第22話

 万引き扱いされたくないからミニデビにはよく言って置かないといけないな。流石に召喚してすぐにエッセンスに飛び込むかも知れないし、少し離れた場所でミニデビを召喚しないと。


 「ここなら良いかな。」


 少し離れた場所で店員がこちらを見ているのが気になるが、俺は契約紋に意識を向けてミニデビを召喚する。


 「デビー!!」


 「おっと、ふぅ。」


 召喚してすぐに飛び付いて来たミニデビを俺は受け止める。


 「ミニデビ、これから言うことをよく聞いてくれよ。」


 「デビ!」


 俺はミニデビに先ほど店員から聞いたことを伝えた。そしてどうやってエッセンスを選ぶのかを教えていく。


 「分かったか。欲しいエッセンスは指を刺すんだ。」


 「デビ!」


 「じゃあ1つずつ見ていこう。」


 ミニデビが分かったと頷いたのを確認した俺はミニデビを抱っこしたまま棚に置いてあるエッセンスを確認していく。


 そうして見ていく中でミニデビが欲しいと反応したのはやはりダークのエッセンスだった。


 「やっぱりダークのエッセンスが欲しいんだな。」


 「デビ!!」


 何度もミニデビは頷く。それほど進化に必要なのはダークエッセンスなのだろう。他に必要なエッセンスはないかを一応は聞いていく。


 「ダーク以外のエッセンスは必要ないか?」


 「デビ!!」


 どうやらミニデビはダークエッセンス以外は必要ないようだ。それならダークエッセンスのみになるから必要なダークエッセンスの量は多くなるだろう。


 「それじゃあダークエッセンスを選ばないとな。どれが良いとかあるか?ミニデビ。」


 「デビ!」


 ミニデビを肩に乗せると、俺はミニデビが指を刺したダークエッセンスを籠の中に入れていく。


 「デビデビ!」


 「ん?どうした、ミニデビ。」


 肩から降りて俺の服の裾をミニデビが引っ張って来た。何かあるのかと思い、俺はミニデビが引っ張る方へダークエッセンスの入った籠を持って移動する。


 「デビ!」


 「えっ!これが欲しいのか?」


 ミニデビが指を刺したのはこれまたダークエッセンスだ。だが、そのダークエッセンスは純度が先ほどのコーナーのダークエッセンスよりも高い物だ。その為、その分だけ値段も高かった。


 「うーん……値段はこれくらいなら籠の中の分と合わせて買えるか、な。うん、買えるな。」


 籠の中のダークエッセンスの数と値段を頭の中で計算し、先ほどミニデビが指を差したダークエッセンスの値段を足してもお小遣いとお年玉だけで済むのが分かった。


 「他に進化に必要なエッセンスはないよな。」


 「デビ。」


 どうやらミニデビの進化に必要なエッセンスはこれで全部らしい。あとは進化に必要なエネルギーの確保のためのエネルギーキューブの購入も購入して会計に向かう。


 会計をしている間、財布を取り出して値段を確認しながら財布からお札の準備をしていく。


 「会計は16800円です。袋は入りますか?」


 「はい。お願いします。」


 購入したダークエッセンスとエネルギーキューブを袋の中に入れてもらうと、それを持って待っていた母さんの元に向かった。


 「お待たせ!」


 「買えたのね。お小遣いとお年玉で足りた?」


 「うん、足りたよ。」


 レシートを母さんに渡せば、母さんはすぐにレシートを確認し始めた。


 「やっぱり高いわね。それでミニデビちゃんの進化は家に帰ってからにするの?」


 「そうだよ。流石にここでするのは止めておく。じゃあ、ミニデビ。家に着いたら召喚するね。」


 「デビ〜。」


 まだ俺に離れたくない様子のミニデビだが、許可を持っていない者が外でエネモンを出すのは違反ではないが迷惑を掛けて顰蹙を買う行為だ。


 だから渋る様子のミニデビを契約紋へと送還させてエッセンス販売店を後にすると、それから昼食は途中の弁当屋で購入したお弁当を持って帰宅した。

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