第29話

 「これを使ってドラコビーストを回復させてあげて。」


 「あ、ありがとう。福田さん。」


 エネルギーキューブとビーストエッセンスを拾って戻ってきた福田さんは、赤井くんにエネルギーキューブを渡してドラコビーストを回復させるように言うと、すぐに赤井くんはエネルギーキューブを使用した。


 エネルギーキューブを使用してドラコビーストを回復させた赤井くんはドラコビーストを再召喚する。


 「ごめん、ドラコビースト。僕の指示のせいで。」


 「……気にしなくてもいい……対応出来なかったのは私も同じなのだから。」


 「ごめん、ありがとう。」


 ぎゅうっと赤井くんはドラコビーストに抱き付き、ドラコビーストもそんな赤井くんを慰めるように身体を擦り付けていた。


 赤井くんが落ち着くまで俺と福田さんは辺りの警戒をしていると、ようやく赤井くんも落ち着いたようだ。


 「ごめん、心配させて。」


 「まあ気にするなって。」


 「そうだよ。初めての成熟期のエネモンとの戦いだしね。」


 目元の赤い赤井くんを慰めるようにして俺も福田さんも言う。


 それから俺たちはこの場所で再び成熟期のエネモンと戦闘をするのかどうかの話し合いをすることになる。


 その結果、俺がまだ成熟期エネモンとの戦いをしていない。だから戦ってから決めたいと言って話は終わった。


 俺が戦って勝てなかったらまた話し合いをするということで纏まり、俺たちは再び成熟期エネモンを探す為に探索を行なう。


 そして10分ほど歩いた場所で成熟期エネモンを発見する。相手は未見のエネモンだが既にこちらに気が付いているようで向かって来ていた。


 「デビルガール、相手もお前と同じように空を飛んでいる。ミニダークで牽制して攻撃は近接で行くぞ。」


 「うん!」


 「よし行って来い!」


 バサッと翼を広げてデビルガールは空へと向かって飛び立った。


 デビルガールと未見のエネモンが戦闘を始める前に、俺はエネルギーデヴァイスのエネモン図鑑を使ってエネモンを調べる。


ストライクバード

成熟期 本質バード 属性風

高速で突撃を繰り返す鳥型のエネモン 

必殺技

バードストライク

エネルギーを纏った体当たり


 これが未見のエネモンの情報だ。この情報を見る限りでは空中を高速で動き回って攻撃をするエネモンなのだろう。


 「まずはどれくらいの速さで攻撃を躱すのかを確かめてみるか。デビルガール!ミニダーク!!」


 空中を飛んでいるデビルガールに聞こえるように大きな声で指示を出せば、指示が聞こえたデビルガールはストライクバードへと技の【ミニダーク】を放つ。


 「速いな。」


 普通に躱されてしまったが、ストライクバードの通常時のスピードがどれくらいなのかは分かった。


 これならタイミングさえ取れれば充分にデビルガールの攻撃が命中するはずだ。


 【ミニダーク】の再使用時間が経つ前にデビルガールとストライクバードは接敵する。


 「躱せ!」


 ストライクバードは必殺技の【バードストライク】を接敵してすぐに使用して来た。


 エネルギーをストライクバードが纏った時点でデビルガールが回避をするように指示を出したお陰で、ストライクバードの必殺技を回避することに成功する。


 またストライクバードが必殺技を使用できるようになるその前にデビルガールの攻撃を与えたい。


 「体当たりで距離を詰めてネイルクロー!」


 デビルガールは俺の指示が聞こえたのかすぐに行動に移してストライクバードに体当たりを仕掛ける。


 「よし!追撃にダークネイルクロー!!」


 【体当たり】が命中してガッツポーズを取った俺は【ネイルクロー】を食らわせたデビルガールに追撃の【ダークネイルクロー】を指示を出す。


 そして追撃の【ダークネイルクロー】も直撃させると、ストライクバードは墜落して地面に激突する。


 これが最後の決め手になって初めての野生の成熟期エネモンに俺たちは勝利することが出来た。

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