第5話 潮風

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 週末。

 約束通り、リクトの住むツクモ町まで行くことになった。

 事前に外出することを伝えていたため、カオルとカエデに軽く挨拶をすると、早々に駅へ向かった。

 ここからツクモ町まで、電車で一時間程度だが、ユウトの家から駅までは少し遠い。学校を挟んで反対側であるため、歩けば三十分位はかかってしまう。こういう時、貴族や家門の者なら必ず車で移動するのだが、生憎とユウトにそんな習慣はない。

「ユウト君、おはようございます。」

「おはよう、アリスさん。」

 集合時間の十分前なのだが、アリスは平静に挨拶してきた。もしかしたら気を使わせたのかもしれない。

「じゃあ行こうか。」

「はい。」

 アリスはメーク領の出身であるため、学校の寮に入っている。アリスもリクトの地元を見てみたいとの事で、二人でツクモ町まで電車で移動する予定だ。

 アリスと二人きりになることに対して、少なからずリクトに申し訳ない気持ちが浮かび上がってくるが、アリスも特に気にしている様子はないし、逆に野暮というものだ。普段通りに接することを心がける。ユウトにとっては学校に入って初めてできた友人だ。大切にしたい。

 都市部から離れるその路線は、週末にも関わらず人が少なく、容易に席に座ることができた。

 今日の朝は何食べたとか、この間の講義はどうだったとか、他愛のない会話を繰り返し一息ついた所で、アリスから意外な質問が飛び出した。

「ユウト君は、どうして今になって名前を明かしたのですか?」

 声のトーンが一つ低かった。首を横に向けると、アリスは真剣な眼差しだった。

 その質問に対して、ユウトが答えづらい、または答えたくないことをアリスは知っている筈だ。承知の上で聞いてくるということは、彼女の中に明確な目的があるのだろう。

 アリスの意思を汲み取ったユウトは、少しの思慮を挟んで、

「質問で返して申し訳ないけど、アリスさんはメーク領出身だよね。貴族階級の者達以外は、他の領地に対して閉鎖的、というのが僕の認識なのだけれど、自分とは無関係のフシミ領の事が気になる?」

 ユウトがこう質問したのには理由がある。はっきりと分かった事ではないが、アリスはフシミ領に関心があるように窺えた。今回ツクモ町に行くのも、単に彼氏の家に遊びに行くだけが目的だと言えない様子だった。

「そうですね。確かに我々庶民は、他の領地の政治や時事、軍事などに疎いです。ですがそれは、決して無関心なのではなく、その余裕が無いからだと、今は思います。」

「今は?」

「はい。かくいう私も、ここへ来るまではその内の一人でした。庶民はどこにいるかも分からない貴族や家門の影に怯えて生活しています。圧倒的な身分の差。メーク領は他の領地に比べて随分と良い方ではありますが、やはり領地の外に目を向けることは殆どありませんでした。」

 電車の揺れる音が、やたら大きく聞こえる。

「発展して、生活が豊かになって、さも人類史が成長しているのだと肌で感じられるのは、上の階級の人達に限られます。大抵都市部はそういう人達が多く暮らしています。エーデルシックザールに入寮するに当たり、私は数日前にフシミ領にやって来ました。都市部は開発中で、あちこちが工事の影響で通行止めになっていました。ホテルへの道順がナビ通りに進まず、私は道行く人に聞いて回りましたが、厄介事に関わりたくないと無視されました。彼らは雇われの労働者で、そういう人達は少しのミスで職を失ったり、暴力を振るわれたりします。フシミ領も他の領地と同じで、都市部では階級の差が露骨に現れ、誰もが見て見ぬふりをする。私がその事を痛感していた頃、一人の男の子が声を掛けてきました。」

 アリスが自分の胸をキュッと掴んだ。自分の大切な宝物を握り締めるように。


 

「道、分からないんですか?」

「最近この辺は工事が多いですからね。俺もよく知ってる訳じゃないけど、案内しますよ。」

「どこから来たんですか?」

「もしかして、エーデルシックザールに入学するんですか? 俺もです!」


 

「一緒にホテルへ向かう中、立て続けの質問攻めに会いましたが、今思えばリクト君は普段からああも積極的に話すタイプじゃなくて、きっと私が不安そうだったから、会話で和ませようとしてくれたのです。」

 ホテルに着くと連絡先を交換してその場はお別れし、入学式でまた再会したのだと、アリスは話した。

「メーク領は、身分を明確にすることで差別を抑制しています。上の者と下の者が混ざった社会では、上が下を虐げてしまう。なら、両者の住む世界をある程度区分けることで、直接的に民を虐げることを減らしたのです。区分けている時点でそれは差別ではありますが、他の領地とは格段に庶民はストレスを感じていないと思います。それでも、貴族達は庶民を虐げようとし、結局は他と本質的には変わりありません。」

