第2話
「本日のテーマは死刑制度について、反対派と賛成派で議論をしていただきたいと思います。 それではまず賛成派の意見から聞いてみたいと思います。」
司会進行の男性アナウンサーから本日の番組の議題が発表された。
「死刑判決が出る場合だと、基本的に殺人などの重犯罪者じゃないですか、その場合だとやはり被害者遺族の事を考えると、中途半端な判決だと納得できないと思います。」
死刑制度賛成派のコメンテーターの意見に対し、他の賛成派のメンバーも納得したように頷いている。
「確かに、被害者遺族の事を考えると死刑制度を廃止して納得できるかという意見もございますね。 その点、死刑制度を反対しておられる四宮先生の意見はいかがでしょうか。」
司会の問に番組のゲストである、弁護士の四宮が意見を述べる。
「私は常々、死刑制度の反対を訴えております。 確かに被害者遺族の意見も尊重しなくては、いけないと思いますが、犯罪者にも人権はございます。 簡単に死刑にして終わりではなく、罪の意識を持ち反省し更生して社会に復帰できる世の中にしたいと考えております。」
「犯罪者の更生とおっしゃいますが、被害者遺族は更生など求めていないと思いますが。 また、更生できるなら良いが、出所後に再犯したらどうするんですか。」
「出所後の再犯を防ぐのは確かに現状ですと難しい問題だと思います。 一度罪を犯し出所後に差別等を受けたり、今の世の中についていけなかったりと出所後のフォロー体制が十分ではないと思います。」
賛成派の感情のこもった反論にも冷静に返答する四宮に司会から質問があった。
「では、出所後のフォローとはどのような事をすると良いと考えておりますか? また、それを行うメリットがございましたら教えてください。」
「現在、行う刑務作業を職業訓練にし、専門的な知識を身に着け服役後に就職に困らないようにしたり、また服役し反省及び更生した事に差別意識が無くなれば、何故その犯罪を犯すに至ったか等、公演を行い、被害者にならない意識をもたせたり、加害者に、ならないよう考えるきっかけを与えられたりとメリットに繋がると思います。」
「なるほど、お互いの意見を聞くと、死刑制度を廃止する事に対するメリット、デメリット両方あると思います。 安易に死刑にして人の命を奪っていいのか、それとも人の命を奪ったのだから、奪われても仕方ない罰だと思うのか、これからも考え続けなくてはいけないテーマだと思います。」
司会のアナウンサーのまとめにより番組は終わりを告げたのだった。
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