第10話
人によって物の食べ方はそれぞれだ。リンドウは出された食べ物を綺麗に順番を守り食べる。特に好き嫌いはないのだろう、しっかりと全て食べ尽くしていた。リーリアはあまりサラダが好きではないようで、サラダを少し避けつつコンソメスープを中心に食べていく。ギルドマスターは一品ずつ綺麗に完食する。サラダ、ハム、バゲット、コンソメスープといった順番だった。
そしてこの世界にはやはり箸がなく、二又のフォークと少し歪なスプーンで食べるのが主流のようだ。二又のフォークといえば和菓子やフルーツを食べる時に使うものだと思っていたがこうやって普段から使われているのを使うと悪くないと思える。サラダの葉野菜は少しだけレタスの面影があるのだが、どこか違う別物のようだ。
それぞれ色々な食べ方をしている中、俺の食べ方は明らかに異質だったようで、他の3人の目を引く。あまり行儀が良いものではないのだが、バゲットに切れ込みを入れそこにサラダとハムを入れサンドイッチのようにして食べる。それを見たリーリアも気になったのか同様に挟み食べはじめた。その食べ方がとても気に入ったようで、それまで避けていたサラダもしっかりと平らげた。
「さて、少し時間があるから私の情報を話そうか」
食事を終えたところで、ギルドマスターが自己紹介を兼ねた話を始めた。彼は元々研究者で、研究中に大きなアクシデントが起きそこで命を落としたのだという。そして次に目が覚めると身体が20代の若さとなっていたのだとか。事故に巻き込まれた研究者の仲間も同様に、それぞれ本来の自分の体ではないものに魂を移していたようで、その後自然と魂に引っ張られる形で今の人間の形になったらしい。
そこからすぐに彼らはこの冒険者ギルドを設立し運営を始めたのだという。こちらにきてたった10年ほどでここまで発展させたのだそうだ。
元の世界に戻れないのか、と聞いたが既に死んだ身だから元に戻れないだろうと。もう元の世界への帰還を考えておらず、もうこちらが生きる世界だと決めていたようだった。
そして〈ホープタウン〉についても語る。
10年前――彼らたちがこちらに来た時は、この地も城郭都市でもなくただの
そこはこの国の信仰される場所だったらしいのだが、軽く手入れされている程度で決してそんな物のように見えなかったらしい。彼らの信仰はこの大樹の下に世界の危機に際して〈エインフェリャル〉と呼ばれる神々の使いが現れる、といったものだった。
「世界の危機? それじゃあ今は世界の危機なの?」
「いいや、特に危機的なことはまだなにも。その予兆すら掴めていない。ただ逆を言えばこの街の住人たちはあの街から人が来ることで世界の危機だと騒ぐ人も出るだろうから、今はまだ広めたくないのだ」
ギルドマスターはそのまま続けて話をする。
「そんな寂れた大樹と泉の異変が始まったのは、ちょうど1年前だ――」
――――
何の前触れもなく、大樹の周りはたった一夜にして森林となり、元々あった大樹は天にまで届くほどに大きくなっていた。流石にこの異変には誰もが畏れ、不安になった。調査のために人を派遣すると一人の魔女が出迎え調査員にこう告げる。
『1年後、今日からちょうど1年後にまた訪ねなさい』
と。森の奥へ歩いていく彼女を追ったが、もうそこには誰もおらず、人が居たような痕跡すらもなくなっていたらしい。結局その1回目の調査ではそれ以外何も見つからず、それからも毎月調査に向かわせ続けた。そして進展があったのがつい先月のことだ。相も変わらずに調査に向かわせた調査員から驚くべき報告を受けた。――何だと思う? いや、もう君たちなら知っている通り、建物がいくつも建っていたんだ。知らない間に、ね。人の気配もなく建物だけが忽然と姿を現して――まぁ最初は調査員を疑ったがね。
約束の日に、リーリアが調査へ赴くことになった。個人的に最も信頼している彼女なら何か見つけてくるだろうと。そして彼女が調査に向かうと見覚えのあるレリーフを見つけた。――冒険者ギルドを表す看板に、だ。冒険者ギルドのレリーフは指定された彫金師にしか作る事を許可されていない。そしてその彫金師が勝手に作る事も、ね。だから違法で――あってはならないものなんだ。
後は知っての通り、リーリアがその冒険者ギルドの酒場に入って調べてたら君たちと出会った。
――――
「しかも、そのレリーフを作っていた職人も1年前に失踪していてね。彼女に繋がる手掛かりになるかもしれない。だから私直々に出向いて調査したかったんだ」
残っていた水を飲み干して席から立ち上がる。店主に「ごちそうさま」と言い彼を追うように店を出た。4人揃ったところでリーリアが宿屋を案内する話になったのだが、ギルドマスターは俺の無詠唱の魔法を知りたいと冒険者ギルドに誘う。リンドウはそのまま宿の案内をしてもらい俺とギルドマスターは冒険者ギルドへと向かった。
無詠唱魔法は教えても差し支えはないだろう。何故知りたいのか理由を聞くと至ってシンプルで、今後の教材として持っておくことでよりギルドマスターという立場に箔をつけて権威を増せるからとケロッと言ってのけた。その裏がない感じはなんとなくだがつい信用したくなってしまったので、了承する代わりにこれは"貸し"だと言っておいた。とりあえず意味はあまり考えてはいないが、貸しという名目がしっかりあれば教えるのも後腐れないし、後々に効力を持つこともある。
冒険者ギルドの広場には先ほどもいたマスケット銃を持った人とウィザードの少女がまだ残っていた。ギルドマスターは彼女たちを呼び自己紹介をさせた。
「さ、先ほどはどうも……私は〈武・魔・幻〉で魔法使いしてます、エンマと申します。もし良ければこれからもよろしくお願いします」
先ほどの少女はエンマ。どこか怖いものの名前だった気がするのだが、気のせいということにしておこう。怒りっぽい年若い少女といった印象だったのだが、挨拶は大人びていた。
続いてマスケット銃を持つ人だが、遠くからは男かと思っていたのだが、こちらも女だった。服装はやや男物のような服にショートヘアであったため余計に男性だと錯覚していた。
「私はノーラです。〈堅・影・魔〉でこの特殊な武器を使っています」
彼女はかなりそれを長く愛用しているようで、銃身はしっかり磨いているがところどころ傷が入っていたり、ストック部分が擦れて削れていたりしていたが入念に手入れされていた。
それにしても魔法のファンタジー世界となるとこのマスケット銃が存在してることに少しだけ違和感があるのだが……ここにあるのだからそういうことなのだろうか。
「マスケット銃よね。リーリアも詳しくは知らないって言ってたけど、この世界だと珍しいものなの?」
「世界にこの一本しかありません。ただ〈魔適性〉持ちしか使うことができません。それなら魔法で攻撃した方が早いですし……。
この武器は賢者様の考案された武器なのですが、賢者様が何を仰っているのかわからなくて、普及することはありませんでした。なので使用方法も実はほとんどがわかっていません」
