第4話 被疑者の不起訴・推理(4日目)

 中谷は書類をまとめて上司に書類送検をする旨を伝えて検察官に書類を送った。


 しかし、中谷には違和感があった。


 すると、デスクの前方にあるテレビの速報で、中野恵美さんの事件の被疑者を書類送検し被疑者死亡で不起訴にした、と速報が入った。


 この事件は終わった。被疑者は自殺して不起訴処分。被疑者を自殺させずに起訴できたら、遺族の人も長津に怒りをぶつけることができたのに自殺をさせてしまったがために…


 しばらくしてから思い出した。中谷は頭の中にあった違和感は何だったのか。もう一度調べてみることにした。


 中谷は科捜研へ行きあることを頼んだ。

 

 しばらくして科捜研の人が走ってきた。"中谷さん、あの任せられてた件なんですけど… 一致しませんでした。"


 中谷の中で全てが繋がった。中谷は長津に刺さっていた包丁を見て何かが違うのではないかと思っていたが、それが本当になった。


 長津に刺さっていた包丁は縦に刺さっていた。しかし、自殺するときは包丁が横になることが多い。だが他人に殺害されるときには縦になる。それは持ち方の違いだ。すると、長津は自殺ではなく他殺ということになる。また、科捜研に頼んでいたのは遺書の筆跡鑑定だ。なぜか行われておらず、長津を犯人と決めつけてしまったことによる過失だった。長津の家にあった書類などの文字と比較したところ文字の書き方があまりにも違っていた。よって、中野恵美殺人事件の犯人は長津ではなく他の人物ということになる。


 中谷は独自で調査を進めることにした。まずは長津の死亡推定時刻である11時47分に中野恵美殺人事件の容疑者たちはどこにいたのかと聞くことにした。


 ここで中谷はふと思った。長津を殺したのが中野恵美殺人事件の犯人だとしたら中野恵美の隣に住んでいた渡部大は犯人ではないのではないか。だとしたら、なぜ自殺なんかをしたのか? という疑問が残る。もしかすると、と思い渡部大の自殺していた時の写真を見返してみた。すると、紐の結び目がおかしいことに気がついた。結び目が逆になっていた。もしかすると、渡部大も中野恵美殺人事件の犯人に殺害されたのかもしれない。


 中谷はまず名倉の家に行った。

「すみません。いきなり来てしまって。突然なんですけど、昨日の11時47分ぐらいって何してましたか?」


「それはなぜ聞くのですか?」


「中野恵美さんの犯人は長津ではない可能性が出てきたんですよ。これ以上詳しいことは言えないんですけど。なので昨日の11時47分は何をしていましたか?また、服装なども宜しいですか?」


「昨日ですか確か‥パチンコを打っていました。服装は黒のパーカーと白の帽子、デニムのパンツでした。」


「ご協力ありがとうございます。」


 次に中谷は長津紗里のところに行った。


「突然すみません。あの中谷なんですけど。昨日の11時47分って何してたかって伺うことはできますか?あと服装も伺いたいのですが。」


「あ。はい、いいですけど。えっと…昨日は友人とカラオケに行ってましたね。服装は…薄緑のウェアとピンクのスカートでした。あ、あと黄色のスカーフをつけていました。」


「そのカラオケ店ってどこですか?」


「〇〇店です。」


「ありがとうございました。」


 中谷は帰って一旦整理してからパチンコ店とカラオケ店に行ってカメラを見せてもらうことにした。

 

 天気が曇りから少しずつ晴れ始めてきた。

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