 メーク家は七家門の中で、かつてのカイヅカ家に次いで温厚で非差別的な家系だったため、貴族達による抑圧は少ないと言われている。

「私は、外の世界に出て多くを学びました。昔は下ばっかり見てたことを恥ずかしく感じます。フシミ領になる前、ここがカイヅカ領だった時は、とても今の私達では想像できない格差の小さい社会が構築されていたと知り、それは、人間社会の本来あるべき姿なのではないかと考えるようになりました。そう考えるきっかけを与えてくれたのは、私の住んでいたメーク領ではない別の場所、そしてそこで暮らす人でした。フシミ領に変わったことによる数々の変化。それは人類史にとって重要な歴史ではないでしょうか。知って何かしたいとか何か変えたいとか、そういう問題じゃなくて、この世界に住む一人の人間として、無関心ではいられない、いてはいけないのだと思います。」

 そう話すアリスの瞳は、凛々しく真っ直ぐと前を見つめていた。

「……分かった。話してくれてありがとう。」

 真剣な雰囲気は終わり、一通り話し終えたアリスは笑顔を見せた。

「ユウト君が答えたくないことを、私は知っています。なので、無理に答えなくて大丈夫です。ただ、ユウト君が無意味に行動する人に思えなかったので、私の興味本位の独り言と受け取って下さい。」

 そうは言っているが、冷やかしや単なる興味本位ではなく、彼女の中には明確な動機があった。

「僕も思えば、きっかけは外の世界を知った事だった。」

 ユウトはアリスの話を聞いている最中、自分を回顧していた。そのため、自然と自分の話を始めた。

「『ゆうしゃのぼうけん』っていう絵本を知ってる?」

「はい。有名な児童向けの絵本ですね。」

「そう。現界では知名度の高い絵本。僕も幼い頃読んで、こう思ったんだ。どうして外の世界の住人をああも悪く書くのか、と。」

 『ゆうしゃのぼうけん』の中では、魔人は鬼、天人は妖怪と表現され、人間の勇者の敵として描かれた。

「アリスさんは魔人や天人に会ったことはある?」

「ありません。」

「僕も。そして今の人間達は誰も会ったことないんだ。それなのに、どうして彼らが僕達よりも醜くないと言い切れるのだろうか。」

「…………」

 その考えは、アリスにとって新鮮そのものだった。

 魔人や天人と呼ばれる、人間とは異なるヒトが存在することは知っている。そして彼らに抱くイメージはあまりいいものではない。アリスにとって衝撃だったのは、知らないのに悪く描くことではなく、悪く描く彼らよりも自分たちの方が醜いという考えだった。ユウトは彼らの悪性を否定するのではなく、自分達の悪性を天秤に乗せたのだ。

 魔人や天人達がもしかしたらいいヒトかもしれない、だから悪く描くことは間違っている。そう思うことは美しい思想に聞こえるが、本質的には何も変わらない。結局は会った事がないのだから、自分勝手な憶測や希望を押し付けているだけだ。だからユウトは、彼らの善悪論争に決着を着けようとはせず、逆にそれを曖昧なガラスに見立て、そこに映る自分達の善悪を問いた。

 これが現界に留まらず世界全体に視野を広げた思考だと、アリスは気付いたのだ。

 そしてユウトも、アリスの様子を見て少なからず驚きを感じ、彼女の精神に敬意を評した。誰かの言葉を飲み込むのは簡単だ。難しいのは、入念に咀嚼し奥に秘められた隠し味を見つけることだ。それと同じことをアリスは行っていた。簡単に出来ることではない。

「疑問は次第に膨らみ、未知との遭遇によって僕の価値観は形成された。長らく培った目と耳と体全体で周囲を感じると、僕のいる世界はとても歪だった。みんなが下を向いている。誰もあすを見ない。」