「どうしてそんな得体の知れないものを自分の武器に……?」
「私は賢者様を尊敬しております。死して尚、あの方の知識には追いつけるものがおりませんでした。
しかし、人々はあの方を"白痴の賢者"と敬うどころか馬鹿にする始末。私は賢者様の知識は正しく、素晴らしいものだと知らしめてやりたいのです。この試作品をもって賢者様の知識を振り返り、そして発展させたいのです。」
彼女の並々ならぬ熱意に俺は心を打たれた。
彼女たち2人はA級冒険者。しかし少し問題があって組んでいたパーティは解散してしまい、2人とも現在1人で依頼書をこなしているそうだ。
A級の依頼書というのは決して多くない。今はD級のものを1人でこなしてお金を稼いでいるのだそうだ。B級のものであれば1つこなすだけで、1人で生活する分には不自由なく1ヶ月以上生活できるらしい。その報酬額の多さに驚いたが、今彼女たちはその貯蓄を崩しながら次のパーティを探している最中だという。
A級冒険者なのだから引く手数多だとは思ったのだが、そう上手くはいかないのだろうか。
無詠唱魔法を教える際に一番大事なことがある。それは魔適性とそれ以外の適性だ。俺は〈魔・幻・癒〉の組み合わせの適性持ちなのだが、彼女たちは違う。
厳密には魔の適性というのは自身の魔力を体から離れた場所にまで放出できるという適性でしかない。そこに俺の場合は〈幻の適性〉の自分以外のものを自分の魔力に作り変えるという適性、つまり自分の想像を自分の魔力に作り変えて実現させるという方法をとっているのだという。逆に〈癒の適性〉から無詠唱の場合は〈癒の適性〉本来の自分の生命力を高めるという適性を利用すれば出来るらしいのだが、俺には向かなかったそうでユルズからは教わらなかった。
当人たちがより理解している適性でやったほうがいいのだと思う。
「2人は自分の適性の本質はどれくらい理解してるの?」
「私の〈武・魔・幻〉の武は力持ちで、魔は魔法が使えて、幻は魔力を形に出来るみたいな感じですかね」
「うーん、私もざっくりとですけど〈堅・影・魔〉だと堅は防護膜を張れて、影は足が速くて、魔は体外に魔力を出せるとかですね」
確かに表面上、他人がその適性だとわかるのはそう言うところなのだが。俺も自分の適性以外はそれくらいしかわからない。彼女たちは本質を見抜けているのだろうか。ギルドマスターに模範解答を出してくれるように視線を送ると、何かを察してくれたようで説明をしてくれた。
「そうだな、私の端的な見解としては、
〈武〉というのは自分の体の及ぶ範囲で魔力を込めることが出来る。だから力持ちってのは間違っていないのだが、それは自分の筋肉に魔力を込めて体以上の力を出せるようにしているわけだ。
〈魔〉はその逆で体外から離れた場所に魔力を込めることが出来る。だから火の魔法を使うというのは身体から火を込めて発動しているわけではなく、自然にある火に纏わるものに火が起こるように仕向けるといったところかな」
さすがはギルドマスターと言ったところだろう。かなり要約して要点を説明してくれる。俺も武は力持ちくらいしか思っていなかったがそれは魔力を行使しているからなのか、と理解していない範囲まで教わることが出来た。
「〈堅〉というのは魔力の性質を変化させる、先ほどノーラが言っていた防護膜というのは体面を覆う魔力を頑強な鉄のように変化させて守るという具合だな。
〈影〉というのは魔力を高速で動かせる瞬発力を持つ適性で、移動が速い理由はそれぞれの使い方に起因するが、魔力を素早く動かし、また自分の魔力の及ぶ範囲であればその魔力の残滓の間を高速に行き来出来る。
しかし魔の適性がなければ身体から離れた魔力を止めることは出来ないためリーリアのように高速移動が出来るのは魔と兼ね備えてこそだな。まぁこんなものか」
「おー私も知らなかったので助かりました。なるほど、適性ってそういう感じだったんですね」
「掻い摘んで説明しただけだが、これがどう無詠唱と関係するのかね」
話が逸れて忘れかけていたが、本来の話は無詠唱だったのを思い出して話を切り替える。3人にその他の適性を利用して無詠唱を発動する原理を説明し、各々に実践してもらう。
「なるほど、〈魔と幻〉というのはこれほどまでに相性がいいのか。私も威力はまだまだだが形にはなってきたな」
コツを掴んだギルドマスターがサンドバッグのような標的目掛けて小さな火の玉を無詠唱で攻撃しながら喋っていた。エンマは俺やギルドマスターとは違う〈武と魔〉の組み合わせで無詠唱を実現していた。
「私も出来ました。このむむむむむ、ふんって感じで無詠唱出来るのはいいんですけど初級魔法くらいしかまだ出来ませんね、杖を使うとどうしても溜めが出来なくて失敗しちゃいますが」
しかし、そんな中ノーラはまだ一度も成功させていなかった。〈堅・影・魔〉だとプロセスが全く違うのだろうか、と不安になりつつもめげずにひたすら繰り返しチャレンジするノーラには好感が持てた。
そもそもノーラはマスケット銃を使うのであればそもそも無詠唱を覚える必要がないのでは、と思いノーラに一度マスケット銃での攻撃を見せてもらうことにした。
「はぁ、まぁ構いませんがマスケット銃を撃つのも詠唱していますよ?」
予期せぬ回答が返ってきた。詠唱をしながら撃つ銃って少しかっこいいなと少し間抜けなことを考えながら彼女の射撃する姿を見せてもらうことに。持つところや構え方に特に違和感はなく、しっかりと構えられている。そしてよく見ると引き金はなく、鉄の筒に木のストックを当てがってくっつけただけのおおよそ銃と呼べる代物にまで到達していない。
「古の炎よ、汝の力を以って朱き矢となりて彼のものを貫け」
鉄の筒から小さな火が物凄い速度で射出され、標的を炎によって焼きながら押し通った。その光景は見た目こそ銃から射出された"弾"のようで体裁は整っていたのだが、本質的にはただの筒型の杖から魔法を出しただけにすぎないような代物でしかなかった。彼女がどこを狙って撃ったのかはわからないのだが、それは狙った場所というよりはとにかく当たれと言った"必中"の文言によって掠めただけのようにしか捉えることが出来なかった。
「どうでしょうか、
自信のなさげに目を伏せ言葉を絞り出す彼女は迷い、行き詰まり、苦しく、複雑な迷路から抜け出せないといった苦悩の表情をしていた。
これに忌憚のない感想だなんて――本当のことを言ってしまえばきっと彼女のこれまでを否定してしまうことになりかねない。苦心しながらもこれまでの彼女の狩猟について尋ねることにした。
「……これでいつも魔物を狩っているの?」
「小物はそうなのですが……大物になると通用しないとわかっているため使ったことがありません。大物は全て魔法を使って戦っています……」
「……そう、ね。まだこの技術体系はきっと完成していないはずね。私もしっかりとしたアドバイスは出来ないけれど、なんとなく思いついた使い方をしてみてもいいかしら?」
