第5話

 「ミニデビ!ミニドラコへ体当たりだ!!突っ込んで距離を詰めろ!!」


 「デビ!」


 必殺技の【ミニダーク】をこのまま放ち続けても、赤井くんのミニドラコの【ベビーファイア】での相殺や回避で躱されるだけになり、そうすると必殺技の使用回数が無くなってしまうだろう。


 だからこそここで負ける事に成ろうとも今までの撃ち合いの流れを断ち切る選択をした。


 俺の指示を受けて技の【体当たり】を発動して真っ直ぐに普通よりも早い速さでミニデビは空を飛んでいく。


 「ミニドラコ、ミニデビにベビーファイアだ!!」


 「ドラ!」


 ミニドラコが赤井くんの指示を聞いて口の中に小さな火の球を作り出すのが視界に入る。


 あれをミニデビが受ければ、この試合で初めてのダメージを受けるだろう。だが、ここで回避を選べない。ミニデビは【体当たり】を発動している最中だ。技を使用している最中に技を中断や止める事をミニデビが出来るのか分からない。ここはミニデビが【ベビーファイア】を耐えられる事を信じる事にした。


 「ミニデビ!!そのまま行けぇええ!!」


 「デビィ!!!!」


 【体当たり】の勢いのままにミニデビはミニドラコの【ベビーファイア】へと突っ込んだ。


 そして、ミニドラコの【ベビーファイア】がミニデビに命中する。ここでミニデビの【体当たり】の勢いが落ちて止まるのか、それともミニドラコの【ベビーファイア】を【体当たり】の勢いで突破できるのか、それによりこの戦いが決まる。


 俺はミニデビがミニドラコの【ベビーファイア】を突き破ると信じた。そしてその結果を【ベビーファイア】の小規模の爆炎が巻き起こる中を見守っていると、ミニデビが【ベビーファイア】を突破した姿を視認する。


 ミニデビの身体には【ベビーファイア】を受けた影響で傷付いてエネルギー漏れを起こし、身体からエネルギーの粒子が流失している姿だが、ミニデビはそのまま口を開けているミニドラコへと突っ込んで行く。


 「行け!!ミニデビ!!!」


 「デビィィイ!!!!!」


 「ドラッ!!?」


 「ミニドラコ!?」


 ミニデビの【体当たり】が【ベビーファイア】を放った体制の口を開けていたミニドラコに直撃する。


 「ミニデビ!そのままミニダークだ!!」


 「デビ!!」


 ミニデビの【体当たり】を受けてダメージを受けて怯んでいるミニドラコへとミニデビは【ミニダーク】を放つ。


 「ミニドラコ、避けて!!?」


 ミニドラコへと回避の指示を出す赤井くんだったが、ミニドラコはミニデビから受けた【体当たり】のダメージですぐには動けなかった。


 そのお陰でミニデビが放った【ミニダーク】はミニドラコに直撃する。


 これが決め手になり【ミニダーク】の直撃を受けて身体からエネルギー粒子を流失しながらミニドラコは試合舞台に沈んだ。


 「里見くん、赤井くんの試合は里見くんの勝利です!」


 五つの試合の全ての審判役をしていた先生が勝利宣言をする。俺の初めてのエネモンバトル。俺と赤井くんの初めてのエネモンは俺の勝利で終わった。


 「やった!勝ったぞ!ミニデビ!!」


 「デビ!!」


 身体はボロボロで傷からエネルギーが粒子状になって漏れ出ているミニデビを抱き締めて喜ぶ。


 「ミニドラコ、お疲れさま。頑張ったね。」


 「ドラ。」


 そんな俺とは対照的に赤井くんは頑張った動けないミニドラコを褒めていた。


 「これを使ってエネモンを回復させてあげなさい。」


 「あっ、エネルギーキューブ。」


 まだ他の試合が残っているが、試合が終わったからか先生がエネモンの回復にも使用できるエネルギーキューブを二つ持って俺に手渡してきた。


 二つあるって事は一つは俺のミニデビ用でもう一つは赤井くんのミニドラコ用にエネルギーキューブを使えって事なのだろう。


 「赤井くん。これ使って!」


 「これはエネルギーキューブだね。ありがとう、里見くん。」


 先生から渡されたエネルギーキューブを赤井くんの元へと行って手渡す。


 赤井くんも渡されたのがエネルギーキューブだと気が付くと、エネルギーキューブを傷付いているミニドラコへと吸収させて使い始めた。


 俺も手に持っているエネルギーキューブを片手で抱っこしていたミニデビへと手渡して吸収させて回復させる。

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