#10 記念配信が入り、内容は辛い物
例によって中途半端な感じになっているので、今回も15時ごろに掲示板回を突っ込んでおきます!
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あの後、柊君と一緒に帰宅。
家に帰ると、カバンに入れていた神薙みたま用のスマホに着信が入った。
「もしもし、桜木です」
『こんばんは、桜木さん。今お時間よろしいでしょうか?』
「はい、大丈夫です。えと、配信のお話でしょうか?」
『そうです。なので、まず先に言いますと……神薙みたまのチャンネルの、収益化が通りました』
「……え!?」
なんか今、すごいこと言われなかった!?
『驚くのも無理はありませんが、今回の三期生の皆様はそれぞれ個性的だったからでしょう。かなり早い段階で収益化が通りましたので、明日は二つの意味での記念配信をお願いしたく思います』
「わ、わかりました……って、二つの意味……?」
収益化記念なのはわかるけど、それ以外に何かあるの……?
『はい、二つです。と言いますのも、実は今日の時点でチャンネル登録者数が5万人を突破いたしまして』
「へぁ!?」
『収益化が通ったのが今日なのですが、同時に5万人に到達していたようですので。すごいですね。まだ配信は四回ほどしかしていませんのに』
「えぇぇぇぇ……あ、あの、どうしてそんなことに……?」
ついこの間3万人行ったばかりだよね……?
なのに、どうしてこんなにも早いスパンで5万人になってるの……?
僕、大した配信をしてないよね? どこにそこまで人気になる要素が……?
「そうですね……簡単に言えば、一期生や二期生の方々が三期生を宣伝しまくったからですね」
「えぇぇぇぇ……」
『特に、一期生――それも、あなたのお姉さんである、天空ひかりがそれはもう可愛い可愛いと宣伝しまくった結果でもあります』
「お、お姉ちゃん、何してるの……」
それだけ、コラボしたい、って言う事なのかなぁ……。
『まあ、さすがにちょっと不平等過ぎると思ったので、注意はしましたが……』
「あの、お姉ちゃんがすみません……」
『いえ、こちらとしても利益のあるお話ではありますので。おかげで、三期生も人気が出ていますしね。各人の特徴と言いますか……猫夜はつきはその元気と気合で体当たり企画にチャンレンジし、深海いるかは持ち前のハスキーボイスを活かした歌配信やブラック企業などの話題の際に見せる毒舌が受け、雪ふゆりは甘いお姉さんボイスによるASMR配信やロリに見せる情熱的なアレこれが受け、そして神薙みたまは万人受けするような可愛らしい声と仕草、反応、時折見せる妙な熱意や食べ物に関する話題が受けているようですね』
「な、なる、ほど……?」
そんな評価になってるんだ……。
でも、そっか……人気になっちゃったのかぁ……。
嬉しいような、気恥ずかしいような……。
『それに、相乗効果によるものではあるのでしょうが、全体的に登録者数が良い伸びをしており、既に他の三名は5万人を突破し、現状7万人を超えています』
「え、そうだったんですか!?」
『はい。そうだったんです。ちなみにですが、神薙みたまのチャンネルももう少しで七万人ですね』
「え、えぇぇぇ……知らない間にそんなに……」
まさか、もう5万人も行ってるなんて……。
『はい、そうなっているんです。……それで、記念配信なんですが……何がしたいですか?』
「そ、そこからですか?」
『はい、そこからです。いつものように雑談配信というものでも問題はないのですが……それですと、少々いつも通りというか、テンプレ化してしまうので、ここで一度何か別のことをした方がいいと』
「な、なるほどです……」
となると……何がいいんだろう?
僕が出来ることって言えば……雑談くらいなんだけど……。
ゲームはたまにしかやらないけど……うん、ゲームかぁ……。
「それじゃあ、ゲーム配信とかどうですか?」
『ふむ、鉄板ネタではありますが、一度もゲーム配信をしていないですし、ありでしょうね。では、何をプレイしますか?』
「う、うーん…………」
そっか、ゲーム配信をするなら、当然何をするか決めないといけないもんね。
うーん…………ゲーム、ゲームかぁ……。
幸い、お金はあるし、これを機に色々買ってみるのもありかもだし……それなら配信者らしく……。
「それなら、突然ではありますけど、事前にアンケートを取るのはどうでしょうか?」
『いいですね。それで行きましょう』
「即決なんですね……」
『まあ、その方がファンの方々も入れやすくなりますので。では、そうですね……ジャンル指定で行きますか? 決まり次第、こちらでゲームをご用意いたしますので』
「いいんですか? 自分で買おうと思っていたんですけど……」
なんだかんだ、お金はあるし……。
お父さんやお母さんから貰っている仕送りだけじゃなくて、一時働いていた時のバイト代もあるしで、特に困っていなかったんだけど……。
『問題ありません。どのみち、明日からスパチャも解禁されますので、ゲーム機本体とソフトの金額程度であれば、すぐに回収できる見込みですので』
「そ、そうなんですね」
僕としては、あまり来なさそうだなぁ、って思っちゃうけど……マネージャーさんから見ると、そうなのかもしれない。
『というわけでジャンルは……そうですね、大きく分けて三つにしましょう。対戦型ゲームに、協力型ゲーム、それからホラーゲーム。これでどうでしょう?』
「あ、あの、なんでホラーゲームが……?」
『いえ、間違いなく受けそうなので』
「そ、そですか……」
ホラーゲーム……というより、ホラーが僕は苦手なんだけど……だ、大丈夫、だよね……?