 ユウトは背もたれに深く寄りかかり、電車の振動で揺れる吊革を眺めた。過去を思い出しているように見えた。

「僕はね、この世界を変えたいんだ。それが、アリスさんの質問に対する、僕の答え。」

「世界を………変える……」

 アリスには想像ができない。何をどう変えていくのかが。

「僕もだよ。僕もよく分からないんだ。」

 アリスの反応を見て、ユウトはこう返した。想定外の発言にユウトを振り返るが、彼は本当に困った様子の笑顔を浮かべていた。

「どう変えていけばいいのか。どうしたら変えられるのか。でも、アリスさんの考えは一つの答えなのかもしれない。ありがとう。」

「………。」

 彼の中でどう落とし所を見つけたのかアリスには分からなかった。ユウトの言う事はどれもアリスには抽象的で、ふんわりと分かったぐらいの認識しか与えられていない。

 しかし、彼の笑顔や瞳の奥の透き通るような眼光を見ると、妙に納得してしまう。


 彼が、世界を変える人物だと。


「もう一つ、関係のない事を聞いてもいいですか?」

「どうぞ。」

「それ、中に何が入ってるんですか?」

 アリスは少し前のめりになり、ユウトを挟んで隣に置いてある紫色の細長い包みを指差した。

「いつも持っていますよね。何となく想像できちゃうんですけど、気になってしまって。」

 ユウトは隣に置いたそれを自分の前に持ってきて、口の結び目を解きながら、

「じゃあ当ててみて。何だと思う?」

「私の予想では、剣道に用いる竹刀を入れたり野球部がバットを入れたりするものに似ています。素材が布であまり重たいものを入れるのに適さないと考えると、護身用か実は習い事で剣道をやっているかで、中には竹刀が入ってると思います。」

「お、中々に自信ありげな顔だね。正解は………」

 紫の袋の結びを解き、ゆっくりと下ろしていった。

 徐々に姿を現したのは、明るい茶色で、木製の細長い――



               *



「お待ちしてました! ユウト君!」

「や、やあ、おはよう、リクト君。今日はいつもより元気だね。」

「はい!」

 (凄い張り切ってる……)

 駅から出た二人を待っていたのは、やる気に満ち溢れたリクトだった。

「では、早速行きましょう!」

 リクトは先導きって歩き始めた。

 ちなみに、何処をどう回るのか、リクトしか知らない。

「あの、ユウト君。」

 リクトに聞こえないように、アリスは身を寄せて耳打ちをしてきた。

「?」

「もしかしてこれ、長時間歩くコースなんじゃ………」

「…………」

 足元を見る。

 控え目な色のパンプス。つま先部は丸く、ヒールの高さもかなり低めだが、長時間の歩きには向かないだろう。

 彼氏の家に行くのだ。若者らしく、イメージを崩さない範囲で精一杯のオシャレを頑張ったのが仇となった。

「………辛かったら正直に言おうか。」

「………はい。」

 そんな会話も露知らず、

「初めはどこに行きたいですか?」

「(何があるのかさっぱりだけれど)そうだね、やっぱりツクモ町と言えば漁場や市場じゃないかな。一度見てみたいと思っていたんだ。」

「了解です!」

 思いの外長丁場になりそうだと腹を括った二人だが、それはいい意味で裏切られることになる。



               *



「ここが市場です。」

「「おおー。」」

 町全体は廃れた印象だったが、市場は予想以上に賑わいを見せていた。

 長い一本道の横丁に、ぎっしりと店や露店が並ぶ。エプロンを着た老婦人や大きな手袋と長靴を着けた男性が、いらっしゃ〜い!、今日はこれが鮮度いいよ!、と突き抜けるような声でお客を引き寄せる。

 向こうではパンチパーマがド派手な店主が魚を焼いている。うちわで仰ぐ香ばしい香りが、道行く人の食欲を誘う。

「元から住んでいた人は減ってしまいましたが、それでも漁港に集まる多くの人、その関係者、他所からのお得意先などなど、沢山の人で連日賑わっています。」

 三人で横丁へ入る。誰かと肩がぶつかるなんて、都市部ではありえない光景だ。

 普段とは違う熱気に、ユウトとアリスはただただ圧巻していた。

「あ〜ら〜、リクト君じゃない!」

「春日井のおばちゃん。おはようございます。」

 とある魚屋を通り過ぎる時、店の中から一人の中年女性が現れた。はにかんだ笑顔は二十代のようで、親しみやすい性格が滲み出ている。

 リクトとは知り合いのようだ。

「隣の人達はリクト君のお友達かい?」

「いえ! この人はあのカイ――」

 それ以上リクトが言う前に、肩を強めにポンポンと叩いた。

「僕と彼女は、リクト君の学校の友人です。今日は初めてこの町に来たんです。」

「そうだったのかい! こんななーんもない町に来るなんて、お友達は物好きなんだね!」

「こんなにも盛大な市場があるじゃないですか。」

「ハッハッハ!」

 ユウトの本音な感想を聞いて、春日井という女性はお世辞だと受け取って高らかに笑い始めた。

「昔はね、こんな市場町のそこら中にあったさ。」

「「え!?」」

 二人同時に驚きの声を上げた。

「今はこうやって寄り集まってそれらしく保ってるだけさ。段々と外からやって来る人は減ってて、ここを通ってる人はみーんな漁業の関係者さ。」

 横丁を歩く人達に目を向けると、確かに観光やただの買い物目的の人は見当たらない。仕事の制服を着ていたり、フシミ領外の人達が品定めなどをしている。要するに、実状は業務用の市場なのだ。

