第11話 序章にしか過ぎない

 何を言っているのかわからないが声と何かがぶつかる音が聞こえる。


 「あっ…!お姉ちゃん起きた?お仕置きの時間だよ」


 「何言って…っ!?」


 起き上がらろうとした時、なぜだか身体が動かない。腕を動かそうとしてもガンっと音がなって動かせない。何か手錠で固定されているかのようなそんな感じがする、というより今現在腕が縄で縛られベッドに固定されている。


 「気づいたかな♡鈍感なましろちゃんには一回お仕置きしなきゃいけないから…覚悟してね?」


 なのちゃんはそう言うと、手に持っている布を私に見せつけながら近づいてくる。私は逃げようとしても縛り付けれているため逃げられない。生憎足に関しては何一つ拘束されていないので抵抗しようと思えば抵抗できる。しかし、それで傷つけてしまったら友達を傷つけてしまった最低な人になってしまう。


 こうなったら最後まで罰を受けよう。それでなのちゃんと桃の気が済むんだったら。だけど、これだけは言いたい。


 「私は鈍感じゃない……!」


 「……ぇ?」


 「ましろちゃん?とりあえずお口と目…どっちがいい?どっちも?欲張りだね♡」


 桃は嫌悪感をあらわにしながら困惑している。一方、なのちゃんの方は完全に瞳の甘さがドロドロとしている。


 暴走気味になっているなのちゃんは手に持っている布で私の視界を覆う。視界が覆われ真っ暗な世界が広がる。私は少し恐怖を感じ呼吸が早くなる。


 そんな私を気にもせずなのちゃんは続いて口を塞ぐ。言葉を発しようとしても言葉にならないうめき声みたいな声しか発せない。視界も塞がれているため私は未知の恐怖と軽い興奮をしてしまう。


 「ましろちゃん…興奮してるけど?」


 「こんな状況で興奮しちゃうんだ…お姉ちゃん……」


 聴覚が鋭くなっている私に二人は容赦なく囁いてくる。甘くて苦い言葉が、私の思考を惑わすかのように。それを感じさせるかのように私の身体は反応してしまう。


 「かわいいね♡」


 「…変態……」


 なのちゃんの甘さが詰まった言葉、桃の甘さに苦みを詰めたような言葉。それが同時に囁かれ私の身体はうねってしまう。今までに感じたことのない感覚に私は理解することも思考することも出来ない。


 気持ちよさ甘さが、快楽苦さが私の思考と身体を蝕み支配していく。甘さでドロドロ溶けるかの如く、駄目になっていく。


 それに拍車をかけるかのように彼女たちは私を弄り始める。


 「どうしたのかな…そんなに身体をうねらせちゃって♡」


 なのちゃんは私の太ももから敏感なところまでにかけ指でゆっくりとなぞっている。なぞられる度、微弱な快楽と甘さを感じ、それがどこかもぞかしくて頭がおかしくなっていく。


 「お姉ちゃんの変態…お姉ちゃん失格……恥ずかしくないの?」

 

 快楽と甘さに溺れていく中、桃は私の耳元で苦さのこもった言葉を永遠と綴り続ける。堕ちかけていた私の心と思考は現実に戻されるが、なのちゃんからの甘さでまた溺れ堕ちかける。


 慣れてきたと思ったら、別のところを永遠と弄られる。それが永遠と繰り返され、私は終わらぬ甘さの沼へと引きずりこまれてしまう。


 「そろそろこっちも弄ってあげるね♡」


 なのちゃんの指が太ももから上の方、私の大事な部分へとのぼっていっている。私は興奮と恐怖に抵抗をしてしまう。


 「…まだ抵抗するぐらいの気力、残ってるんだね……最低限女の子としての尊厳を守らせてあげようと目だって布で隠してあげたり、声が少しでも出ないように口を塞いだのに……」


 「もうそういうのいらないよね♡」


 彼女はそう言いながらも優しく布をほどいてくれる。口につけられていた口枷も外され、私は自由ではないが自由になった。


 数十分ぶりに見た彼女たちの表情は妖艶で、獲物を捉えた捕食者のように見えた。彼女たちを見た私の口からは一切言葉が出てこない。言葉を綴れるはずなのにすることが出来ないのはきっと身体の中の容器が甘さで溢れ出しそうになっているからだろう。


 「期待しちゃってるんだ♡ふーん…?」


 なのちゃんは何故か不満げな声を漏らしている。どこかつまらなそうで楽しくなさそうな表情。桃は桃でそんな彼女の様子を見て何かを察したのか私から離れていく。


 私の身体が甘さを求めてるのに突如としてお仕置きが終わったので困惑し始める。すると、桃に続いてなのちゃんの指の動きが止まり私の身体から離れていく。


 「やっぱりやめた♡こうも簡単に堕ちちゃったら面白くないからね…?じゃあ、行こっか桃ちゃん?」


 「うん…!お姉ちゃんまたあとでね」


 彼女たちはそう言いながらこの部屋から出ていった。取り残された私は未だに腕が縄で縛られてベッドに固定された状態。


 私はお腹の疼きとトイレに行きたい欲を我慢しながら日が暮れるのを待った。


 



 


 

 


 


 

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