第24話

 「強くなったね。」


 「ふふん!そうでしょ!!」


 胸を張る姿は可愛いが、そんなデビルガールもエネモンである。可愛くても人間では勝てない存在だ。


 「ほら、見てみて!ダークネイルクロー!!」


 「うぉっ!?いやいや、こんな場所で出すなよ。」


 「ごめんごめん。でも凄いでしょ!」


 「確かに凄いな。」


 これがデビルガールの必殺技のダークネイルクローか。あの鋭く長い闇の爪で引き裂かれたら人間は一溜りもないだろうな。


 デビルガールの必殺技を見て、これからどんな風に戦おうかなどと思っていると、そう言えば両親に進化したデビルガールを紹介しないとと思い出した。


 「みんなにデビルガールに進化したことを教えないとね。行こう、デビルガール。」


 「うん!」


 1階のリビングに向かって家族にデビルガールのお披露目である。俺の後ろでは翼を羽ばたかせて移動するデビルガールの姿がある。


 「幸太、どうかした?」


 「いや、どうやって飛んでるのかなって。」


 デビルガールが羽ばたいているが、その回数は数秒に1回程度だ。その程度で小学生と同じくらいの身長をしているデビルガールが飛べるとは思わないが、これもエネモンの不思議な力なのだろう。


 「うーん、分かんないよ。どうすれば良いのかが何となく分かるだけだし。」


 「まあ俺もどうやって歩いたり息をしたりしているのか分かんないけど出来るもんな。」


 誰かに教わっていなくても生まれた時から出来てるみたいな物なのかと納得している間にリビングの扉までたどり着いていた。


 「じゃあ開けるぞ。」


 「うん!」


 リビングの扉を開ければリビングでくつろいでいた両親と両親のエネモンたちが扉を見た。


 「ミニデビが進化したデビルガールだよ。」


 「ジャジャーン!私、デビルガールだよ!よろしくね!」


 俺が先に扉からリビングに入りデビルガールのことを紹介すると、扉からデビルガールが飛び出して自己紹介をする。


 「ミニデビから正当な進化だな。」


 「可愛い子になったわね。デビルガールちゃん。」


 父さんはミニデビからの進化として可笑しな進化をしなかったことに納得しているようだ。


 同じダークのエッセンスを与えて進化させても、進化前が同じエネモンでも別のエネモンに進化することはそれなりにある。


 それは同じダークのエッセンスでもエッセンスを落としたエネモンの違いで起こる現象なのではと言われているが、それを確かめる者が居てもキチンとしたデータが揃えられなくて本当のことは定かではない。


 これはエネモン自身もどんな風に進化したいのかを思う力や何かしらの力を持って進化しているからなのかも知れないし、規則性があるランダムな要素もあるかも知れない。


 だから本当のことは人もエネモンも誰も知らない謎として大昔から残っている問題だ。


 俺の家は俺しか子供のいない一人っ子だからか、エネモンではあるが女の子で着せ替えも出来るだろうデビルガールに喜んでいた。


 「可愛いわねぇ。」


 「そんな頭を撫でないでよー!」


 母さんはデビルガールを抱き締めながら頭を撫でているほどだ。デビルガールが本気で嫌がっているのなら止めるが、ミニデビの頃も母さんには抱っこされながら撫でられていたこともあって、そこまでデビルガールは嫌がっていないようだ。


 「それにしてもこんなに早く進化するとはエネモンバトルが得意だな、幸太は。」


 「今のところは学校でのエネモンバトルで全勝だよ。ミニデビもデビルガールに進化したしね。これからも強くなるんだ。」


 「デビルガールと一緒に頑張りなさい。」


 「うん!」


 俺が父さんと話をしている間にいつの間にか母さんとデビルガールの姿が消えていた。何処に行ったのだろうかと思っているとキッチンの方で音が聞こえる。


 キッチンからリビングに戻って来ると、そこには飲み物をお盆に乗せたデビルガールとその後ろに母さんの姿があった。


 それからこの日はゆっくりのんびりと家族と過ごしていくのだった。

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