「……。」

 ユウトの市場を見る目が変わった。

 横丁に並ぶ店をよく見ると、地元民のものは少ない。

 この町の活気は変化しているのだ。

「リクト君、ちょっと。」

 春日井さんがリクトだけを小さく手招きした。残された二人に背を向ける形でヒソヒソ話を持ちかける。

「ちょっとなに、あのべっぴんさんは! 隣の彼のアレ?」

「いや〜、僕の……です。」

「もう! やるじゃない!」

 バシンっと思いっ切り背中を引っぱたく。ついリクトが痛っ、と声を出してしまう位に。

「女の子を泣かせるんじゃないよ! あと、お友達もね!」

「うん! ありがとう、おばちゃん!」

 春日井さんだけではない。市場や町を歩いていると、地元民がリクトに声を掛ける場面が多い。

「リクト君は人気者なんだね!」

 アリスはまるで自分の事かのように嬉しそうだ。

「僕のお父さんがこの町の組合をまとめてて。仕事で忙しい時はよく町の人に世話してもらったりしてたんだ。」

「それでも、慕われてるのは君自身の人徳のあってこそだと思うよ。」

「……ありがとうございます。」

 照れ臭そうに頬を赤らめた。

「そ、そうだ! そろそろお昼ですし、ウチで昼食をどうですか? 」

「喜んで!」

 アリスはニパァと分かりやすく笑顔になった。ぶっとうしで歩く事を回避できた喜びが混じっている事などリクトは知らない。

「うん。お言葉に甘えて。」



               *



 リクトが家の玄関を開け放ち、ただいまーと大きな声で叫ぶと、何故か家に入ろうとせず、呆然と固まってしまった。

 事件や事故などの緊急事態の可能性がよぎり、すぐさまリクトの背中越し家の中を確認する。

「!」

 目が合った。

 玄関土間の小上がりのすぐ側、客人用のスリッパが置かれた場所から一歩中に入った所だ。膝を折り畳み厳粛に床に座っていた。

 リクトの両親だった。

 父親は短髪でガタイが良く、真っ白なシャツからはユウトの倍はありそうな太い腕が伸びている。肩周りや胸板もシャツ越しに厚い事が分かり、ほんのりと日焼けした様は漁師というより軍人や消防士に近いかもしれない。母親の方は色白でスラッとした人で、すぐ側にエプロンを丁寧に畳んで置いていた。

 リクトは昨日の事を思い出す。



「父さん、母さん。明日クラスメイトを家に招こうと思うんだけど、いい?」

 夕飯終わりの事だ。ふと話していないことに気付き、自分ながらに報告が遅かったと自覚していたが、

「ちょっと! どうして早く言わないの!?」

「そうだぞ! お友達はどんな人なんだ!? 」

 父も母も、海潮に打たれ鍛えられた熱血人だ。年中無休元気ハツラツ。早速母は指を折りながら明日買い出しに行く食材を数えている。

 リクトが学校に通い始めた時期には既にフシミ領に変わっており、周辺の人口が減った影響で家に友達を招くなんて機会にそう恵まれてこなかった。それもあって両親はかなりハイテンション。子供よりもウキウキしてる様に見える。