多分きっと、前者二つになるよね? ね? ね!?
ホラーゲームになるかもしれないという一抹の不安を覚えながらも、マネージャーさんとの打ち合わせは続いた。
◇
翌日……。
「いやだよぉ…………」
アンケート結果を見て、僕は幼児退行を起こしていました。
なぜこうなっているのかは単純明快……圧倒的な得票数でホラーゲームに決定してしまっていたからです。
しかも、本当に事務所からゲーム機とソフトが送られてきちゃったんだけど……。
さらにもっと言えば……
神薙みたま/らいばーほーむ三期生✓ @mitama_kannnagi 9月1日
#収益化記念
#Vtuber
収益化+登録者数5万人突破記念のゲーム配信をやるよっ!
何をするかはアンケートで決めるから、何をしてほしいか入れてね!
1.対戦型ゲーム 16%
2.協力型ゲーム 9%
3.ホラーゲーム 75%
○901 ↺1,792 ♡1.1万 6.2万
既にトワッターの方で宣伝もしちゃってるしね……。
これもう、逃げられないし、なんだったら、
『悲鳴待ってます!』
『よっしゃ! 悲鳴が聴けるぞぉぉぉぉ!』
『悲鳴待ってます』
なんて言うリプも来ちゃってるしね……。
時間は夕方六時からで、今の時間はお昼の三時。
そろそろアンケート結果を見ようと思って見に来たらこれだよ……。
それに、送られてきたゲームソフトを見るに、間違いなくホラーゲームだったから余計にね……うぅ……。
一人項垂れていると、電話がかかって来た。
「もしもし……桜木です……」
『廿楽ですが……あの、大丈夫ですか?』
「……すみません、ホラーゲームが嫌だなぁってなっちゃってて……」
『あぁ、そうでしたか。あ、ゲームはちゃんと届きました?』
反応が軽い……。
「と、届きましたけど……」
『ならよかったです。一応、配信の枠内で終わるようにはなっているゲームなので、頑張ってクリアしてくださいね。あと、仮に枠内で無理だった場合……クリアするまでやってもらうことになるので!』
「ふえぇぇぇ!? な、なんでですかぁ!?」
今の僕からすれば、地獄に叩き落されるかのようなレベルの言葉に、その場で悲鳴交じりの声を上げた。
な、なんで!? どうして!?
『いえ、せっかくやるんですからクリアはしておきたいですし……それに、その方が面白そうなので!』
「ぼ、僕が怖がる姿を何度も映されても、飽きるだけですよ……?」
『いえ、それは無いかと思いますね。十中八九可愛いと思いますし』
「そ、そんなことはっ……」
ないと思うけど……。
この姿になる前よりも、今の姿になってからはよく可愛いと言われるようになっちゃったなぁ……それはそれで、元男としては微妙な気分です……。
『ともあれ、早ければ一時間以内に終わるようなゲームですので、もし時間が余ったら雑談をしていれば大丈夫です。あ、二周目をプレイしてくれても――』
「絶対やりませんからねっ!」
『……結構、怖がりなんですね?』
「む、昔からですっ! それに今、一人暮らしなのに……」
一人暮らしになる前は、お父さんやお母さんがいたから大丈夫だったけど、今は一人暮らしでお姉ちゃんもいないし……うぅ、絶対夜中にトイレ行けないよ……。
そ、そんなに怖いゲームじゃないといいけど……。
『そう言えばそうでしたね。愛菜さんなら突撃しそうなのですが……』
「お姉ちゃん、僕を溺愛しすぎているので……お父さんやお母さんが、極力行かないように、って言ってるんです」
『ご両親にそこまで言われてるなんて……』
「あ、あはは……」
実際の所、中学生の時はなんだかんだ苦労した物です……。
文化祭の時にお姉ちゃんがやって来て、人前でやたらと可愛がるんだもん。
おかげで、周囲の人たちからは生暖かい目で見られてたし、後日美人なあのお姉さんを紹介してくれ! って言って来るお友達もいたしね……。
会うたびに抱きしめて来るから、その……ね。
『ともあれ、今日は期待してますね! それでは、頑張ってください!』
「わ、わかりました。や、やれるだけ、やってみますっ……!」
『では!』
そう言い残して、通話が終了しました。
「はぁ……」
僕、大丈夫かなぁ……。
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