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根津は入口の方から飛んできたそれを目で追って反対側の壁を見た。けたたましい音を立てて、矢が壁に突き刺さった。倉庫の薄い壁とはいえ、金属でできている。それを紙のように貫いていた。
咄嗟に入口を振り返る。そこには外で見張りに立っていた禿頭の組員がいた。彼は手にボウガンを携えている。誘爆を回避するために、火薬を使わない飛び道具を用意したらしい。頭の回転の速さに根津は素直に舌を巻いた。
禿頭は先ほど射たばかりで、まだ矢をつがえている最中だった。根津たち三人はその隙に棚の影に隠れた。
「どうも生きて逃がしてくれるわけじゃなさそうね」
住井が囁いた。
「最初から署長を誘拐しなければ殺すという話だから驚くほどでもない」
根津の言葉に被せてすぐそばを矢が通り過ぎる。3人はすぐに奥へと駆けていった。
外からは急停車する車の音や、大勢の殺気立った声が聞こえてくる。金岡が増援を呼んだようだ。
壁際の棚の1つに、蛍光塗料の小さな目印がしてあった。3人はそこで立ち止まり、一番下の段に置いてある、防弾チョッキの詰まったケースを取り出した。
「もうじきだ」
木根が囁いて、3人は反対側の棚が作る陰に隠れた。禿頭が引き金を引く音が聞こえてくる。すぐに矢が壁に刺さる音が倉庫を反響する。禿頭は徐々に3人に近づいてきているようだった。1つしかない入口を固めて、あとは袋の鼠になった根津たちを追い詰めるだけだと判断したらしい。
3人は再び陰から飛び出した。ケースを取り出して開いた空間に住井が入り込む。
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