「えーと、明日俺がこの町を案内することになってて、昼ご飯をウチでどうかなって考えてるけど、いいかな?」

「わかったわ! ご馳走を用意しないと!」

「で、どんな人なんだ! 」

 父の圧が凄い。確かに地元以外で友達が出来たなんて話は今までしてこなかった。こんな風に気にしてくれるのはありがたいことだと思う。

「一人はアリスさんって言って――」

「彼女なのか!?」

「う、うん。」

「彼女なのかっ!」

 両肩をがっしりと掴まれ、ブンブンと振り回される。

「彼女が出来たのか! なぜもっと早く言わなかった!」

「いや、だって、最近の話だったし。」

「やだ、もしかしてお家デート!? も〜、早く言いなさいよ。私達はさっさと退散するから、安心しなさい!」

「ち、違うって。もう一人いるんだ。」

「彼女が二人〜!? リクト! お前をそんな風に育てた覚えはないぞ!」

 もう目が回るし、痛い。

「違うってば! もう一人は、カイヅカ・ユウトく――」

 ガシャーン! と皿が割れた。母が洗い終わって重ねて置いていた皿に触れて、落としてしまったのだ。

 同時に、父が腕を止めた。肩を掴む両手に力がこもり、怖い顔でこちらを見つめてきた。

「リクト、今なんて言った?」

「……もう一人の名前は、カイヅカ・ユウト君………なんだけど…………」

「カイ、ヅカ………」

 母のあんなに動揺した声を初めて聞いた。

「ユウト………まさか、生きていらっしゃったのか………リクト、それは七家門の一つ、カイヅカ家の人なのか?」

「………うん。」

 肯定の言葉を送ると、目の前の父は、大きく目を見開いた。と思ったら、肩から手を離して離れて行った。

「明日はウチに招いても大丈夫だ、リクト。決して粗相のないようにな。」

 それだけ言い残し、父は二階へ上がってしまった。

 母の方を見ると、割ってしまった皿の破片を拾い集めているようで、こちらからはキッチンに隠れてしまって姿が見えない。

「大丈夫よリクト。明日はご馳走作って待ってるからね。」

 いつも通りの声だった。



 リクトはこの反応に戸惑った。

 家門の人と知り合いになって、その人を連れてくると言われれば、当然驚きはするだろう。ただし、両親のそれは、驚きというより衝撃であった。カイヅカ家のことは子供でも名前くらいは聞いたことがある。大人達であれば、何かしら接点があってもおかしくない。リクトの産まれる前にカイヅカ家と因縁があり、あまり好ましく思っていないかもしれない可能性がよぎった。そのため、内心ドキドキしながら家の玄関を開け放ったのだ。

 しかし、両親の本心は、決してカイヅカ家を疎ましく思ったものではなかった。

 まず、リクトが失念していた事実が一つある。

 現界に広く普及している携帯端末、スマートフォン。通称スマホ。現代の生活に欠かせないものとなったスマホだが、フシミ領だけがその限りではない。カイヅカ領からフシミ領に変わり、元から住んでいた元カイヅカ領民であるフシミ領民と、後から移り住んできたフシミ領民の二種類が存在する。両者の間には深い溝があり、前者が貧困層として辺境の低賃金労働者になり、後者が富裕層として労働者を扱いフシミ領を発展させていく、煮え切らない関係。農業中心の前時代的生活で工業化に追いつく知識がなく、フシミ領の変化に置いていかれた元カイヅカ領民の生活は厳しいものであり、大抵の人はスマホを持つ余裕などなかった。

 ちなみにリクトは、都市部かつ富裕層向けのエリート軍事学校に通うということで、ツクモ町一体をまとめていたために周囲よりは富を築いていた両親が、入学前にリクトにスマホをプレゼントしてくれたのだ。

 そして現在のフシミ領では、貧困層が圧倒的に多いことから、スマホへの知識が薄く、単に『端末』と呼ぶ人が多い。

 都市部から離れたツクモ町では、やはりスマホの普及はなく、元カイヅカ領民で持っているのはリクトだけだ。

 ユウトの存在は、今や周知の事実。だがそれは、あくまでも公共ネットワークで広まった情報であり、何故かメディアがそれを一切取り上げていない。スマホを持っておらず、かつ周囲にも持っている人がいないリクトの両親は、カイヅカ家に生き残りがいたという事実を知らなかったのだ。

 スマホが当たり前の生活に溶け込むようになったため、すっかりその事を忘れていたリクト。自分達の慕っていた家門の子供が実は生きていたと知れば、それは衝撃的な事であっただろう。

 加えて、両親はリクトのその情報を直ぐには鵜呑みにはせずに、動揺していたのだ。十五年前の事故を受け入れた人からしてみれば、当然の反応と言える。特に、彼らがいなくなってしまったことで自分達の生活が一変した者からみれば、一縷の希望を持った後に絶望したくないのだ。

 だから、リクトの両親は見極めるために待っていたのだ。その心に一縷の望みがあることを隠すように。

 リクトが玄関を開け放つと同時に、リクトよりも先に、リクトの背中越しに見えるであろうその人を探した。

 そして、目が合った。

 目が大きく開いて固まり、口が少しだけ動いたかと思うと、ギュッと言葉を飲み込み、そして涙を流した。

「よくぞ……よくぞご無事で………カイヅカ・ユウト様。」

 自分の言いたいこと全部を押し殺して出した言葉のように聞こえた。

 その言葉が自分に向けられたものだと瞬時に理解したユウト。そして、今まで泣いたところなど見た事がなく驚いているリクト。

 両親は、頭を垂れて本当に嬉しそうに泣いていた。

 後から中を覗いたアリスにも、それは衝撃的な光景だった。アリスもリクトも、そしてユウトですら、カイヅカ家が領民達にどう思われていたのかを理解していなかった。

 非常勤講師のバッハは、初対面で助け諭してくれた。名前を明かすと、周囲の見る目が変わった。校内を歩いていると自分の話をしているのが聞こえるし、視線も多く集まる。それは校外でも同じことだ。気付いた人がこちらに話しかけてこないだけだ。さらに、シモンズのような他の家門の人が接触してきたこともあった。