手を差し出し鉄の筒を渡すように促した。彼女はその手と鉄の筒を交互に見ながらも、深呼吸をして俺に鉄の筒を渡す。その時の彼女の、我が子を明け渡して絶望に暮れる母親のような顔を俺は一生忘れられない。
深呼吸をしその鉄の筒に"銃"を思い描き、慎重に構え、魔力を注ぎ込む。この銃にはあまり魔力を注ぎ込めないようになっており、多くを注ぎ込むと破裂してしまいそうだった。"銃"を思い浮かべる――マスケット銃ではなく
「導く旋風よ、炸裂により生まれし蒼炎を精確に運びたまえ。我は必中の射手なり。」
俺の撃ち出した弾は先ほどのノーラの発射したときより遅かったが弾の精度は風の魔法で回転を加えたためブレはほとんどなく綺麗に飛び、標的を容易く貫いた。
「ほう、こうして見ると別に悪くない武器だと思えるが、取り扱いは難しそうだな。しかし、君でもその武器を使う時は詠唱するのだな」
「詠唱したのは再現しやすいようにですよ。あとはこの武器は確証は全くないですけど、ギルドに1人だけこれを実用レベルにまで改良出来そうな人がいます」
その言葉を聞いたノーラは食い気味にその人の話を聞いてきたが、おそらくギルドマスターは彼とそのうち接点を持つだろうから教えてしまってもいいだろう。
「うちの副ギルド長のガリルさんです、多分ですけど本当に……。ただなんとなく。彼ならこれの問題点を全て解決して強い武器に出来そうなほどの知識がありそうです」
「早く彼に会ってみたいがね、実はホープタウンに向かうのは明後日なんだ。一日でも早めたいが、まぁ楽しみとしてとっておこう」
こうして無詠唱を教える講習は終わり、各々がそれぞれのやるべきことに戻るのであった。
夕日が山の端に近づき陽を強めるようになってくると、その光の強さでより影が際立ち深くなり始めていた。2人の冒険者は帰り支度を始め、荷物を整えていた。彼女たちには初級の魔法をとことんできるようになってから次に進むようにアドバイスをし解散となった。リーリアに宿屋の場所を聞かなければと俺もそのまま広場から本部の中へ入ると閉店準備だろうか、机に椅子を乗せ床を掃除しているギルド職員たちがいた。彼ら彼女らたちはかなり手際が良く次々と床が磨かれていく。今日の汚れをしっかり落として明日の冒険者のために綺麗にしておくのだ。そんな綺麗にしている最中の部屋を汚すわけにはいかないと思い入り口からリーリアを知るギルド職員を探すと簡単に見つかった。
「リーリア先輩はこの時間ですと当直に備えて少し仮眠を取られているのかもしれません。まだ少し早い時間なので今なら大丈夫だと思いますので案内しますね」
案内してくれている彼は少し歩き方に違和感があり左足を少し庇っているような印象を受けた。
「脚は大丈夫ですか?場所さえ教えて頂けたら自分で向かいますよ。」
「ちょっとさすがに部外者が入るわけにも行かない場所ですのでね、まぁこの脚は冒険者だったときにヘマをしましてね、その後遺症です。気にしないでください」
「すみません、それもそうですよね。変なことを言ってすみませんでした」
冒険者だったというのは少し驚きはしたが、こういうところの職員は元冒険者の勝手を知っている方が都合がいいのは間違いないだろう。しかし、少しその冒険による後遺症というのは生々しく少しだけ冒険者という存在の考えを改めた。
ドアをノックすると中からリーリアがゆっくりと出てきて俺を見ると何やら渡すものがあるみたいで一度中に戻り再び出てきた。
「お疲れ様です、ヒカリ様。訓練中でしたのでお声かけしなかったのですがしっかりと来てくださったのですね」
「リーリア、当直って聞いたのだけど、今日無理させちゃったかしら、ごめんなさいね。」
「いえお構いなく。夜は利用する人は少ないですから半分くらいは休憩できますので。それとこちらがリンドウ様から渡されたお金です。彼は少し警戒心がなかったので気をつけるように言ってくださいまし、私が横領したらどうなることか」
少し怒り気味に言うリーリアに俺は苦笑いをしながら返答をした。彼女から渡されたのは小さな可愛らしい刺繍の入った小袋だった。中には1番大きい貨幣が大銅貨4枚と中銅貨と小銅貨がそこそこといったところだ。
「リンドウ様は夕食用にとのことで私もヒカリ様の夕食分でなければイタズラをしていたかもしれませんわ。本部からそのまま真っ直ぐ進むと噴水と時計があるのですがそこの広場に面したところに竪琴の看板のある宿屋に案内したのでそこで部屋を取ってくれているはずです。お金以外の荷物を置いておくといいですわ」
これ以上長居すると彼女の仮眠時間を邪魔してしまうからと、彼女におやすみと告げギルドを後にした。
外は既に陽の光は届かなくなり冒険者ギルドの広場は闇に包まれた。そんな暗さに少し恐怖を感じながらも速足で街の灯りを目指して歩みを進めた。
街灯はなく、この夜道歩くのには建物から漏れる光を頼りに目的の噴水のある広場へと到着する頃には城壁で遮られていた月明かりが広場を照らし明るくなっていた。竪琴の看板が目印とのことなのだがすぐに見つけられた。宿屋と言われこの世界だと民宿のようなものだと少し想像していたのだがどちらかといえばアパートがくっついたお店のような見た目をしていた。綺麗に作られた少し厚めの扉を開け中に入るとそこはゲームでたくさん見て既視感のあるファンタジー世界の宿屋の受付があり、薄明かりを灯し奥には店主が寛いでいた。
「あの〜すみません。リンドウさんの付き添いなんですがもうお部屋はとられてます?」
奥から髭が伸びた体の太い男の店主が受付に出てきた。彼は俺の顔から容姿をと、上からじっくりと眺めて品定めをしているようだった。店主から名前を聞かれ答えると納得したように部屋の鍵を取り出し渡す。
「あっちの2階の手前から3番目にある部屋だ。鍵は無くさないでくれよ。防護魔法が掛かっているから内側の音も外に漏れない。秘密話をするなら部屋の中ですれば安全だ。あとはあっちのほうもな。」
「あっちとは?」と不思議に思っていたが店主は「なんでもない忘れてくれ」とそうそうに話を切り上げて奥へ戻って行った。案内された部屋は小さな部屋で6畳ほどだろうか、ベッドが2つあり片方のベッドの側にはリンドウの持っていた野営用の荷物が置かれていた。彼も夕食に出掛けているのだろうか、部屋には彼の姿はなかった。お昼を少し遅めにとったためあまり空腹ではなかったが異世界の酒場でお酒を飲むと言うのは憧れがある、行かない手はないだろうと荷物を置いてしっかりと鍵をかけ夜の酒場へと踏み出した。
