一応わかりやすい方がいいかなって……今の僕、ちっちゃいから……」

「そ、そうか。まあ、いいけどさ……」

「そ、それでは、抽選をする――」

『『『譲ります』』』


 抽選するといった瞬間、なぜか僕たちのクラス以外の所から、譲りますという宣言がされた。


「どうしたんだい!?」

「いや、なんか、あれはずるいと思った」

「可愛いは正義」

「正直、客側でいいと思った」

「そ、そうかい? じゃ、じゃあ……あー、とりあえず、二年一組は決定と言う事で……」

「しゅ、柊君、これ、どういうことなの……?」

「そうだなぁ……とりあえず、椎菜がすごい、ってことにしとくよ」

「???」


 何を言ってるのかわからなかったけど、とりあえず、僕たちのクラスはなぜか譲られるという形で決まりました。

 それでいいの……?


「――よし、抽選からあぶれてしまったクラスは月曜日までに、次の案を提出するように。さて、ここからは準備期間の話をします。各クラス、担任の先生から連絡があった通り、準備期間は来週の水曜日から。学園祭開催まで残り一週間になった段階で、全ての時間が準備期間になり、宿泊も許可になります。その申請書等は、各委員の手元にあると思いますので、こちらに書いて提出するようにお願いします。十八時以降の買い出しは、保護者、もしくは教員と一緒に。こちらも、申請書等がありますので、こちらへ記入し、提出するようにお願いします」


 などなど、学園祭準備期間中の説明がされる。

 こうして聞くと、本当にこの学園って学園祭にやたら力を入れるよね……。

 とは言っても、熱意が半端じゃないクラスは、最後の一週間になる前に完成してしまう場合もあるみたいだけど。


「それから、これは学園祭実行委員会からの出し物という形で、ミス・ミスターコンテストも行われますので、もし各クラスに出場者がいるようであれば、お手元にある参加表に記入後、担任の先生に提出してください。当日は飛び入り参加も許可していますが」


 そう言えばそんなものもあったっけ。

 去年は柊君が参加するということで応援に行ったなぁ。

 柊君、優勝してたけど。


 僕は……危うく、ミスコンに参加させられそうになったけど、なんとか回避しました。

 危なかったけどね……。


「その他、少数規模の出店を希望する生徒や、体育館におけるライブ等を希望する生徒がいた場合は、各クラスに申請書と回収ボックスを置いておくので、来週の金曜日に回収して持ってくるようにしてください。……では、今日の委員会は以上になります。ありがとうございました」

『『『ありがとうございました』』』


 委員会は恙なく終わりました。

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