 さらに今、カイヅカ家がどのような形であれ存続していることを知って、泣いて喜ぶ人達がいる。

 バッハの言葉が度々ユウトに突き刺さる。カイヅカの名前は、想像以上に大きな価値を持っていた。

 ユウトは

「初めまして。カイヅカ・ユウトです。どうか面を上げて下さい。」

 二人はゆっくりと顔を上げる。

「今の僕に肩書きなどありません。ですので、そうかしこまらなくても大丈夫です。それに、彼女の紹介がまだです。」

 ユウトは玄関を大きく開けて、後ろに埋もれていた彼女を家の中に招き入れる。

 アリスにとっては救いの手であった。神妙な雰囲気にどう入っていけばいいのかを探っていたのだが、ユウトのおかげですんなりと身を乗り出すことが出来た。

「リクト君とお付き合いさせて頂いてます、アリス・ルージュです。」

「ああすまない。恥ずかしい所を見せてしまった。君がリクトの彼女さんだね。よく家にいらしてくれた。」

「玄関で立たせたままで申し訳ございません。さあ皆さん、中へお入り下さい。」

 アリスがリクトの両親の前に立って丁寧にお辞儀すると、スイッチが切り替わったかのように慌てて三人を中に招いた。

 スリッパに履き替えてリクトの両親の後をついて行く。

 リビングに入ると、真っ先に飛び込んで来たのは、食卓を並べられた魅力的な料理の数々。

「お刺身だ! 美味しそう!」

「ウチで獲れた新鮮な魚を使った刺身です。どうぞ沢山食べて下さい。」

 三人とも手洗いを済ませ、荷物を端に置くと食卓についた。

 その間に、新たに味噌汁が各自に置かれていた。湯気がほのかに立ち上り、カニの匂いが食欲を刺激する。

「では、食事の前に改めて。今日はお二人とも、ようこそタナカ家へ。どうか我が家だと思って自由に過ごして欲しい。それでは、いただきます。」

 みんなでいただきますを言い、早速刺身に手を伸ばす。

「美味し〜!」

 アリスの素直な感想は、両親を笑顔にさせた。

「ハハッ、お口にあって良かった。」

「そういえば二人とも、嫌いなものはありません? 事前に聞きそびれてしまったわ。」

「大丈夫です。海鮮系は大好物です。」

「あら良かった。いっぱい食べてね。」

「はい!」

 アリスは次々と刺身を頬張る。その度に感想をこぼしてしまう。

「僕も大丈夫です。お刺身、凄く美味しいです。」

「あら、それは良かったです。」

 種類豊富で肉厚、締まりもよく味が濃厚だ。醤油やワサビも一般に売っているようなものではなく、魚の味を殺さずしかし引き立たせる風味あるものが使われている。

 味噌汁には恐らくカツオなどの煮出しを使い、加えてカニの味を染み込ませている。カニの身も美味しいが、様々な魚介の旨みが凝縮された汁が、胃の中を優しく満たしてくれる。漁港が近いならではのご馳走だ。

 ユウトやアリスが舌鼓を打っているため、向かいに座るリクトの母親が積極的に話を振る。両親がそもそもそういう性分だと言うこともあるが。

「アリスさんはどちらの出身なの?」

「私はメーク領の一般家庭の出です。リクト君と同じように、今年からの入学条件の緩和のおかげでエーデルシックザールに入学しました。」

「あらそう。じゃあ今は寮に?」

「はい。」

「一人で大変ね。学校からじゃ少し遠いけど、何かあったらウチを頼って頂戴ね。」

「ありがとうございます。」

「ちょっとサチ。聞くべきはそこじゃないだろ!」

 父親がやけに高いテンションでアリスに問い詰める。

「馴れ初めだよ、馴れ初め! これ大事!」

 リクトとアリスの顔がポッと赤くなる。

「どっちだ! どっちからだ! 勿論リクトだよな!」

「……私です。」

「なに〜! リクト、お前!」

「冗談です。」

「…………」

 一瞬キョトンとして、リクトの父親はガハハハッと笑い始めた。

「こりゃいい女の子だ! ささ、遠慮せず沢山食べてくれ。」

 食卓を囲っている人数が奇数人であることから、リクトとアリスの向かいに両親が座っており、ユウトの目の前には誰も座っていない。対角線上の一番遠い位置にいるリクトの父親があれやこれやと二人に質問しており、ユウトは殆ど会話に入っていない。

 ユウトはただ、他の人の楽しそうな会話を聴きながら味噌汁を美味しそうに啜っていた。ユウトにとって、カオルやカエデ以外と食卓を囲って食事をするのは新鮮な気分で、その場にいるだけで心地が良かった。

 まるで森の中で一人、遠くの鳥の囀りに耳を澄ませるように、目を閉じ、弾む会話と絶賛美味の海鮮が体に染み渡るのを感じる。

「ユウト様。」

 トリップしていた意識を前に向けると、リクトの母親がユウトの真向かいに移動していた。隣では、まだ楽しそうに三人が話をしている。

「様はよして下さい、お母さん。」

 こちらを優しい目で見つめてくる。幼き日に残る、メイド達が自分を見る目にそっくりだった。母親のような愛情と、尊敬や嘱望を込めた希望、優しく見守る慈しみが感じられる。

