第28話
あれから数週間経ち、進化したことによる必殺技や技の連携や練度を高めてから、俺たちは成熟期のエネモンがいるエリアに移動した。
「私たちは見守ってるから、ここからは1人で戦ってみて。2人と2人のエネモンたちなら問題ないはずだから。」
「里見くん、最初は僕から行ってもいいかな?」
「ああ、構わないぞ。」
赤井くんとドラコビーストを先頭にして移動して数分後、成熟期のエネモンを発見したがそれと同時に相手にも気付かれている。
「ドラコビースト、ベビーファイア!!」
このエネルギーワールドで最初に見た成熟期のエネモンであるグラップラーラビットへとドラコビーストの【ベビーファイア】が放たれるが、グラップラーラビットの軽やかなフットワークで回避されてしまう。
ピョンピョンと飛び跳ねるように移動しながら接近するグラップラーラビットはドラコビーストの懐に潜り込もうとするが。
「ドラコビースト、ドラコバイト!」
赤井くんの指示を聞いたドラコビーストが大きく口を開けてグラップラーラビットに噛み付こうとした。
ガチンッと歯と歯がぶつかり合う音がする。ドラコビーストの必殺技【ドラコバイト】が外れた音だ。
ドラコビーストの口が閉じるあの瞬間にグラップラーラビットは背後に後退したのだ。
「ラビットキックバースト!!」
そして再び前に出たグラップラーラビットはドラコビーストに必殺技の【ラビットキックバースト】を直撃させる。
【ラビットキックバースト】の爆発で起きた爆風が離れて距離のある俺たちの場所まで届く。
「ドラコビースト!!??」
赤井くんの悲鳴の様な声が草原に響くなか爆発の煙が晴れたそこには倒れているドラコビーストとそれを見下ろしているグラップラーラビットの姿があった。
グラップラーラビットの必殺技【ラビットキックバースト】の一撃で攻撃・防御の両方に優れているドラコビーストが倒されるのは予想外だ。
あのグラップラーラビットはレベルが高い個体なのかも知れない。それだと同じ成熟期のエネモンでも必殺技【ラビットキックバースト】を受けて一撃で倒せたんだろう。
「赤井くん!!」
「そ、そうだ!」
赤井くんは福田さんの声にハッとしたのかすぐにドラコビーストを回復させる為にエネルギーキューブをエネルギーデヴァイスから取り出した使用する。
契約紋を通じて離れている場所にいるドラコビーストにエネルギーキューブから送られるエネルギーで回復することが出来たが、すぐにはドラコビーストも動けない。
そんなドラコビーストに再び攻撃を仕掛けようとするグラップラーラビットだったが、そんなグラップラーラビットに福田さんのエネモンである木の葉ニンジャとカツオ武士が攻撃を仕掛ける。
2体のエネモンに寄る連携攻撃を指示して出す福田さんが指揮に集中することが出来るように、俺はまだ意識がハッキリしていない赤井くんに声を掛けた。
「赤井くん!ドラコビーストを戻さないと!今のままだとドラコビーストを庇ってる福田さんのエネモンたちが危ないぞ!!」
「あっ、そうだね。戻ってドラコビースト!」
赤井くんは正気を完全に取り戻したのか、回復してもまだ動きの鈍かったドラコビーストを契約紋へと戻した。
庇う対象のドラコビーストが消えたことで福田さんの指示を聞いた木の葉ニンジャが範囲攻撃の必殺技【旋風・木の葉吹雪】を発動する。
木の葉の舞う突風が吹き荒れグラップラーラビットの身体を切り裂いていく。
グラップラーラビットの身体に刻まれた多数の切り傷からはエネルギーが流失するなかで、カツオ武士がトドメの必殺技【魚人流・水流斬り】をグラップラーラビットに直撃させたことでグラップラーラビットは倒れ消えると、その場にはエネルギーキューブとビーストエッセンスが落とされていた。
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