夜の酒場はこの辺りに密集しておりどこにいくか悩めるほどに豊富な店が並んでいた。たまたま目のついた焼き鳥屋のような匂いのする酒場に決めた。酒場はまだ人が来る時間ではないのかあまり人がいなかったのだが、1人で入るとカウンターの席へと案内される。メニューが厨房の近くの壁にかけられていて不思議な字で書いてあるのだがそれをスラスラと読めてしまうのはやはりこの身体に親しんだものだからなのだろうか、『串焼き』の文字を読み値段を確認する。串焼きは全て1本20C、お酒はエールも果実酒も1杯30Cと中銅貨で全て食べられるようになっていた。どれも昼間に見たパンやフルーツよりも安価ということはお酒は安定して生産して供給もしっかりしているのだろう。値段設定的には串焼き5本で100Cと大銅貨1枚になるように設定されているのだろう。もしかしたら量はそこまでないのかもしれない。
焼き鳥と言えば豚バラ、ということで鶏の串焼き2本と豚の串焼きを3本とエールをお願いし、お昼に覚えた注文の仕方とお金の払い方を実践する。大銅貨1枚と中銅貨3枚、そして小銅貨を5枚をカウンターの上に積んで料理の到着を心待ちにしていた。ふと隣には少し髪の長めなガタイのいい男が座り声を掛けてきた。
「随分と綺麗な格好してるな、あんたも冒険者か?」
「ええ、今日登録したところだからギルド証は貰えてないのだけれど」
「そうか、じゃあ同業者としてエールが来たら乾杯しようか」
そんな話をギルドでしたつもりはないのだが、明日から依頼を受けるつもりだったのでリーリアかマスターに聞いておこうと思っていると先にエールが届けられた、俺の分と隣の男の分も。
「マスター気が効くじゃねぇか。ささ、綺麗な人と乾杯させてくれや、これからなんか困ったことがあれば頼れよ。先輩として色々と教えてやるからな」
どこにでも教えたがりとはいるものだ、しかしこれは少しだけ好都合で勝手がわかっていない分色々と聞く相手がいるというのは安心させられるものだ。しかし、本当に信用してもいい相手かどうかは別なのだが。彼のほうを向き笑みを浮かべて乾杯をした。
「それじゃあ先輩に冒険者での成り上がり方を教えて貰おうかしら」
「おう、いいぜ。と言っても俺も自分以上の等級のことは知らねぇからそこまでだけどな」
冒険者には上からS級、A級、B級、C級、D級、E級とあり、とりあえずまずはE級スタートのようだ。そこで冒険者ギルドの依頼を10個達成するとD級、そこからは依頼を達成する数が結構増えてC級依頼を5個とD級依頼を50個でC級になるのだが、少し不思議な話だ。
「D級のうちにC級の依頼をやることになるのね、ちょっと危険じゃない?」
「まあ最初は誰もがそう思うかもしれんが、C級になればC級の依頼をこなさなければならなくなるからな。先に慣れさせるためでもあるんだろ」
C級だと今度はギルドからの調査依頼も入ってギルド依頼5個、B級5個、C級10個と言った具合だ。
「C級からB級に上がるのは結構大変だ、なにせB級の依頼があまり発行されないし、仲間ともしっかり足並みを揃えなくちゃならねぇ。俺もやっとB級が見えてきたんだが、ここまでまるまる2年掛かっちまった」
当人はC級冒険者のためそれ以上の内容はわからないらしいようだが、ただもうすぐB級が見えてるらしくB級になるとA級依頼も受けれるようになる、A級依頼は1個で金貨1枚貰えるそうだ。金貨3枚もあればこの街で家を1軒買うことが出来るらしい。彼はこの街で武器商人になることを目指して冒険者になったそうだ。
「それにしてもなんで冒険者で頑張っているの?それなら普通に商売から初めて商売の勉強しながらお金を集めていけばいいのに」
「商人は簡単にはなれないのさ。この街は商人に特権が幾つも与えられているから簡単に特権を広めるわけにもいかないからな。それに普通は冒険者にまずはなってから他の仕事見つけるもんだろうがよ」
彼の言葉に理解が出来なかった。お酒を飲んで頭が回らないからではなく、冒険者にならないと他の仕事が見つからないとはおかしな話だ。
「私はそのつもりはないのだけれど、例えば職人になるなら、どうやればいいの?」
「そうだなぁ、俺だったらギルドの依頼の工房の手伝いをやるな。それをずっと繰り返して工房のことを学んで弟子入りする」
「じゃあ例えば自分の料理店を開きたい人は?」
「それなら、給仕の依頼だな。それも慣れてる人を優遇してくれるからどんどんやれるぜ。それで店主の料理の技術を目で盗むんだ」
見た目によらず本当に堅実な人だった。少し変に感じた就労体系を持ち帰ってヴォーデンやガリルに伝えなきゃ。それにアキネたちにこの世界の生き方、教えられるかもしれない。
串焼きが席へと届けられ食べてみるのだが、想像以上に小さく驚いた。もしも空腹だったらたった5本じゃ満たされないだろう、1本あたりに身は2つほどしかなく、一つの身の大きさも人差し指と親指でまるを作ったほどだった。少し物足りなくなるだろうと思い豚の串焼きを2本追加した。
「馬鹿野郎!そういうのは小まめにやるんじゃなくてキリのいい数にして注文するんだよ。いいか串焼き1本で20Cだから5本頼むかエールを飲むなら串焼き2本にエール2杯で100Cになるからそれを1単位として注文するんだ。毎回そんな注文してると店から嫌われるぞ、あとは小銅貨もどんどん減るから気をつけな」
激しく怒る彼に驚き、エール2杯も同時に注文した。
「ごめんなさい、私お店初めてであまりよくわかっていなかったの」
店主は少し不機嫌な表情をしていたがその言葉を聞くと優しい顔になった。なにやら知らずにタブーをしていたようだ。そもそも最初の注文もまさにタブーを踏んだお願いをしていたわけだから不機嫌だったのだろうか。
「そうか、そうか。俺の店が初めてだったのか、気にすんな。ジスさんを隣につけてて良かったよ」
そういい店主は隣に座る男を見た。ジスと呼ばれた男はそういうことか、と笑っていた。
「通りでおかしいと思ったぜ、店がこんだけ空いてたら普通は席一個挟むのに隣に座らせるんだもんな、何かあると思ってたぜ」
彼は笑いながら俺の背中をバシバシと叩いた。
「私、今まで森の奥で姉と生活してて、姉の手料理を食べてたからこういうのとても疎くて」
「いいってことよ、まあ夜の酒場なんて大人以外行かねぇから俺もこの親父さんに教わったんだしな。こうやって冒険者同士で情報を交換し合って助け合いすんだよ。お前も知り合いにはちゃんと言うんだぞ」
知らされていなかった失敗をエールで流し込み消化する、それはエールの苦味にも似た苦い味だったが、こうやって助けてくれる人がいるという優しく、豊かな体験が旨味のように口の中に広がった。エールは最初こそ俺たちの知る『ビール』と比べてコクが強く飲みにくさを感じたものの2杯目を飲む頃にはその独特な香りとそのコクに魅了され虜となっていた。追加でまた串焼き2本とエール2杯を頼み隣の彼に冒険者の報酬について教わっていた。
大まかな等級の報酬はE級はまだ見習いのため大銅貨1枚、D級になると銀貨1枚、C級なら中銀貨1枚、B級なら大銀貨1枚、そしてA級は金貨1枚でS級は金貨10枚だと言われていた。
金貨には中金貨とかないようだ。まぁ100枚で白金貨だから実質大金貨が白金貨のようなものだろう。
あとは報酬はパーティがいるなら山分けになるのは当然のこと、2人なら2等分のように。まぁ10倍ずつ上がっているのだから上を目指す方が稼ぎはいいだろう。
