第16話

 成熟期エネモンとの戦いを終えて、福田さんを先頭に俺たちは大岩へと戻っていく。


 「ここまで来れば安全だね。私は後方に戻るからここからは2人で先頭を歩いてね。」


 「分かりました。」


 「最初は僕から行くね、里見くん。」


 「ああ。」


 赤井くんを先頭にして俺と福田さんは着いていく。道中に現れる成長期エネモンとの戦いを交互に繰り返して進み、エネルギーワールドとマテリアルワールドとの出入り口にたどり着く。


 「流石に今日は遅いからね。エネルギーワールドの探索は終わりにして帰るよ。流石に山道を暗くなってから歩くのは危ないからね。」


 「そうですね。もう5時になってますし。」


 時間帯も夕方の時刻だ。小学校が終わってからの時間ではじっくりとエネルギーワールドの探索は出来そうにない。


 本格的なエネルギーワールドの探索と自分たちの契約エネモンのレベル上げは土日の休日になるだろう。


 エネルギーワールドを出た俺たちは自分たちのエネモンを契約紋章へと戻して夕暮れで暗くなった山道を急いで降りていく。


 「私はこっちだから。じゃあね、里見くん、赤井くん。」


 「はい。色々教えてくれて、ありがとうございました。また、福田さん。」


 「福田さん、今日はありがとう!僕、頑張るよ!!」


 小学校の裏山を降りて少しして俺と赤井くんは福田さんと帰り道が別れることになった。


 暗くなり始める通学路を俺と赤井くんは今日のエネルギーワールドの話題を話しながら帰るのだった。


 「ただいま!!」


 「「おかえりなさい。」」


 母さんと母さんのエネモンのリーネットの声が聞こえる。リビングからはカレーの美味しそうな匂いがしていた。


 俺は急いで手洗いうがいを済ませてランドセルを自室に置くと、ミニデビを召喚してから急いでリビングに向かった。


 「幸太、今日は遅かったわね。どうかしたの?」


 「友達と遊んでて遅くなっただけ。今日はカレーなの?」


 「そうよ。あと30分は煮込むから今のうちに宿題を済ませちゃいなさい。」


 母さんの言う通り、30分なら今のうちに宿題を終わらせてしまおう。


 「うん、そうする。俺は部屋に戻るけど、ミニデビはどうする?」


 「デビ!」


 「なら一緒に戻るぞ。」


 俺の腕にしがみ付くミニデビを連れて自室に戻ると、俺は今日の宿題を夕食の前に終わらせていく。


 宿題を終えて、夕食を父さんを除いた家族で食べ終えると、俺はミニデビと部屋に戻った。


 「今日は楽しかったね、ミニデビ。」


 「デビ、デビ。」


 うんうんと頷くミニデビの頭を撫でて、俺は今日のエネルギーワールドでのことをベットに横になりながら思い浮かべる。


 初めての実戦と成熟期のエネモン同士の戦いは特に印象深い。


 「それにしても凄かったよな、成熟期同士のエネモンたちは、俺たちもあんな凄い戦いが出来るようになりたいな。な、ミニデビ。」


 「デビ!!」


 ミニデビも福田さんの契約した成熟期のエネモンの強さや、グラップラーラビットの強さを俺以上に感じ取ったはすだ。


 それでもミニデビの闘志は折れることはなく、自身の一つ上という明確な目標を認識してやる気を出していた。


 「そうだ、ミニデビ。今日、手に入れたビーストエッセンスは使うか?」


 「デビ、デビ。」


 「いらないのか?」


 「デビ!」


 どうやらミニデビはビーストのエッセンスは必要ないらしい。あのエネルギーワールドで手に入るエッセンスは今日のところはビーストエッセンスしか手に入らなかったから、ミニデビが欲しいエッセンスを手に入れるにはエネモン関係の専門店に行かないと手に入らないだろう。


 しかも、どのエッセンスだとしてもそれなりの値段で購入する必要があり、俺のお小遣いではそこまで多くのエッセンスを買うことは難しい。


 出来れば、ビーストエッセンスで済ませられるのなら良かったのだが、そうはいかないので今のうちにお小遣いを貯める必要があるなと思うのだった。

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