第9話
【体当たり】の技を空中を飛行するスピードを上げる為だけに使用する事で、移動と回避の両方の役目をする事もこの一週間での可能にしていた。経った一週間でここまで出来るのはミニデビが天才なのではと思う。
今現在行なわれているベイビーウルフとの試合で、この一週間の特訓の成果が出ていた。
そして、反転したミニデビの手元に暗黒が生まれると放ち、【そよ風バイト】を行なって身体を硬直させているベイビーウルフの背中に【ミニダーク】が直撃する。
「キャン!?」
「ベイビーウルフ!?」
【ミニダーク】の直撃を受けたベイビーウルフが悲鳴を上げる。そんなベイビーウルフをクラスメイトが心配で声を上げる。
そんな中で俺はミニデビへと追撃の指示を出した。
「ミニデビ!続けてミニダークだ!!」
「デビ!」
必殺技の【ミニダーク】を受けて怯んでいたベイビーウルフへとミニデビが追撃の【ミニダーク】を放った。
「躱せ!!ベイビーウルフ!!!」
流石に二発目の【ミニダーク】をベイビーウルフが受ければ倒される。それが分かるからこそ、ベイビーウルフの契約者であるクラスメイトも声を上げた。
「ギャウーン!?」
だが、ミニデビの放った【ミニダーク】をベイビーウルフは躱す事が出来なかった。
「勝者ミニデビ!!」
この【ミニダーク】の一撃が決め手になり機械の判定で勝者は俺のミニデビになるのだった。
「よし!勝ったぞ!!」
「デビ!!」
クラスメイトとの試合に勝利した事で喜んで俺はミニデビと抱き合う。今回は無傷での勝利を喜びながら俺は試合舞台の上から降りて観客席へとクラスメイトと共に戻った。
この小学校では一回の戦闘分の回復用のエネルギーキューブを一つだけ闘技場の管轄の先生から無料で貰える。
そのエネルギーキューブを使って回復したベイビーウルフとベイビーウルフの契約者のクラスメイトとさっきの試合の反省会をしながら試合舞台で行なわれている試合を観戦していく。
友達の赤井くんやクラスメイトたちとのエネモンバトルを一試合が終われば、みんな家に帰る為に教室へとランドセルを取りに戻って帰り支度をする。
「じゃ、またなあ!!」
「うん、じゃあ明日!」
そんな会話をしながら校門を出ると、俺は赤井くんと一緒に家に向かって歩き出す。
帰りながら今日のエネモンバトルはどうだったなどと話しながら帰宅していると、帰り道の商店街を通り過ぎる時に子供たちの怒鳴り声が聞こえて来た。
「なんだ?」
「何があったのかな?見に行ってみようよ、里見くん。」
「分かった。」
俺と赤井くんは何があったのか気になって商店街のエネモンバトルかいじようである闘技場の出入り口へと向かう。
そこには泣き腫らしているクラスメイトや同級生の姿があった。
「あれってウチのクラスの奴と別クラスの奴じゃないか?」
「そうだね。中里くんと井尻くんだよ。心配だから何があったか聞きに行こう!!」
赤井くんが名前を覚えていた中里くんと井尻くんの二人の元へと駆け寄っていくのを見送る事なく、俺も赤井くんに遅れて泣き腫らしている中里くんと井尻くんの元へと移動した。
「二人共!何があったんだい!!」
「君は赤井くん。実はね……。」
二人を心配している赤井くんの姿に中里くんと井尻くんは商店街の闘技場で何があったのかを聞いていく。そうして聞いた話はこういう事だった。
中里くんと井尻くんは二人で商店街の闘技場でエネモンバトルをし様としていたのだそうだ。
そしてそこで隣の小学校のガキ大将の銀島に試合舞台の割り込みをされ、割り込みに怒った二人を銀島が怒鳴ってエネモンバトルで決着を付ける事になる。
結果は二対一でのエネモンバトルで二人は銀島とのエネモンバトルで負け、更に試合が終わったのにも関わらず、二人のエネモンが執拗以上に銀島のエネモンに痛めつけられてしまい瀕死の重傷を負わされた。
幸いに試合舞台を管理していた職員のお陰で二人のエネモンは死んではいないが、それでも二人は自身のエネモンに対して泣いていたらしい。
赤井くんは銀島がどこにいるのかを二人に聞くが、どうやらもう既に銀島は闘技場内を去って居り、赤井くんは銀島の行なった事に憤慨していた。
その後、泣き止んだ二人を見送って俺も赤井くんと共に帰路に着くが、赤井くんはエネモンを殺そうとした銀島へ試合を挑むと帰り道で意気込んでいるのだった。
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