お酒を飲み過ぎたのか少し頭がふらつきながらも尿意を催したため席を立ったがそのときに声をかけられた。
「公衆トイレはすぐだがちゃんと小銅貨は持ってんのか?大丈夫かよ、ちょっと飲み過ぎてフラフラしてんぞ、連れてってやる」
最初は断ったが見た目とは違い割と紳士的に案内するジスと呼ばれた男は少しだけちゃんとしてる人なんだなと思った。
公衆トイレは想像以上に汚かった。虫があちらこちらにいて、キャンプ場の外のトイレ以下と言っても過言ではなかった。中に入る際に小銅貨を入り口にあるポストのようなものに入れることで明かりがつきトイレのドアが開けられた。
まさかの洋式トイレだった。しかし便座がない……。座れないためパンツを脱ぎ立ったまま跨いですることに。後ろでは彼が何かを言っていたが激しい尿意とアルコールのせいで聞く余裕はなく、無視をした。女になると尿意の我慢が全くと言っていいほど出来なく、少し男の身体が羨ましくも感じていた。排尿すると体内の水分が減りアルコール濃度が上がったような気がして心地の良い酔いへと変わる。
酒場に戻ると最後の追加のエールを出してくれた。俺はその最後のエールの余韻をしっかり残せるように半分までは普通に飲んでいたが半分を切ったところで一気に飲み干した。この店で俺は気がつけばE級冒険者の4回分の依頼と同じだけの金額に膨れ上がっていた。その場で勘定するのは食い逃げ防止にもなるだろうが、自分が支払っている額をわからなくしているのだろうか。
少し意識が飛んでいたが気がつくと彼は広場の噴水に腰掛けさせてくれていた。
「俺はジスカルドだ、またわからないこととか困ったことがあれば相談しな。新人のうちにいっぱい聞いとけよ」
「私はヒカリ、あそこの宿屋でしばらくここに滞在するつもりだからまたよろしくね。今日はありがと」
お互いに自己紹介を済ませたところでジスカルドは俺に銅貨3枚を握らされてそのまま去っていった。渡された小銅貨を見つめつつ、これは何のお金だろうかと疑問に思っていたが宿屋に着くとすぐに答えがわかった。
宿屋の店主は俺の握っている小銅貨見ると受け取り身体を洗う湯を追加で用意してくれるそうだ。部屋に持っていかせるから部屋で待っててくれと言われると俺はフラフラながらもしっかりと階段につかまり自室へ戻ったのだが、リンドウが部屋で身体を拭いていた。追加で、というのはそう言うことだったのか。
俺はリンドウの背中部分を拭いてあげるからと彼から布を奪い背中をしっかりと拭いてあげた。彼の背中はまだ歴戦の猛者まではいかないが少し筋肉がついて逞しい背中をしていた。そして眠気が限界を迎えたため俺はそのままベッドにうつ伏せに倒れ眠りについた。
エールを飲み過ぎたようでかなり酔っていた。しかしこのお酒に酔うものとても懐かしく、久しくぶりのその感覚が愛おしくもあった。お酒に酔うというのは気分が楽しくなり、少し大胆にもなる。就職して0時帰りをしていた頃はお酒の力も借りて乗り切っていたものだった。
部屋に入ると下着姿のリンドウが目につく。彼は今しがただろうか、宿に帰りつきその今日一日の汗をお湯を吸わせた布で拭き取っていたところだった。
布は少し短く背中を拭くのに難航していたのだろう、俺は彼の持っていた布を取り背中をしっかりと拭いてあげると提案した。彼は少し戸惑ってはいたが俺が背中をしっかりと拭き始めたところで俺にしっかりと背中を預けた。
桶のお湯は温泉なんかより熱くおそらく50度ほどだろうか、あちちと小さく声に出してしまっていた俺の手をリンドウが触れ優しく布を俺の手から取るとそれを搾りまた俺の手に返した。
彼の背中だけでなく上腕三頭筋といった1人では拭きにくいであろう場所にもしっかりと拭いてやる。
彼の筋肉はどこかあのムクゲとの戦いで抱き上げたときより逞しくなっていた気がした。しかし、あのときの俺は150cmしかない少女で今は170cmを超えている、そんな些細な成長であればこの身体の変わりようではわからないものなのだが、それに気がつけるというのはやはり成長したのだろう。
「なんか、立派になってきたね」
「街でムクゲさんに鍛えてもらってたんだ、あの人俺を気に入ってくれたみたいでさ、ダメ元で頼んだつもりだったけどすんなり了承してくれた。多分ヒカリさんのお陰だ、ありがとう」
リンドウの肩に手を置いていた左手にリンドウの手が優しく重なる。
「まっ、でもちょっとやっぱ俺も成長出来てるんだなって言われてやっと実感できたよ、毎日筋トレ100回ずつを2週間やるだけでこんだけ変われるんだな」
彼は今拭いていた右腕に力を込めて
「ごめんな、同室にさせちゃって。自分の金じゃないから節約しなきゃって思ったけどやっぱ同室は良くなかったよな」
「別に私は気にしてないから安心して」
そして布をリンドウに返して重くなる
コンコンッ
ドアのノックが鳴る。彼は立ち上がりドアを開けると小さな少年の声がお湯も持ってきたと告げる。リンドウはお湯を受け取り俺のベットの横の椅子に乗せると冷めないうちに早く拭きなよと注意する。
2分ほどだろうか俺が瞼を開けられず睡魔の誘惑に負けているとこで彼は痺れを切らしたのか少し怒り気味だった。
「お湯だって無料じゃないんだからちゃんと身体を拭けよ!」
揺さぶり起こすリンドウに睡魔が少し収まり座りながらローブ脱いだ。下着は付けてあるし見えて困るものはないという大胆な俺の行動にリンドウは慌てながらも目を隠した。
今日は脱ぎやすいブラだから早く済ませよう、身体の前面を眠気に抗いながらも拭き終えるとスカートも脱ごうとずり下ろしたところでベッドに吸い寄せられた。
「あ、もうこら寝るなって…………背中拭いてやるから」
うつ伏せに寝た俺の背中を拭き始めるリンドウ。幸いなことにブラを外すことなく寝てしまったため安心して背中を任せることが出来た、はずだったのだが、なにやら胸の締め付けがゆっくりと楽になっていった。
彼の解いたブラジャーの紐が背中に落ちる。彼は見事にするりとコルセットのように縛ってあったブラを外しその下の肌を少し固まりながらも丁寧に拭いてくれていた。
彼の誠実さは恐らくきっと、多分、やましいことなど排除して拭いているに違いないと願いながら入念に背中を拭き終えると、彼の手はそのまま表側に伸びる。大きく豊満な胸というのはやはり男には抗えないものであるのは理解していたつもりだった。
なにせ俺もその誘惑に負けたことがあるのだから。しかし胸を揉ませるくらいなら、まあどうということはないと自分の心に言い聞かせた。
彼は胸の下側から綺麗に布で山の麓を一周する、もちろん双子のもう片方の山の麓も同様に。
これから山頂を目指す登山家のように、入念な下調べをしているような手の込みようだ。そして下調べが足りなかったようでもう一度ゆっくりと麓を回る。登山家たちの指を操るリンドウ本人の少し興奮したような湿っぽい息が背中に当たる。
