SNSってこういうの多そう。

@8_8

第1話(全1話)

あいつ、死んだらしい。

突然、TLに流れてきた。

体の中から聞こえる音とは裏腹に、ゆっくりとした打鍵音であいつのIDを検索する。

表示されたあいつの言葉は、3日前で止まっていた。

わからない、単なる噂なのかそれとも事実か。

俺はあいつとDMで話したことがあったから、ひょっとしたら今連絡すれば帰ってくるかもしれない。でも、特段仲良しでもないから失礼なだけかもしれない。

そんな堂々巡りを繰り返しつつも、所詮ネットだ、過敏になる必要ない、と結論づけ、「生きてる?」とメッセージを送る。

どうせすぐにはかえってこないだろう。明日見ればいい。

そうして俺は布団をかぶり眠りにつくことにした。


これが、メンヘラの気持ちかな、とふと思う。あいつからの返信は来ていない。

昨日流れてきたポストをしていた奴も今は全然関係ないツイートをしている。

朝飯を急いでかき込みながらスマホで色々な言葉を入れてみるが、これ以上情報が見当たらない。

あいつの決して面白くもない日常ツイートの数々は、自分とまさに同年代という雰囲気を醸し出していて、俺はそこに親近感を抱いていた。なんとなくツイートに「いいね」する俺のアカウントが気になったのか、あいつはある日「なんでいいねしてくれるんですか?」という正直な質問を俺にぶつけてきた。その時俺は「気が合いそうな同年代な気がして」と返した。それからいくつか言葉を交わしたきり、あいつからの言葉はない。つまんないやつと思われたのかな、なんて自分の語彙力に反省しながらもずっとあいつの日常に「いいね」し続けていた。

もうすぐ支度が終わる。

俺には今日やるべきことがたくさんある。あいつのことは気になるが長く気に掛けるべきことじゃない。

Twitterにはたくさんの言葉があふれてる。あいつ以上に気の合う人もいるかもしれない。

スマホの電源を切り、カバンに放り投げる。玄関先から色の濃くなり始めたシャツの襟を整えつつ、俺は玄関を出た。

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