「お口に合いますか?」

「ええ。とても美味しいです。」

「良かったです。………先程は申し訳ございませんでした。私達は携帯端末を持っていませんでしたので、この目で確認するまでは信じられませんでした。」

「こちらとしても、不要な混乱と心労があれば謝罪します。」

「滅相もありません。………頭では理解しております。貴方はもう七家門ではありませんし、今はリクトの友人としていらっしゃった。けれど……」

 リクトの母親は、遠き日を回顧している様に伺えた。

「…………」

 カイヅカ家とは、どういう存在だったのか。身内や一部の人の見聞しか知らなかったが、最近は再び興味を持つようになった。父や母、家族の人達は、一体どういう人だったのだろうか。

 カイヅカ領民の人達は、心底では領主のことをどう思っていたのだろうか。

「すみません、暗くなっちゃいましたね。リクトとはどう知り合ったんですか?」

 リクトの母親は笑顔を見せた。苦し紛れのものに見えたが、その明るさが本来の姿で、きっとリクトも底抜けて明るく優しい青年なのだ。周囲の環境で抑圧されているだけだ。

「リクト君から話しかけてくれたんです。そこから最近は学校でよく一緒にいます。」

 流石にカフェでの会話のことを話す訳にはいかない。

「いや実は、学校では浮いた存在でしてね。二人には感謝しています。」

 こちらが笑顔を見せると、向こうも更に笑顔になった。

 これは自分がカイヅカだからなのだろうか。

 カイヅカという名前には力と責任がある。それはもう頭でも体でも理解している。だから自分が何かをしたい時、カイヅカとして行動すべきなのか、それともユウト個人として為すべきなのか。

 裸の自分は、一体何者なのだろうか。

 


               *



 食事を終えると、リクトの父親が自ら漁港を案内すると提案した。ユウトとしては最も関心を持っていた場所だが、素人が簡単に入ってよい場所ではなく、海の近くで当然危険もあるため期待してはいなかったが、それらの点も考慮しての組合の長直々のご同行。断る理由もなく、各々の準備が整い次第家を出発した。

 父親だけかと思っていたが、簡素なサンダルとエプロン姿で母親も着いてきた。彼らにとっては、それ程に身近な存在なのだろう。

 前を歩くリクトとアリス、そしてリクトの母親が楽しそうに話しているやや後方で、ユウトは気になっていたことをリクトの父親に聞いた。

「一つ聞いても宜しいですか?」

「ええ、勿論ですよ。」

「僕を見ただけで僕がカイヅカだと気付いたのはどうしてでしょうか。」

 リクトの母親の話では、昨日にカイヅカ・ユウトが生きていることをリクトから聞いたが、その時点ではまだ完全に信じていなかった。しかし、今日玄関から覗いた自分の顔を一目見て、二人はユウトが本物のカイヅカだと確信した様子だった。初めは予めリクトから聞いていたのだろうと特に不思議に思わなかったが、母親との会話で違和感を覚えたのだ。

 リクトの父親は迷うことなく笑ってこう答えた。

「貴方はお母様にそっくりですから。」

「……よく言われます。」

「ご家族の写真などは残っているのですか?」

「はい、一枚だけ。個人的にはそんなに似てるかなと思うんですけれども。」

「まあ雰囲気と言いますか、何て言うのでしょうね。みんなを包み込むようで自分の心の中に強い芯を持っている。そんな面持ちや姿勢がどことなく面影を残している、と思いますよ。」

 成程と納得してしまう。

 思考よりも行動が似合いそうな人だと思っていたが、組合をまとめこの領地の漁業を背負う身。ただ明るいだけの人が務まるものではない。

「カイヅカ・アヤコ様は、領地のことなら何でも足を運んで関心を持たれた立派なお人でした。私も若い頃、当時組合長をしていた父と話をしているのを見たことがあります。私とそう年は変わらないのに、みんなに愛され尊敬されていました。ご病気であまりお外に出られなかったフミヒロ様も大変な人徳者でした。お二人がいれば、長らくこの領地は安泰だと、皆話していました。」

「フミヒロ…………実は父の事についてはよく知らないんです。」

「おや、そうでしたか。」

 ユウトが家族について知っていることは、どれもカオルから聞いたものばかりだ。カオルがメイドとしてカイヅカ家と触れ合うようになって間もなくして、ユウトの父であり、当時のカイヅカ家の家主であったフミヒロは、持病で亡くなってしまった。接点も特になく、会う機会も多くなかったカオルが彼のことを多く知らないのも仕方ない事だ。

「フミヒロ様は婿養子としてカイヅカ家の家主になられたお方です。それでも誰も非難を挙げなかったのは、フミヒロ様のお心の深さあってこそのもの。一度もお目にかかれなかったのは残念です。」