そんな興奮している彼をよそに、俺はその激しい
一度離れた彼の手は桶に布を浸していて、引き続き腰を素早く拭き通り過ぎると
それはやはりリーリアのような綺麗なラインを見ていると自分のお尻の膨らみはやや太いと自覚できるほどだったからだ。桃を優しく磨くような彼の優しい手つきに少しだけ口角が上がるが、彼はその桃から滑り降りるように
俺は少しだけ安心していた。
下半身に関してはショーツがあるため絶対安全だと言えるのだから下手なことが出来ない分、そこさえ守れていればこのまま多少揉まれようが許してあげなければ。
そう思っていたのだが、彼は内太腿に流れていきその内太腿を丹精を込めて拭き始めた。下から足の付け根を何度も何度も往復し、少しすると桶のお湯にまた浸し、戻ってきたらまた太腿へ。彼のこの太腿への執着はもはやフェチなのだろうか。その内太腿を拭かれていると俺の身体にも異変が起きてくる。
最初はくすぐったかっただけだったはずだったのだが、僅かに、本当に僅かにゾクゾクと込み上げてくる"何か"、その身体を熱くする"何か"不思議な感覚に脳を蝕まれ始めた。
太腿に満足した彼は足の付け根から少しずつゆっくりと局部の方へ進み始める。ショーツを履いてる分安心はあり、それをズラすような
汚れや匂いが溜まりやすい"ここ"を彼は足の付け根側からゆっくりと拭きあげまた温かいお湯を纏って戻ってくる。その温かさが綺麗に拭いてくれていると感じられた。
そして彼はショーツの上から優しく局部を拭き始めた。身体が強張るのが自分でもわかる。足の指に力が入り声を出さないように口を閉じ、鼻でゆっくりと呼吸をする。
彼は二度三度と優しく拭くのだが、まるでショーツで守られていないような。いや間違いなく布の感触はあるため間違いはないはずなのだが、彼の指がすーっと"溝"をなぞる。
その感覚はすごい不思議な感覚でそれは裏筋をなぞったときのようなえもしれぬ快感が込み上げてくる。
彼の指はそのまま溝をなぞり大きく膨れ上がった"突起"に追突する。そしてその指はまるだ何に当たったかわからないような仕草でその突起にもう一度触れ、そしてつつき、そして指で優しく撫で回した。
その感覚を俺は知っていた。
亀の頭をせめているときのあの感覚だ。あのときは指で触れようが接地面積が半分もないためそれほどでもなかった刺激だったはずなのだが。今やそれは指先一つで接地面積100%を超えるほどで、その小さな突起が全面で受けている刺激は圧縮して襲ってくる。
口を閉じ限りなく鼻から音が漏れないようにゆっくりと、ゆっくりと呼吸をし平静を保っていたが、コリッコリッと触られる瞬間に呼吸の仕方がわからなくなるように身体の神経が言うことを聞かなくなる。
この感覚はなに?
ずっと続けて欲しくなるようなこの感覚は……快感……?
脳を快感で支配され始めいよいよ私はこれまで我慢していた声を漏らしてしまった。その瞬間に彼の手はピタリと止まり私を包む快感も次第に止んでしまった。
「終わったぞ、それじゃあ俺はもう寝るから」
布を桶に入れ彼はベッドに戻った。
私はいつの間にか少し浮いていた腰をベッドにしっかり下ろして安心した反面、未知の快感で頭を支配される感覚に少し怖くなっていた。
そして、本当に少しだけ、少しだけなのだが、どこかで終わってしまったことに落胆している気がする私がいた。
「ありがとう」
身体を拭いてくれたお礼のつもりだったが、どこか本心では心の準備が出来ていなかったから止めてくれて、あるいは気持ちよくしてくれて、という気持ちしかなかった。
解けたブラを掴み、起きた時すぐ見つかるように枕元に置いてようやく眠りについた。
まだ外は暗く、鳥の可愛らしい鳴き声が響く城郭都市の朝は窓から外を眺めると所々で建物に灯りがついていた。彼らの朝はかなり早く窓から見える噴水広場の時計はもうあと少しで5時になろうとしている。お酒を飲んだせいなのか眠りは浅く早い時間に起きてしまっていた。隣では
昨日までは間違いなくあったショーツが紛失してしまっていることに気がつくと俺は猛烈に恥ずかしいことをしていることになる。そんな恥ずかしい行動をしていなかったと証明するために自分の寝ている布団を持ち上げショーツを探すがやはり見当たらなかった。
鞄から替えの下着を取り出しすぐにショーツを履く。旅支度のために入れた下着なので装飾のない無地のセットでブラはフルカップのカップの深いブラを少し小慣れた手つきでつけ始めた。まだ後ろでやることも出来ないので後ろ部分を前に持ってきてしっかりと紐をギューギューっと縛りそこから少しだけ緩めてキッチリと結び後ろへ回して上に少しズラしながら肩紐を通して谷間を整える。胸が大きいと本当に外側に漏れたときに肉を挟んで痛くなることがあるため入念に脇の方に流れた肉を深いカップの中に収めていく。そこでローブを着ようと思い昨日のローブを掴むと何やら少し汗臭い。冒険者たちの服の事情が気になるところだ、一体どうやって過ごしているのだろうか、この臭いに慣れてなんとかするのだろうかと思うが、今の俺にはまだ少し無理だったため新しい服を取り出す。少し丈の長いチュニックにコルセットをつけ動きやすくする。着替えが終わったところで寝癖を確認するために鏡を探すのだが、部屋には見当たらなかった。仕方がないので感覚で
昨日もしかしてどこかに落としてしまったのかもしれないショーツはとても可愛らしいレースの刺繍が入ったもので紛失してしまったことが心に重くのしかかる。
「こんなことになるんだったらあれ着てこなきゃよかった」
落ち込んだところでどうにもならない。が口に出さずにはいられなくて悪態をついていた。
その物音で起こしてしまったのかリンドウが目覚めてしまった。起こしてごめんねと謝罪するが、リンドウは大丈夫と返事をすると今日の予定について話始めた。
「今日のうちに俺さ、ホープタウンに帰ってヴォーデンさんに報告しに行かなくちゃいけないんだよね。明日になったら後発のメンバーが街に来る手筈になってるからもうその必要ないのを伝えておかないとだしさ」
彼は寝起きすぐにそんなことを言えるほどには目覚めがよく喋りながらも身体のストレッチを始めていた。
「私はこのまま残って生活水準とか物価とか、あと職人さんたちの仕事の調査を引き続きやるね。リンドウくんもそこら辺は調べてないでしょ?」
「うーん、まぁ生活水準で言えば昨日の夕食は大銅貨2,3枚くらいだったな。ランチのもそれくらいでだいたい3食食べれば1人あたり大銅貨8枚、多く見積もっても銀貨1枚くらいだな。依頼こなすとどれくらい貰えるかわからないけど」
「それについてはわかるわ、E級依頼1枚で大銅貨1枚で、D級だと銀貨1枚、C級だと中銀貨1枚らしいよ。C級を1人でやれば10日分の生活費になるね、2人なら5日分かな」
「なるほど、なんかちょっとデタラメな値段設定だけどそれも伝えておくか。今日中に帰るために10時くらいには俺はいくけど宿代とか少し置いておくな、と言っても資金をどれくらい入れたらいいか不安だったのか金貨まで入ってたけど中銀貨1枚で2人分全て賄えたから銀貨を5枚渡しておくよ」
