第20話

 「お疲れ、ミニデビ。」


 「デビ。」


 いつもの通りにエネモンバトルで勝利した際にするハイタッチをすると、俺は倒した蜜飛ばしチューリップが先ほどまで居た場所に移動する。


 「これがプラントエッセンス……。」


 蜜飛ばしチューリップがドロップした緑色の球体を拾い上げて見上げる。初めてビーストエッセンス以外の手に入れたエッセンスだ。


 もしかしたらと思い俺はミニデビに聞いてみた。


 「なあ、ミニデビ。プラントエッセンスは欲しいか?」


 「デビデビ。」


 「そっか。」


 どうやらビーストエッセンスと同じでミニデビはプラントエッセンスをお気に召さないようだ。


 やっぱりミニデビが欲しいエッセンスはダークエッセンスなのだろう。成長期に進化するのに必要なエッセンスの量がどれくらいになるのか少し心配だ。お小遣いとお年玉で購入できる金額だと良いんだけど。


 「デビ!」


 「ああ、ありがとう。」


 ミニデビから受け取ったエネルギーキューブとプラントエッセンスをエネルギーデヴァイスに収納すると、俺とミニデビは探索に戻った。


 そして隠れながら探索した結果、この辺りに現れるエネモンは蜜飛ばしチューリップだけのようだ。


 「次からは体当たりも混ぜて戦ってみるぞ。」


 「デビ!」


 これまで遭遇した蜜飛ばしチューリップには【ミニダーク】で攻撃していたが、流石に【ミニダーク】の使用回数も回復させないといけないくらいに消耗している。


 使用回数の回復をエネルギーキューブで出来るとは言え、今後のことも考えるのなら技の【体当たり】も使って倒せた方が良いだろう。


 そう思った俺は一応の為にエネルギーキューブでミニデビの【ミニダーク】の使用回数を回復させてから蜜飛ばしチューリップを探し始めた。


 「先制にミニダークを使ってからあとは体当たりで倒すぞ。」


 「デビ!」


 慈善に作戦を決めた俺とミニデビは蜜飛ばしチューリップへと向かって移動していく。


 「チュー、リップ!」


 蜜飛ばしチューリップに奇襲する前に気付かれてしまい、逆に必殺技の【花蜜弾】が俺とミニデビに放たれる。


 「躱すぞ、ミニデビ!」


 「デビ!」


 俺とミニデビは左右に飛び退くように距離を取ると、先ほどまで俺とミニデビがいた場所に【花蜜弾】が通り過ぎていく。


 「反撃だ!ミニダーク!!」


 「デビィィ!!」


 ミニデビの両手の間に暗黒の球体が生まれると【ミニダーク】が蜜飛ばしチューリップへと放たれる。


 根っこを器用に動かして歩いて移動する蜜飛ばしチューリップだったが、その移動スピードはそれほど速くなくミニデビの【ミニダーク】を躱すことが出来ずに命中する。


 「よし当たった!ミニデビ、そのまま突っ込め!!」


 「デビ!」


 【ミニダーク】を受けて怯んでいるうちに少しでも蜜飛ばしチューリップとの距離をミニデビに詰めさせる。


 ミニデビの【体当たり】の攻撃範囲内まで接近することに成功したが、その間に【ミニダーク】を受けた際に起きた怯みや崩していたバランスも戻ってしまった。


 だが、ここまで来れば問題はない。俺はミニデビに回避を優先するように指示を出す。


 「ミニデビ、相手の攻撃を待つんだ。攻撃のタイミングは俺が決める。」


 「デビ。」


 そして俺はミニデビの攻撃を命中させる為にタイミングを計る。技の【蔓の鞭】必殺技の【花蜜弾】。この2つの攻撃を蜜飛ばしチューリップが行なったタイミングがミニデビの攻撃タイミングだ。


 タイミングを見計らっている間、ミニデビは蜜飛ばしチューリップの周りを飛び回っている。


 そんなミニデビを鬱陶しく思ったのか、ようやく蜜飛ばしチューリップが攻撃を仕掛けてきた。


 【蔓の鞭】からの【花蜜弾】。【蔓の鞭】を振り回して回避場所を作ってからの【花蜜弾】は攻撃のタイミングを俺が決めて、ミニデビには回避を優先させていなかったら命中していただろう。


 だが、そのお陰でミニデビは蜜飛ばしチューリップからの攻撃を躱すことに成功した。


 「今だ!体当たり!!」


 「デビ!!」


 ミニデビの技を防ぐ方法がない蜜飛ばしチューリップに【体当たり】が直撃するが、これだけじゃ蜜飛ばしチューリップは倒せなかった。


 それから2度の【体当たり】をミニデビは命中させることで、俺とミニデビは蜜飛ばしチューリップするのだった。

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