 それでユウトは母親の話ばかり聞くのだろう。父親のことは朧気な記憶しかなく、写真が唯一姿形がわかるものだった。

 だから、

「ありがとうございます。少しでも父の事が知れて良かったです。」

「そう思えて頂けたのなら、こちらとしても喜ばしいです。私なんかよりもご両親について、ご家族について知っている人は多くいます。お立場もあるでしょうが、この地に長く住む者達との交流は大事にして下さい。きっと彼らも喜びます。」

「はい。」

「さあ、そろそろ漁港に着きます。」

 長い上り坂を登りきると、眼下に幾つもの大きな船が見える。昼時だというのに、多くの人が忙しなく動いている様子が伺える。

 沿岸沿いには堤防がズラリと連なり、人々の生活を保証している。

「海沿いだというのに、あの堤防の鉄はよく輝いていますね。」

 相も変わらずリクトやアリスの後方を歩き続けていた。アリスとリクトは下り坂を小走りで駆け下り、それをサンダルを履いているリクトの母親が微笑ましく見守っている。

「良い所に気付かれた。ここらは塩害も酷いですから、堤防が錆びてしまったら心もとないでしょう。なので塩害対策として特殊な塗料を下塗りしているんです。」

「成程、それであんなにも光沢が残っているんですね。」

 フシミ領の沿岸部は海からの風が強く、また高波に襲われることもしばしばあると、ユウトは文献で読んだことがあった。堤防はこの町の生命線と言える。

「今ちらほらと船が見えますが、その殆どは他領からの船です。」

 フシミ領の漁業は廃れる一方であるため、船の数が少ないのだとユウトは理解した。

「ここの組合所有の船はどれですか?」

 まだ肉眼でははっきりとは視認しづらい距離感だが、

「奥の方に大きな白い旗が見えますか? あれがウチのです。」

 一番奥側に位置し、手前側の他の船で見えづらいが、確かに白い旗を立てた船が確認できた。

「あちらは何人位まで乗船できますか?」

「あのサイズですと、十人は乗りません。時期によりますが、大抵五、六人程度です。」

「時期というのは?」

「漁獲量の浮き沈みの事です。ユウト君は、漁師が漁を制限していることを知っていますか?」

「何となくは聞いた事があります。そのお話、もう少し詳しく聞いても宜しいですか?」

 本で読んだことがあった。漁師達は漁獲量を制限することで海の資源との調和を保っていると。

 現在の世界は、一つの巨大な大陸を三つに分割し、それぞれの種族の住む世界と決めている。人間の住む世界、現界の中で沿岸部の面積よりも内陸部の面積の方が広く、特に海に面していないメーク領や、面していても領地が内陸部に広く伸びていたりする領では、海に関する人々の関心は薄い。また、魚介類の流通は穀物や野菜等にはるかに劣り、発電事業に例えるなら、全体の割合の数パーセントしか担わない自然エネルギー発電に近い位置付けだ。

 だから、海の事情に詳しくないのが現実だ。ユウトも本で軽く得た知識程度しか持っていない。

「陸が人の住む世界であるならば、海は神が住む世界だという伝承があります。海には神から与えられた恵みが豊富にあり、我々は海との共存を図らなければなりません。恵みというのは、取りすぎても取らなさすぎてもいけないのです。それは作物であろうと何であろうと同じです。魚の繁殖期辺りですと多く取り過ぎず、魚が適度に育った頃合を見計らって多くの恵みを頂くのです。」

 まるで学校の先生のように丁寧に教えてくれていたが、顔を曇らせてこう続けた。

「それを分からんフシミの連中は、漁獲量が安定しないなら今後は養殖を主体とするなんて言ってきやがって…………あ、すみません。口が悪くなってしまいました。忘れて下さい。」

 (それが、彼らの事情……)

 今の一言で、ある程度の事情は察した。

 フシミ領に変わってから漁業も農業も廃れていった。農業に関しては、都市開発によって田畑が失われたことに起因する。カイヅカと異なり、フシミは領内の発展に尽力しており、そのためには慣習も風習も文化も切り捨てた。他領と同レベルの生活水準まで短期間で追いつこうとした結果だ。

 フシミ領は、今大きな節目を迎えようとしているのだ。

「おーい。父さん! ユウト君!」

 既に辿り着いたリクトが、こちらに大きく手を振っている。何やら急かしているようだ。

「僕、行きますね。」

 急いで行こうと走り出したが、背中から呼び止められた。

「ユウト君。」

 足を止めて振り返る。

「ユウト君の言う通り、今のユウト君に肩書きは関係ありません。ですから、我々大人の事情を抱える必要はないのです。」

「………」

 リクトの父親がどういう心境でそう言ったのかは定かではない。自分の失言を聞かれてしまったことに対するフォローなのか、それともユウトがカイヅカを名乗っていることに対する切実なる想いか。

「………ありがとうございます。」

 そう笑ってユウトは目線を切り、駆け足でリクトの元へ急いだ。

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