「銀貨2枚でいいよ、その間に私ここで働いて生活基盤作るからさ、あんまり貰いすぎるといい加減になっちゃいそうだし」
朝の作戦会議を終えるとギルドマスターが本部に来るという8時までは自由行動となった。リンドウは日課のために朝のランニングをするそうだ、この時間に起きたのも身体が5時頃に起きるようにこの2週間でなったそうだ。彼はかなり薄着の服に着替え早々に出掛けて行った。俺も朝の街の様子を見るためにお金と海綿と部屋の鍵を持ち外へ出た。
ユルズに街に行く際に出されていた日課の修行を怠るなという決まりを守るのと街の外を見てみたかったため門まで来たのだがそこには門番しかおらず、朝10時までは出入り禁止なのだそうだ。かなり遅い勤務時間だなと思いながらも渋々、冒険者ギルドの広場でもある訓練場へと向かった。
訓練場では昨日無詠唱を教えたマスケット銃を持つノーラが自主訓練をしていた。彼女はマスケット銃ではなく、昨日教えた無詠唱で発動する魔法をひたすらにこなしていた。彼女の邪魔をしてはいけないと彼女の視界に入らない逆側の標的で俺も訓練を始める。
まずは右手に水の魔法を、左手には風の魔法を発動し維持させる。この訓練を始めた当初は片方ずつしか魔法を出すことが出来なかったが、今では多少苦戦するものの維持させる段階まで来たのだが……10秒ほどだろうか維持できる時間はまだ短い。本来であればこの二つの属性を合わせることで氷魔法へと昇華するのだが、まだそれは先の話になりそうだ。氷魔法を使うだけなら詠唱すれば簡単に発動するものの、まだこれを無詠唱でやるには至っていなかった。幻適性の想像を使った魔法錬成でも俺はまだ出来ないことは多い。そのうち氷魔法使いのヒカリなんて成れればな、と少し妄想を膨らませた。30分ほど維持させる練習をしたところで10秒維持するのがやっとだったのだが、12秒ほどに伸び自己ベストを更新した。後ろに競うべき相手がいると闘争心、なのかわからないが張り合いがあって集中力が高まる。その意気のまま残りの連続魔法と高速魔法の練習を始めたが、こちらは進展なし、といったところか。この練習している連続魔法や高速魔法のそもそも使い道がわからないせいなのかイマイチでピンと来ない。連続魔法の使い方、例えば……思い浮かばない。つまりそれくらいにピンと来ていないのが原因だろう。高速魔法も魔法を詠唱してしまえば簡単に出来るし今のところ無詠唱の強みもないわけだ。冒険者として生活をし始めたらなにか活路は見えてくるのだろうか。
1時間ほど練習したところで脳が疲れを訴え始めたので終わりにする、ノーラの方もいつの間にかストレッチをしていた。
「ノーラさんおはよー。朝から熱心だったね」
「あ、ヒカリさんおはようございます。ヒカリさんのような方でも朝練してるのを見ると少し感激しました。新人の頃は朝練してる人はいたのですが段々とみんな朝練をすることがなくなり、エンマすらも今ではやっていませんからね。驕らずに精進したいものです」
ノーラは真面目なのだろう、苦言を呈していたが冒険者はどこまで行っても自己責任だといい彼女を
「ちゃんとやってる人が報われれば私はそれでいいと思ってる、だからやってない人のことを考えずにノーラさんが報われてくれれば私はそれで満足よ」
ノーラはハッとしたようで自分の失言を反省していた。まだ時間もありあまり人もいないためリーリアと話す時間も取れるだろうと思い、ノーラと別れて冒険者ギルドの中へと入る。彼女は入ってきた俺を見ると今していた作業を中断し手招きをした。何か用事があるのだろうか、彼女の元へと向かうと彼女は抱きつき俺の胸元へと顔を埋めた。どうやらかなり疲労が溜まっているのだろうか、癒されたいであろう彼女の頭を優しく撫でた。
「お疲れ様。疲れてるみたいね、よしよし」
「ありがとうございます、ちょっと疲れたところにこの柔らかそうなものに飛びつきたくなってしまったもので……それでご用件は?」
「特に用事はないの。ただリーリア昨日お昼から私たちの案内のあと当直だったから疲れてるかなって心配して……会いに来たの」
彼女はしばらく胸を埋めたままゆっくりと呼吸をしていた。胸が大きいというのは色々と良い面も悪い面も感じさせられるが、こうやって他人を癒せるのなら悪いものでもないな、と満更もなくそんなことを思った。
「言える範囲でいいのだけれど、そんなに忙しかったの?」
「それはもう、昨日と今日のうちに話で聞いている3000人のギルド証を揃えて、それに一つ一つ魔力を流せるように調整したりとする必要がありましたので。本来であれば期間月で登録する人ような人数を1日でやることになるので疲れましたわ」
「期間月ってなにかしら?ちょっと聞いたことないわ」
期間月というのは1年が以前、話でチラッと出てきた収穫月、寒冷月とあと一つの繁殖月があり、その3つどれかの月まるごと、という意味だそうだ。この収穫月などは全て収穫月1と2があり、これらは60日ずつあるそうだ。つまり期間月というのは120日なので4ヶ月ほどで3000人、1年で約1万にと言ったところか。今は収穫月2の3日目となれるまではかなりあやふやになりそうだ。
リーリアは少し元気を取り戻したようでギルド証である細い腕輪にハンコのような物を押し当て魔力を流せるように調整する作業を再開する。彼女はその作業をしながら俺にギルドの講習を始めた。
「ヒカリ様は最下のE級から始めると仰っていたので軽く説明しますがE級とD級の依頼というのは基本的に街の維持や保全ですわね。E級は短時間で終わりD級は半日くらいはかかるような内容になります。昇級に関しては……」
酒場でジスカルドが説明したような内容を教わった。基本的には依頼が終わり次第、依頼が終わった証拠を持って全てギルドの受付へと持っていけば良いとのことだった。依頼書を取って、依頼をこなし、受付へ提出、そして報酬を受け取る。このサイクルで依頼をこなしていくのだそうだ。依頼終わりの証明は魔物であれば身体の一部を切断し持ってくればいいのだそうだ。少しグロいと思ったがそれが冒険者だというのであればやるしかないのだ。そして、冒険者ギルドの禁忌について語られる。
「絶対に何があってもやってはいけないことは冒険者ギルド証を持つ物同士での殺し合いです。もし殺人があれば斬首刑です。これだけは守ってくださいね」
「わ、私は人殺しはちょっと出来ないかも……」
「正当防衛の場合はこのギルドの証が記録してくれますのであなたが他人によって命の危機になればこちらが赤く光りますので、その場合は危害を加えても問題ありません」
真剣な顔をしたリーリアが腕輪を持ちながら説明をする。俺はわかったと頷くと、彼女は真剣な顔を緩め「説明は以上です」とギルドの証を俺に手渡した。
「もうもらっていいの?私だけ先に」
「構いません、それにギルドマスターも本当は昨日の時点でお二人には渡す予定でしたのよ。けれどA級のであれば問題なかったのですが、S級というのはこれまでなかったものですから、A級のものに情報を上乗せしてS級とすることにしたんです、さぁどうぞ」
彼女から手渡された腕輪は見た目よりずっと軽く、持っていないような気にさえなる程だった。手首に通してみると少しブカブカで簡単に外れてしまいそうだった。リーリアは今は固定化させていないため伸び縮みすると教えてくれる。そういい彼女は自身の髪を持ち上げ耳を露わにする。そこには証と同じ形をした小さな小さなピアスがあった。
「ここまで小さくすることが出来ます、しかし固定化されていないときにしかサイズを変えられません。サイズが変わってしまったら冒険者ギルドで固定化の魔法を解くことが出来ますのでご安心を」
俺は右手の小指を選んだ。特に深い意味はなかったがなんとなく指輪という物に憧れがあり、人差し指と悩んだが邪魔になりそうだったので小指にした。驚くほど伸縮しまるで粘土のように簡単に大きさを変えることが出来た。リーリアが用意した魔法陣のような紙の上に
「そちら身分証のようなものですので、絶対に紛失しないようにお願いしますわ。また提示を求められた際はそれを確認する方が魔力を流して表示させる決まりですので、こちらは何もする必要ありませんの」
リーリアが説明を終える頃にはもう7時になっていた。それと同時に入れ替わりの人が入って来てリーリアの勤務時間は終わったようだ。リーリアは入れ替わりに来た2人に引き継ぎ事項があるようで業務連絡をしに行った。俺は今しがたつけた指輪を眺めながら冒険者になったんだという実感を得ていた。
その後、リーリアから冒険者ギルド内にある本を手に取り私に渡す。
「ここにある本は全て図鑑ですので、魔物や素材の採取の仕方などを学んでおいてください、本棚ごとに地方が少し違いますのでここの本棚3つほどを重点に覚えてくださいね」
そう言い残しリーリアはギルドの奥へと消えていった。リーリアから渡された本はどうやらこの地方の薬草や木の実などの自然のものを中心に描かれた手描きの図鑑だった。この世界ではまだ写真などはないのだろうか、しかし精巧な手描きの図鑑は息を呑むほどに写実的で美しかった。なるほど、このような図鑑で採集する薬草とかを見つけるのか。かなりアナログでかつて受験勉強をしたときのような感覚に懐かしくなりながらも独断と偏見でシャルやリンドウはこういうのは苦手そうだ、とかガリルは全部暗記しそうで、ムクゲは経験で全部覚えそうだと少し微笑ましく妄想していた。そのうちここで図鑑の勉強をしないといけないなと冒険の下準備に心を躍らせるのだった。
気がつくともう8時になっていたようでリンドウがいつの間にか隣で魔物の図鑑を読んでいた。
「こんなの覚えないとなのかよ〜ちょっときついぜ」
「リンドウくんはなんとなくそんな気がしてた」
案の定というか、想像通りというか、彼を少しだけわかっているような気になって嬉しくクスクスと笑っていた。彼は俺に読まれていたことに恥ずかしかったのか照れ恥ずかしそうにした。
「でもなんか魔物の図鑑見てると攻略本みたいで覚えるのはともかく見るのは楽しいぞ、ほらこれとか」
俺と彼はそれぞれの図鑑を見せ合いながら2人で知識を深めていた。
少しするとギルドマスターがギルドに入って来て俺たちを執務室へ呼んだ。本を片付けて2人で執務室へ行くといよいよ明日ホープタウンに行くことについての会議が始まる。
「それで早々に本題に入らせてもらうんだけどホープタウンには一体どれくらいの実力者がいるのか知っておきたいんだ」
「そうですね、少なくとも私は強い方の部類の人間ではありませんね、100人以上は軽く私以上だと断言できます」
「つまり君は、その隣の彼以上の逸材が普通にいるとでも言うのかね。彼はこの世界でもかなりの実力者だぞ」
「ヒカリさんの言う通りで自分は足元にも及ばない人が当たり前にいます。自分など軽く霞んでしまうほどであるのは間違いありません」
そういう彼の手には悔しさからであろうか、強く握りしめていた。ギルドマスターは少し悩んだように腕を組み唸っていた。強い人というのは増えても問題ないと思っていたのだが何か問題があるのだろうか。
彼の悩みは尽きることはないようで会議中はずっと険しい顔をしていた。それからホープタウンに滞在する期間やら、宿泊先などを、また職人の受け入れ先の目処を俺たちに説明してくれていた。リーリアも明日ホープタウンに行きもうこの街に帰ってこなくなるそうだ。
「元々リーリアは支部長に任命している優秀な子でホープタウンにある冒険者ギルドを統括して貰おうと思っていてね。まぁ最初戻って来た時は頭を抱えたものだが、次こそは大丈夫だろう。君たちの拠点の管理をするからよろしく頼むよ」
2人でもちろんですと快諾し話は終わりとなった。リーリアには説明していたがギルドマスターにも説明しておかなければと、ギルドに所属する際にE級からスタートさせて欲しいとお願いすると、ギルドマスターは少し困った顔をする。
「ヒカリ君、君はこのセントラルに籍を置くつもりかい?」
「いいえ、ホープタウンのつもりですが、それがなにか問題でも?」
「私は言ったよね、ホープタウンの統括を支部長リーリアに任せる、と。つまり君は自分の支部長から許可を得ていることを本部長の僕に話をしてどうするんだい?僕の立場だとリーリアに小言を言うことくらいしかしないよ」
「あ……ありがとうございます!我儘に付き合って貰って」
「その言葉はリーリアにいう言葉だ、私には無意味だよ。でもその信念を曲げて欲しいとお願いするほどの緊急なものが来た場合は、無理矢理にでもお願いしていいかな、例えばA級の依頼をお願いせざるを得ない時とかね」
「もちろんです!そのときは謹んでお受けいたします」
こうしていよいよ俺の冒険者としての生活が始まるのだった。ゲームはやはり初心の頃から徐々に成長していく過程が好きだったため、この我儘が通せるというのは素直にありがたいものだ。どうもいきなりS級と言われても中古で買ったゲームに全クリしたセーブデータが残っていて、そのデータで遊ぶみたいな感覚に陥って正直面白くなさそうで嫌だったわけだ。
会議が終わり、時刻も10時に近くなるとリンドウはホープタウンに出発する。見送りはギルド内でになるが、気をつけてと手を振り彼を見送った。
E級のクエストの貼ってある掲示板の前で依頼を眺めていた。素材採集、街の清掃、家畜の世話と本当に雑用ばかりであった。昨日行った公衆トイレの掃除もE級の依頼だったようだ。しかも魔適性限定という条件付き。
とりあえずE級の依頼書を10個まとめて受注した。薬草の採集2個、街の整備6個、"野良"の魔物討伐2個という内訳で俺の冒険者ギルドの生活は幕を開けた。
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